内容
製造現場ではメンバーを率いるリーダーの存在は大きい。本書は、リーダーとして身に付けるべき基本事項を把握し、改善活動に弾みをつけるための手引き書。リーダーとして必要とされるポイントをステップごとにマンガを通じてわかりやすく紹介している。
目次
改善リーダーを目指す人へ PEC産業教育センター 山田日登志
解説編
本編の見方
養成講座1 ◆
モラルとモラール
養成講座2 ◆企業経営とトヨタ生産方式
社会と企業
企業経営と原価
モノづくりと原価
トヨタ生産方式
トヨタ生産方式の目指すもの
養成講座3 ◆ムダの発見とムダ廃除
現場改善の必要性
現場を見る目
現場におけるムダ/停滞のムダ/動作・運搬のムダ
ムダの発見と廃除の手順
改善への挑戦
養成講座4 ◆ジャストインタイムの実現
企業における機能分析
製造現場のムダ発見手法
「動き」と「働き」
個々の能率と全体の能率―多工程持ち
生産管理板
一般の計画と平準化された生産計画
ラインバランスをとるための注意事項
かんばん方式
段取り改善のステップ
養成講座5 ◆自働化と標準作業
機械化の発展
ワンマン・ワンマシンと無人化への挑戦
部品置場と表示方法
アンドン
標準作業
リーダーが語るリーダー論
夢と希望に向かってつきすすむ人東北ヒロセ電機 岩沢 光展
できることを、素早くダイキョーニシカワ 米原 茂男
ムダをムダと言える人づくり天昇電気工業 鈴木 英典
自らが実践し、知らしめるピカソ美化学研究所 福田 浩典
反面リーダーだと思って山形三菱鉛筆精工 山口 俊一
改善の心得10箇条
PEC産業教育センター 山田日登志
※本書は日刊工業新聞社発行「工場管理」2008年4月臨時増刊号を単行本化したものです。
はじめに
私が、大野耐一先生に出会い36年が過ぎました。製造現場のムダに気づき、ムダを取ることに興味を覚え、トヨタへ通い、手法を学び、岐阜の現場で実験し、その効果を確かめ、1人でも多くの人に“ムダとり”の力を養ってもらおうとPEC産業教育センターをつくって講座を始めてから30年になります。
現場の係長さん、班長さんを集め、業種も異なる現場へ入り、ムダを発見し、ムダをとる体験を積ませる「トヨタ生産方式と作業改善研究講座」は今年(2008年)で59期を迎えました。
この実践講座を1つのマニュアルにしようと、生前の大野先生に相談し、完成させたのが「トヨタ生産方式と作業改善実践マニュアル」でした。そして真のトレーナーを養成しようと、病身の先生に無理を言ってスタートさせた講座を平成2年(1990年)3月に開講することができました。
トヨタ生産方式の知識と体験を学び、教える技術までを習得できるこの講座は、参加者の協力を得、内容の充実に努めるとともに、たくさんの参加者を得、昨年までに3,884名の修了生を世に送り出すことができました。
世はまさに国際競争の時代で、中国やベトナム、インドなど、まだまだ低賃金労働者を多く抱える国々へ資本と技術が投入され、国内産業の空洞化は深刻さを増しています。もはや、単なる作業者としてとどまっていては、技術や資金面において豊かさを守っていけない悲惨な状況になりかねません。
トヨタ生産方式こそ、今、製造業のみではなく、日本の経済力を維持、発展させていくのに必要な“技”であると言えます。働く者すべてが学び、仕事に活かし、自分を高め、仕事の付加価値を生める人になってこそ、世界に誇れる日本人であると言えるのではないでしょうか。
本書は、トヨタ生産方式と作業改善実践マニュアルを、だれにも読みやすくと、イラストをふんだんに使うことにしました。1人でも多くの方が手にしていただき、カイゼンの“技”を会得していただければ幸いです。
なお、PEC産業教育センターでは、「トヨタ生産方式」(大野耐一著、ダイヤモンド社刊)、「トヨタ生産方式をトコトン理解する事典」(山田日登志著、日刊工業新聞社刊)、「現場のムダどり事典」(山田日登志編著、日刊工業新聞社刊)をテキストとして併用しています。参考にして下さい。
PEC産業教育センター
所長 山田 日登志