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きちんと知りたい!
電気自動車メカニズムの基礎知識

定価(税込)  2,420円

著者
サイズ A5判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-08003-6
コード C3053
発行月 2019年09月
ジャンル 機械

内容

メカニズムを丁寧に解説する技術書「きちんと知りたい!」シリーズ最新刊。「なぜそうなるのか? どうしてそうなったのか?」を中心に、電気自動車のメカニズムについて、その構造としくみ、基礎知識からバッテリ、モータ、充電のメカニズムなどまで、丁寧な図解でやさしく解説する。

飯塚昭三  著者プロフィール

(いいづか しょうぞう)
1942年東京生まれ。1965年東京電機大学機械工学科卒。同年、自動車・機械関連などの老舗出版社、山海堂に入社し、自動車工学・整備関係の書籍編集に従事した。1969年にモータースポーツ専門誌『オートテクニック』の立ち上げに参画、取材を通じてモータースポーツに関わる一方、自身もレースに多数参戦して、編集者ドライバーの先駆けとなる。編集長を務めた後、87年にジムカーナを主テーマとした『スピードマインド』を創刊し、企画・編集に携わった。2000年にフリーランスに転じ、テクニカルライター・編集者として自動車の技術的な解説記事を執筆している。日本 EVクラブ会員。日本自動車研究者ジャーナリスト会議(RJC)前会長。また、一般社団法人日本陸用内燃機関協会の機関誌『LEMA(陸用内燃機関)』の編集長を務めている。
◎主な著書:『燃料電池車・電気自動車の可能性』『サーキット走行入門』『ガソリンエンジンの高効率化―低燃費・クリーン技術の考察』『ハイブリッド車の技術とそのしくみ』『ジムカーナ入門新訂版』『自動車用語辞典』(以上グランプリ出版)『きちんと知りたい!自動車低燃費メカニズムの基礎知識』(日刊工業新聞社)ほか。

目次

はじめに

第1章 電気自動車の歴史と変遷
1.電気自動車の誕生と取り巻く環境
1-1 電気自動車はガソリン自動車よりも早く登場した!
1-2 日本の電気自動車の歴史
1-3 排ガス規制と電動化傾向
1-4 実用電動化を可能とした技術的背景
2.電気自動車化と自動車産業の行方
2-1 電気自動車化で消滅するパーツ、必要になるパーツ
2-2 電気自動車が産業に及ぼす影響
COLUMN1 排ガス問題とCO2の排出問題は別問題

第2章 電気自動車の種類と特徴
1.電気自動車の種類
1-1 バッテリーEV
1-2 コンバートEV
1-3 レンジエクステンダーEV
1-4 ハイブリッド車
1-5 シリーズハイブリッド車
1-6 プラグインハイブリッド車
1-7 燃料電池車
1-8 燃料電池の原理と構造
1-9 水素について
2.電気自動車の特徴
2-1 電気自動車とはどんなクルマか その1
2-2 電気自動車とはどんなクルマか その2
COLUMN2 単位の記号考察

第3章 自動車用電池の基礎知識
1.電池の種類と特徴
1-1 電池の発明と進化
1-2 電池の種類と特性
1-3 電池の基本原
1-4 鉛電池
1-5 ニッケル水素電池
1-6 リチウムイオン電池
1-7 全固体電池 その1
1-8 全固体電池 その2
1-9 今後期待される電池
1-10 キャパシターの特徴と可能性
1-11 メカニカル電池の代表はフライホイール!
2.電気自動車用電池の特性
2-1 エネルギー密度と出力密度とは
2-2 EVにはどのような電池が求められているか
2-3 大切な電池の温度管理
2-4 電池の制御システム
2-5 電池の寿命とリユース
2-6 V2Hとは
2-7 V2G、V2Bとは
COLUMN3 レアアースとレアメタル

第4章 電気の基本とモーターの基礎知識
1.電気のおさらい
1-1 直流と交流
1-2 電気と磁気、右ねじの法則
1-3 フレミングの左手の法則と右手の法則
1-4 コイルと誘導起電力
2.駆動用モーターの種類
2-1 モーターの特性
2-2 モーターの種類
2-3 直流モーター
2-4 交流モーター その1/誘導モーター
2-5 交流モーター その2/同期モーター
2-6 リラクタンスモーター
3.モーターの原理と特性
3-1 モーターの回転原理
3-2 モーターを効率よく回転させる
3-3 モーターの銅損と鉄損とは
3-4 磁石の種類と課題
3-5 モーターの冷却
3-6 モーターの高回転化と弱め界磁制御
3-7 インホイールモーター その1/構造と機能
3-8 インホイールモーター その2/現状と可能性
COLUMN 4 エンジンブレーキの比ではない、とてもよく効く回生ブレーキ

第5章 パワーエレクトロニクスの基礎知識
1.パワーコントロールユニットの役割
1-1 パワーエレクトロニクスとは
1-2 モーター制御の基本
1-3 IGBT、PWM、VVVFとは
1-4 インバーターの配置と冷却
1-5 DC-DCコンバーターの原理と役割
COLUMN 5 インダクタンスとキャパシタ

第6章 電気自動車の充電システム
1.充電方法と充電規格
1-1 充電の方法
1-2 急速充電規格「CHAdeMO」
1-3 進化するCHAdeMO
1-4 CHAdeMO以外の急速充電規格と普通充電について
1-5 日中で超高出力急速充電の新規格を共同開発
1-6 ワイヤレス給電 その1/静止充電
1-7 ワイヤレス給電 その2/走りながら充電
1-8 電池交換方式の可能性

第7章 電気自動車の将来と課題
1.電気自動車の将来展望
1-1 超小型モビリティの可能性
1-2 超小型モビリティの可能性
1-3 トラック、バスの電気自動車化 その1
1-4 トラック、バスの電気自動車化 その2
1-5 電気自動車もウェル・ツー・ホイールが大切
1-6 電気自動車の普及はエネルギー問題に行き着く
1-7 集中型発電から分散型発電へ
COLUMN7 シニアカー(電動車いす)は免許証返納者にも広がるか

索引
参考文献

はじめに

 自動車の電動化は世界的な機運となっており、電気自動車への期待は高まる一方となっています。その背景には先進国における排ガス規制の強化があります。この規制は発展途上国にも広がり、今後さらに強化されることがわかっています。CO2削減も燃費規制のかたちで現れています。これらに対応するためには、もはや内燃エンジン単体では対応不可能です。電動化は時代の要請であり、不可避といえます。最低でもモーターと協調するハブリッド化が必要になってきています。
 確かにこのところ内燃エンジンの熱効率40%超といった数字が出るように、効率はたいへんよくなっています。その効率アップに貢献しているのがモーターです。内燃エンジンの不得手な回転数をトルク特性の全く異なるモーターがカバーするだけでなく、最大効率で運転できるようにモーターがトルクを足したり引いたりしています。ハイブリッド車用内燃エンジンはそれを前提に最初から設計することができます。内燃エンジンの延命を図っているのがモーターともいえます。したがって電動化はさらに進展するでしょう。その先にはプラグインハイブリッド車があり、その極みが電気自動車になります。
 では、バッテリー電源による純粋な電気自動車が一気に増えるかについては現状厳しい面があるのも確かです。電気自動車に否定的な意見もあります。それは電池性能にまだ大きな課題があるからです。また充電の問題もあります。大容量の電池ができればそれを満たす充電が必要で、今でも20~30分かかる充電時間がさらに長くなるようでは実用上の問題が生じます。
 そうした問題があるとしても、電池性能は確実に向上しており、さらに大幅な性能向上を実現する革新的な電池の登場も期待されています。充電の問題についても大電流の充電や、非接触充電から走りながら充電の研究開発も進められています。やがてそれらの効果が出てくるはずです。
 こうした技術的なこと以外にも考えなければならないことがあります。それは、その電気が何に由来して生まれたかです。化石燃料を用いて発電するのでは意義は半減します。やはり最終的には再生可能エネルギーにいかねばなりません。幸い日本は再生可能エネルギー資源が豊富にあるとされています。太陽光や風力のほか、小水力、地熱、バイオマスさらには波力、潮力などいろいろ考えられています。電気自動車を突き詰めればエネルギー問題につながります。
 いろいろな課題があり発展途上の電気自動車ですが、それだけに今後どのように展開していくか気になるところです。本書では電気自動車の基本的な原理、機構から、現状はどうなっているのか、その課題やそれに対する業界の取り組みなどについて、電気自動車に興味のある一般読者向けの解説を試みました。普通の乗用車を主な対象としながらも、トラック、バス、あるいはシティーコミューター的な小型の電気自動車にも言及しました。電気自動車についての理解が深まれば幸いです。

2019年7月吉日 飯塚 昭三

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