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ムダをなくして利益を生み出す
食品工場の生産管理
第2版

定価(税込)  2,160円

著者
サイズ A5判
ページ数 224頁
ISBNコード 978-4-526-07881-1
コード C3034
発行月 2018年09月
ジャンル 生産管理

内容

食品製造業の生産性は、製造業平均の約60%しかない。それは電機、組立などの分野に比べ、生産管理のノウハウが遅れているからだ。そこで本書は、衛生面の管理など食品製造業ならではの厳しい環境の中で、いかに生産効率を上げ、利益をだしていくかを事例をあげながら解説する。

弘中泰雅  著者プロフィール

(ひろなか やすまさ)
テクノバ株式会社 代表取締役
www.technova.ne.jp mailbox@technova.ne.jp

経歴
1976年 鹿児島大学大学院水産研究科修了
    農学博士(九州大学)、中堅食品企業にて研究室長、製造課長等歴任 
    船井電機にて食品課長、電化事業部技術部次長(技術責任者)
    世界初の家庭用製パン器の開発に携わる 功績により社長表彰
2000年 テクノバ株式会社設立 生産管理ソフト「アドリブ」開発
    食品工場等の指導多数 ISO22000審査業務
2017年 農林水産省 食品産業戦略会議 専門委員
2018年 農林水産省 食品産業生産性向上フォーラム 企画検討委員長
受賞歴 ベストITサポーター賞(近畿経済産業局長)受賞
    日本生産管理学会賞受賞 日本穀物科学会賞受賞
所属学会 日本生産管理学会 理事、標準化研究学会、日本食品科学工学会、日本穀物科学研究会理事 食品産業研究会主宰
主な執筆 よくわかる「異常管理」の本(日刊工業新聞社、2011)、ムダをなくして利益を生み出す 食品工場の生産管理(日刊工業新聞社、2011)、生産性向上と顧客満足を実現する 食品工場の品質管理(日刊工業新聞社、2012)、モノと人の流れを改善し生産性を向上させる!食品工場の工程管理(日刊工業新聞社、2013)、食品工場の経営改革 こうやれば儲かりまっせ!(光琳、2013)、“後工程はお客様”で生産効率をあげる! 食品工場のトヨタ生産方式(日刊工業新聞社 2015)、“ムダに気づく”人つくり・しくみつくり 食品工場の生産性2倍(日刊工業新聞社 2016)、月刊食品工場長(日本食糧新聞社)、食品工業(光琳)等 学会誌技術誌多数

目次

第2版へのまえがき
まえがき

第1章 食品工場の生産性が低い理由
1「食品工場」とは?「生産性」とは?
2 食品製造業の生産性の今
3 なぜ、食品製造業は生産性が低いのか
4 技術的進歩を含む指標としての全要素生産性(TFP)
5 食品工場の生産性の実態
6 食品製造業の事業所規模分析
7 食品製造業事業所規模の評価

第2章 食品工場における管理
広い意味での生産管理
1 生産管理
2 生産管理の歴史
3 生産計画は食品工場生産性向上の鍵
4 工程管理
5 購買管理
6 食品の在庫管理
7 食品企業の管理会計
8 ヒューマンマネジメント

第3章 食品工場の生産性向上の手法
これが生産性向上の鍵
1 食品工場の生産性向上の方法論
2 食品工場における分業化の必要性 一人完結型作業からの脱却
3 標準化・ISO9000/ISO14000/ISO22000 作業標準化は食品工場の生産性向上の原点
4 食品工場の5S(7S)+1S
5 QC七つ道具 食品工場でも活用できる
6 QC七つ道具を利用した原因の発見例
7 食品工場における目で見る管理
8 食品工場におけるライン化・流れ作業方式
9 IEとORの食品工場での活用
10 かんばん方式とJIT
11 食品工場における 無駄・平準化
12 あんどん方式
13 食品生産のスケジュール
14 IT 食品製造業向け生産管理ソフト
15 設備管理・TPMと食品工場

第4章 キーポイントですぐできる実践事例
1 先進的製造業と水産加工業の生産実態にはこれだけ差がある
(電子基板ラインと水産加工ライン)
2 一人完結作業から分業化・コンベアによるライン化へ
(中規模水産加工場)
3 作業の分業とライン化、標準化、一気通貫生産・同期化
(大規模洋生菓子工場)
4 ステータスクオ 生産スケジュールの改善(小規模パン工場)
5 スケジューラを導入してみる(中規模パン工場)
6 ジョンソン法(生産順序) をやってみる こんにゃく工場
7 レイアウト・生産整流化と作業のムダ・IE
8 仕事量と労働力の投入を考える(大規模パン工場)
9 おみこしの理論 ライン間の仕事量の調整
10 阿弥陀くじ生産はダメ
11 生産管理ソフトによる仕事量と労働量の調整(冷凍生地工場)
12 座り作業からライン作業のその後
13 すし工場の鯖の前処理
14 箱詰め包装仕分け作業の効率化
15 工場レイアウトの検証
16 工場事例のまとめ  これだけやれば生産性は向上する

コラム  『食品製造業で豊かに』

あとがき
参考文献


はじめに

第2版のまえがき

 本書の初版1刷は2011年に発刊されました。皆様から多くのご支持をその後7年間に渡って頂くことによって6刷まで発刊することができました。ここに読者の皆様のこれまでのご支援に御礼を申し上げます。またそろそろ7刷を発刊する時期ですが、以下の理由もあり7刷ではなく改訂版にすることに決め、第2版として本書をお届けしたいと思います。
 第2版とした理由の1つは、本著初版の第1章には日本の食品製造業の状況を統計資料で分析して載せていますが、2008年のリーマンショックや2011年の東北大震災など日本経済や社会に影響する大きな出来事が起こり、食品製造業を取り巻く環境が大きく変化したにも関わらず、統計の数値の公表は数年遅れるためにそれらの変化を2011年発刊の初版には反映することができなかったからです。そのために昨今の食品製造業の状況を改めて分析し現す必要をずっと感じていた事。
 もう1つは30兆円の規模を誇る食品製造業の所管である農林水産省の食料産業局の現在の食品製造課は、以前は食品製造卸売課で食品製造業と食品流通業の両方を取り扱う課でしたが、平成27年10月から食品流通課と食品製造課に分けられて食品製造業の規模と実態に近い体制になりました。食品製造業の所管官庁である農林水産省の対象産業の実態はこれまではいわゆる農業や水産業などの第1次産業でしたが、その農林水産省が初めて本格的に第2次産業である食品製造業に注力し始めた記念すべき時期だからです。
 農林水産省の食品製造業に対する具体的な方針は平成29年度からの食品産業戦略会議でまとめられた「食品産業戦略 食品産業の2020年代ビジョン」で発表されました。平成30年3月から全国の9箇所で開催される食品産業生産性向上フォーラムなどの食品産業への取り組みに見られるように、食品製造業をはじめとし、食品産業振興への政策がとられることになりました。また平成30年度には食品産業イノベーション推進事業も始まりました。これには革新的技術活用実証事業ならびに業種別業務最適化実証事業が含まれます。これらの事業の効果を確認しより良い方策を練るためにも、関係者が正しい食品製造業の状況を認識することは極めて大切だと考えています。その目的のために本改定版ではできるだけ新しい食品製造業の現状分析を載せることにした訳です。
 もう一つの大きな変更は以前の初版には品質管理の領域を記載していましたが、その後品質管理に特化した「食品工場の品質管理」を発行したので、本著にその領域の記述が必要なくなりそれを削除しました。その分食品製造業の分析や事例の充実を行ないました。特に初版で紹介した工場のその後の変化も書き加えました。企業は継続して発展する必要があり、社員、工場がいかに変っていくかがその企業・産業の栄枯盛衰に関わるからです。加えて幾つかの事例も追加しました。
 一言に食品製造業といっても各業種の生産性の変化は異なります。例えば同じパン・菓子製造業の中でも、ここ10年間でパン製造業の生産性は相当に向上しています。これに反して生菓子製造業は生産性が漸次後退しています。よく食品製造業とひとくくりにされますが、各々の食品製造業の分野での革新や努力の程度によって各々の生産性の増減は異なります。各自、各社、各業界の生産性向上への取り組みがその業界の生産性向上の差になって現れます。本書が各社各業界の皆様の生産性向上活動に少しでも役立てば幸甚です。

2018年9月
奈良の寓居にて    弘中 泰雅 



まえがき

 「生産性を上げたいが、どうしても思い通りに行かない」、「生産性を上げることで、なんとか残業時間を削減したい」。
 そんなことを考えている食品工場が多いのではないでしょうか。一般的な製造業の工場に比べ、食品工場の生産性は低いと言われます。その原因は何でしょうか。そしてどうすればその生産性は向上するのでしょうか。これが以前から私が考えてきたことであり、この本のテーマです。
 私は、大学院修了後、食品企業に就職し、その会社で食品の研究や製造に関する仕事に10余年従事しましたが、この間、食品製造業の生産性が極めて低いことを実感し、食品工場の生産がもっと合理的に行えないかと思考し始めました。当時思い切ってZ-80マシンを買い、簡単なプログラムを作成するなどして、何とか生産性の向上を図れないかと考えていました。今から思えば素人としてはかなり早い時期に、MRPの真似事のようなことをしていたのです。
 その後世界初の家庭用製パン器の開発に参加するために、船井電機⑭に入社しました。当時の船井電機は、トヨタ生産システム(TPS)を源流とする、船井生産システム(FPS)に取り組んでいましたが、食品企業しか知らない私には、FPSの考え方がよく理解できず、国内外の工場に何度も足を運び、実際の生産システムを体験しました。また、部品メーカーなど多くの工場を視察し、徐々にFPSの考え方や生産システムの重要性を理解していったのです。そしてこれを理解すればするほど、「食品製造業の生産性はなぜ低いのか」ということを、再び考えるようになりました。
 食品製造業の生産性は、製造業平均の約60%しかありません。なぜ電機製造業の生産性は高いのか、食品製造業と電機製造業の生産性の差はどこにあるのか。色々なことを考えました。
 そして気づいたのが食品製造業には、生産管理に関するノウハウが不足しているということです。つまり今こそ、食品工場を対象とした生産管理の本が必要なのです。もちろん、既に生産管理の書籍は、たくさん出版されていますが、多くのものは機械工場を対象としています。食品製造業を対象としたものは見当たりません。読者諸兄にとっても、機械製造業を対象とする生産管理の本には違和感があるでしょうし、事例なども食品工場と余りにも違いすぎ、参考にならないように感じられていると思います。
 そのような事情のためか、「食品工場向けの生産管理の本を探したが、見つからないので、(私が)以前業界誌に連載していた、生産管理の記事の別刷りを送付して欲しい」とのメールなどが時々来ます。食品系の大学などでも生産管理の講義があるところは稀です。またそのような目的に使える教科書も無いようです。食品製造業は製造業中、従事者数最大の主要な製造業ですから、生産管理の知識は間違いなく必要ですが、その為には食品製造業向けの生産管理の教科書がなければなりません。
 生産性向上には熱意が必要ですが、熱意だけでは生産性は上がりません。そこには知識が不可欠なのです。そこで本書では、食品製造業に必要な生産管理の知識と考え方、生産管理の基本的原理に、食品工場に必要な食品安全や管理会計、さらに私が関わった食品工場の多くの改善事例を加えてまとめました。
 現在の厳しい経済下で、最大の従事者数が勤務する日本の食品製造業が、今後も生き残り、さらに継続的発展を遂げるためには、生産性の向上が絶対に必要です。食品工場の生産性向上なくして、食品企業に勤務される皆さんの生活の向上もないと思います。本書をきっかけに、生産性の向上を目指す食品工場が少しでも増え、かつ効果が上がればこれにまさる幸せはありません。

2011年8月
奈良の寓居にて    弘中 泰雅 

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