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図解 よくわかる非製造業もトヨタ生産方式

定価(税込)  1,944円

編者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-06080-9
コード C3034
発行月 2008年06月
ジャンル ビジネス 生産管理

内容

製造現場では大きな成果を上げているトヨタ生産方式だが、非製造業分野(小売、サービス、医療、金融、自治体など)でもその効果が認識され関心が高まっている。本書は、非製造業における導入のポイントを図解でやさしく示すとともに、効果を上げている多くの事例を取り上げた。

目次

目次





はじめに

いま求められる非製造業の生産性向上/椙山女学園大学 教授 澤田善次郎

トヨタ生産方式による非製造業の生産性向上/(株)経営技術研究所 藤井春雄



序章 トヨタ生産方式の概要



1 トヨタ生産方式の基本

2 トヨタ生産方式の体系



第1章 トヨタ生産方式の考え方・技法



1 経営者の役割

1−1 変化に対応できる企業が強い企業

1−2 良き企業風土

1−3 強い現場力

2 強い現場を支える基盤

2−1 お客様第一主義

2−2 人間性尊重

2−3 企業の競争力の源泉は人づくり

2−4 管理・監督者のリーダーシップ

2−5 問題解決能力をつける

2−6 基本を徹底する

2−7 変化への対応(改善)

2−8 徹底したムダ取りによる原価低減

2−9 現地・現物主義をつらぬく

2−10 ジャスト・イン・タイムを築く

2−11 不良を出さない自働化

3 トヨタ生産方式の経営技法

3−1 ムダを取り除く工程の流れ化

3−2 小ロット生産で在庫ロスをなくす

3−3 必要数でタクト決め

3−4 後工程引取り方式の利点

3−5 品質のつくり込み

3−6 省人化と少人化

3−7 職場の改善は5Sから

3−8 小集団活動を活用

3−9 5つのなぜで真因の追求



第2章 サービス産業の変革



1 低迷するサービス産業の生産性

2 サービス産業はなぜ変われないか

3 サービス産業はどうすれば変われるか

3−1 米国の「経営品質向上」活動に学ぶ

3−2 日本の「モノづくり」に学ぶ

3−3 「真実の瞬間」に学ぶ

3−4 「伝説のサービス」に学ぶ

3−5 「従業員第一主義」に学ぶ

3−6 IT投資による労働生産性向上

4 サービスづくりは人づくり

4−1 顧客満足を売る

4−2 「全社員顧客志向」による経営

4−3 顧客満足と従業員満足は車の両輪



第3章 [業種別]ムダの改善ポイント



1 ムダとは?

2 サービス業[調理・食堂]

3 サービス業[スーパー・食品加工]

4 サービス業[物流]

5 事務業務

6 病院、高齢者福祉事業



第4章 [事例]トヨタ生産方式を活かす



1 食品・惣菜加工 ロック・フィールドのジャスト・イン・タイム惣菜加工

2 小売・スーパー(1) イトーヨーカ堂の改善と業務改革

3 小売・スーパー(2) ユニーによる改善の横展開

4 小売・生協 4Sから始めたトヨタ生協の改善

5 小売・バッグ ルイ・ヴィトンのリーン生産方式

6 小売・アパレル グローバルに展開するインディテクスのSCM戦略

7 小売・アパレル ローコスト経営で成長を続ける「しまむら」

8 小売・古本販売 ネットオフのネット販売の効率化

9 小売・農産物 葉っぱで田舎おこしの「いろどり」

10 サービス・旅館 観光旅館の生産性向上

11 サービス・クリーニング 成果を上げたクリーニング業での現場改善

12 医療と介護・病院(1) 日本一の「かかりつけ医」をめざしたいでしたクリニック

13 医療と介護・病院(2) 電子カルテで情報の共有化を進めた大病院

14 医療と介護・病院(3) 米国病院での医療ミスの削減

15 医療と介護・病院(4) 米国病院での血液検査の改善

16 医療と介護・老人ホーム 特別養護老人ホームの作業の「見える化」

17 自治体・市役所 岐阜県各務原市役所の行財政改革

18 自治体・県庁 岩手県庁における行政品質向上運動

19 郵便 ムダを徹底排除し生産性向上を進めた郵便局

20 金融(1) 「ゼロ」ベースで業務を見直す中京銀行

21 金融(2) 急拡大したトヨタファイナンスに改善文化の構築

22 保険(1) 簡易生命保険の収益構造の改善

23 保険(2) あいおい損保の保険営業活動の改善

24 建設(1) 中部国際空港建設におけるトヨタ流源流管理

25 建設(2) 平成建設の職人集団内製化システム

26 営業 トヨタ生産方式が根づく自動車販売店

はじめに

はじめに

椙山女学園大学 教授 澤田善次郎



いま求められる非製造業の生産性向上



最近の日本のトップ企業や優良企業の経営おいて、企業間競争が様変わりしています。これまでは一企業間同士の競争であったものが、企業グループ間やコラボレートした企業グループ間の競争になっています。つまり、生産部門だけでなく、間接部門や非製造業部門、関連企業などを巻き込んだ連合型の競争になっているのです。

そのような状況のなかでは、生産コスト中心のコスト競争から、マーケティングをはじめ研究開発、生産準備、物流、流通・販売、金融、アフターサービスなどを含めたコスト競争へと、企業が扱う商品や事業のライフサイクル全体のコスト競争力が問われる時代になりました。そのため、供給連鎖経営(SCM:Supply Chain Management)、あるいは価値連鎖経営(VCM:Value Chain Management)的な発想を伴った競争力強化が求められています。

1980年代に最盛を誇った日本企業の競争力は、徐々に低下してきています。その大きな要因は、国内向け製品を扱う中小製造業、製造業全体の間接部門、および第三次産業〔特に流通・サービス産業(公共サービスを含む)〕や第一次産業(農林・漁業など)の競争力が弱いためです。特に第三次産業の労働人口の割合が多くなっており、いっそう日本全体としての競争力が弱体化したというイメージが強くなってきています。

さらに、商品自体もハードウェア(モノ)中心の時代からソフトウェア(知識・知恵)やヒューマンウェア(思いやり・サービス)中心へと変化してきています。したがって付加価値(儲け)は、ハードウェアよりソフトウェアやヒューマンウェアの商品、特にサービスにより得られるようになってきており、第三次産業の重要度が増しているのです。

品質管理の面を見ても、「良い物と悪い物を選別する検査の時代」「工程で品質をつくり込む品質管理の時代」からTQC(全員参加の品質管理)の時代を経て、TQM(全員参加の品質経営)の時代になりました。さらにTQMも顧客満足・顧客感動から顧客ロイヤルティの時代に変わろうとしています(表参照)。

本書で紹介している非製造業(流通・サービス産業など)へのトヨタ生産方式の適用は時代の要請なのです。

しかし、トヨタ生産方式の正しい適用は、製造業と言えども簡単ではありません。ましてや非製造業ではその適用はより難しいものとなります。そこで、本書では経験豊かなコンサルタント集団が、トヨタ生産方式の概要・考え方・技法・ムダの改善ポイントなどを示すとともに、多くの事例を収集・検討し、わかりやすく解説しました。非製造業の生産性向上を実現していくための一助として、本書を活用されることを期待します。



2008年6月

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