買い物かごへ

絵とき「蒸留技術」基礎のきそ

定価(税込)  2,420円

著者
サイズ A5判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-05967-4
コード C3043
発行月 2008年01月
ジャンル 化学

内容

本書は主に初心者のために蒸留のすべてをイラストに・図により易しく解説する。蒸留とは何か、気液平衡、蒸留プロセスや蒸留塔の設計など全範囲を網羅する。

大江修造  著者プロフィール

昭和37年 東京理科大学卒業
石川島播磨重工業(株)(現IHI)入社
昭和50年 石川島播磨重工業(株)技術研究所・課長
現在 東京理科大学工学部教授(工学博士)
主要著者 「設計者のための物性定数推算法」(日刊工業新聞社、1985)
 「パソコンによるケミカル・エンジニアリング・デザイン」(講談社、1985)
 “Vapor―liquid Equilibrium Data”, Elsevier(1989)
 “Vapor―liquid Equilibrium Data at High Pressure”, Elsevier(1990)
 “Vapor―liquid Equilibrium Data―Salt Effect”, Elsevier(1991)
 蒸留工学―実験室からプラント規模まで―(講談社、1990)

ホームページ 「蒸留・蒸気圧・気液平衡・物性推算」を運営
 http://s―ohe.com/index.htm
 (平成17年度 文部科学大臣表彰、科学技術賞受賞)

目次

はじめに

第1章 蒸気圧
1―1 蒸気圧とは何か?――蒸留の原理は物質の蒸気圧の差による――
1―2 蒸気圧の式 
  (1)クラウジウス・クラペイロンの式 
  (2)アントワンの式 
1―3 蒸気圧を推算する

第2章 気液平衡
2―1 気液平衡とは何か?――液体混合物の蒸気圧―― 
   共沸混合物 
   二液相共沸混合物 
2―2 理想溶液――ラウールの法則―― 
   ラウールの法則 
   ダルトンの分圧の法則 
2―3 定温の気液平衡 
2―4 定圧の気液平衡 
   沸点計算 
   沸点計算の方法 
2―5 定温気液平衡と定圧気液平衡 
  (1)相対揮発度 
  (2)定温液平衡 
  (3)定圧気液平衡 
2―6 相対揮発度による気液平衡の計算法の得失 
   相対揮発度によるx―y曲線 
   x―y曲線のメリット 
2―7 非理想溶液――ラウールの法則にあわない場合―― 
  (1)活量係数をどの様にして求めるか? 
   活量係数の意味 
  (2)非理想溶液の気液平衡の求め方 
   ファンラール式 
  (3)無限希釈における活量係数からファンラール定数の決定 
  (4)活量係数の全測定値からファンラール定数の決定 
  (5)マーギュラス式 
  (6)ウィルソン式 
   ウィルソン式の特徴 
  (7)無限希釈における活量係数からウィルソン式定数Λ12、Λ21の決定方法 
   多成分系への適用 
  (8)NRTL式 
2―8 理想溶液と非理想溶液の関係 
2―9 気液平衡における塩効果 
2―10 気液平衡の測定 
  (1)原理 
  (2)測定装置 
  (3)測定上のポイント 
  (4)測定上の注意事項 
  (5)気液平衡の測定法 

第3章 蒸留の理論
3―1 フラッシュ蒸留(平衡蒸留) 
  (1)フラッシュ蒸留の計算 
  (2)q線の方程式 
3―2 蒸留(精留)とは 
  (1)蒸留(精留)の原理 
  (2)フラスコから蒸留塔へ 
  (3)蒸留塔の内部 
3―3 蒸留方式 
  (1)連続式と回分式 
  (2)連続蒸留の計算 
  (3)物質収支の計算 
  (4)蒸留塔内の液と蒸気の流れ 
3―4 連続式蒸留塔の理論段数(2成分系の場合)
 ――マッケーブ・シール法―― 
  (1)濃縮部の理論段数 
  (2)最小還流比 
  (3)回収部の理論段数 
  (4)蒸留塔の理論段数の計算例(1) 
  (5)原料の熱的状態 
  (6)最小還流比の求め方 
  (7)蒸留塔の理論段数の計算例(2) 
3―5 単蒸留 
  (1)レイリーの式 
  (2)単蒸留の計算 
3―7 水蒸気蒸留 
  (1)不溶解系の気液平衡 
  (2)水蒸気蒸留の計算法 

第4章 蒸留塔の設計
4―1 蒸留塔の構造 
4―2 蒸留塔の性能 
  (1)効率 
  (2)処理量 
4―3 蒸留塔の挙動 
4―4 蒸留塔設計の指針 
4―5 フラッディングの計算 
4―6 ウィーピングの計算 
  (1)ウィーピングの計算例 
4―7 飛沫同伴量(エントレインメント)の計算 
4―8 圧力損失の計算 
4―9 塔効率の計算 
4―10 充填塔の圧力損失 
   ローディングとは 
4―11 充填塔の効率―HETP― 
4―12 規則充填塔のフラッディング点を計算 
4―13 充填塔の圧力損失の計算 
  (1)充填塔の圧力損失の計算 
   GPDC(Generalized pressure drop correlation)法 
  (2)充填塔の圧力損失計算例 
4―14 充填塔の高さ 

資料 
  1. FRI(米国蒸留研究機関)の公開データ 
   ・シーブトレイデータ(1) 
   ・シーブトレイデータ(2) 
   ・規則充填物のデータ(メラパック250Y) 
  2. アングルトレイ 
  3. 物性データ 
   ・蒸気圧線図(アントワン定数) 
   ・気液平衡曲線(定圧101.3kPa) 
  4. ホームページ 

索引 


はじめに

 蒸留という技術は素晴らしい技術です。何故なら、この技術がなければ車も走らなければ、我々の豊かな生活もあり得ないのです。蒸留によりガソリンが生産され、蒸留酒が飲め、安価で優れた繊維製品が手にはいるのです。
 世の中に、最初から純度の高いものはほとんどないのです。唯一例外は水だけです。アルコールにしてもガソリンにしても化学薬品にしても、ほとんどの物は純度の低い物を蒸留により純度の高い物にしなければ真価を発揮できないのです。
 更に、蒸留が素晴らしいのは、原理から工業的製法に至るまで理論が明確にされていて、誰でも学びさえすれば、この素晴らしい技術を身につけることができ、それを生かして世の役に立つことができるのです。
 本書を手にとられた方は、必要に迫られて手にされたか、あるいは何らかの理由により興味を持たれて手にされたことと思います。是非、本文に目を通していただきたく思います。そして、興味が沸きそうでしたら本書を片手に計算例を自分で計算してください。これが一番身に付く方法です。
 説明を10回読むより1度の計算の方が、はるかに理解が進むのです。本書は、そのお手伝いをするものです。単に読むだけでは疑問が解決しません。計算してみて初めて疑問が解けるのです。
 蒸留技術は特に、体系がととのっていますので、計算による技術の習得に向いています。計算の説明を見ると、一見難しそうに見えるかもしれませんが、それは、そう見えるだけで計算するのが、一番の早道です。
 これは、日々私自身が実感していることです。授業において、講義をしたら、その時間のうちに演習をすることにしています。学生の顔を見ていると、理解が段々に進んでいくことを確認できます。
 本書の目的は蒸留の基礎を理解していただく事にあります。本書で蒸留の基礎が理解出来ましたら、蒸留の設計や運転の仕事を円滑に遂行できるでしょう。
 本書を次の方々にお薦めします。
  ●大学や高専で蒸留を学習中の学生
  ●企業で蒸留の職務についている技術者、研究者
  ●授業の参考書を探している教員
 筆者は幸いにも世に出て以来、一貫して蒸留という仕事に40年以上にわたり従事してきました。これまでの職業生活の前半は企業において、蒸留技術の設計開発に従事してきました。後半は大学において蒸留技術の研究および執筆活動に従事してきました。
 前半においては新しい蒸留装置を提案したところ幸いにも勤務先の認めるところとなり研究開発に専念できました。着想から工業化までを直接担当しました。机上の手作りの実験装置を皮切りに、工業化試験の後、実証試験を米国の蒸留研究機関(Fractionation Reserch, Inc.:FRI)で実施し、性能を確認できたことにより、開発の手応えを実感することができました。
 この米国での実証試験を契機として、米国の技術者、研究者との交流の機会を得ることができました。特に、FRIの役員との交流により、蒸留技術の最先端に接することが出来ますことは無上の喜びであります。同時に米国化学工学会(American Institute of Chemical Engineers: AIChE)の蒸留部門の首脳部の方々との交流も誠に有り難いものです。
 特に、米国における蒸留分野での第1人者であるヘンリー・キスター氏の名著
 HENRY Z. KISTER“DISTILLATION―DESIGN―”
から多くのことを学びました、ここに同著をサイン付きで頂いたときのサインを転載して感謝の意を表します。
 この他、多くの著書および論文から多くを学び、研究者、技術者の方々のお世話になりました。個々のお名前、著書名を挙げませんが、ここに、感謝の意を表したいと思います。

平成20年1月 著者

買い物かごへ