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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい金属材料の本

定価(税込)  1,650円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-08015-9
コード C3034
発行月 2019年10月
ジャンル 金属

内容

私達の身の周りには金属製品が溢れているが、金属を意識する機会は少ない。本書では、金属の歴史から金属の種類、その加工方法、応用事例、そして金属材料の将来について、幅広く平易な内容で解説。ものづくりの視点から金属材料を捉える。

吉村泰治  著者プロフィール

(よしむら やすはる)
●略歴
1968年生まれ
1994年3月 芝浦工業大学大学院工学研究科金属工学専攻 修了
1994年4月 YKK株式会社 入社
2004年9月 東北大学工学研究課博士後期課程材料物性学専攻 修了
2016年4月 YKK株式会社 執行役員 工機技術本部 基盤技術開発部 部長
博士(工学)、技術士(金属部門)

●著書
『銅のはなし』技報堂出版、2019年8月
『パパは金属博士!』技報堂出版、2012年4月
「生活を支える金属 いろはにほへと」大河出版(『月刊ツールエンジニア』に2013年4月から隔月連載)

目次

第1章 金属とは
1 活用の始まりは、ほぼ純粋な自然金属「人類と金属の出会い」
2 金属結合がもたらす3つの特徴「化学結合とは」
3 金属はどうしてしなやかなの?「金属の延性」
4 金属はどうして錆びるの?「金属の腐食現象」
5 金属はどうして熱や電気を伝えやすいの?「金属の導電率と熱伝導度」
6 周期表の周期と族で元素の性質に傾向あり「周期表から見た金属」
7 状態図は金属材料開発に使用する道しるべ「純金属と合金」
8 周期表以外にもある金属材料の分類方法「金属材料の分類」

第2章 金属材料の種類 ―鉄鋼―
9 最も多く生産され、使用されている金属「鉄鋼」
10 軟鋼を中心とした構造用鋼「普通鋼」
11 普通鋼より特性を向上させた鉄鋼「特殊鋼」
12 クロム、またはクロムとニッケルを含む特殊鋼「ステンレス鋼」
13 溶解温度が比較的低く、流動性に優れる「鋳鉄」

第3章 金属材料の種類 ―非鉄金属―
14 鉄鋼以外の金属とその合金「非鉄金属」
15 人類が最初に手にした非鉄金属の代表「銅および銅合金」
16 銅と同様に代表的な非鉄金属の1つ「アルミニウムおよびアルミニウム合金」
17 構造用金属材料の中で最も軽量な金属「マグネシウムおよびマグネシウム合金」
18 ギリシャ神話にちなんで名付けられた金属「チタンおよびチタン合金」
19 ステンレス鋼の開発以降、需要増大する金属「ニッケルおよびニッケル合金」
20 単体金属として確認が遅れた金属「亜鉛および亜鉛合金」
21 銅に添加される古代より知られている金属「錫および錫合金」
22 化学的に安定で資源的に貴重な金属「貴金属」
23 銅と共に人類が早くから手にした金属「金および金合金」
24 金属の中で導電率と熱伝導度が最も高い「銀および銀合金」
25 現代の産業を支える非常に重要な金属「レアメタルとレアアース」
26 非晶質な構造を持った金属「アモルファス合金」
27 硬質相と結合相からなる複合材料「超硬およびサーメット」

第4章 金属材料の評価・試験方法
28 金属の硬さを調べる試験「硬さ試験」
29 引張荷重負荷時の変形挙動を求める試験「引張試験」
30 金属の疲労特性を調べる試験「疲労試験」
31 摩擦運動部分の挙動を把握する試験「摩擦・摩耗試験」
32 金属のクリープ特性を調べる試験「クリープ試験」
33 金属の腐食特性を調べる試験「耐食性試験」

第5章 加工プロセス
34 形状と機能を付与して金属製品に仕上げる 「加工プロセス」
35 溶解炉で融点以上に加熱して溶かす 「溶解加工」
36 溶けた金属を型に流し込んで冷却して固める 「鋳造加工」
37 回転する2対のロールで金属を引き延ばす 「圧延加工」
38 金型から押出して様々な断面形状の長尺金属を得る 「押出加工」
39 金型から引抜いて様々な断面形状の長尺金属を得る 「伸線・引抜き加工」
40 プレス機を用いて塑性加工する 「プレス加工」
41 継ぎ目のない中空のくぼみ形状を金属に付与する 「絞り・張出し加工」
42 加熱・冷却して金属の特性を向上させる 「熱処理加工」
43 2つ以上の金属を一体化させる 「接合加工」
44 工作機械で機械的に除去する 「切削・研削加工」
45 金属粉末を元材に使用する 「粉末冶金加工」

第6章 表面処理プロセス
46 金属表面に装飾や機能を付与する 「表面処理加工」
47 金属表面の素地とは異なる付着物を除去する 「前処理」
48 金属表面に素地とは異なる金属皮膜を施す 「めっき」
49 金属表面に素地とは異なる皮膜を生成させる 「化成処理」
50 金属表面に人工的に酸化皮膜を生成させる 「陽極酸化処理」
51 金属表面に素地とは異なる塗膜を施す 「塗装」
52 表面のみ硬くして耐摩耗性とじん性を両立 「表面硬化処理」
53 金属表面に炭素や窒素を拡散させて硬くする 「浸炭焼入れと窒化処理」
54 無数の投射材を高速で金属表面に衝突させる 「ショットピーニング」

第7章
55 材質以外にも分類できる 「構造材料と機能材料」
56 エンジンの燃費向上とCO2排出量削減が課題 「航空機」
57 車体の軽量化で燃費向上と環境規制に対応 「自動車」
58 現代の日本の硬貨は、1円以外は全て銅合金 「硬貨」
59 清潔さと耐久性が求められる 「台所用品」
60 複雑な形状と瞬時の成形 「おもちゃ」
61 変わらない輝きが求められる 「アクセサリー」
62 社会インフラの至るところで活躍 「電線」
63 白熱化して赤みを帯びた白色光を発するフィラメント 「電球」
64 軽量化を主眼に置いた材料変遷 「スポーツ用具」

第8章 金属材料のこれから
65 鉛、水銀、カドミウムに対する規制と対応「環境への配慮」
66 金属資源が少ない日本の貴重な資源確保手段「リサイクル」
67 人工知能を用いた材料開発「マテリアルズ・インフォマティクス」


コラム
人間の健康を左右する金属
錆びない金属ステンレス鋼。実は錆びています!
金属の三兄弟 金・銀・銅
金属に関する資格を取ろう!
加工プロセス選定に関する名著
「メッキ」じゃなくて「めっき」だよ
伝統工芸技術を活かした街角モニュメント
都市鉱山とオリンピックメダル

主な参考文献

はじめに

 人類は、その進化と共に様々な材料を手にしてきた経緯があります。具体的には、自然素材である木や石、動物の骨、そして、最も大きなインパクトを与えたのは金属との出会いであったことは間違いないでしょう。人類が紀元前7000年から8000年頃までに初めて手にした銅や金は、いずれも自然金属として産出されたことから、その発見は比較的容易だったのかもしれません。しかし、当時の古代人が、木や石、動物の骨とは異なる、光沢や延性を有している金属を発見した際の驚きはとても大きかったと推測されます。
 現代社会では、金属は私達の生活に欠かせない基盤となる材料の1つとなっています。例えば、街に建つ建築物には鉄鋼が、輸送機器である自動車や飛行機には軽量なアルミニウム合金やチタン合金が、社会インフラの代表である電力を供給する電線には銅が使用されています。また、情報化社会を支えるスマートフォンやタブレットの機能を司る数々の電子部品は貴金属やレアメタルでできています。このように、私達の身の周りには金属製品が溢れかえっていますが、あまりにも身近に存在しすぎているため、金属を改めて意識する機会が少なくなっているのではないでしょうか。
 近年、様々な企業で、産業観光の1つとして一般消費者を対象とした工場見学が行われるようになりました。工場見学は、企業が地域貢献を目的として行っているのに対して、一般消費者にとっては、普段立ち入ることができない工場を間近に見学でき、物づくりに触れワクワクできる貴重な機会です。このため、工場見学は人気があり、各種の工場見学が紹介されたガイドブックも販売されています。この背景には、スマートフォンを使って容易に情報が入手でき、様々な商品を簡単にインターネットで購入できるようになったことから、その情報や商品の背景について更に深く知りたいという人間の知的好奇心の高まりがあるのではないでしょうか。
 そこで本書では、金属を改めて意識する機会になるよう、金属の歴史から金属の種類、その加工方法、金属製品、そして将来について、幅広く平易な内容で、あたかも工場見学しているかのように解説することを心がけました。読者のみなさんの知的好奇心を満たす機会になればと願っています。
 本書の対象読者は、初めて金属について学ぼうと考えている方であり、具体的には、高等専門学校および理工系大学を目指す高校生や理工系大学生、金属を取り扱う素材・加工メーカー技術者や商社担当者、更には、金属をはじめとする材料科学に興味を持つ一般の方です。
 最後に、本書の発刊にあたり、日刊工業新聞社の土坂裕子氏には大変お世話になりました。ここに深く感謝申し上げます。
 
2019年8月
吉村 泰治

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