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あたらしいアンチエイジングスキンケア
食事、入浴、運動、睡眠からのアプローチ

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 152頁
ISBNコード 978-4-526-07875-0
コード C3050
発行月 2018年09月
ジャンル その他 化学

内容

「肌を健やかにする」ことで健康的で、若々しく、魅力的な印象を手に入れる、そのための手段がスキンケアである。これまで多くのスキンケア製品が開発されてきたが、美容意識の高まりとともに、多様なアプローチが行われるようになってきた。本書では、最新の研究成果をふまえ、食事、運動、睡眠などが肌の老化とどのように関係しているか、科学的根拠をもとに解説する。

江連智暢  著者プロフィール

(えづれ とものぶ)
株式会社資生堂 ライフサイエンス研究センター主任研究員
1990年4月入社。入社以来一貫してアンチエイジング領域の研究開発に従事。皮膚科学研究を基点に体系的なアンチエイジング理論を生み出し、多くの主力製品を開発。化粧品技術者の世界大会(IFSCC)で世界初の2大会連続で最優秀賞を獲得したほか、皮膚科学の国際学会、日本美容皮膚科学会、日本結合組織学会などの専門学会でも受賞。日本粧業会から功労賞を受賞。同社の研究開発の最先端で活動中。博士(農学)。著書:『顔の老化のメカニズム たるみとシワの仕組みを解明する』(日刊工業新聞社 2017)、『周りはあなたの老化に気づいています「他人目線」でたるみケア』(講談社 2017)

目次

はじめに

第1章 顔の老化の実態とスキンケアの現状
1-1 顔の老化の実態
1)たるみ/ 2)シワ
1-2 皮膚の機能と構造
1)皮膚の機能/ 2)皮膚の構造
1-3 顔の老化のメカニズム
1)顔の老化の要因:従来の知見/ 2)顔の老化の要因:新たな知見
1-4 アンチエイジングスキンケア
1)従来のアンチエイジングスキンケア/ 2)新たなアンチエイジングスキンケア

第2章 食事
2-1 タンパク質(Protein)
2-1-1 栄養素としてのタンパク質
1)タンパク質とは/ 2)タンパク質の吸収 / 3)タンパク質の摂取量
2-1-2 機能性タンパク質、機能性ペプチド、機能性アミノ酸
1)機能性タンパク質/ 2)機能性ペプチド / 3)機能性アミノ酸
2-2 脂質(Lipid)
2-2-1 栄養素としての脂質
1)脂質とは/ 2)脂質の摂取量/ 3)脂質の吸収/ 4)脂肪の貯蔵/ 5)脂質の分解
2-2-2 脂質の新たな機能
1)オメガ脂肪酸(ω脂肪酸)/ 2)中鎖脂肪酸/ 3)短鎖脂肪酸 / 4)トランス脂肪酸 / 5)共役リノール酸
2-2-3 脂質の吸収を抑えるには
1)脂肪の吸収阻害 / 2)脂肪代替食品/ 3)吸収、代謝経路の異なる脂質/ 4)脂肪の炭水化物への置換
2-3 炭水化物(Carbohydrate)
2-3-1 栄養素としての炭水化物
1)炭水化物とは/ 2)炭水化物の吸収/ 3)炭水化物の摂取量
2-3-2 炭水化物の新たな機能
1)食物繊維とは / 2)レジスタントスターチ
2-3-3 炭水化物の吸収を抑えるには
1)糖質の分解の阻害/ 2)糖質の吸収の阻害
2-4 保健機能食品
2-4-1 保健機能食品とは
1)特定保健用食品/ 2)栄養機能食品 / 3)機能性表示食品

第3章 入浴
3-1 成分的効果
1)皮膚表面への効果 / 2)肌内部への効果/ 3)温泉の効果
3-2 物理的効果
1)圧力、浮力 / 2)ヒートショックプロテイン / 3)温度センサー / 4)脂肪組織への影響/ 5)入浴の皮膚への効果
3-3 心理的効果

第4章 運動
4-1 エクササイズ
1)エクササイズとは/ 2)骨格筋/ 3)エクササイズの種類 / 4)マイオカイン / 5)脂肪組織/ 6)骨組織 / 7)カロリー制限 / 8)エピゲノム / 9)エクササイズの皮膚への効果
4-2 マッサージ
1)マッサージとは / 2)マッサージが細胞に与える影響 / 3)感覚受容器によるマッサージ刺激のセンシング / 4)マッサージ刺激の伝達 / 5)マッサージ刺激がホルモン分泌に及ぼす影響 / 6)マッサージの皮膚への効果
4-3 ストレッチ
1)ストレッチとは / 2)急激なストレッチに対する反応 / 3)ゆっくりとしたストレッチに対する反応 / 4)ストレッチの皮膚への効果

第5章 睡眠
5-1 睡眠と身体の状態
1)睡眠の種類 / 2)睡眠とホルモン / 3)睡眠と肥満 / 4)老化と睡眠 / 5)睡眠と皮膚
5-2 良質な睡眠をとるには
1)生活習慣からのアプローチ / 2)成分によるアプローチ
5-3 サーカディアンリズム(概日リズム)
1)サーカディアンリズムと体内時計/ 2)体内時計の変調/ 3)睡眠と体内時計/ 4)時計遺伝子/ 5)体内時計の調節 / 6)体内時計と皮膚

参考図書・引用文献
索 引

はじめに

 皮膚は見た目の印象を決める重要な組織です。明るく、潤いのある「健やかな皮膚」は、健康的な若々しい印象を与えます。暗く、荒れた皮膚は不健康な印象を与えます。皮膚はまた、体を外側から包み込み、体の形を維持しています。そのため、加齢や紫外線などの影響で、皮膚の状態が悪化すると、体の形を保てなくなります。頬はたるみ、顔の輪郭は曖昧になり、シワも深く刻まれて、老けた印象を与えます。このように、皮膚はその状態により、見た目の印象を大きく左右しています。
 「皮膚を健やかにする」ことで健康的で、若々しく、魅力的な印象を手に入れる、そのための手段が「スキンケア」です。これまで多くのスキンケア製品が開発されてきました。皮膚に潤いを与える化粧水、潤いを保つ乳液やクリームなどです。それらは女性の皮膚を美しくすることに、大きく貢献してきました。
 科学が発展するとともに、皮膚に関して様々な発見が行われ、それをもとに様々な成分が開発されて、スキンケア製品は大きく進化してきました。これに関しては「顔の老化のメカニズム たるみとシワの仕組みを解明する」(日刊工業新聞社  2017)に詳細に記載させていただきました。
 最近では美容意識の高まりとともに、皮膚に対する様々なアプローチが行われるようになってきました。そのため、スキンケアはもはや皮膚に直接乳液やクリームを塗るだけではなく、大きな広がりを見せています。
 一方で、こうした新たなスキンケアの情報は、メディアに溢れ、本質的な情報を得ることがかえって難しくなっています。また、何を、どのように実施すれば効果的なのか、科学的にしっかりとした根拠を知るには、専門分野の論文をひもとく必要があります。情報が断片的で、全体像が見えにくい、といった声も聞かれます。そのため、この新たなスキンケアについて、わかりやすく解説した体系的な書籍が必要と感じていました。
 著者は、アンチエイジングスキンケアが発展する前から、この領域に携わってきました。研究を始めた頃、シワや皮膚のたるみ等の定義も曖昧で、評価法を設定するところから始める必要がありました。そして皮膚の物理的な性質(弾力や柔かさ)や、皮膚を構成している物質(コラーゲンやヒアルロン酸)の状態を様々な方法で計測し、たるみやシワの原因を明らかにしてきました。さらに、明らかになった原因に対して色々なアプローチを行い、たるみやシワの改善効果を検討してきました。その中で日々アップデートされる最近の皮膚への多様なアプローチに関して、研究開発の最前線で様々な角度から検証を続けてきました。このような知識と経験を基に、大きな広がりを見せるアンチエイジングスキンケアを、お伝えしたいと考えていました。
 研究開発を進める中で、見た目の老化は、「肥満」や「不活動」等により進行することを、明らかにしてきました。また「糖化」が見た目の老化に関係することもわかってきました。これらは「生活習慣病」と共通した原因です。そのため見た目の老化は、「生活習慣病的な現象」と捉えることができます。見た目の老化は、病気ではありませんが、本人の精神的な満足度を、著しく低下させる場合もあります。また、このような考え方をすることで、見た目の老化を防ぐための糸口が見えてきます。その糸口とは、「生活習慣」です。
 「食事」「入浴」「運動」「睡眠」といった生活習慣は、見た目の老化の進行に密接に関連しています。そのため、これら生活習慣の質を改善することは、見た目の老化のリスクを減らすことに繋がります。また最近では、生活習慣に関する研究が発展し、心身の状態を大きく改善し得る多くの発見がなされています。そのため生活習慣は、アンチエイジングスキンケアの重要な基点となってきました。本書では、このような広がりを見せる、アンチエイジングスキンケアの世界をお伝えしていきます。
 スキンケアは多くの方が興味を持つ領域です。本書では、研究開発に限らず、広く化粧品・美容に携わる方々にもご理解いただけるよう、できるだけわかりやすい文章で記載しました。また、正確な情報を伝えるためにも、科学的な根拠を示す出典を詳細に記載しています。
 また本書では、広がりを見せるスキンケアのアプローチについて、「皮膚を健やかにすることで、若々しく、魅力的な印象を手に入れる」、という共通の目標に向かって解説していきます。そのためにはまず皮膚について知る必要があります。第1章では皮膚について必要な知識をまとめました。また皮膚老化についても概説しています。この知識を基に、第2章以後に進んでいただくことで、それぞれが目指すことや、必要性をしっかりと理解できると思います。また必要に応じて、第1章に戻って確認できるように、その都度、関連項目等を記載しました。第2章以後では、スキンケアの新たなアプローチを、詳細に解説しています。できるだけ多くの図版を用いて、広範囲な知見も、感覚的に捉えやすいようにしています。
 本書は多様な広がりを見せるアンチエイジングスキンケアの世界にフォーカスした内容です。一方で著者の前著「顔の老化のメカニズム たるみとシワの仕組みを解明する」は老化の原因にフォーカスした内容です。新たなスキンケアの必要性、必然性をより詳しく知りたい方は、「顔の老化のメカニズム」をご参照いただければと思います。
 本書が、皆様のスキンケアへの興味や理解を深めること、新たなスキンケアを実践すること、さらにはより有用なスキンケアを探索することの一助になれば、この上ない喜びです。

2018年8月
江連 智暢

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