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実用設計製図
幾何公差の使い方・表し方
第2版

定価(税込)  2,592円

著者
サイズ B5判
ページ数 208頁
ISBNコード 978-4-526-07971-9
コード C3053
発行月 2019年04月
ジャンル 機械

内容

「幾何公差」の正しい理解とその指示方法を解説した定本の第2版。最新ISO規格に全面的に対応。また、実際に多く使われる幾何公差、相対的重要性の高い幾何公差に重点をおいて、より有用性の高い幾何公差の使い方、表し方を示す内容となっている。

小池忠男  著者プロフィール

(こいけ ただお)
長野県生まれ。
1973年からリコーで20年以上にわたり複写機の開発・設計に従事。その後、3D CADによる設計プロセス改革の提案と推進、および社内技術標準の作成と制定・改定などに携わる。また、社内技術研修の設計製図講師、TRIZ講師などを10年以上務め、2010年に退社。
ISO/JIS規格にもとづく機械設計製図、およびTRIZを活用したアイデア発想法に関する、教育とコンサルティングを行う「想図研」を設立し、代表。
現在、企業への幾何公差主体の機械図面づくりに関する技術指導、幾何公差に関する研修会、講演等の講師活動に注力。
日本規格協会(JSA) 3D製図に関するJIS原案作成委員会 委員。
製造科学技術センター(MSTC) 計測技術検討委員会 委員。
著書に、
・「わかる!使える!製図入門」
・「“サイズ公差”と“幾何公差”を用いた機械図面の表し方」
・「これならわかる幾何公差」
・「はじめよう!カンタンTRIZ」(共著)
・「はじめよう!TRIZで低コスト設計」(共著)
(いずれも日刊工業新聞社刊)。

目次

はじめに

第1章 幾何公差の基本事項
1-1.幾何公差
(1)幾何公差の図示記号と定義
(2)形体とはなにか
(3)図示方法の基本
(4)誤った表し方の例
1-2.データム
(1)データムの定義と関連する形体
(2)データム設定の基本
(3)データムの使い方と表し方
(4)データムターゲットの使い方と表し方
(5)データム系と三平面データム系
(6)6自由度の拘束とデータム指示との関係
(7)データムの優先順位の付け方
(8)三平面データム系による形体の規制方法
(9)特別なデータムの指示方法
(10)データムの設定
(11)誤ったデータム指示例
1-3.公差域
(1)幾何公差の公差域
(2)公差域の方向性
(3)共通公差域
(4)通常の公差域と特別な公差域「突出公差域」

第2章 形状公差の使い方・表し方
2-1.真直度
(1)真直度で規制できる形体と公差域
(2)一方向の真直度指示
(3)直角二方向への異なる真直度指示
(4)方向を定めない真直度指示
(5)離れた複数の直線形体への真直度指示
(6)部分と全体への異なる真直度指示
2-2.平面度
(1)平面度指示の基本
(2)離れたところに複数ある表面への平面度指示
(3)同一表面への平面度指示とデータム指示の方法
(4)部分と全体への異なる平面度指示
(5)平面度指示における留意点
2-3.真円度
(1)真円度指示の基本
(2)真円度は横断面や軸方向の形状特徴を規制しない
(3)真円度の誤った指示例
(4)非剛性部品の図例の真円度指示の意味
2-4.円筒度
(1)円筒度指示の基本
(2)円筒度は他の幾何公差で代替可能
(3)円筒度とサイズ公差との関係
(4)円筒度と軸線との関係
(5)円筒度は円筒の形状特徴を規制しない

第3章 姿勢公差の使い方・表し方
3-1.平行度
(1)平行度とその公差域
(2)形状公差と平行度を一緒に指示する方法
(3)平行度公差とサイズ公差、位置公差との関係
(4)一方向の平行度指示
(5)互いに直角な二方向の平行度指示
(6)方向を定めない平行度指示
(7)部分と全体への異なる平行度指示
3-2.直角度
(1)直角度とその公差域
(2)形状公差と直角度を一緒に指示する方法
(3)直角度公差とサイズ公差、位置公差との関係
(4)一方向の直角度指示
(5)互いに直角な二方向の直角度指示
(6)方向を定めない直角度指示と形体長さ
(7)直角度指示は形状特徴を規制しない
3-3.傾斜度
(1)傾斜度とその公差域
(2)直線形体のデータム直線に対する傾斜度指示
(3)直線形体のデータム平面に対する傾斜度指示
(4)平面形体のデータム平面に対する傾斜度指示
(5)傾斜度公差と位置公差との関係

第4章 位置公差の使い方・表し方
4-1.位置度
(1)位置度で規制できる形体と公差域
(2)点に対する位置度指示
(3)直線形体の一方向の位置度指示
(4)直線形体の二方向の位置度指示
(5)方向を定めない位置度指示
(6)二方向と方向を定めない位置度指示の比較
(7)平面形体に対する位置度指示
(8)部品内部の形体をデータムとした位置度指示
(9)位置度と姿勢公差、形状公差とを組み合わせた指示
(10)複数の形体に対して2つの位置度指示を要求する方法
(11)個々の形体と形体グループを区別しない位置度指示
(12)個々の形体と形体グループへの異なる位置度指示
4-2.同軸度
(1)同心度と同軸度の規制形体と公差域
(2)同軸度に代わる幾何公差指示
(3)複数ある軸線に対する同軸度指示
4-3.対称度
(1)対称度で規制できる形体と公差域
(2)データム軸直線に対する軸線の対称度指示
(3)軸線と中心面との間の対称度指示
(4)データム中心平面に対する中心面の対称度指示
(5)軸線に対して互いに直角な二方向の対称度指示
(6)中心面に対する対称度指示で参照するのは第1次データムのみ
(7)サイズ公差の中心面をデータムとした対称度指示

第5章 輪郭度公差の使い方・表し方
5-1.線の輪郭度
(1)線の輪郭度の公差域
(2)表面上の線に対する形状公差の線の輪郭度指示
(3)表面上の線に対する姿勢公差の線の輪郭度指示
(4)表面上の線に対する位置公差の線の輪郭度指示
(5)誘導形体である中心線に対する線の輪郭度指示
5-2.面の輪郭度
(1)面の輪郭度の公差域
(2)部品の1つの表面に対する面の輪郭度指示
(3)部品の一方向の全周に対する面の輪郭度指示
(4)位置公差、姿勢公差としての面の輪郭度指示
(5)公差域を一様にオフセットさせる面の輪郭度指示
(6)公差値を一様に変化させる場合の面の輪郭度指示
(7)固定公差域とオフセット公差域をもつ面の輪郭度指示

第6章 振れ公差の使い方・表し方
6-1.円周振れ
(1)4種類の円周振れと公差域
(2)半径方向の円周振れ指示
(3)部分的に円筒である部品の半径方向の円周振れ指示
(4)円筒部品の限定部分への半径方向の円周振れ指示
(5)回転軸と直角な面への円周振れ指示
(6)部品表面の法線方向の円周振れ指示
(7)部品表面に対して指定方向の円周振れ指示
6-2.全振れ
(1)2種類の全振れと公差域
(2)半径方向の全振れ指示
(3)半径方向の全振れと円周振れの違い
(4)離れて複数ある円筒形体への全振れ指示
(5)軸方向の全振れ指示

第7章 特別な公差方式の使い方・表し方
7-1.包絡の条件(マルE)
(1)包絡の条件とは
(2)外側形体への適用例
(3)内側形体への適用例
7-2.最大実体公差方式(MMR)(マルM)
(1)最大実体公差方式(MMR)とは
(2)真直度への最大実体公差方式(MMR)の適用
(3)-1 平行度へのMMRの適用
   -2 平行度へのゼロ幾何公差方式の適用
(4)-1 直角度へのMMRの適用
   -2 直角度へのゼロ幾何公差方式の適用
(5)-1 位置度へのMMRの適用(内側形体の例)
   -2 位置度へのMMRの適用(外側形体の例)
   -3 位置度へのMMRの適用
(6)同軸度へのMMRの適用
(7)対称度へのMMRの適用
7-3.最小実体公差方式(LMR)(マルL)
(1)最小実体公差方式(LMR)とは
(2)位置度へのLMRの適用
(3)同軸度へのLMRの適用

第8章 普通幾何公差の使い方・表し方
8.普通幾何公差
(1)JIS普通幾何公差とは
(2)図面への普通公差の指示方法
(3)図面指示例

Column1 寸法指示のあいまいさ(その1)
Column2 寸法指示のあいまいさ(その2)
Column3 どの幾何公差が多く使われているか
Column4 幾何公差の相互の関係
Column5 設計者の意図通りの指示は輪郭度?
Column6 将来の図面指示の姿は?
Column7 3D-CADと幾何公差

あとがき
参考規格
索  引

はじめに

 時の過ぎるのは早いもので、本書も初版を出してから、10年が経ってしまった。初版の冒頭で、「日本のものづくりの良さは、世界的に定評がある」と書いた。
 では、現在の製造業の実情はどうだろうか。ここ数年、製造各社における「不祥事」がニュースになることが多い。そこには、どのような背景があるのだろうか。原因は1つではないだろうが、次のことは言えるのではないか。
 社内の技術標準を厳しい目で見ると、まだまだ「あいまい」な決まりになっていることがあったり、製品に直結する「製図規則」についても、いくつかの「あいまい」な規定内容になっているものがあったりするのではないか。守るべき基準が明確になっていないのではないだろうか。

 ISOにしても、ASMEにしても、世界の図面に関する規格は、「指示内容の明確な定義、その指示の記号化」の歴史だといえる。製品機能の高度化、複雑化にともなって、その規格の変更と拡充は避けられない。それは技術規格・技術標準の宿命である。常に、改善を図っていかなければならない性格のものである。
 ここ10数年における図面規則に関するISO規格の内容変更は大きいものがある。それを代表する規格が、ISO 1101, ISO 5459, ISO 1660 などであろう。記号で14種類ある「幾何公差」の数は変わらないが、「輪郭度」公差については大きな変更があった。また、形体の基準に関する「データム」についての定義もかなり拡張された。ただし、まだまだ世間一般に認知されているとは言い難い。特に、日本においては、知っている人はごく限られた人たちではないだろうか。

 そもそも機械製品に関わる産業界においても、図面表記の主体が「幾何公差」を中心としたものに、なかなかなっていない。「支障なく仕事ができている」ことを理由に、仕事の仕方は変わろうとしていない。一方、その産業界に「新たな人材」として送り込む教育関係の現場でも、きちんと正しく「幾何公差」を教えられる先生方もあまり多くいないのが実情のようだ。
 若い人たちの人口が減っていく日本にとって、製造業に携わっていく若者、さらに、その中で機械関係の仕事に従事する青年は、極端に減っていくことだろう。そのような中にあって、機械図面において「幾何公差」が採り入れた方法になっていないというのは、国際的にも大きな後れをとってしまう。
 「幾何公差」を主体として「明確な指示の図面」にするための取り組みを今からしても、決して遅くはない。かっての日本のように「追いつけ、追い越せ」の意気込みで臨めば、できないことではない。
 例えば、ISO 14405-1,-2,-3 のシリーズ規格は、寸法とサイズの関係を明らかにし、指示が明確な図面とはどのようなものかを示した規格だといえる。このシリーズ規格の制定意図を推測すれば、「サイズの正しい使い方と指示を明確にした図面についての理解」が、世界的には、まだまだ進んでいない、ということがいえるということではないのだろうか。だから、日本にとって今からでも遅くない、と思うのである。

 初版において、幾つか「寸法公差」と「幾何公差」について関連した記述があったが、この第2版では、このような背景から、かなり手を加え、より正確な記述になるように心がけた。
 コラムで触れているように、新たなISO規格の発行により、幾何公差の中の「輪郭度公差」の実用性が、今まで以上に増してきたと感じている。極端なことをいえば、「輪郭度公差ひとつあれば幾何公差は全て指示できる」と思っているくらいである。それもあって、第5章の「輪郭度公差の使い方・表し方」は、大きく見直し、変更させてもらった。

 制定されて間もないISO規格もいくつか参考にしているが、個々の規定について、正確な解釈を試みるものの、確かな結論に至らない部分もいくつか見出された。今回は、そのようなところは、あえて盛り込んではいない。少なくとも私自身において、きちんと説明できるものに限ったつもりである。それでも、記載した内容に不十分な点や不備があるかも知れない。その点については、読者各氏のご指摘をお受けし、できるだけ良書にしていく所存である。

 最後になりましたが、本書の作成にあたって、幾つか貴重な指摘をしていただいた亀田幸德さんと三瓶敦史さんのお二人には感謝いたします。また、出版に際していろいろとお世話いただいた日刊工業新聞社の鈴木徹さんと日刊工業出版プロダクションの北川元さんにはお礼を申し上げます。
2019年2月
小池 忠男

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