買い物かごへ

わかる!使える!TPM入門
<基礎知識><段取り><実践活動>

定価(税込)  1,944円

編集
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07889-7
コード C3034
発行月 2018年10月
ジャンル 生産管理

内容

TPMの理念などの基礎知識と実践、および実際の活動をつなぐ段取り(定着化のための体制・推進条件など)に注目して解説する。ロスの考え方・捉え方、慢性ロス対策とゼロ化に向けた展開法を指南。「展開の12ステップ」を中心に活動徹底の勘どころを整理した。

公益社団法人日本プラントメンテナンス協会  著者プロフィール

公益社団法人日本プラントメンテナンス協会(JIPM)は、1969年に(社)日本能率協会(JMA)内に「日本プラントエンジニア協会(JIPE)」を置き、設備管理手法の普及を開始。1971年TPMを提唱。1981年に通産省(現・経済産業省)の認可を受け、「社団法人」化。設備管理に関する調査・研究、資格認定、TPMの普及など公益に資する団体として社団法人日本プラントメンテナンス協会が発足。TPMの普及を、国内を中心に行い、TPMによる大きな成果を生んだ事業場に対し、1964年よりTPM賞審査表彰制度を設け、2017年までで国内外を含め約3,500事業場を審査表彰。日本能率協会(JMA)グループに属し、2012年に「公益社団法人」化した。

執筆者代表
市川 章
(いちかわ あきら)
1973年、大学(電気工学専攻)を卒業し、民間企業の生産技術、保全業務の経験を経て、1986年にJIPMにTPMコンサルタントとして入職。専門は電気工学、システム制御、TPM全般。多くのコンサルティングを担当し、JIPM技術系本部長を歴任。2005年よりTPM優秀賞審査員。TPM、ISOに関する著書、論文を多数執筆。現在、JIPM主幹研究員としてTPM普及に従事。ISO審査も行い、ISOにも精通している。

目次

第1章  TPM 基本のキ!
1 TPMって何だろう
・TPMってどんなことをする活動で、狙いは何か
・TPMと他の活動の違いとモノづくりの基本
・保全とは何だろう
・TPMの生い立ち
・保全の目的と保全の手段
・大量生産から少量多品種の時代へ そしてPMからTPMへ
・改めてTPMとは
・TPMの定義から見るTPMの本質
2 TPMの構造とターゲット
・生産効率を阻害するロス
・ロスの種類と定義
・設備の実力を測ろう 設備総合効率を計算する
・設備総合効率の計算の仕方
・装置/プラントのロス
3 慢性ロス対策の進め方
・突発ロスと慢性ロス
・慢性ロスがなぜなくならないか
・慢性ロスの背景
・慢性ロスの原因構造
・実際の進め方① 従来と異なるアプローチ
・実際の進め方② 隠された欠陥を見つけ出す
・実際の進め方③ 微欠陥に対する考え方

第2章  TPM活動を推進する前準備
1 故障ゼロへの挑戦
・故障・不良の多い設備(工場)の実態
・2つの故障
・劣化の種類
・故障ゼロの基本的な考え方
・故障ゼロのための原則
・2つの潜在欠陥
・潜在欠陥を顕在化する方法〜清掃
・故障ゼロへの4つのフェーズ展開
・故障ゼロへの5つの対策
・運転と保全の両輪体制
2 TPM導入準備
・TPM展開の全体の流れ
・TPM展開の12ステップ 準備編① トップの宣言と導入教育
・TPM展開の12ステップ 準備編② TPM推進組織の構築
・TPM展開の12ステップ 準備編③ 職制によるモデル設備での実践
・TPM展開の12ステップ 準備編④ 基本方針と目標の設定
・TPM展開の12ステップ 準備編⑤ マスタープランの作成
3 TPM実践 成功のポイント
・TPM展開の12ステップ 導入編① TPMのキックオフ
・TPM展開の12ステップ 導入編② 成功に向けたヒント
4 TPM賞へのチャレンジ
・TPM賞について
・TPM賞審査の手順
・TPM賞受審要件

第3章  現場に、経営に根づくTPM実践活動
1 生産効率化に向けた体制づくり
・実践に際して心がけておくべきこと
・個別改善活動① 現在発生しているロスをつぶす
・個別改善活動② 具体的な進め方
2 自主保全を展開する基本的な考え方
・自主保全が必要となった背景
・設備に強いオペレーター
・設備のあるべき姿の追求
・職制モデルと診断の仕組み
3 自主保全活動を成功に導く4つのステップ
・第1ステップ 初期清掃① 故障ゼロ 初めの一歩
・第1ステップ 初期清掃② 初期清掃における不具合の摘出と対策
・第1ステップ 初期清掃③ 初期清掃のアウトプット
・第2ステップ 発生源・困難箇所対策① 基本的な考え方
・第2ステップ 発生源・困難箇所対策② 具体的な改善ポイント
・第3ステップ 清掃給油点検仮基準書の作成① 
 効果維持のための基準づくり
・第3ステップ 清掃給油点検仮基準書の作成② 
 清掃・給油仮基準の作成要領
・第4ステップ 総点検① 自主管理能力を高める
・第4ステップ 総点検② 1人ひとりの行動に変化をもたらす教育
・第4ステップ 総点検③ 復元・歯止めの進め方
4 自主保全活動の活性化策
・活動板とミーティングの展開
・ワンポイントレッスンで要領良く伝える
5 計画保全活動
・計画保全の狙い
・故障ゼロ化活動
6 教育訓練活動
・教育訓練の基本的な考え方
・教育訓練活動の進め方
7 初期管理活動
・初期管理活動の考え方
・MP設計の考え方
8 品質保全活動
・品質保全展開の考え方
・品質保全の進め方
9 事務間接部門の効率化活動
・事務間接部門のTPMの狙い
10 安全衛生と環境活動
・安全活動の狙い
・環境活動の狙い


人間であることの放棄?
禁句集の奨め
今さら、見える化?

参考文献
索 引

はじめに

 この本は、これから初めてTPMを導入しようとする企業、あるいはすでにTPMは経験しているけれども、もう一度TPMをしっかりと理解したいと考えている方を対象にしています。特に、現場を預かる管理者やリーダーの方々を想定しています。もちろん、経営者の方にもマネジメントの視点で役立つ内容になっていることと思います。

 TPMが誕生したのは、1971年でした。当時の日本は、激動の時代と言われたように、日本がまさに国際舞台に躍り出ようとしていた時期でもありました。1960年代は、消費者はとにかくモノを欲しがった時代でした。そのため当時の生産体制は、同じものをたくさんつくるという大量生産の時代でした。

 しかし、モノが国民に行きわたった後は、多くの国民の欲求は個性を追求する嗜好に変化し、それが少量多品種の生産に切り替わってきたのが1960年代後半でした。そのことがTPMの誕生につながりました。つまり、災害ゼロは当然であることに加え、不良や故障も許されなくなったのです。少量多品種の生産の中にあって、不良や故障の発生は即、納期に影響します。それを避けるために、在庫を多く持つというような悪循環になってしまいます。そのような事態に陥らないためにも、生産において不良や故障をゼロにするという考えが生まれ、それがTPMにつながっていきました。

 そんな背景を持つTPMですが、根底にある考えは「人が主役」であるという点です。企業の収益性を上げるために、働いている人を犠牲にするような経営の考えはTPMにはありません。生産性や効率を上げるために、人を犠牲にすることが許されてはなりません。やらなくとも良いことを人にやらせているのが問題であり、TPMはそのやらなくても良いことをしなくても済む、やるべきことを確実に行えるように人の考えや行動を変えていくことがTPMなのです。

 TPMには、他の活動体には見られない、TPMならではの特徴があります。詳しくは、本書の中で触れますが、特にこれまでの活動と大きく異なるのは“ゼロを追求する活動”であることと、“例外をつくらない活動”を挙げることができます。災害ゼロ、不良ゼロ、故障ゼロが実現された姿をイメージしてみてください。決して夢物語ではない姿を、自分たちの手で実現することができるのです。そのためにも、この本を通じてTPMを正しく理解することに努めてくれることを期待します。

 TPM活動は、人を育て人を活かすことで、企業の体力をつけていくことを願っています。人が主役の活動ですから、1人ひとりが活動を通じて成長していけるように組み立てられています。

 このことを意識して、本書では活動の順番を考慮して基礎知識、準備・段取り、実務作業の3つの章に分けて、実際の活動がイメージできるように構成されています。

 TPMは本来、誰もができる活動です。「やさしいことを、やさしく」をモットーに解説を心がけてきました。読者諸氏にとって、これからの活動に少しでも生かせることがあれば、望外の喜びであります。

 本書の制作に当たり、出版に至るまで執筆の遅れにも忍耐強く待っていただいたと同時に、多くの助言をいただいた日刊工業新聞社書籍編集部の矢島俊克氏に深く感謝します。そして、何よりも家族の皆にプライベートの時間もほとんど相手にできず、多くの我慢を強いてきたことに詫びるとともに、ただただ感謝したい。

 なお、TPMの商標、ロゴマークは、日本およびその他の国における当会の登録商標または商標です。

2018年10月
執筆者を代表して 市川 章

買い物かごへ