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はじめて学ぶ熱処理技術

定価(税込)  2,750円

編者
サイズ A5判
ページ数 256頁
ISBNコード 978-4-526-05405-1
コード C3057
発行月 2005年01月
ジャンル 金属

内容

熱処理工程は機械部品などの製造プロセスの最終段階であり、材料をうまく生かして使うことができるか否かは、この処理の出来いかんに掛かっている。本書では、とくに企業に入社して初めて熱処理に携わる人を対象に最低限にこれだけは知っておきたい熱処理の知識を平易に解説したものである。

目次

はじめて学ぶ熱処理技術 目次

はじめに



第1章 鉄および鉄鋼材料の生い立ち

1.元素としての鉄 1

2.材料としての鉄 1

3.鉄鋼製品の生い立ち 5



第2章 鉄鋼材料の種類と分類

1.一般構造用圧延鋼材 9

2.機械構造用炭素鋼 11

3.機械構造用合金鋼 12

4.ステンレス鋼 14

5.耐 熱 鋼 16

6.非調質鋼 17

7.工 具 鋼 18

8.ば ね 鋼 21

9.軸 受 鋼 22

10.鋳 鋼 23

11.鋳 鉄 23



第3章 鉄―炭素系平衡状態図

1.状態図とはなんだろう 27

(1) 純鉄の状態図―神が鉄に与えた奇跡の変態!/27

(2) 鉄―セメンタイト系状態図/31

2.状態図から得られる熱処理情報 32



第4章 鋼の組織と特性

1.熱処理でできる組織の名称 37

2.加熱に伴う組織変化 37

3.冷却に伴う組織変化 39

4.等温変態線図(TTT線図)と組織 41

5.連続冷却変態線図(CCT線図)と組織 45

6.焼戻しに伴う組織変化 48

7.熱処理組織の特性 49



第5章 熱処理における合金元素の役割

1.焼入性への合金元素の効果 53

(1) 鋼の焼入性とはなんだろう/53

(2) 焼入性を決める3要因/55

2.合金元素の分類と作用 56

(1) オーステナイト化処理への合金元素の効果/56

(2) 焼入性への合金元素の効果/57

(3) 冷却中の変態組織への合金元素の効果/58

3.焼戻しにおける合金元素の効果 60

(1) 焼戻し2次硬化/60

(2) 焼戻脆性/62



第6章 熱処理の種類と方法

1.加熱および冷却の方法 65

(1) 加熱方法/65

(2) 冷却方法/68

2.各種熱処理 73

(1) 焼ならし/73

(2) 焼なまし/75

(3) 焼 入 れ/81

(4) 焼 戻 し/88

(5) 固溶化熱処理/90

(6) 時効処理,析出硬化処理/92

(7) 調 質/93

(8) 鋭敏化熱処理(あるいは鋭敏化処理)/93

(9) 安定化熱処理(あるいは安定化処理)/94

(10) サブゼロ処理/96



第7章 各種材料の熱処理方法

1.機械構造用炭素鋼および合金鋼 101

2.工 具 鋼 105

3.ば ね 鋼 108

4.軸 受 鋼 111

5.ステンレス鋼 113

6.鋳 鉄 118

7.非鉄合金 121



第8章 表面硬化および表面改質

1.浸炭,浸炭窒化処理 128

(1) 浸炭方法の種類/129

(2) 浸炭品の品質特性/129

(3) ガス浸炭/135

(4) 固体浸炭/146

(5) 液体浸炭/147

(6) 滴注浸炭/147

(7) 真空浸炭/148

(8) プラズマ浸炭/150

(9) 高炭素浸炭/151

(10) 浸炭窒化/153

2.窒化処理 156

(1) 窒化方法の種類/157

(2) 適用鋼種/157

(3) ガス窒化/158

(4) 塩浴窒化/160

(5) プラズマ窒化/161

(6) ガス軟窒化/161

(7) 酸 窒 化/162

(8) 浸硫窒化/164

3.炭化物被覆処理 165

4.高周波焼入れ 166

(1) 高周波焼入れの概要/166

(2) 高周波焼入れの要点/168

5.炎焼入れ 170

(1) 炎焼入れの概要/170

(2) 炎焼入れの要点/171

6.蒸着処理(コーティング) 172

(1) CVD(化学的蒸着)/174

(2) PVD(物理的蒸着)/174

7.ショットピーニング 175



第9章 熱処理欠陥とその対策

1.焼 割 れ 177

2.焼ひずみ 187

3.結晶粒の粗大化 188

4.浸炭処理における粒界酸化 189

5.高周波焼入れあるいは炎焼入れにおいて留意すべきこと 190



第10章 熱処理設備および装置

1.熱処理炉の特性 191

2.熱処理炉の形式 192

(1) 連 続 炉/192

(2) バッチ炉/193

3.加熱装置 198

(1) 熱 源/198

(2) 加熱方式/200

4.冷却装置 201

(1) 冷却剤とその特徴/202

(2) 代表的な冷却装置/204

5.雰囲気ガス発生装置 206

(1) 雰囲気ガスの種類/206

(2) 吸熱形ガス変成炉/207



第11章 熱処理加工品の試験,検査

1.硬さ試験 211

(1) ブリネル硬さ試験/212

(2) ビッカース硬さ試験/214

(3) ロックウェル硬さ試験/216

(4) ショア硬さ試験/219

2.材料試験 221

(1) 機械試験片/222

(2) 引張試験/223

(3) 衝撃試験/227

3.非破壊試験 229

(1) 磁粉探傷試験/229

(2) 浸透探傷試験/232

4.変形測定 235

(1) 変形測定方法/236



用語解説 237

はじめに

はじめに

多くの熱処理に関するこれまでの教科書は、入門書を含めて、はじめて熱処理を勉強する者にとって、難かし過ぎるのではないかということをよく耳にする。そこで、熱処理技術の現場を熟知したうえ、熱処理技術の教育にも長年携わってこられた方々に、熱処理技術についての教科書をできるだけやさしく書いていただいのが本書である。したがって、本書は、熱処理に関する「本当の入門書」ということができる。

熱処理技術においては非常に多くの用語が用いられ、このことがはじめて熱処理技術を学ぶ者にとっての大きな障害になることが多い。そのため、日刊工業新聞社から出版されている「熱処理用語辞典」のような辞典が身近にあれば、非常に役に立つ。しかし、本書では、本文に太字で記した基本的用語や分かりにくい用語について巻末で解説を加え、そうした辞典がなくても読者の理解が十分得られるようにしてある。

私たちの身のまわりでは、多くの材料が使われていて、材料がなければ私たちの生活は成り立たない。家やビルなどの建物や橋、車や電車、飛行機などの乗り物、テレビやパソコンなどの家電製品など、直接目にふれるものだけでも、それらは多くの材料によってつくられている。加えて、機械産業、化学産業、電気産業、情報産業など、私たちの生活に不可欠な産業や医学・医療の分野なども、多くの材料によって支えられている。実は、そうした材料が安全に安心して使用できるのは、熱処理のおかげなのである。すなわち、熱処理技術の恩恵を受けることによって、材料は、はじめて世の中で使って貰えるようになるのである。このことは、熱処理のことをよく知っていないと良い材料を製造することもできないし、材料をうまく使いこなすこともできないことを意味する。熱処理についての無理解によって、材料の優れた性質を引き出せないだけでなく、重大な事故を起こしてしまうことすらある。

私たちの生活を支える材料、そうした材料を支える熱処理。その熱処理を支える熱処理技術。熱処理技術とは、このように大切なものなのである。この熱処理技術をはじめて学ぼうとする方々にとって、本書が大いに役立つものと確信する。

なお、熱処理は多くの材料において用いられ、各々の材料に特有の熱処理も存在する。しかし、鉄鋼材料における熱処理は種類も多く、それらの基本的考え方、方法を学ぶことによって、他の材料における熱処理の基本を理解することが可能である。本書では、鋳鉄、非鉄材料の熱処理についても少し触れられているが、ほとんど鉄鋼材料における熱処理について述べられているのは、そのような理由による。

本書の発行にあたり、多くの労をとって下さった竹内榮一副委員長を主査とするWG、ならびにカットを描いて下さった松尾 孝東京工業大学教授にお礼申し上げます。



(社)日本熱処理技術協会副会長

不定期刊行物発行委員会委員長



東京大学名誉教授 柴田浩司

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