飛行機の開発における機体設計は、安全性は勿論のこと、機体の燃費性を握る技術である。本書は機体設計の基礎知識を丁寧に解説した入門書。空力設計や巡航・離陸・着陸性能、機体設計の具体的手順をわかりやすくまとめた1冊。
| 著者 | 片柳亮二 著 |
|---|---|
| サイズ | A5判 |
| ページ数 | 232頁 |
| 図書番号 | ISBN978-4-526-06317-6 |
| コード | C3053 |
目 次
は じ め に
主な記号表
第1章 飛行機の形を決めるパラメータ
1.1 代表的なパラメータ
1.2 パラメータ変化による形状変化例
第2章 空力設計
2.1 空気の流れによる力
2.2 ベルヌーイの定理
2.3 揚力係数と抗力係数
2.4 レイノルズ数
2.5 粘性を考慮した揚力および抗力
2.6 揚力発生の原理
2.7 翼型の特性
2.8 アスペクト比と吹き下ろし
2.9 吹き下ろしによる誘導抗力と揚力傾斜
2.10 テーパ比の影響
2.11 空力中心と圧力中心
2.12 後退角と揚力特性
2.13 前縁半径の影響
2.14 有害抗力係数
2.15 全機の抗力係数
2.16 自動車とは異なる抗力の不思議
2.17 揚力と抗力の比が飛行性能を左右する
第3章 安定性・操縦性
3.1 機体運動を表す座標軸と変数
3.2 縦の静安定
3.3 縦の動安定
3.4 縦の操舵応答
3.5 上反角効果
3.6 方向安定
3.7 横・方向の動安定
第4章 飛行性能
4.1 航続距離を長くする巡航飛行方法
4.2 航続距離を大きくする燃料重量比
4.3 航続距離から決まる着陸/離陸重量比
4.4 巡航飛行から決まる推力重量比
4.5 離陸距離の3つの要素
4.6 離陸滑走距離の推算
4.7 離陸滑走距離による推力重量比と翼面荷重
4.8 離陸引き起こしと重心前方限界
4.9 着陸距離の3つの要素
4.10 着陸滑走距離の推算
4.11 着陸滑走距離による翼面荷重
4.12 接地速度
4.13 接地速度による翼面荷重
4.14 転覆角と重心後方限界
第5章 飛行機設計の具体的手順
5.1 飛行性能を満足する推力重量比と翼面荷重
5.2 機体規模の決定
5.3 種々の機体の設計例
5.4 まとめ
は じ め に
飛行機を見て格好いいと思う人は多いのではないだろうか。地上の飛行機もそうであるが、飛んでいる姿は更に格好いい。なぜだろうか。その理由は明確ではないが、恐らく空気の流れが最も自然となるような流線型を基調とした流れるような形、言い換えれば自然と調和した形になっているからではないかと思う。鳥が飛んでいるのを見るのも楽しいものである。人が鳥のように飛びたいと思ったのも無理からぬ話である。
最初は鳥の翼のように羽ばたくことを考えたが、結局不可能であった。今日のように固定の翼を利用したのはまさに人間の知恵である。ライト兄弟は風洞試験装置(筒の中に空気を流して翼の力などを計測する装置)を作り、主翼の性能を実験で確かめたそうである。重たい飛行機が空中に浮き上がる原理は単純である。重量よりも大きい機体上方に働く力(揚力)を発生させ、後ろ向きに働く抵抗力(専門語では抗力という)よりも大きいエンジン推進力(推力という)が得られれば飛行機は飛ぶことができる。これほど飛行機が発達した理由は、固定翼が素晴らしい能力を持っているからである。その能力とは、畳1枚で自家用車1台を持ち上げられる効率のよい主翼であり、またそのときの抗力は揚力の1/15程度の小さな値であることである。例えば、100tの飛行機は7tの推力があれば飛行できる。
一方、飛行機の形は多種多様である。もし揚力に対する抗力最小の機体を追求していくと皆同じような形になってしまう可能性もあるが、実際にはそうなっていない。それは使用目的に応じて最適な形があるからである。本書は、飛行機を設計する場合、その形状はどのように決めるのかを解説したものである。一見複雑に見える飛行機の形は驚くほど数少ないパラメータ(形状を決める数値)によって表される。本書により、飛行機の形状設計法について学び、いろいろな飛行機を見るときの参考にしていただけると幸いである。
最後に、本書の執筆に際し、特段のご尽力をいただいた日刊工業新聞社の編集担当、三沢 薫氏にお礼申し上げます。
2009年8月
片柳亮二