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最新 鉛電池
―低環境負荷技術と長寿命・再生技術―

定価(税込)  2,640円

著者
訳者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-06407-4
コード C3054
発行月 2010年03月
ジャンル 電気・電子

内容

鉛電池は、新型活性剤の開発とも相俟って、長寿命、再生可能、鉛利用量の大幅削減など寧ろ環境負荷の低い電池へと変貌しようとしている。加えて、従来からの低コストと合わせて他の電池にも増して有用性が増している。本書は、新型活性剤(有機ポリマー、アクティベータ)をはじめ、鉛電池に関する新技術を基礎研究も含めてわかりやすく解説した本。

小沢昭弥  著者プロフィール

国際技術交流協会(米国非営利法人)理事長
実績
前東北大学教授・元UCC社フェロー(滞米35年)
 1. 日本の電池工業への貢献(日米の技術交流)(1954~1990)
   日米技術交流:アメリカ電気化学会と共同でMnO2のI. C. Common Sampleを創設,世界中に配布し,日本のMnO2を大きく世界中に売るようにした.
 2. 日本人のための英語学習法の開発:イステームと英文添削サービスと英語講習会(東京理科大学,山形大学,佐賀大学などと日本化学会で毎年の講演会)アメリカ化学会の本の和訳出版,その他約20冊のテープ付学習書の出版
 3. 電気自動車とハイブリッド車の提案(1971出版)アメリカで英文出版,日本語で共立出版より(長先生の編集の中の一章)電気自動車と鉛電池の本の出版(1971)
 4. 小中学校の理科教育,特に考える力をつける理科実験に対する提案と実用化
   2000年(犬山市東小学校),全国への発進,化学と工業へ出版(1997年1月号),化学教育(1992年 小澤・長他.英語の学び方など)への出版
 5. Yeager研究室へ約25名のポスドクを紹介(京大日根氏,東芝高村氏,大阪府大岩倉氏,北大高橋氏)など,(共同研究を多数立ち上げた,佐賀大芳尾氏の電池研究など)出版:リチウムイオン二次電池(日刊工業新聞社出版),Lithium Ion Batteries(共編著 芳尾,Brood・小澤,アメリカのSpringer社出版),小澤・南共編:高性能蓄電池の中の鉛電池の章(第9章)NTS社出版(2009年9月).
   山形大学でITEの電池共同研究により6名の工学博士を鉛電池研究で出した.
 6. 鉛電池の寿命を2倍以上にし,エンジンの始動用電池のサイズを50%削減できる技術を開発して,実用化すると全世界で約2兆円の省エネ・省資源で環境貢献をする技術の開発
 7. 日本でアメリカの電池出版物をコピーした電池技術委員会の事件を解決した.
 8. 電気化学会へ500万円の寄附をした.
 9. ITE―IBAを設立し,50年間無給で理事長を勤め出版物(Progress in Batteries & Solar Cellなど)の費用を寄附した.

櫻岡秀樹  著者プロフィール

国際技術交流協会・電池研究所・技術部長
ITと電池技術担当

目次

A編 総論:鉛電池のあらまし
 (1) 本書の特長 
 (2) 鉛電池の歴史と有機ポリマー活性剤 
 (3) 鉛電池の構成材料と鉛の値段 
 (4) リチウムイオン電池と鉛電池の比較 
 (5) 鉛電池の世界生産量 
 (6) 鉛電池の製造法 
 (7) 鉛電池の使用法および劣化回復 
 (8) 鉛電池の長所と短所 

B編 劣化電池の再生―充電器,測定法,基礎研究 
 (9) 劣化鉛電池の再生プロセス エンジン始動用電池の場合 
 (10) ゲルマニウムとポリマーの特性 
 (11) 鉛電池用充電器 
 (12) 鉛電池の測定法 
 (13) 新電池の最初の10サイクルテスト 日本製・韓国製40B19電池によるP型とA型ポリマーのテスト 
 (14) 鉛電池反応の基礎研究(要点とまとめ) 

C編 各国の鉛電池再生 
 (15) 鉛電池アクティベーターの効果 考え方と実例
 (16) インドのバス用電池の再生
 (17) 中国の電池自転車用電池の再生 
 (18) リチウムイオン電池の鉛電池への置き替え 5年間放置された中国製電動バイクと電池 
 (19) 魚市場の6V200Ahのターレ用電池の再生 

D編 鉛電池の現状と将来―大型電池の小型化 
 (20) エンジン始動用鉛電池を50%小型化する実車テスト 
 (21) ハイブリッド車(HEV)およびアイドリングストップへの利用 
 (22) 電力貯蔵用鉛電池―分散型電力システムへの利用 
 (23) 小型EV用鉛電池 
 (24) 室内電動車用鉛電池―空港用・清掃用車・大型バス 
 (25) おわりに―今後の研究 

資料 

編著者・著者ならびに研究協力者 

はじめに

 この鉛電池の本は,1990年に小澤が東北大学で研究をはじめ1995年に発見した硫酸に溶解する有機ポリマーを電解液に加えることによる劣化電池の自動回復をもとにしている.色々な鉛電池に応用して,革命的な改良電池になることがわかってきたので,その内容と基礎的研究をまとめたものである.
 重要な点は,鉛電池の最大の用途(全鉛電池の60~65%で,全世界で年約1.2兆円)であるエンジン始動用電池の寿命を3~4年から8~10年に延長できるだけでなく,その電池の使用鉛量を50%以上削減し得ることを実験と実車でテストして十分な結果を得たことである.
 また中国・インド・東南アジアの各地で使用中の鉛電池の劣化品も,十分に再生し,再利用し得ることもわかったので,それらの海外の国の電池についての実際のデータを豊富に集録されている点も本書の特色である.
 本書に示された従来の定説(硫酸に溶けるものは電池に添加すべきでない)を全く覆して,硫酸電解液に溶解する有機ポリマー活性化剤を使用して十分なデータと,基礎的考察で誰も疑う余地のない考え方を提案しているので,この本は鉛電池の歴史に特筆されるべき発表と言ってよいと思う.
 鉛電池は重いけれども,安いこと(リチウムイオン電池の1/3~1/5)と,リサイクルの容易なことで,今後も広く新しい用途にも利用されている.また重いという欠点が問題にならない電力貯蔵やUPS用に特に大きい用途がひらけ,さらに小型ハイブリッド車やEVにも利用が多くなると考えられる.これらの用途に有機ポリマー活性化剤は必須のアクティベーターとなってくると思われるので,本書にその基礎的特性を集めてまとめたものである.

新型有機ポリマー活性化剤の特色
 硫酸電解液に溶解する,著者らの開発した有機ポリマー活性化剤は,ポリビニールアルコール,ポリアクリル酸ソーダを中心とした混合物で,その分子が硫酸に溶解し,負極に吸着して,その水素化電圧を上昇させることにより効果を発揮する物質である.
 硫酸電解液中に0.25~2.0g/●lの添加で効果が出るもので,次のような事業をするのに十分な効果がある.
 (1)エンジン始動用(SLI)電池は,寿命が日本では3~4年,中国,東南アジアでは2~3年である.このSLI電池のかなり劣化したものに添加して,そのまま使用しているとその劣化(主として負極のサルフェーション)が次第に回復し,年1回の添加と必要なら補充電をするとその寿命は大きく2倍以上に延長できる.日本のトラックでは寿命3~4年は8~10年にすることができる.
 (2)劣化し,廃棄された電池は,残存容量は新電池の20~30%になっているが充電と筆者らの有機ポリマーの添加で新品の60~80%に回復し,更に3~5年間利用できるものが多い.充電だけでもかなり回復するが,再劣化が速いから,有機ポリマーアクティベーターを添加すると確実に長寿命化することができる.
 (3)エンジン始動用の新電池に使用する鉛極板を35~50%削減しても有機ポリマーの初期添加と1年か2年に1回の追加添加で,寿命は5年以上になり,正しくメンテナンスすると8~10年となることが多いので,環境と省エネに大きく貢献する新型電池を製造することができる.
 以上のような有機ポリマーの特性がどんな基礎測定で確認されたかを,1995年~2010年の15年間の諸大学(同志社大:山下教授,名工大:池田教授,山形大:大場教授・仁科教授・立花准教授,大阪市大:南教授)との共同研究の結果を含めて本書に記した.またこの共同研究で5名の方々が山形大学工学部で工学博士を取られていることもここに申し添えておきます.

2010年3月 小澤昭弥

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