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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい機械力学の本

定価(税込)  1,650円

著者
サイズ A5判
ページ数 156頁
ISBNコード 978-4-526-08006-7
コード C3034
発行月 2019年09月
ジャンル その他 機械

内容

機械系の四力の一つ、機械力学の基礎知識を分かりやすくまとめた本。機械力学で使われる基本的な用語を学ぶとともに、装置の部品構成からどのようにモデル化(単純化)でき、どういった力学が使えて、機械全体としてどういった運動をするかが分かるようになる。

三好孝典  著者プロフィール

(みよし たかのり)
1963年 兵庫県生まれ。
1989年 大阪大学 工学部 電気工学科卒。ローランド・ディー・ジー㈱に入社。
2000年 在職のまま、豊橋技術科学大学電子・情報工学専攻博士後期課程修了。
2002年 国立大学法人豊橋技術科学大学 生産システム工学系講師として赴任する。
2005年 ミュンヘン工科大学客員研究員(1年間)
2007年 同系准教授。
2017年 ベンチャー企業㈱IMI設立、取締役兼任。
2019年 国立大学法人長岡技術科学大学 システム安全専攻 教授。
  現在に至る

●主な著書
よくわかる機械の制振設計-防振メカニズムとフィードフォワード制御による対策法-、日刊工業新聞社、2018年
技術者のための制御工学―理論・設計から実装まで―、豊橋技術科学大学・高専連携プロジェクト編、実教出版、2012年

目次

第1章
機械力学の基礎
1 機械工学の基本となる4つの力学
2 機械力学には幾何学の知識が必要だ
3 機械力学で使われるSI単位
4 ニュートンの3つの運動法則
5 物体の速度・加速度と微分の関係
6 自由落下の運動方程式を考えよう
7 力のつり合いと作用・反作用
8 力の分解と合成
9 機械で利用される様々な力の発生源

第2章
力と運動を伝える機械要素の力学
10 ペンチは人間の力を増大するが、仕事は変わらない
11 機械要素を使って機械の動きを作り出す
12 長いスパナが締め込み力が強い理由
13 力のモーメントを利用したボートの操船
14 二つのプーリの径とトルクの関係
15 自転車のギアを落とすと推力が増える理由
16 平行リンクでは必要なトルクが小さくても済む
17 直線運動と回転運動が入り混じった機械の運動を考える
18 1リンク機構の生み出す力を求める
19 2リンク機構先端の位置を算出する
20 2リンク機構の生み出す力
21 1リンク機構に作用する様々な力

第3章
回転を伴う機械要素の力学
22 大きさや形を持った物体の運動方程式
23 回転運動の速度・加速度・慣性力
24 回転のしにくさを表す慣性モーメント
25 様々な形状に対する慣性モーメント
26 力の伝達手段としての歯車(ギア)
27 回転力を均等に分配するギア
28 物体が回転するために必要な向心力
29 機械に作用する遠心力の強さを知る
30 回転軸にはたらくトルクと外積
31 回転半径と慣性モーメントの関係

第4章
回転と並進を伴う機械要素の力学
32 直線・回転が混じった運動モデル1
33 直線・回転が混じった運動モデル2
34 ベルト・プーリ機構の運動モデル
35 ギア機構の運動モデル(自動車パワートレイン)
36 ボールねじ機構の運動モデル
37 ピストン・クランク機構の運動モデル
38 平行リンク機構の運動モデル
39 メカナムホイールによる全方向移動機構

第5章
緩衝力や摩擦力が関わる機械要素の力学
40 バネの運動とフックの法則
41 機械にとってのエネルギーとは何か
42 流体の抵抗を利用する粘性ダンパ
43 運動する物体にかかる抵抗
44 抵抗によって失われる損失エネルギー
45 ダンパによる速度変化を方程式で理解する
46 摩擦が作用する物体の運動方程式
47 ウォームギアの回転が一方向のみである理由
48 斜面上を滑らずに転がる円板の摩擦係数を求める

第6章
振動を引き起こす機械要素の力学
49 機械力学で使われる代表的な微分方程式
50 振動を引き起こす振動モデルと運動方程式
51 エネルギーの変換に必要な時間が振動周期
52 複数のバネがある場合の合成の変化
53 自動車のシャフトのねじり剛性と振動の関係
54 タイミングベルトの伸びと振動
55 バネ・マス・ダンパモデルと振動の減衰
56 振動現象を周波数の目で見る
57 共振とステッピングモータの脱調
58 ロッド(棒)のたわみ振動と共振
59 構成部品同士(ユニット)の振動

第7章
衝突や反発力が関わる機械要素の力学
60 衝突や反発の運動方程式
61 水流の衝突と発生する力
62 物体の衝突前後の運動特性の変化を知る
63 反発力によって、搬送機はどのくらい振動するか

コラム
単位同士の計算「次元解析」
機械を作る者の責任
協働ロボットに必要な安全の仕組み
ロボットの得意な運動、ヒトの得意な運動
エネルギーと運動量の保存則
学生時代にこそできること
遠隔地同士で力を伝える

参考文献
索引

はじめに

 機械を設計する際には、そのサイズや重量、製作に掛かるコスト、また安全性や納期など、機械に求められるあらゆる要求や制約を想定しておかなければなりません。そしてそれらの要件を満たす機械の仕様(スペック)が実際にどのようなものでなければならないかを、あらゆる視点から検証していきます。
 様々な検証をしていく中で最も重要なのが、機械が生み出す「力」や「運動」がどうなっているかという視点です。そこで必要になるのが、本書のテーマである機械力学です。機械力学とは、機械が、どのように力を伝達し、その結果、どのように運動するかを明らかにする学問なのです。
 自動車、ロボット、産業機械など、身のまわりの「動く機械」は、様々な機械部品の組み合わせによって動作を実現しています。その部品には、歯車、ベルト、軸受(直動ガイドを含む)などの力の伝達を扱う機械要素や、エンジン、モータなどの動力源があります。これらの機械要素やユニットに作用する力や運動を一つひとつ定量的に見積もることができなければ、機械全体として要求される仕様を満たせるか否かを判断できません。
 本書では、高校レベルの基本的な物理学の知識を習得していることを前提に、できるだけ平易に様々な機械要素に作用する力と運動の考え方や計算法を紹介しています。
いずれの項目も、冒頭に運動イメージを示し、それを剛体・バネ・ダンパなどの簡単なモデルに置き換え、最後に式で定量化する、という流れで解説しています。きっと本書を読み終えた読者は、たとえ機械設計の初心者であっても、様々な機械要素の運動や必要なパラメータを手計算で導き出すことができるようになるのではないかと思います。
 工学問題では、その本質を掴むには「手計算」が重要となります。そのため、本書では、特に冒頭から前半にかけて微分方程式を取り上げていません。運動方程式においても、三角関数や2次関数で扱える問題を多く取り上げました。これだけでも機械の設計には十分役立つからです。
 また本書では、既存の機械力学の書籍では触れられることのない、機械力学と材料力学の関係についても言及しました。材料力学の書物は数多くありますが、多くが外部からかけられた力に対する変形や耐荷重を取り扱います。一方、機械力学では機械自ら発する力だけに着目し、その力が引き起こす影響を論じることはありません。すなわち、機械自身が発した力に対する機械自身の耐性の問題は、ちょうど両力学のスキマになっているのが実情です。
 著者はこれまで、企業の設計者として、また企業との共同研究を通して、様々な機械の開発や性能改善に携わってきました。本書でも紹介した、全方向移動ボート、全方向移動搬送台車、2リンクリハビリテーションマシン、パワーアシストロボット…などの新規開発のほか、ガントリークレーンの振動制御、ペンプロッタの画質改善、カッティングマシンのローラー振動解析、自動車の振動制御・乗り心地改善、インクジェットプリンタの色むら改善、パワーアシストクレーンのリミットサイクル抑制…などです。本書の執筆にあたっては、これら様々な経験から得られた知見を余すところなく盛り込んだつもりです。本書が、読者の皆様の学習や仕事の一助になることを切に期待しています。
 最後に、日刊工業新聞社の天野慶悟氏をはじめ、本書の出版に携わって頂きました方々に深く御礼申し上げます。また、写真掲載を許諾頂きました共同研究実施企業の方々にも深謝申し上げます。

令和元年9月
三好孝典

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