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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしいトヨタ生産方式の本

定価(税込)  1,540円

編者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-05245-3
コード C3034
発行月 2004年02月
ジャンル ビジネス

内容

トヨタ自動車は言わずと知れた世界的優良企業だが、特にその製造システムは世界中の起業から手本として評価されている。本書は、トヨタ生産方式の本質、仕組みなどを図解でやさしく解説。専門的な予備知識がなくても、トヨタ生産方式を理解できる。

トヨタ生産方式を考える会  著者プロフィール

岡田貞夫(おかだ さだお)
岡田技術経営コンサルタント
技術士(機械)、中小企業診断士
Eメール:oeme@go2.enjoy.ne.jp

加藤允可(かとう まさより)
技術士(経営工学)

河内宣孝(かわち のぶたか)
河内宣孝技術経営事務所
中小企業診断士、ISO9001/14001主任審査員

林勝昭(はやし かつあき)
戦略科学研究所
中小企業診断士、ISO9001/14001主任審査員

藤井春雄(ふじい はるお)
(株)経営技術研究所 代表
中小企業診断士、ISO9001/14001、
HACCP審査員

三浦恭治(みうら きょうじ)
(株)経営技術研究所
中小企業診断士、社会保険労務士

森安賢治(もりやす けんじ)
中小企業診断士、行政書士

目次

目次



第1章

トヨタ生産方式の本質



1 トヨタ生産方式の枠組み「徹底したムダ排除の思想」 12

2 利益を創出するには「原価低減こそ至上命題」 14

3 ジャスト・イン・タイムとは「後工程が前工程に、必要なモノを、必要なときに、必要な量だけ取りに行く」 16

4 量に頼らない製品づくり「量産効果に期待しないモノづくり」 18

5 前工程は神様、後工程はお客様「前工程と後工程に対する『気配り』」 20

6 在庫は罪悪「在庫は資産でもなんでもない」 22

7 人の能力を最大限活用する「人が中心、人が主役のモノづくり」 24

8 生産/流通/消費のなかで環境と共生「環境経営は成長の大前提」 26

9 系列とモノづくり協力「新たな系列的協業関係の模索=ベストパートナー」 28

10 監督者の役割「監督者はラインのディレクター」 30

11 自主研活動で改善体質づくり「トヨタ生産方式の自主研究会」 32

12 安全確保は最優先「安全行動と機械設備の本質安全化」 34

13 ごみゼロ工場をめざして「工場内廃棄物低減はモデル職場を決めて」 36





第2章

品質保証



14 サイエンスSQCを間接部門に展開「トヨタのSQCルネッサンス」 40

15 品質は工程内でつくり込む「後工程はお客様、不良は流さない」 42

16 「事実を重視」が不良退治の原則「三現(現場、現物、現実)を実践」 44

17 異常による管理「標準化して異常を発見」 46

18 5回の「なぜ」で真因追求「徹底した原因の追求」 48

19 不良をつくらぬ検査「不良品をつくるムダを徹底的に排除」 50

20 IT時代のTQM「技術、製造、販売の三位一体」 52





第3章

平準化



21 平準化してつくる「ジャスト・イン・タイム生産最大の前提条件」 56

22 初期管理(1) 特別管理「広義の初期管理」 58

23 初期管理(2) 初品管理「通常の初期管理」 60

24 初期管理(3) 初物管理「狭義の初期管理」 62

25 進度管理(板)「進度の『見える化』」 64

26 段取り時間短縮で平準化生産が可能に「増える段取り替えをすみやかに実施する」 66





第4章

標準作業



27 つくり方でQ・C・Dは変わる「徹底的な改善によるQ・C・Dの競争力強化」 70

28 作業標準と標準作業は違う「標準作業は繰返し作業で人の作業が対象」 72

29 標準作業の3要素「標準作業がないと改善は進まない」 74

30 関連帳票の作成「3つの帳票作成は改善・指導の基本」 76





第5章

ムダをとる



31 現場作業の中味の実態「付加価値を高める作業とは」 80

32 能率の向上に落し穴「見かけの能率と真の能率」 82

33 運搬のゼロ化をめざす「運搬のムダをなくすには」 84

34 コンベアは必要最少限に「使い方次第でムダが発生する」 86

35 ムダとは「ムダに気づく人づくり」 88

36 7つのムダ「トヨタ生産方式はムダを7つに区分」 90

37 作業の再配分「省人、工数低減は基本を徹底」 92

38 作業改善と設備改善「トコトン作業改善から設備改善へ」 94

39 目で見る管理で異常に対処「ムダを見つけ、ムダを省くための管理」 96

40 各種の管理版(アンドン他)「目で見る管理ツールは多種多様」 98

41 探す手間を省く整理・整頓「モノを探し回るムダ」 100

42 環境清掃よりも点検清掃を「清掃は点検、点検は不具合の発見」 102

43 多台持ちから多工程持ちへ「仕掛かり品のつくり過ぎを防ぐ」 104

44 スムーズでフレキシブルなレイアウト「人・モノ・情報の流れを考える」 106

45 直線ラインからU字ラインへ「少人化につながるU字ライン」 108

46 その他のライン「機械の稼働率・効率を重視した機種別配置」 110

47 改善は失敗の前に「横展開による失敗前の改善」 112

48 改善の定着へ「改善のサイクルを回す」 114





第6章

自働化



49 自働化とは「ムダと異常の顕在化」 118

50 人の仕事と機械の仕事の分離「機械の番人をなくす」 120

51 AB制御でつくり過ぎを防止「能力の大きい機械と小さい機械の間のストック制御」 122

52 定位置停止で原因追求「コンベアラインの自働化」 124

53 設備は壊れる前に「事後保全より予防保全」 126

54 チョコ停は根気よく退治「完全生産への挑戦」 128





第7章

かんばん



55 トヨタ生産方式とかんばん方式「トヨタ生産方式のハードとソフトのようなもの」 132

56 「かんばん」とは「ジャスト・イン・タイム生産の情報体系」 134

57 かんばんのルール「ジャスト・イン・タイムの実現手段」 136

58 e-かんばん(電子かんばん)へ進化「ネット通信により納入指示情報を納入者へ連絡」 138



第8章

コストダウン戦略



59 必要なライフサイクル・コストマネジメントの視点「商品の開発、生産、使用、廃棄の生涯コストを考慮」 142

60 原価低減はお客様のため「生産コストを下げることで利益を生み出す」 144

61 コストハーフに挑戦「原価2分の1も『売れに合わせてモノをつくる』のが基本」 146

62 WARP‐トヨタのグローバル調達「世界最適調達をめざす電子調達ネットワーク」 148

63 間接部門の原価低減と生産性向上「ホワイトカラーの生産性は?」 150

64 物流・販売部門の生産性向上「トヨタ販売物流方式(TSL)で業務の効率化」 152

65 エンドレスな総原価低減活動「全員参加のTCR」 154





【コラム】

TPSって何? 38

品質3悪の追放 54

生産の平準化 68

標準作業の多能工化 78

ムダ発見の着眼点 116

ウサギ(ロット生産)とカメ(平準化生産) 130

「かんばん方式=トヨタ生産方式」の誤解 140

TPSを基本にライフサイクル・コスト低減を 156



参考文献 157

索引 159

はじめに

はじめに



日本を取り巻く環境は、少子高齢化、消費者ニーズの多様化、国内産業の空洞化、デフレの進行と、ますます厳しさを増しています。

そのようななかで、限りある資源を有効に活用して、地球環境に負荷を与える排出物をいかに最小限にするか、どのようにしてモノをつくっていくか、これが企業にとっての大きな課題となっています。

大量生産方式は、どうしてもつくり過ぎを許してしまいます。モノ不足の時代ならともかく多品種少量生産が当たり前の今日では、必要数を上回るロット生産は「つくり過ぎ」につながっていきます。つくり過ぎは、材料・部品を先食いし、電気や石油といったエネルギーを浪費します。スキッドやコンテナなどの容器の増加をまねき、倉庫などの増設も必要となります。必要以上つくっているため、売れ残ってしまえば、モノによっては産業廃棄物として処分するしかありません。いくらゼロエミッションを唱えてみても、口先だけで、自ら産業廃棄物を生み出しているようなものといえます。

世の中には、まだ、次のような常識がまかりとおっています。

まとめてつくる方が安い

まとめて買うと安くつく

在庫は資産

新しい機械を入れれば生産性が上がる

設備には法定耐用年数を適用する

トヨタ生産方式は、「ジャスト・イン・タイム」と「自働化」の2本柱があります。

ジャスト・イン・タイムは「必要なモノを、必要なときに、必要なだけつくったり、買う」ことであり、「在庫は罪悪」の考えをとって実践されています。この方がムダがないので儲かります。

原価低減というと「新しい機械を入れれば、生産性も上がり、原価も下がる」と考える人もいるようです。現有の機械についても、自分の使い勝手のいいように改善すればよいのです。機械の償却期間は関係なくて、古い機械でも十分に保全し、工夫すれば、生産性も品質も向上します。機械に使われるだけにならないようにしたいものです。

トヨタ生産方式は、徹底したムダの排除を基本にしています。ムダの排除を徹底すれば、おのずと原価低減や省エネルギー、環境保全にもつながっていきます。

ある工場では、設備中心であれば膨大なスペースが必要となるところを、機械の仕事と人の仕事を共存させ、コンパクトな設備とより少ないエネルギーで、どのように製品づくりをするかを課題として日々改善を進めています。

ジャスト・イン・タイムやかんばんの使用で「つくり過ぎを防ぐ」モノづくり、ベルトコンベアを廃棄して、人を中心にした台車引きライン、部品搬入段階での梱包改善によるゴミの出ない仕組みづくりなどを進めることができます。

さらにリサイクルの問題があります。トヨタ自動車ではすでに廃棄物再生品を使った車をつくっています。特に設計の段階からリサイクルを考えていかないと、高率でのリサイクルの実現は難しいものです。

本来、ムダのないモノづくりのためには、売れてからつくる「カスタマーイン」、つまり注文を受けてから開発、生産、納品に至る一貫した体制が望ましいといえます。

それには、

物流改善

生産のリードタイム短縮

ラインの信頼性向上

品種の削減と抑制

が必要になってきます。

物流改善では、混載などの工夫によって積載率を高めていきます。集荷もこまめにラインに取りに行きます。そうすることで、売れるスピードとラインでつくるスピードが一致し、ある一定の在庫で回っていくようになります。

生産のリードタイム短縮は、段取り替えの短縮と、原材料の仕入れから完成品として出荷するまでの流れを整流化することで実現されます。

ラインの信頼性で大事なのは徹底して歩留りを上げることです。稼働率を上げ、予防保全の力をつけて設備を壊さないことです。故障の再発防止のためには、職場のマネジメントも大事です。

品種の削減と抑制では、開発・設計段階から部品を統一するために、部品調達先と一緒に開発に取り組むなど、種類を抑える工夫をすることです。

これらを実現するためには後工程引取りにし、つくったモノをつくったところに置いておき、売れたモノから順番に製造していく仕組みをつくっていきます。

こういう活動をコツコツと積み上げていきます。それが原価低減につながり、人材育成にもなっていきます。

生産現場の原価低減活動は永久運動として続けなければなりません。人減らしに走るだけでは衰退していきます。金型、鋳造、鍛造、板金加工、樹脂成形などの基盤技術の維持・発展も重要です。

トヨタ生産方式を導入した企業の多くが、最初はなれ親しんだ「今までの考え方、見方、やり方」を変えていくのに苦労したと聞いています。東南アジアや中国などとの競争も激しさを増しており、先達なき時代には知恵を絞り、改善・改革を実行していくほかはありません。

本書の執筆にあたって、トヨタ生産方式を実践しているメーカーや部品会社の方々、日本生産管理学会ほかの皆様にご教示いただきました。ここに感謝申し上げます。

本書が、工場経営者、管理・監督者、スタッフの方々、非製造関係の方々、これからトヨタ生産方式を学ぼうとする方々のお役に立てば幸いです。







2004年2月

澤田善次郎

岡田 貞夫

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