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わかる!使える!射出成形入門
<基礎知識><段取り><実作業>

定価(税込)  1,944円

編者
サイズ A5判
ページ数 168頁
ISBNコード 978-4-526-07868-2
コード C3053
発行月 2018年08月
ジャンル 機械

内容

射出成形の原理・原則や基礎知識と、実際の成形作業をつなぐ前準備と段取りに注目して解説する。「成形に影響を与える主要3要素」から「成形品の設計」「工程と設計条件の設定」「成形品の品質保証」など段取りノウハウをわかりやすく整理した。

ものづくり人材アタッセ  著者プロフィール

(ものづくり人材アタッセ)

NPO法人ものづくり人材アタッセ(略称:PHA)は、当初プラスチック業界(企業・公設機関・大学など)の退職者(登録会員)を中心に組織され、「プラスチック人材アタッセ」として2004年5月にNPO法人として認証されました。その後、支援先を他業界にも広げるために、名称を2017年8月より上記に変更しています。
当NPOの目的は、退職者(登録会員)の豊富な知識、経験や技術、熟練技能を活かし、中小・中堅企業の経営や技術面への支援によりその発展に寄与することです。

連絡先:〒540-0029 大阪市中央区本町橋2-5 マイドームおおさか6F
TEL:06-4792-7112 FAX:06-4792-7333
e-mail:pha11703211@npo-pha1.sakura.ne.jp
URL:http://npo-pha1.sakura.ne.jp/

目次

第1章 射出成形 基本のキ!
1 射出成形の原理
・溶かす(流す)① 可塑化工程と成形機の動作
・溶かす(流す)② 樹脂の流動性と融点、ガラス転移点の関係
・溶かす(流す)③ 樹脂の流動性データとその測定法
・流す(形にする)① 樹脂の流動過程と成形機・金型内の樹脂流動
・流す(形にする)② 樹脂流動と粘弾性
・流す(形にする)③ 樹脂流動と配向、異方性
・固める 固化における金型内の樹脂挙動
2 射出成形とレオロジー
・高分子融液の示す粘性と弾性
・粘弾性発現のルーツと流れ性に影響する因子
・プラスチックの擬塑性流動特性
・各種プラスチックの流動特性
・プラスチックの粘度に影響を及ぼす分子量と分子量分布
・貯蔵弾性率と粘度に及ぼす分岐度の影響

第2章 成形準備と段取りの要点
1 射出成形を実現する3つの要素
・材料① プラスチックとは
・材料② プラスチックの種類と性質
・材料③ 配合剤の添加目的とコンパウンディング
・材料④ 配合剤(添加剤・充填材・強化材)の種類と機能
・射出成形機① 射出成形機の概要
・射出成形機② 射出成形機の構造
・射出成形機③ 射出成形機の保守管理
・射出成形機④ 付帯設備の構成
・金型① 射出成形用金型の基礎
・金型② スプルー・ランナー・ゲートシステム
・金型③ ゲートの種類
・金型④ アンダーカットへの対応
・金型⑤ 温調システム
・金型⑥ 成形品突き出し方式
・金型⑦ 金型設計におけるレオロジーへの配慮
2 射出成形品を設計する勘どころ
・基本的な3つの考え方
・成形材料の選定① 材料選定の手順
・成形材料の選定② 非晶性プラスチックと結晶性プラスチック
・成形材料の選定③ 実用上の選定ポイント
・成形品設計① 設計基準とは
・成形品設計② 成形収縮率とは
・成形品設計③ 金型で定まる寸法と定まらない寸法
・製品設計① プラスチックの長所と短所
・製品設計② 製品設計の留意点
・製品設計における粘弾性への配慮
3 成形条件の設定
・成形工程と成形条件の関係
・条件設定に必要な事項① 図面・使用材料
・条件設定に必要な事項② 成形機の仕様確認
・条件設定に必要な事項③ 金型の仕様確認
・条件設定項目① 射出圧力・速度
・条件設定項目② 射出・保圧・冷却時間
・条件設定項目③ 温度設定
・条件設定項目④ 型締めに関する事項
・成形条件の粗条件の出し方
・最適条件を割り出すポイント
・新型試作から量産までの過程
・成形条件設定とレオロジーの関係
4 成形品の品質確保のポイント
・品質に関する姿勢
・プラスチック成形品の品質を左右する要素

第3章 生産効率を高める射出成形の着眼点
1 生産性に表れる金型交換作業
・外段取り作業① 次材料の準備および予備乾燥
・外段取り作業② 次金型の予備加熱(使用する材料による)
・外段取り作業③ 金型温調機の準備(ヒートアップ)
・外段取り作業④ 取出機のチャック板(ハンド)の交換準備
・外段取り作業⑤ ストッカーおよびコンベアなどの交換準備
・内段取り作業① 金型の交換作業
・内段取り作業② 成形機の準備
・内段取り作業③ 材料の交換
・内段取り作業④ 付帯設備の交換
2 成形トラブルと対策
・射出成形に必要な生産技術
・成形不良現象はどの工程で発生するのか
・不適合品を未然に防ぐ方策
・具体策① 外観不良対策
・具体策② 寸法不良対策
・成形不良対策のためのレオロジー
3 工程管理のポイント
・プラスチック成形での工程管理
4 効果的なメンテナンスの進め方
・金型の日常管理と定期補修
・長期保管における金型の管理
・成形機の点検と補修
・付帯設備の点検と保守
コラム
・黒点・異物不良の原因について
・検査と品質の関係
・成形条件における不確定性

・索引

はじめに

はじめに

 私たちのまわりにあるいろいろなモノは、“材料”からつくられています。それらには、鉄や銅、アルミなどの金属材料、ガラスやセメント、セラミックなどの無機材料、木材や紙、繊維、ゴムなどの有機材料があります。そして、プラスチックも有機材料の1つです。
 他材料に比べてその歴史は新しいですが(1910年に米国で工業化されたフェノール樹脂が最初の合成プラスチックと言われています)、今日では精密機器、自動車、エレクトロニクス、光学機器、土木・建築、航空機、医療、包装・容器など非常に幅広い分野で使われています。特に、熱可塑性プラスチックは種類、量ともに多く、その中核となっています。ちなみに、2017年におけるわが国のプラスチック生産量は約1,100万tと報告されています(日本プラスチック工業連盟)。
 プラスチックがこのように大量に使用されている理由は、その優れた特徴にあります。第一は軽いことですが、それと並んで重要なことに成形性があり、複雑な形状をした物品を比較的容易につくることができます。したがって、プラスチックを取り扱うためには成形技術についての深い理解が必須です。
 各種成形法の中でも、特に射出成形法は生産性(大量生産に適する)、品質安定性(形状・寸法精度が高い)、応用性(形状の自由度が高い)などの面で他を凌駕し、広く実施されています。今日、自動車やエレクトロニクスに使用されている部品の多くは、射出成形で生産されています。熱可塑性プラスチックの場合は、射出成形機を使用して溶融したプラスチックを金型内に高速・高圧で充填し、急冷して固化させた後に成形品を取り出す方法です。プロセスはかなり複雑で、良好な成形品を得るためには基本原理の正しい理解が欠かせません。しかし、実際の成形現場ではいわゆるハウ・ツー的な技能の習得に追われ、そこまで手が回らないのが実情と思われます。
 このたび、私どもNPO法人ものづくり人材アタッセ(略称:PHA)は日刊工業新聞社から本書執筆の依頼を受けました。私どもは、射出成形の基本原理の理解には、特にプラスチック溶融物の流動特性(“レオロジー特性”と言われています)についての知識が不可欠、という基本的な考え方を持っています。つまり、成形に用いるプラスチック材料の性質について、よく知っていなければならないと考えています。これまでにも射出成形に関する多くの書籍がすでに出版されていますが、本書はレオロジーの視点を取り入れていることが大きな特徴です。
 本書は上記の観点に立ち、PHAメンバーの各分野の専門家8人により、第1章は射出成形の原理、レオロジー、第2章は材料、成形機、金型、成形品設計、成形条件設定、品質、第3章は射出成形での現場作業、トラブル対策、工程管理、使用機器のメンテナンスなどについて、分担して解説させていただきました。
 本書は入社3年程度までの初心者や初級技術者を主な読者対象としていますが、社内教育用テキストや参考書として利用することも可能です。本書が射出成形に携わる、特に若い技術者の方々の技術力向上の一助になれば、執筆者一同にとりましてこの上ない喜びです。最後になりましたが、本書発行の機会を与えていただきました日刊工業新聞社出版局書籍編集部矢島俊克氏に深く感謝を申し上げます。

平成30年5月
執筆者一同

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