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多軸・複合切削加工

定価(税込)  2,420円

編著
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-06133-2
コード C3053
発行月 2008年09月
ジャンル 機械

内容

5軸制御MCや、旋削機能にミーリング機能も付加した複合加工機のように、1回の段取りで多面加工を行う多軸制御による切削加工は、高付加価値製品を高能率に加工する技術として導入が本格化している。本書は、多軸制御・複合加工の基礎と実例を解説する。

目次

目 次



まえがき



第I章 5軸制御加工の基礎

1 5軸制御加工機の構造と構成

2 5軸制御加工機の開発課題

3 5軸制御用CAMシステム

3.1 5軸制御用CAMシステムの構成

3.2 荒加工から仕上げまでの効率加工

3.3 同時5軸制御における干渉回避法

3.4 曲線補間による5軸制御加工の高速化

3.5 工具形状の工夫

3.6 市販の5軸制御CAMソフトウェア



第II章 多軸・複合加工の技術要素

5軸制御マシニングセンタ

1 5軸MCの構造と構造表記

2 5軸MCにより改善される加工

2.1 加工能率の向上

2.2 加工面の向上

2.3 段取りの改善と工程の短縮

2.4 自動化の推進

3 5軸MCの精度評価方法

3.1 コーン加工テスト

3.2 回転軸の荷重とたわみ

4 主な機械産業で使われる5軸MC

4.1 航空機産業

4.2 金型産業



第III章 多軸・複合加工の技術要素

複合加工機

1 複合加工とは

2 複合加工機の発展過程

2.1 複合加工機の登場

2.2 複合加工機の商品化

3 複合加工機の構造と種類

3.1 複合加工機の構造

3.2 複合加工機の種類

4 複合加工のメリット・デメリット

4.1 複合加工のメリット

4.2 複合加工のデメリット

4.3 複合加工の経済性分析

5 複合加工のアプリケーション

5.1 クランクシャフトの加工

5.2 トラックのアクスルハウジングの加工

5.3 航空機部品の加工

6 複合加工機の構造を利用した加工技術

6.1 ワンチャッキング金加工

6.2 同時多軸加工

6.3 新しい加工方法



第IV章 多軸・複合加工の技術要素

NC装置

1 5軸加工機能

1.1 工具先端点制御

1.2 傾斜面加工指令

2 複合加工機能

2.1 旋盤とミーリングの融合

2.2 サーボモータによる主軸制御

2.3 多系統機械の制御機能

3 多軸・複合加工機に欠かせない機能

3.1 3次元干渉チェック

3.2 ワーク設置誤差補正

3.3 ダイレクトドライブシステム

4 今後の課題



第V章 多軸・複合加工の技術要素

CAMシステム

1 3次元データの基本

1.1 座標系とワーク座標系

1.2 NCデータと加工指示書

1.3 CAMの基本パスパラメータ

2 2D−2.5D加工

3 3D加工

3.1 荒加工

3.2 仕上げ加工

4 固定5軸加工

5 標準同時5軸加工

6 金型向け同時5軸加工

7 CAM周辺の機能

7.1 ポストプロセッサ

7.2 シミュレーション

7.3 ホルダ干渉

7.4 送り最適化



第VI章 加工事例

小型機の垂直尾翼サポートビーム

エンジントラット部

バルクヘッド

タービンディスク

ベベルギア鍛造金型

インペラ

シリンダカバー

ゴム金型

ロボットハンド

工作機械スピンドル

刃先交換式工具

型を使用しない削りだし加工

ナックル

インペラの複合加工

ボールジョイント

ホブ加工

台形薄肉リング

チェス駒



索 引

はじめに

まえがき



5軸制御マシニングセンタや5軸加工可能な複合加工機が全盛である。日本のJIMTOFやシカゴでのIMTS、ヨーロッパでのEMOでも同様である。加工物を一旦、機械に取り付ければ、工程を変えることなく仕上げまでを完了したいという要求が高まり、また複雑形状の加工もあらゆる方向からアプローチできるためにセッティングをし直すこともなく加工できる、加工物と工具の関係の自由度が増え、姿勢を適切に選べる、などの理解が進んだためと思われる。この傾向は1990年代から見られるようになり、現在その頂点に達した感があるが、この趨勢はしばらく続くと思われる。

4軸以上の制御軸数をもつ加工機を「多軸」というが、フライス加工を主体としたマシニングセンタ、旋盤加工を原型にそこにフライス加工を組み込んだ複合加工機を多軸化することによってワンチャッキングで仕上げまでを狙った加工機は強力な道具となることは間違いない。多軸・複合加工に関心が高まっている中で、その構造や仕組み、制御、CAM、加工事例などを要領よくまとめた書籍が思ったより少なく、これからますます増えると思われる多軸・複合加工への参考にと考え、本書を企画した次第である。

編著者(竹内芳美)が5軸制御工作機械を初めて見たのは1978年である。その頃、ドイツのアーヘン工科大学の工作機械研究所に留学しており、シュツットガルト工科大学の工作機械研究所を訪問する機会があった。そのとき、かなり大きめに3軸制御のフライス盤に2軸の回転テーブルを付加し、5軸制御でインペラを加工していたのを見て、非常に興味をもったことを鮮明に覚えている。そこで配布された研究報告を見ると、APTで書かれたデータを用い、5軸制御の加工法を研究していたようである。現在のように3次元CAD もなく、試行錯誤的に複雑形状の加工用データを生成していたようであるが、複雑形状が巧妙に加工できることに興味を覚え、いつか5軸制御加工の研究をしてみたいと思ったが、実際に始めたのはその10年後であった。その頃、ようやく3次元CADが使えるようになり、ワークステーションも手に入り、工作機械も5軸の試作機も出てきて環境が整ったこともあげられる。

5軸加工の一番の特徴であるオーバーハング形状を加工するためのシステム開発、すなわちCAMの開発に取り組み、干渉回避の方法から研究を始めた。市販の5軸制御加工用CAMもあったように思うが、どのような原理に基づいて干渉を回避しているのか明確な説明もなかったために、これを究明しようとしたことから取りかかった。そのような手探りの段階から、今では機械の運動までも考慮に入れたCAMシステムも研究されるようになり、高速・高精度の5軸制御マシニングセンタや5軸制御複合加工機が当たり前に出回っている昨今をみると隔世の感がある。

30年間の経緯はさて置き、本書は主に5軸制御マシニングセンタと5軸制御複合加工機について述べている。本書は、5軸制御加工の基礎を述べ、次に5軸制御マシニングセンタと5軸制御複合加工機の最新状況、さらに5軸制御を可能にするCNC装置の状況、ならびに市販3次元CAMの機能を説明し、最後に5軸制御マシニングセンタと5軸制御複合加工機による加工例を示すという構成である。これによって多軸・複合加工の全貌を理解できるはずである。最新の状況を正しく伝えたいという観点から、5軸制御マシニングセンタと5軸制御複合加工機のメーカー、CNC装置メーカー、3次元CAMベンダーのエキスパートに執筆を依頼し、併せて加工事例を網羅し、読者の参考になるように配した。

本書が、5軸制御マシニングセンタや5軸制御複合加工機を使いこなしたいと考えている技術者、研究開発の資料を得たい研究者、また現状とその動向を知りたいと考えている学生の皆さんには適切な書物になると確信している。



平成20年9月

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