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一から学ぶ工業潤滑剤

定価(税込)  2,376円

編著
サイズ A5判
ページ数 208頁
ISBNコード 978-4-526-07982-5
コード C3043
発行月 2019年06月
ジャンル 化学

内容

工業潤滑剤は、機械・機器など動作をするものには必要不可欠。この本では、潤滑剤を使う機械設計者や製品設計者に向けて、高機能化する工業潤滑剤の基礎から、その種類、特性、上手な使い方、環境対策・リサイクルまでをわかり易く解説していく。

出光興産㈱ 潤滑油二部潤滑技術二課  著者プロフィール

久藤 樹(くどうたつる)
1952年生まれ、国立北九州高等専門学校卒業。1972年出光興産株式会社入社後、工業用潤滑研究室にて工業用潤滑剤の研究・開発に従事。その後、潤滑油部潤滑技術二課TMMSチーム担当マネジャーとして、潤滑管理に関する業務を担当。

小別所匡寛(こべっしょまさひろ)
1969年生まれ、九州大学大学院総合理工学研究科修了。1993年出光興産株式会社入社後、営業研究所にて工業用潤滑剤の研究開発に従事。その後、潤滑油二部潤滑技術二課メーカー折衝担当マネジャーとして、工業用潤滑油の開発・販売、潤滑管理に関する業務を担当。

見富健志(みとみたけし)
1981年生まれ、千葉大学大学院自然科学研究科博士前期課程修了。2006年出光興産株式会社入社後、工業用潤滑油の販売に従事。その後、潤滑油部潤滑技術二課チーフエンジニアとして、工業用潤滑油の開発と販売を担当。

目次

はじめに


第1章 潤滑の基礎“トライボロジー”
1-1 トライボロジーとは?
1-2 摩擦とは?
1-3 摩耗とは?
1-4 潤滑状態とは?

第2章 潤滑剤とはどんなもの?
2-1 潤滑剤の働き
2-2 潤滑剤とはどんなもの
2-3 ベースオイル
2-4 固体潤滑剤
2-5 潤滑油の粘度
2-6 潤滑油の添加剤
2-7 グリース

第3章 軸受油は適正な粘度が重要
3-1 軸受の形式による分類
3-2 滑り軸受の潤滑
3-3 ころがり軸受の潤滑
3-4 グリース潤滑における適油選定
3-5 保守管理

第4章 装置の特性で選ぶ減速機・変速機用潤滑油
4-1 歯車の潤滑
4-2 歯車油
4-3 歯車の損傷
4-4 適油選定

第5章 油圧装置の故障を防ぐ作動油
5-1 作動油の種類と特性
5-2 作動油の要求特性について
5-3 作動油の適正粘度
5-4 作動油の選定と性状管理
5-5 作動油の劣化
5-6 保守管理

第6章 精度向上の観点から選ぶ工作機械の潤滑油
6-1 工作機械とは
6-2 工作機械の潤滑上の特徴
6-3 軸受
6-4 案内面及び送り機構
6-5 工作機械の歯車油
6-6 工作機械の油圧作動油

第7章 装置の種類に応じて選ぶ圧縮機油
7-1 圧縮機の分類
7-2 油冷式空気圧縮機
7-3 油冷式圧縮機油
7-4 油冷式圧縮機の保守管理
7-5 油冷式圧縮機の動向
7-6 往復動圧縮機油の潤滑系統
7-7 往復動圧縮機油

第8章 環境問題に貢献する冷凍機の潤滑油
8-1 冷凍機の基本構成
8-2 冷媒
8-3 冷凍機油
8-4 冷凍の応用

第9章 ひと手間掛けよう潤滑管理
9-1 潤滑管理の意義
9-2 補給油管理
9-3 潤滑診断
9-4 潤滑改善

第10章 潤滑油と環境問題・法規制
10-1 潤滑油と法令・規制
10-2 潤滑油の危険性
10-3 潤滑油の有毒性
10-4 化学物質の管理
10-5 輸送、保管、輸出に関する法規
10-6 環境汚染・廃棄物に関する法律

参考文献

はじめに

 日常生活において私たちが「トライボロジー」や「潤滑剤」を意識することはまれです。しかし自動車や家電、あるいはスマホなど身の周りにあるほとんどの機械には稼働部分があり、そこでは何かしらの潤滑剤が使われています。

 潤滑剤の役割はいくつかありますが、一番の役割は摩擦を減らしてエネルギーの損失を抑え、機械の寿命を延ばすことです。1966年に英国にて「トライボロジー」という言葉が提唱され、その経済的な重要性が指摘されたJOSTレポート以降も変わらず、あるいは環境問題が人類喫緊の課題となった現在ではそれ以上に、「正しい」潤滑による経済的貢献はますます重要になっています。

 ところが潤滑剤は機械部品のように形状で機能を発揮するわけではなく、見た目で性能を判断出来ないため理解しにくく、また使うと汚れるため名実ともに敬遠されがちです。

 今回、日刊工業新聞社より設計、運転、保全の若手・新任技術者を対象とした工業潤滑剤に関する入門書の執筆依頼を頂きました。機械側からの潤滑剤に対する要求特性と選び方、使い方を主眼に、潤滑剤をとっつきにくくしている化学的な説明は極力避けた内容で、ということでした。そこで当課編著により2011年に工業潤滑剤の基礎的な解説書として発刊された「絵解き 工業潤滑剤 基礎のきそ」という書籍をもとに加筆、修正することになりました。特に潤滑剤をより効率的に使用するために重要な潤滑管理の章を加え、コンプライアンスが企業の存続を左右しかねない風潮に対応して法令については現時点の内容にしています。

 平成から令和に時代が変わり、ESGやSDGsなど、企業の生産現場においても生産効率やコストといった従来の観点以外からの取組みが強く求められる環境になっています。潤滑剤の観点からも低摩擦化による省エネルギーや機械寿命延長、潤滑剤自体の長寿命化による廃棄物削減といった従来の効用だけでなく、保全工数削減による労務改善や高引火点化による官庁申請準備の負荷軽減といった新たな提案も見られます。

 しかし、こうした提案が正しく評価されるには潤滑剤そのものと、その影響範囲の大きさを正しく理解して頂く必要があります。本書が工業潤滑剤に関心を持って頂くはじめの一歩となり、潤滑剤による貢献のさらなる拡大につながれば幸いです。


令和元年6月

出光興産株式会社 潤滑油二部 潤滑技術二課 

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