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MEMSデバイス徹底入門
「つかう」「わかる」「つくる」マイクロマシン・センサ

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-07871-2
コード C3054
発行月 2018年08月
ジャンル 電気・電子

内容

MEMS技術がひととおりわかる、MEMSを使ってみたい人のための入門書決定版。著者自ら市販センサを使って電子工作、実験を行い、MEMSを「つかう」方法をくわしく説明。豊富な図や写真でMEMSの仕組みが「わかる」。MEMSを「つくる」最新プロセスも紹介。必要な数式は順を追って丁寧に解説。

三田吉郎  著者プロフィール

(みた よしお)
東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻 准教授
文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム微細加工プラットフォーム
東京大学VDEC「超微細リソグラフィー・ナノ計測拠点」マネージャ
1972年 広島県呉市生まれ
学歴:
1991年 広島大学附属高等学校卒業
1995年 東京大学工学部電子工学科卒業 学士
1997年 東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻 卒業 修士
2000年 東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻 卒業 博士(工学)
職歴:
2000年 東京大学大規模集積システム設計教育研究センター(VDEC)助手
2001年 東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻 講師
2005年 同 助教授 (2007年 准教授へ呼称変更)現在に至る
2001年〜 大規模集積システム設計教育研究センター 協力教員(クリーンルーム大型共用装置担当)
1997〜1998年 フランス国立科学研究センター(CNRS)准研究員
2007〜2008年 フランス国立情報学研究所(INRIA)招聘教授
2016〜2017年 宇宙航空研究開発機構(JAXA)客員准教授
受賞:2000年 丹羽記念賞、2013年 (第1回)東京大学工学部 Best Teaching Award
所属学会:電気学会、電子情報通信学会、応用物理学会、IEEE
資格:電話級・電信級・第二級・第一級アマチュア無線技士(JF4CZJ/1)、家庭電気初級修理技士
東京大学担当講義:電気磁気学、電子回路II、電子情報機器学、全学体験ゼミナール「マイクロマシンを作ろう」、総合科目「わかる電子回路」ほか

目次

はじめに

第1章 MEMSを《つかう》
1.1 電子情報機器の用途
どこでもMEMSの時代
1.2 電子情報機器の仕組み
入力と、情報処理と、出力をもつ電子回路
1.3 百聞は一見に如かず1
秋葉原で買ったMEMS大集合
1.4 調べてみよう1
抵抗式(曲げ)センサ徹底解剖
1.5 調べてみよう2
抵抗式センサの使い方のツボ(ハーフブリッジ)
1.6 調べてみよう3
「データロガー」で、抵抗式センサの時間変化を読む
1.7 作ってみよう1
ピエゾ抵抗センサとオペアンプで作る曲げセンサディスプレイ(構成編)
1.8 作ってみよう1
ピエゾ抵抗センサとオペアンプで作る曲げセンサディスプレイ(設計編)
1.9 作ってみよう1
ピエゾ抵抗センサとオペアンプで作る曲げセンサディスプレイ(実装編)
1.10 調べてみよう4
重量センサで精密測定(ハーフブリッジ素子)
1.11 調べてみよう5
重量センサの精度の秘密を探る!(その1:範囲を制限する)
1.12 調べてみよう6
重量センサの精度の秘密を探る! (その2:相補型構造)
1.13 作ってみよう2
「引いて掛ける(計装アンプ)」で精密重量センサを作る
1.14 調べてみよう7
フルブリッジ素子で楽々精密測定(ロードセル)
1.15 作ってみよう3
コンピュータとセンサをつなぐ(無線データロガー)
1.16 ディジタルインターフェース徹底入門1
情報を二進数で表現する
1.17 ディジタルインターフェース徹底入門2
シリアルインターフェースの構成
1.18 ディジタルインターフェース徹底入門3
シリアルインターフェースの動作
1.19 ディジタルインターフェース徹底入門4
データの同期を取る(クロック)
1.20 ディジタルインターフェース徹底入門5 
データの並べ方(プロトコル)
1.21 調べてみよう8
ロードセル用A/D変換ASIC HX711(SPI接続)
1.22 作ってみよう4
HX711とArduinoによる「重量レベルメータ」
1.23 作ってみよう5
トランジスタの増幅作用で、大きな電流の「アクチュエータ」を動かそう
1.24 作ってみよう5
トランジスタ+リレーで大電流を取り扱う「電灯ランプ重量計」
1.25 作ってみよう6
I2C接続加速度センサとワンボードPCによる加速度メータ(試作編)
1.26 作ってみよう6
I2C接続加速度センサとワンボードPCによる加速度メータ(接続編)
1.27 作ってみよう6
I2C接続加速度センサとワンボードPCによる加速度メータ(実験編)

第2章 MEMSを《わかる》
2.1 百聞は一見に如かず2
ばね+マス=MEMS構造を理解する
2.2 MEMSが加速度を感じる仕組み
マスとばねとの力の釣り合い
2.3 重なりの変化で変位を検知
くし歯静電容量による読み出しの原理
2.4 静電マイクロアクチュエータを理解しよう1
力とポテンシャルとエネルギー
2.5 静電マイクロアクチュエータを理解しよう2
くし歯に働く力徹底解剖
2.6 静電マイクロアクチュエータを理解しよう3
望まない方向の力に注意!
2.7 板ばね解析徹底入門1
板ばねの曲げと力の仕組み(ヤング率の導入)
2.8 板ばね解析徹底入門2
梁の曲げを式で表現する
2.9 板ばね解析徹底入門3
梁の曲げモーメントを計算する(断面2次モーメントの登場)
2.10 板ばね解析徹底入門4
梁の曲げを求めよう(集中荷重の場合)
2.11 板ばね解析徹底入門5
ばねの曲げからばね定数へ(板ばねの性質)
2.12 百聞は一見に如かず3
MEMS構造を振動させて理解しよう
2.13 実物MEMSの共振現象1
時間応答を観察しよう(力は電圧の2乗)
2.14 実物MEMSの共振現象2
周波数特性を観察しよう(ボーデ線図)
2.15 実物MEMSの共振現象3
力と変位と共振周波数を定量的に解く!
2.16 周波数と時間の密接な関係
周波数特性から時間応答を逆算する!
2.17 並べて「見よう」
MEMS de Piano大集合(振幅ー周波数積一定の法則)
2.18 駆動原理を押えよう
熱、ピエゾ効果、ローレンツ力、EWOD…

第3章 MEMSを《つくる》
3.1 百聞は一見に如かず4
「実験用MEMS」で見るMEMS構造と製法
3.2 フォトリソグラフィ大研究
MEMSは「積んで、リソして、削って」作る
3.3 パターンを転写してMEMSを形作る
Deep RIE
3.4 選択エッチングで可動構造を開放
犠牲層エッチング
3.5 チップに切ってパッケージ配線
ダイシング、ボンディング
3.6 シャドウマスク自由自在
成膜と同時にパターニングする
3.7 高速電子線描画でパターニング自由自在
直描+DRIEで短TAT試作
3.8 Deep RIE自由自在
サブミクロンからドライリリースまで
3.9 ファクトチェック
設計値と仕上り値との差を見よう
3.10 その他のMEMS的加工技術
異方性エッチング
3.11 ハイブリッドで差をつけろ
マイクロコネクタによる集積光ベンチ
3.12 LSIもMEMS素材になる!
CMOSポストプロセスのススメ
3.13 ナノテクノロジープラットフォームへの招待
短期間MEMS研究開発へ
3.14 遠いプロブレムで明日の産業を
大学発21世紀型リニアモデルのススメ
索 引

コラム1  先達はあらまほしきこと MEMS事始
コラム2  何でもプロット gnuplot 自由自在
コラム3  アメリカの乗合バスで見た「オープンドレイン」方式
コラム4  Arduino(互換機含む)で便利に高速プロトタイピング
コラム5  トランジスタは時代劇の用心棒?
コラム6  工学的近似でトランジスタも発光ダイオードも自由自在
コラム7  ディジタルものづくりの時代が到来
コラム8  MEMS de 3D(MEMSで3D) 立体視で見よう
コラム9  非線形ばね 力を入れると特性は伸びるが無理が過ぎると落っこちる
コラム10 他人の空似に注意! 「本質」と「見掛けの等価」との違い
コラム11 MEMS+GHz=磁界共鳴電送による非接触アクチュエーション
コラム12 何でもクリーン スーパークリーンルーム
コラム13 宇宙をまわるシリコンチップ 400nmドットでグレイスケール画像

はじめに

はじめに

読者の皆さんは「MEMS」「マイクロマシン」という言葉を聞いて、どのような素子をイメージするでしょうか。
 ●未知の世界に挑戦する夢の電子機械マシン
 ●欲しい所で欲しい情報を取ってくれる便利屋さん
等々、捉え方は人によって様々でしょう。
 MEMSの実体は「その全て」です。際限なく知能アップする情報処理回路に現実世界から情報を入れ(センシング)、逆に情報を現実世界に投影する(アクチュエーション)。言い替えると、現実世界と情報世界を仲立ちする「入出力」の要がMEMSデバイスです。重要度は右肩上がり、将来の有望株です。
 MEMSは電気電子工学、機械工学、材料工学、情報工学など、工学分野の英知を結集する「技術の総合デパート」です。それだけに、特に初学者のうちは「何を、どこから勉強したらよいのか」戸惑うことでしょう(何を隠そう、四半世紀前の筆者自身がそうでした)。そこで「案ずるより生むが易し」、本書では「百聞は一見に如かず」を指向して執筆しました。先生がお空でごちゃごちゃ言うよりも、現物を見てからの方がはるかにわかり易いでしょう。本書のそこかしこに、筆者の手作り装置・MEMSでの実験を追体験できる仕掛けを満載しました。
 本書を読み進めるためのもう一つの鍵は「デカルト主義」です。おっといきなり難しそうだぞ?! いえ、御安心ください。デカルト先生は、「小さく分け」「組み立てて」順を追って理解すれば、難しい問題も(アラ不思議!)すとーんと頭に入ってくるようになると教えてくださいました。本書での議論はデカルト先生の方針に沿って執筆することを心がけました。
  法則1:全ての先入観は一旦忘れてかかること
  法則2:大きな問題を、できるだけ細かな単位に分割すること
  法則3:簡単なところから一つ一つ組み立てて理解すること
  法則4:組み上げた議論に抜けがないか徹底的に考察すること
 議論の組み立てのためには、数式も(シレっと)使っていますが、高等学校程度の前提知識で大体わかるように工夫しました。本書を一通り読み終えたころには、直感的な理解と、組み上げの検証方法によって、MEMSがどう「使え」、どう「動き」、どう「作る」のか、理解できることでしょう。
 いくら先生が「簡単だよ」といっても、見ず知らずの分野の話に飛び込むことは、難しく感じるかもしれません。「読書百遍意自ら通ず」。最初のうちは睡眠学習の枕でも、漬物石がわりでも構わないのです。話題を適当につまみ食いしながら、何度も繰り返し読んでみましょう。そのために、筆者の講義で学生諸君を寝かせないために使っている仕掛け、飽きないためのコラム記事やコーヒーブレイクを、ふんだんに用意しました。そして、本書で学ぶ組み立て式の勉強法をひとたびモノにすれば、それはMEMSを超え、あらゆる応用世界に旅立つ万能パスポートを入手できることでしょう。
 それでは、筆者と一緒に、しばしMEMSの世界を訪ねることにいたしましょう。MEMSとマイクロシステムの世界へ、ようこそ。

2018年8月
三田吉郎

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