買い物かごへ

今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい紙と印刷の本

定価(税込)  1,620円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07913-9
コード C3034
発行月 2018年12月
ジャンル ビジネス

内容

我々の身近にある紙であるが、一見なんてことはない普通の紙のように見えて、製造工程などで様々な工夫がなされている。また、印刷技術は「水と空気以外どんなものでも印刷できる」と言われるほど進化し、私たちの生活を豊かにしている。紙と印刷の歴史から最新技術までをやさしく丁寧に解説する。

前田秀一  著者プロフィール

(まえだ しゅういち)
1989年慶應義塾大学理工学研究科修士課程修了.同年王子製紙株式会社入社.同社研究所にて情報記録用紙,電子ペーパー,光学部材等の研究開発に従事.1992~1994年英国Sussex大学高分子科博士課程にて,導電性高分子のコロイド化の研究に従事.2010年より東海大学工学部光・画像工学科にて,電子ペーパー用表示材料,金属ナノ粒子薄膜,3Dスクリーンの研究を開始.技術士(化学部門、総合技術監理部門).Ph.D.(Sussex大学).
現在、東海大学工学部光・画像工学科教授.高分子学会(印刷・情報記録・表示研究会運営委員),日本技術士会(化学部会幹事,科学技術振興支援委員会委員長),International Display Workshop(実行委員),日本画像学会(フェロー,学会誌編集委員).加飾技術研究会(会長)

主な著書
「最初に読む光化学の本」日刊工業新聞社、2017(編著)
「トコトンやさしい色彩工学の本」日刊工業新聞社、2016
「化学便覧 応用化学編 第7版」丸善、2014(共著)
「新商品開発における【高級・上質・本物】感を付与・演出する技術」技術情報協会、2012(共著)
「化学系JABEE修了者・修了予定者のためのキャリア形成ハンドブック」納諾相研究所、2011(共著)
「電子ペーパーの最新技術動向と応用展開」シーエムシー出版、2011(共著)
「デジタルプリンタ技術-電子ペーパー」東京電機大学出版局、2008(共著)
「適用事例にみる高分子材料の最先端技術」工業調査会、2007(共著)
「電子ペーパーの最新技術と動向」シーエムシー出版、2004(共著)等

目次

第1章 これまでの紙
1 紙とは?
2 紙の歴史
3 紙の原料① 木材繊維
4 紙の原料② 添加剤
5 紙の製造法① 調成工程
6 紙の製造法② 抄紙工程
7 紙の製造法③ 塗工工程
8 紙の製造法④ 仕上げ工程
9 紙の種類
10 非塗工紙
11 塗工紙
12 紙の規格

第2章 紙の物理と化学
13 紙の化学的特性① 水素結合とのかかわり
14 紙の化学的特性② セルロースについて
15 紙の構造特性① 紙の流れ目、紙の表裏
16 紙の構造特性② 地合い、平滑性(表面粗さ)
17 紙の構造特性③ 空隙構造と液体の吸収性
18 紙の力学特性① 包装用紙の場合
19 紙の力学特性② 印刷用紙の場合
20 紙の力学特性③ 寸法安定性とカール
21 紙の光学特性① 拡散反射
22 紙の光学特性② 紙の視認性

第3章 印刷とその用紙
23 印刷とは?
24 凸版印刷方式
25 凹版印刷方式
26 孔版印刷方式
27 平版印刷方式
28 印刷機
29 印刷用紙
30 新聞用紙
31 デジタル印刷
32 電子写真方式
33 電子写真用トナー
34 電子写真用紙
35 インクジェット方式
36 インクジェット方式のインク
37 インクジェット用紙
38 デジタル印刷対応の新聞用紙

第4章 さまざまな紙と印刷
39 紙の役割
40 熱転写記録方式とその用紙-Write/Print (書く/刷る)する紙
41 直接感熱記録方式とその用紙-Write/Print (書く/刷る)する紙
42 書き換え可能な感熱記録紙-Write/Print (書く/刷る)する紙
43 板紙-Wrap (包む)する紙
44 段ボール-Wrap (包む)する紙
45 家庭用紙-Wipe (拭く)する紙
46 家庭用紙の製造法-Wipe (拭く)する紙
47 機能紙-Work (機能)する紙
48 その他の紙?Wear(着衣)、Wits(意匠)、Waste(廃棄性)する紙

第5章 紙と環境
49 紙パルプ産業とカーボン・ニュートラル
50 紙の3R① リデュース
51 紙の3R② リユース
52 森林のリサイクル
53 紙のリサイクル
54 紙パルプ産業におけるバイオマスエネルギー
55 オフィスにおける紙のリサイクル
56 紙の原料の新しい利用法① 第二次バイオエタノール
57 紙の原料の新しい利用法② ナノセルロース

第6章 紙とデジタル技術
58 紙とデジタルメディアとの競合
59 紙とデジタルメディアとの共存
60 紙とデジタル技術との融合① クロスメディア
61 紙とデジタル技術との融合② 電気を通す透明な紙
62 紙とデジタル技術との融合③ 電子ペーパーの特徴と原理
63 紙とデジタル技術との融合④ 電子ペーパーの応用の広がり

第7章 これからの紙
64 紙は生き残るのか
65 デジタルはグローバルに紙はローカルに
66 将来に残すべき紙
67 紙パルプ産業の未来

コラム
●紙の天敵=虫、その光による駆除方法
●障子における和紙の明るさ
●オフセット印刷による小ロット印刷
●紙の天敵=泡、その利用
●エリートツリー
●手にやさしい紙? レーザー断裁
●紙の価値-過去、そして未来は貴重品?

はじめに

 歴史の授業で、世界の四大発明は、紙、印刷、羅針盤、火薬であると習いました。本書のタイトルは、「紙と印刷の本」です。四大発明のうち二つも含まれています。我ながら何と大胆なタイトルかと思います。「紙」も「印刷」もとてつもなく広く深い分野です。この二つの分野のエッセンスをまとめるだけでも、単書では無理でシリーズものになってしまうでしょう。それを一冊の本にまとめるには、何か特別の切り口が必要だと考えます。そこで、本書では「デジタル化」をキーワードに紙と印刷について考えることにしました。
 昨今のデジタル化の急激な流れの中で、IoT、AI、ビッグデータなどの技術革新、SNSやクラウドの爆発的な普及を例に挙げるまでもなく、私たちを取り巻く環境は大きく変わってきています。デジタル技術は、そのインパクトの大きさにおいて、先の世界の四大発明に匹敵すると言っても過言ではないでしょう。デジタル化社会の中で変化を強いられている点においては、紙も印刷も例外ではありません。むしろ非常に大きな影響を受けている分野だと思います。本書では、世の中のデジタル化が加速する中で、紙と印刷について、「これまで」と「これから」という視点から解説したいと思います。温故知新と言われるように、「これからのこと」を考えるためには、まず「これまでのこと」を知ることが重要です。そこで、本書では、第1章を「これまでの紙」とし、第2章では紙を理解する上で基礎となる「紙の物理と化学」についてまとめました。そして、第3章で「印刷とその用紙」、第4章では印刷用紙も含む「さまざま紙と印刷」、第5章では「紙と環境」、第6章では「紙とデジタル技術」について、デジタル技術や環境との関係も意識しながらまとめつつ、最終章である第7章の「これからの紙」で締め括る構成になっています。
 なお、本書は「印刷」よりも「紙」にやや重きを置いています。実は、「今日からモノ知りシリーズ」においては、「トコトンやさしい紙の本」も「トコトンやさしい印刷の本」も発行されています。いずれも大変わかりやすい良書です。ただ、その発行年は、後者の2013年に対し、前者は2001年です。その発行年からして、「トコトンやさしい印刷の本」に比べ「トコトンやさしい紙の本」は、デジタルの影響に関する記述が薄くなっており、これは致し方ないことです。また、「紙に印刷した本vs電子書籍」といったテーマでの書物が多数出版されている一方で、「デジタル化社会における紙の役割の変化」といったとらえ方をした書物が少ないこともあり、少し「紙」に偏った構成になっています。
 本書は「今日からモノ知りシリーズ」の一環ですので、「トコトンやさしい」ことにこだわっています。本書を執筆するにあたり、多くの方々のご協力を得ました。特にわかりやすさ重視の観点から、学生たちの意見を取り入れました。その中でも、高橋尚大君、若月花梨さん、池田梨音さん、鈴木一輝君は、紙と印刷に関する最新情報の収集と原稿のチェックと大活躍してくれました。さらに吉成伸一技術士をはじめとする専門家の方々にも、原稿の確認をお願いしました。この場を借りてお礼申し上げます。また、日刊工業新聞社の阿部正章氏には、本書の企画から出版に至るまで、大変お世話になりました。本当にありがとうございます。
2018年12月                          
前田秀一

買い物かごへ