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わかる!使える!研削加工入門
<基礎知識><段取り><実作業>

定価(税込)  1,944円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07877-4
コード C3053
発行月 2018年09月
ジャンル 機械

内容

研削加工は、鋼製部品などの仕上げに用いられるが、その作業は、熟練技能を要するほど難しい加工。本書は、経験の浅い作業者にも理解しやすいようにとイラストを多く用いながら、研削加工の基礎知識から準備作業、実作業までわかりやすく解説する。

海野邦昭  著者プロフィール

(うんの くにあき)
基盤加工技術研究所代表
職業能力開発総合大学校名誉教授
工学博士(東京大学)

1944年 東京生まれ
職業訓練大学校機械科卒業。
精密工学会名誉会員、同フェロー。精密工学会理事。砥粒加工学会理事。
セラミックス加工研究会を設立し、幹事。
ILOトリノセンタアドバイザ、技能検定委員、技能五輪全国競技大会フライス盤競技委員、同大会競技委員長などを歴任

主な著書
「絵とき『研削加工』基礎のきそ」日刊工業新聞社(2006年)
「絵とき『切削加工』基礎のきそ」日刊工業新聞社(2006年)
「絵とき『研削の実務』-作業の勘どころとトラブル対策-」日刊工業新聞社(2007年)
「絵とき『難研削材加工』基礎のきそ」日刊工業新聞社(2008年)
「絵とき『治具・取付具』基礎のきそ」日刊工業新聞社(2008年)
「絵とき『穴あけ加工』基礎のきそ」日刊工業新聞社(2009年)
「絵とき『切削油剤』基礎のきそ」日刊工業新聞社(2009年)
「絵とき『工具研削』基礎のきそ」日刊工業新聞社(2010年)
「トコトンやさしい切削加工の本」日刊工業新聞社(2010年)
「絵とき 機械用語事典『切削加工編』」日刊工業新聞社(2012年)
「トコトンやさしい金属加工の本」日刊工業新聞社(2013年)
他多数。

目次

はじめに

第1章  これだけは知っておきたい 研削加工の基礎
1 研削加工とその様式
・研削加工と研削砥石
・自動車産業を支える研削加工
・研削加工のいろいろ
・平面研削盤と平面研削
・円筒(万能)研削盤と各種研削加工
・内面研削盤と内面研削
・心なし(センタレス)研削盤とその加工
・研削盤による研削切断
2 研削時に発生する現象と基礎理論
・切削と研削の違い
・研削時の工作物の変形
・研削温度と工作物の熱的損傷
・接触弧の長さと研削焼け
・ビビリマークとスクラッチ
・目こぼれ・目つぶれ・目づまり
・研削時に砥粒に作用する力と研削形態
・平均切りくず断面積と砥粒に作用する力
・砥粒間隔と有効切れ刃間隔
・高切り込み・低速研削と低切り込み・高速送り研削
・研削時の作用硬さとは
・目つぶれ形研削と研削現象
・目こぼれ形研削と研削現象
・最大砥粒切り込み深さ
・硬脆材料の臨界押し込み深さ
・延性モード研削と脆性モード研削

第2章  研削加工の準備・段取りを始めよう!
1 研削砥石とその選択
・研削砥石の内容の表示
・代表的な研削砥石の形状と縁形
・超砥粒ホイールの仕様の表示
・砥粒の種類とその選択
・粒度とその選択
・各種研削方法と推奨研削砥石
・結合度とその選択
・組織とその選択
・結合剤の種類とその選択
・最高使用周速度
2 研削砥石の取り付けとバランス調整
・研削砥石の取り扱い
・フランジとその選択
・フランジのチェックと誤った使用
・研削砥石のキズのチェックと打音試験
3 ツルーイング・ドレッシング
・ツルーイング・ドレッシングとその工具
・砥粒を用いる方法
・ダイヤモンド工具を用いる方法
・金属を用いる方法
・非接触による方法
4 研削油剤の選択と取り扱い
・研削油剤の種類とその働き
・研削油剤とその選択
・水溶性研削油剤の希釈と濃度
・水溶性研削油剤の劣化と腐敗
・研削油剤の管理と健康問題
・研削油剤の供給方法
5 作業目的に合った研削条件設定の目安
・研削条件が研削性能に及ぼす影響
・研削条件設定の目安(その1)
・研削条件設定の目安(その2)
・各種研削作業における推奨CBNホイールと研削条件の目安
・各種研削作業における
 推奨ダイヤモンドホイールと研削条件の目安(その1)
・各種研削作業における
 推奨ダイヤモンドホイールと研削条件の目安(その2)

第3章  実作業のポイントを押さえておこう!
1 安全作業のポイント
・研削作業にあたって守るべきこと
・研削作業ですべきこと・してはいけないこと
2 平面研削作業のポイント
・研削砥石のフランジへの取り付けとバランス調整
・研削砥石の主軸への取り付けとツルーイング・ドレッシング
・各種工作物の電磁チャックへの取り付け方法
・平面研削盤の動作確認と暖機運転
・電磁チャック面の検査と修正
・工作物(平行台)の取り付け
・平行台の平面研削と反り取り
・平行台の直角出しと寸法仕上げ
・六面体の研削(直角出し)
・ます形ブロックとサインバーを用いた角度の研削
3 円筒研削作業のポイント
・研削砥石のフランジへの取り付けとバランス調整
・研削砥石の研削盤砥石軸への取り付け
・円筒研削盤の動作確認と暖機運転
・単石ダイヤモンドドレッサによるツルーイング・ドレッシング
・両センタによる工作物の取り付け
・テーブルストローク長さとタリー時間の調整
・マンドレルの研削
・テストバーのテーパ研削
・円筒スコヤの研削

コラム
・次世代への研削加工技術・技能の継承
・エンジニアリング・テクノロジストを目指して

・参考文献および引用箇所
・索 引

はじめに

 工作物を研磨し、研削するという技術は、狩猟時代の打製石器から磨製石器に至る過程で進歩しました。打製石器で土を掘っていたら、その先端が磨かれて光沢面になったのに気がつき、ラッピング技術が生まれたといわれています。皆さんも、シャベルで土を掘っていると、その先端が滑らかになることをご存知だと思います。このことに最初に気がついた人は素晴らしいですね。また当時の人は、急流の川の中で石が転がり、磨かれて丸くなるのを知っていました。このような経験や、硬い石と柔らかい石を摺り合わせていたら、光沢面となることを知り、砥石による研磨技術を開発し、磨製石器を製作していたと思われます。これは、固定砥粒を用いた研磨技術です。

 研磨技術を用いた磨製石器の進歩に伴い、農耕技術も発展し、人々の生活は豊かになりました。すなわち打製石器による狩猟時代から、磨製石器による農耕時代へ移行し、定住生活が始まりました。このように研磨技術の発展は人間の生活に顕著な影響を及ぼしたのです。その後の金属の発見により、銅器や鉄器が作られ、とりわけ装飾品や武器などの製作に必要な技術として研磨技術の重要性が認識され、その加工技術はますます発展しました。日本でも博物館などに行くと、古い時代の刀剣や包丁などの刃物の素晴らしい研磨技術を見ることができるでしょう。
 
 近代的な研削加工が始まったのは産業革命後で、工具の加工に用いられたといわれています。それから汎用機を用いた研削技術が進歩し、モノづくり産業の基盤技術として近代的な産業の発展に寄与しました。その後、コンピュータ技術の発展に伴い、数値制御(NC)工作機械が製作され、大量生産の時代に至ります。とりわけコンピュータ制御された研削盤の発展に伴い、精密研削技術は自動車、軸受、金型および半導体産業などの基盤加工技術となり、現在も日本の産業を支えています。
 
 しかしながらここで留意すべきことは、NC工作機械も道具だということです。工作機械はマシンツールで機械化された工具で、それを使いこなすのは人です。NC研削盤もソフトがなければただの箱で、そのソフトを作るのは、汎用機で培った知識や経験を有する熟練技能者であり、技術と技能を兼ね備えたエンジニアリング・テクノロジストです。単にNC研削盤を操作するだけの人はオペレータで、技能者ではありません。皆さんには、是非とも、機械操作とともにソフトが作れる技能者になっていただきたいと思っております。習得した技術や技能は、皆さんの一生の財産になるでしょう。
 
 そこで本書では、研削加工の基礎となる知識や研削加工時に発生する現象を、経験の浅い作業者にも、できるだけわかりやすく図表を用いて解説しました。また実作業に必要な研削砥石の選択、砥石とフランジの取り扱い、ツルーイング・ドレッシング、研削油剤の選択とその取り扱い、および作業目的に見合った研削条件の目安などについても平易に述べています。
 
 しかしながら研削加工といっても多くの種類がありますが、本書では基本となる横軸平面研削盤と円筒研削盤に限定し、その研削作業の主な手順を多くの絵や写真を用いてわかりやすく説明することにしました。 
 
最後に、本書の執筆にあたり、貴重な機会を与えていただいた日刊工業新聞社の原田英典氏、企画や編集作業などで助言をいただいたエム編集事務所の飯嶋光雄氏に厚く御礼申し上げます。 
 
また貴重な資料をご提供いただいた理化学研究所主任研究員の大森整氏、ものつくり大学名誉教授の東江真一氏、日刊工業新聞社イベント事業部、三井研削砥石、ノリタケカンパニーリミテド、クレトイシ、三菱マテリアル、アライドマテリアル、旭ダイヤモンド工業、ジェイテクト、ミクロン精密、岡本工作機械製作所、ディスコ、日進機械製作所、エレメントシックス、ユシロ化学工業、ケミック、GE社、レヂトン、豊田バンモップス、関西特殊工工作油、ジュンツウネット21、大河出版および切削油技術研究会の関係各位にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。


2018年9月 海野邦昭

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