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未来の科学者との対話VI
―第6回神奈川大学 全国高校生理科・科学論文大賞受賞作品集―

定価(税込)  1,760円

編者
サイズ A5判
ページ数 288頁
ISBNコード 978-4-526-06066-3
コード C3050
発行月 2008年05月
ジャンル その他

内容

神奈川大学が理科教育を支援する試みとして実施している「全国高校生理科・科学論文大賞」(審査委員長:長倉三郎)の第6回受賞作品集。大賞1編、優秀賞3編、努力賞14編を収録。高校生研究者たちの明日の可能性を感じさせる一冊。

目次

目 次



はじめに

「神奈川大学全国高校生理科・科学論文大賞」審査委員長

長倉 三郎



●審査委員講評

動物との会話 上田 誠也

論文の評価と感想 研究には“やる気”が大切 田畑 米穂

自然の中で自然に向き合う 中村 桂子

君たちは自分の将来に科学を重ねているか 細矢 治夫

がんばり型研究とスマート型研究 竹内 敬人

未来の女性科学者へ期待する 永田 一清



●大賞論文



古都を汚す酸性雨はどこから来たのか?

京都市立堀川高等学校自然探究科・8期生

片所 優宇美



●優秀賞論文



地域資源を利用した循環型酪農の研究

大阪府立農芸高等学校 資源動物科 酪農班



花崗岩をつくる鉱物から山陽帯と山陰帯のマグマ分化の過程と条件を推定

兵庫県立加古川東高等学校 地学部



生物界に革命をおこした「ミラーの実験」を簡単装置で再現

神奈川県立神奈川総合高等学校

吉田 晃一



●努力賞論文



ソメイヨシノの葉とサリチル酸

宮城県仙台第一高等学校

2年 上石 圭太 齋藤 雄太



茶カテキンのカイワレ大根芽生えへの影響

山形県立南陽高等学校 自然科学部



枯れ葉を吸着媒に変貌させる方法

東京都立科学技術高等学校 科学研究部



ハエトリグモのオス同士の威嚇誇示行動

神奈川県立西湘高等学校 生物部



植物染色体の核型分析の試みと新たな発見

静岡県立二俣高等学校 生物部



北嵯峨のタンポポに何が起きているか

京都府立北嵯峨高等学校 生物部



都市の地面は、なぜ夜間も暖かいのか?

京都市立堀川高等学校 自然探究科



シラス干しに感じる季節

仁川学院高等学校 科学部



生木樹皮性変形菌の研究

岡山県立矢掛高等学校 サイエンス部





動物に優しい畜産を求めて

岡山県立高松農業高等学校 畜産科学科2年 小家畜専攻生



単振り子の糸の太さと質量は周期に影響を与えるか?

愛媛県立宇和高等学校 2年4組

山中 典子 渡邊 郁弥 大野 歩



ブラックバスが一口サイズの食べ物を好む理由

愛媛県立松山南高等学校 スーパーサイエンス生物班



まゆから作るシルクフィルム

九州国際大学付属高等学校女子部 環境化学部



「みかんみそ」が商品棚に並ぶ日

長崎県立大村城南高等学校 食品製造部みかん研究班



●第6回神奈川大学全国高校生理科・科学論文大賞

団体奨励賞受賞校、応募論文一覧



神奈川大学全国高校生理科・科学論文大賞の概要



あとがき

はじめに

はじめに



審査委員長

長倉 三郎





本年度の「第6回神奈川大学全国高校生理科・科学論文大賞」には、北は北海道から南は九州まで全国42の高校から73篇の論文応募がありました。第1回の38篇の応募論文数と比較いたしますと2倍近く増加したことになります。高校生の理科離れが叫ばれている折から、こうした増加の傾向が認められましたことを大変心強く存じています。

73篇の応募論文の内容を概観する目的で、高校理科の教科の柱である物理、化学、生物、地学の4教科に“環境”と“その他”の2項目を加えて6項目に分類した結果を下の表に示します。この表には比較のための前年度の結果も括弧内に示してあります。

応募論文のテーマは、戸外の自然現象の研究から室内の実験研究まで広汎多岐にわたっており、複数の分野にまたがるものも多く、厳密な分類が困難なことは改めて申し上げることまでもありません。そうした点からみて、この表の数字の細かい点にこだわることは避けるべきですが、大雑把にみて、物化生地の比重が前年度に比べて増していることは、一つの傾向として認めてよいと存じます。

応募論文の中で銀河系の観測、その中の天体の運動のシミュレーション、地球外生物の存在の可能性など、宇宙に関する論文が目にとまりました。宇宙の時代が到来するかどうかは別にして、137億年といわれる宇宙の長い歴史の中に秘められている多くの謎を解くことは“未来の科学者”にとって大きな夢と申せましょう。宇宙時代の到来を暗示しているように思われる点で興味を覚えます。

応募論文の審査は、これまでと同様に2段階方式で慎重に進めました。この方式につきましては、本シリーズの既刊の1、2、3で説明されていますので省略いたしますが、最終的に大賞1篇、優秀賞3篇、努力賞14篇、団体奨励賞6校を決定いたしました。専門的な立場から第一段階の審査に御尽力いただきました専門委員会の森 和亮委員長をはじめご関係の方々に心から感謝の意を表します。

大賞に選ばれた京都市立堀川高校の片所優宇美さんの「京都市における降水の化学分析―降水の汚染過程を探る―」は、採取した降水のイオン組成の測定とその解析から、京都市の降水が人為汚染性降水と海塩性降水に分類できることを示すと共に、それぞれに性格の強い降水をもたらす気塊について後方流跡線解析を行い、汚染の経過を明らかにしたものです。研究の展開が論理的で間然する所がなく、論文のプレゼンテーションも素晴らしい点に強い印象を受けました。

優秀賞の大阪府立農芸高校資源動物科酪農班の「地域資源を利用した混合飼料の研究―都市型循環酪農を目指して―」は、飼育している乳牛を試験牛とし、飼料自給率を高めるために“おから”を混ぜ、保存性を高めるために乳酸醗酵をさせた試作飼料を与えて消化率を測定し、牛体への効果を検証したものです。緻密に練られた実験計画にしたがって、注意深く実験が行われ、信頼性の高い優れた成果が得られています。

同じく優秀賞の兵庫県立加古川東高校地学部の「山陽帯チタン鉄鉱系列と山陰帯磁鉄鉱系列のマグマ分化を系統的に説明する―山陽帯加古川市花崗岩類の角閃石とリン灰石から波状累帯構造を発見!―」は、高校生らしく地域のまわりの自然の中にテーマを設定し、高価な分析機器を使わずに、偏光顕微鏡観察を中心に研究を進め、山陽帯花崗岩類の中に波状累帯構造を発見するなど学術上意義深い成果が得られている点が高く評価できます。

同じく優秀賞の神奈川県立神奈川総合高校吉田晃一君の「アミノ酸合成―生命の起源をたどる―」については、“未来の科学者”としての夢があり、その実現に情熱を燃やし、工夫し努力している点を評価しました。38億年前といわれる地球上の生命の誕生にはこれから解明すべき多くの問題が未解決のまま残されています。“未来の科学者”が大きな夢と決意をもって挑戦に値する基本的な課題の一つと申せましょう。

今回の審査にあたって感じましたことの一つは、大きな可能性をもち、将来の発展が期待される種や芽をもった萌芽的研究が、応募論文の中にいくつか見出されたことです。努力賞を受賞した東京都立科学技術高校科学部の“枯葉を利用した吸着の研究と実用化への提案”はそうした例の一つと存じます。詳しいことは省略いたしますが、高校生の皆さんが好奇心にみちた新鮮な目をもって自然や社会の流れを眺め、不思議だと思うことを捉えて真剣に考え、その奥にある謎を解いて科学の花を咲かせることを期待してやみません。

(審査委員講評も兼ねる)

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