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中小企業の洗浄工程における
VOC排出抑制対策マニュアル

定価(税込)  2,640円

監修
編者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06124-0
コード C3043
発行月 2008年09月
ジャンル 環境 化学

内容

中小企業の経営者・担当者がVOC(揮発性有機化合物)削減に自主的に取り組めるようにまとめた推進マニュアル。VOC排出抑制の具体的な対策を、そのコストと効果を含めて解説しているのが特徴の1つ。

目次

目次



第1章

VOC排出抑制

についての

基本的な考え方



1―1 VOCとはなにか

1―2 VOCをなぜ排出抑制しなければならないか

1―3 VOC排出抑制を求める法律の骨子

1―4 法規制と自主的取組

1―5 VOC対策の目標

1―6 中小企業はどうすればよいか

1―7 産業洗浄における状況と課題







第2章

VOC排出抑制対策

メカニズム編



2―1 本章の利用の仕方

2―2 洗浄装置内の物理現象の解明

2―3 VOC排出のメカニズム

2―4 VOC排出抑制方法









第3章

VOC排出抑制対策

実践編



3―1 VOC排出抑制対策の定量的評価

1 VOC発生と工程フロー

2 VOC排出抑制の検討手順

3 洗浄工程の改良

1 起動・停止の手順

2 洗浄装置周辺の風の現象

3 局所排気方法の変更

4 ドゥエル(被洗浄物をベーパーラインの上で放置乾燥)方法の検討

5 被洗浄物による液持出量の削減

6 ふた・カバーの設置

7 冷却効果の適正化

8 フリーボード比の確保



4 代替洗浄剤の導入

1 炭化水素系洗浄システム

2 準水系洗浄システム

3 水系洗浄システム



5 回収・再生装置の導入

1 圧縮深冷凝縮法による回収・再生装置

2 活性炭吸着法による回収装置





6 洗浄装置の密閉化

2 減圧蒸気洗浄システム

1 完全密閉洗浄装置



7 産業洗浄におけるVOC排出削減対策のまとめ



3―2 検証事例

A 作業手順書作成、溶剤交換時期の見直し

B 冷却管内外清掃による冷却効果向上

C 常設ふたの設計・新設

D 局所排気の改造・新設

E ふたにロールスクリーン、風よけカーテン取付け

F 洗浄マニュアル作成・教育、溶剤の管理

G 局所排気修正・追加、冷却水配管のチェック

H 冷却能力増強、局所排気修正、蒸留器の点検

産業洗浄現場での簡易なVOC対策確認チェック項目







第4章

ハザード管理からリスク管理へ

4―1 ハザードからリスクへ

4―2 法規制と自主管理

4―3 国際潮流は

4―4 リスク管理のポイント

4―5 リスクトレードオフ



索引

はじめに

監修にあたって



産業洗浄は、金属機械製品を始めとして、輸送機器やエレクトロニクス製品など広い分野の製造産業には欠くことのできない基盤技術です。そのおかげで私たちは身近で、すばらしい表面光沢を持った機器や故障が少ない機器、コンパクトで高性能な機器を当たり前のように使うことができるのです。一方で、洗浄には溶剤や界面活性剤などの化学物質の使用が伴い、特にVOCである溶剤の排出は、大気汚染の原因物質として排出抑制が求められています。

世界はモグラ叩きのような化学物質規制から、リスクを正しく把握し、これに基づいた管理を求める流れになってきています。PRTR制度による届出も自らの排出量を把握することが本来の目的です。有害性が少ない物質への転換や密閉装置の導入は大きな効果がありますが、現在の装置や作業手順をしっかりと確認し、適切な回収・再生装置の追加、風よけや液切り、排気風量の調節などのちょっとした工夫・改善でも大幅な排出抑制ができます。また、このような管理のためには、経験や勘だけではなく、洗浄やVOC排出のメカニズムを理解し、洗浄評価を行うことも重要な取り組みでしょう。

本書は、VOC排出抑制を進めるための基本知識に加え、経験豊富な洗浄技術者が行った現場での対策事例を紹介することによって、洗浄に関わるすべての方々のVOC排出抑制の実践を期待して編纂されました。編纂の中心となった日本産業洗浄協議会は、中小企業の多い洗浄に関連業界において、長年、オゾン層破壊物質であるフロン類の全廃を主導して大きな成果をあげてきました。この地球環境保全活動が評価され、2007年にはアメリカ環境保護庁よりBest-of-the-Best賞を受賞しており、今後はVOC排出抑制を皮切りに、次の大きなステップである、すべての化学物質の高度管理においてリーダーシップを発揮することを期待されています。

平塚豊編集委員長をはじめ、執筆・編集にあたられた各位に深く感謝すると共に、本書が読者の方々のVOC排出抑制実践に役立ち、ひいては化学物質管理を考える契機となれば幸いです。

2008年9月 東京大学工学系研究科教授

平尾 雅彦





はじめに





現在環境問題で国を挙げて取り組んでいる重要なプロジェクトは、VOC排出抑制である。人の健康に有害なオキシダントや浮遊粒子状物質の原因になる揮発性有機化合物(VOC)の大気への排出を削減して、環境基準を達成するため平成16年に大気汚染防止法を改正し、平成18年4月から施行された。

VOCとなる有機溶剤類は、塗料、印刷インク、接着剤、工業用洗浄剤、化学製品、ゴム製品、自動車用燃料、クリーニング溶剤などわれわれの生活に深く係わる物質で大量に使われている。したがって、平成12年度では事業所からのVOC大気排出量は150万トンと膨大な量が推計されている。これを平成22年までには30%削減しようという国の目標が立てられている。

ひるがえって、工業洗浄分野についてみてみると、全大気排出量の9%の14万トン/年を占めている。しかもその66%が塩素系洗浄剤である塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンである。その実態にはフロン・エタン洗浄剤からの転換時、金属加工の脱脂洗浄を行う中小の多くの事業者が楽に転換ができた塩素系洗浄剤を使用するに至った経緯がある。

第一種指定化学物質である塩素系溶剤を年間1トン以上使用する事業者が届出するPRTRデータを解析した結果によると、塩素系溶剤の大気排出量18,000トン/年のうち金属製品製造業、輸送用機械器具製造業、電気機械製造業、一般機械器具製造業からの大気排出量がその80%を占め、しかもそれらの業種は事業所の規模が小さい所が多く、100人以下の事業所の割合は50%となる。さらに届出外の事業者は約47,000千事業所もあるといわれ、そこからの排出量は約3万トン/年と見積もられている。

VOCの法規制では、大規模の排出施設に対して排出濃度基準が設定されており、たとえば、洗浄・乾燥施設では洗浄槽の溶剤と空気との接触面積が5m2以上のものに対し400ppmCという値が義務付けられている。それ以下の小型施設の企業に対しては経済的、技術的にできる対策を選んで自主的に実施する法規制によらない枠組みになっている。

VOC排出抑制の実を挙げるには、塩素系洗浄剤の個々の使用量は少ないが数多くある中小事業者に極力排出抑制に努めてもらうことが鍵となる。

日本産業洗浄協議会は洗浄ビジネスを生業とする業界団体として、洗浄における化学物質の高度管理を社会貢献事業として取り組んでおり、その一環として今課題になっているVOC排出抑制対策を技術的に整理し、マニュアルにする活動を進めてきた。

すなわち、協議会の中に委員会を組織し、環境省の委託事業として旭リサーチセンターとともに「産業洗浄におけるVOC排出抑制対策の自主的取組み推進マニュアル」を作成した。その内容を洗浄ユーザーである中小企業の経営者、技術担当者の方々を主対象としたVOC対策入門書に取りまとめたのが本書である。

使用量の大きい事業者には大幅な削減効果が得られるVOCを使わない洗浄への転換、排出VOCの回収再生、装置の完全密閉化などの対策について解説している。

一方、大きな投資が考えにくい中小企業にはできるだけコストをかけないでできる作業方法の改善、洗浄装置の改造といった対策を中心にやさしく解説し、しかも塩化メチレンを例に各対策の削減効果を実験的に確かめていることに特色がある。排出抑制対策によって削減される溶剤購入費が洗浄コストの削減になると同時に職場環境の改善にもなることを示して、VOC対策にインセンテイブがあることを理解してもらえるように意図した。

最後に本書の発刊にあたり、東京大学の平尾雅彦教授にご監修をいただきました。厚く御礼申し上げます。また環境省をはじめ資料をご提供いただきました諸氏・諸団体にも御礼申しあげます。

日本産業洗浄協議会

中小企業の洗浄工程における「VOC排出抑制対策マニュアル」編集委員長

平塚 豊

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