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医療立国論II
厚生労働省解体―医療庁を設置せよ!

定価(税込)  1,980円

著者
サイズ 四六判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-06184-4
コード C3034
発行月 2008年12月
ジャンル 経営

内容

今、日本医療現場は、行政の無策を大きな起因とし、地方での医療崩壊、救急医療、産科、小児科の医師不足と荒廃し始めている。この医療の現場を復活させるために緊急に必要な医療制度改革を、横断的な組織・医療庁を設置することにより、解決するという案をわかりやすく解説していく。

目次

【目次】



第1章 医療崩壊は既に始まっている

1 崩壊は小児、産婦人科、救急医療だけではない! 奪われる医療へのアクセス

2 地域医療を担う自治体病院の崩壊:

医師不足が主因だが経営合理化だけを迫る総務省

3 高齢者医療対策の根本的な誤り:行き場のない高齢者たち

4 後期高齢者医療はなぜ問題なのか。保険者全体の再編統合が急務



第2章 まず「日本の医療制度の問題点」を整理する

1 医師不足は偏在だけではない。医師も看護師も圧倒的に不足している:

このままでは医療の質と安全の確保は極めて困難

2 医学部定員増だけでは問題は解決しない。教育スタッフの大幅増員が必須である。

3 日本の医学生の臨床能力は低い

4 現実と乖離した医師法17条の解釈は直ちに改めなければならない:

日本の常識は世界の非常識

5 医師不足、医師偏在に拍車をかけた卒後医師臨床研修制度:

直ちにスクラップして新制度を確立せよ

6 医師養成制度は根本的なオーバーホールが必要:監督官庁は二つもいらない

7 省庁の有識者会議のあり方を見直す必要がある

8 医療の質がバラバラ:医師を選ぶのも寿命のうち

9 多すぎる医療施設と少なすぎる症例

10 専門家庭医(総合診療医)の教育システムの欠如:「真のかかりつけ医養成制度」を確立せよ

11 遅すぎる新薬(抗がん剤など)、新しい医療機器の審査承認制度:抜本的見直しが急務

12 厚労省主導の医療事故調査委員会:出発点が間違っている!



第3章 医療再生:すぐにできることはいくらでもある

1 新薬、新医療機器の迅速導入制度創設はすぐにでも可能。

国民よりも省益優先の厚労省

2 医療と環境産業で国を興せ!

医療産業分野では欧米を超えて世界をリードできるポテンシャルを持つ日本

3 禁煙対策では世界で最も遅れている日本。

煙草税を欧米なみにするだけで医療を支える大きな資源になる

4 医師不足のなかで地域医療を支える病院にできること:

民営化、柔軟な診療体制と地域住民との結びつきなど

5 公務員医師の兼業禁止を緩和することで医師偏在の緩和策が可能

6 開業医が病院を応援できるシステムを確立せよ

7 女性に働く機会を与えない日本社会:大きな労働力の損失



第4章 対談:医療崩壊を深刻に憂うる医療現場から提言

日本の救急、小児科、産婦人科医療の深刻な現状と今すぐにできること

1 救急救命医療の現実

救急医療スタッフの絶対数の不足と慢性的不足/救急車搬送のルール違反者、モンスター患者の予備軍?/救急医療体制の米国との比較/心停止患者をバイパスして、社会復帰率10%は世界でも一番高い/救急医療と長期医療のベッドの争奪/長期療養者が、救命救急センターに再来院/救急医療スタッフの疲弊のパターン/なぜ、救急車が受け入れられないのか?/救命救急医療における、医師法17条の?医業?の解釈課題/欧米ではコメディカル(医師以外の医療職種)も医師の指示監督下で医療行為を許されている/救急相談センターの設置が、救急搬送の問題を解決しつつある/救急サービスが、医療ではなく消防のサービスということが、救急搬送を困難にしている実態がある/等

2 少子化対策のためにも、小児医療の充実を

長野県立こども病院の改革:総合診療部を中心とし、その周りを専門診療科が支援する体制に/売上げ増で、人件費比率を下げる経営方式を採用/独立行政法人化の是非/社会福祉と社会保障費が減らされては、独立行政法人化の維持は困難/自治体病院では政治の影響があるが、ビジョンでカバー/独立行政法人に必要なことは、外枠よりも内部を固めること/総合診療部を創ったのは、こどもの患者がどの専門科に行けばいいのかを判断するため/小児科医療と小児医療の違い。日本の小児科医療の教育は病院の大学小児科が中心。米国では子ども病院が中心/長野県立こども病院では、チーム医療を目指しているが…/現在の日本の医療崩壊の一因は、患者は自由主義的で医療は社会主義的なミスマッチの側面も?/医療に投資することは、患者中心の医療だけではなく経済の活性化にもつながる/病院、診療所の再編統合をして、効率的マンパワーを使うべきだ/等

3 産婦人科医療崩壊に歯止めをかけて再生するには

出産では母体が急変することがよくある、妊婦検診をしておくことが重要だ/産婦人科の二次医療の施設では、産婦人科医、麻酔科医の存在が必要不可欠/北海道でも産婦人科医不足があり、その対応策として集約化と重点化を模索している/スタートはセンター方式だったが、北海道は広大なため産婦人科医の増員が必要になった、このために、医局の法人化により三次医療圏のネットワーク化を推進/米国でも、大学病院と一般病院との連携がされている。しかし、日本では大学病院と一般病院とを競争をさせる行政がなされている/北海道大学医学部産婦人科医局が法人化をして「WIND(ウインド)」を創設、全国に、このメッセージを発信し伝えたい/大学病院と一般病院の競争原理は、文部科学省と厚生労働省が綱引きの結果か?/医師法17条の医業行為を柔軟に解釈をして、看護師やコメディカルの働く場を拡大するべきだ/等

4 がん患者が増えている。がん対策には、禁煙、食品、感染症が重要である

高齢者のがんは、増加の一途である/がんと感染症の関連性/がん検診のレベルと早期発見/緩和医療の必要性と重要性/医療費の抑制が医師不足の元凶だ!/医師不足だけでなく、医療従事者も不足している/医師法17条の弊害/疑問に思う高齢者に対する切り捨て/団塊の世代が後期高齢者に参入してくる/生活習慣病は、がんの元である/がん遺伝子について/がん検診率の向上を図るには/がん拠点病院と医師の養成/医師の研修について/開業医の役割と制度の見直しを/日本の医療は、診断は正確で強いが治療に弱いと言われる/医療従事者の活性化をどう押し進める/未就労看護師が55万人もいるという/がん対策推進協議会の役割と国の予算について/著者のまとめ

5 国の根幹に関わる感染症の脅威

病原体によって、感染の仕方に違いがあるが、今、「新型インフルエンザ」が大きな問題である/鳥インフルエンザウイルスがのどで増殖をはじめるとパンデミック(感染爆発)となり死亡率60%の可能性も/危機的状況にある日本だけが感染症対策施設がまだ無い/海外では「疑い」の段階で感染症患者の隔離が可能だが、日本では法律によらないと、感染症患者を隔離できない/パンデミックが起こったとき、医療はどうする/日本はタミフルの備蓄とかワクチンの備蓄が少なく、備蓄の方法が非効率的である/かつてワクチン先進国であった日本だが、今は戦略がない/厚生労働省の人員不足と担当者の短期的異動による、長期的戦略の構築欠如/人工呼吸器の備蓄はいいが、はたして役立てることが可能なのだろうか/コメディカルの養成と充実化が急務である/等



第5章 医療庁を設置せよ!

4省にまたがる縦割り医療行政を再編統合しなければ医療再生はありえない

1 すぐにできることはいくらでもある

2 医療は負債ではなく、投資であり経済活性化の鍵、実現には「医療庁創設」が必須である

はじめに

はじめに



国民にとって、日々、健康に日常生活が送れ、年をとっても(たとえ病気になっても)、いつでも、どこでも医療が手を差し伸べてくれることで健康を取り戻すことができ、通常の生活や仕事に復帰できるという安心感は非常に重要だ。この安心感があるからこそ働く意欲が出て、幸せな生活を送ることができるのである。

しかし、医療崩壊という言葉が身近になってきた現在、医療へのアクセスが急速に狭まってきていて、命に関わる病気になっても必要な医療が受けられない状況が広がりつつある。去る2008年10月4日に東京都で起こった、受け入れ先が見つかるまで1時間20分近くもかかって、脳内出血でなくなった妊婦の悲劇はまさにこの医療崩壊を象徴した出来事である。このような医療崩壊の現状は、東京都のような都会だけではなく、医療施設が限られている地方ではもっと広がってきており、地域の基幹病院が医師不足や経営難などの理由で閉鎖や診療を縮小する状況に歯止めがかからなくなってきている。

こうした一刻も猶予を許さない現状に対して、本書で、第1巻「医療立国論:崩壊する医療制度に歯止めをかける」に続いて、現在の硬直した行政システムでは崩壊の流れを止めることは困難であり、根本的な行政改革を行って、広がり続ける医療崩壊にさらに踏み込んだ手立てを考える必要があることを明らかにする目的で執筆した。

本書の流れとして、まず日本の医療の現状と問題点を整理分析し、その上で方向性を打ち出していくことを趣旨としている。そのために医療の各分野で活躍しておられる5名のエキスパートの方々に著者がインタビューする形で忌憚なく現状を語っていただき、方向性を探る順序で進めている。その上で、深刻な状況をすぐに緩和できる対策と中長期的には、世界に例を見ない縦割り行政の現状を是正するために、医療に関係する4つの省庁を再編統合して「医療庁」を創設する必要など、明治維新に匹敵する思い切った改革が行われねばならないことを説明してゆきたいと思っている。

本書の出版にあたっては、ご多忙の中、快く対談に協力していただいた国立がんセンター名誉総長・垣添忠生氏、長野県立こども病院院長・宮坂勝之氏、北海道大学産婦人科教授・櫻木範明氏、帝京大学救命救急センター教授・坂本哲也氏、国立感染症研究所感染症情報センター第一室長・谷口清州氏に深甚の感謝を申し上げたい。また、対談を含めて著者の我儘を聞きながら大変な編集作業の労をとっていただいたSRアカデミージャパンの田中匡氏および友野喜久子氏と日刊工業新聞社出版局の藤井浩氏の3名の方々に心より御礼を申し上げます。



2008年12月

大村昭人

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