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きちんと知りたい!
自動車サスペンションの基礎知識

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 184頁
ISBNコード 978-4-526-07842-2
コード C3053
発行月 2018年04月
ジャンル 機械

内容

本書は、「なぜそうなるのか? どうしてそうなったのか?」という仕組みの部分を、自動車関連技術を中心に解説する人気シリーズ「きちんと知りたい!」の第8弾。今回のテーマは「サスペンション」。サスペンションとは、クルマの乗り心地に直結する重要なメカニズムで、車軸の位置決めを行うサスペンションアーム、車重を支えて衝撃を吸収するスプリング、スプリングの振動を減衰するダンパーで構成される、自動車の「足回り」に相当する部分。それぞれのメカニズムのしくみや特徴、性能を丁寧な図面とともに紹介する。

飯嶋洋治  著者プロフィール

(いいじま ようじ)
1965年東京生まれ。國学院大學在学中より参加型モータースポーツ誌『スピードマインド』の編集に携わる。同誌編集部員から編集長を経て、2000年よりフリーランス・ライターとして活動を開始。カーメンテナンス、チューニング、ドライビングテクニックの解説などを中心に自動車雑誌、ウェブサイトで執筆を行っている。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)理事。
◎著書:『モータースポーツ入門』『ランサーエボリューションⅠ~X』『モータリゼーションと自動車雑誌の研究』『モータースポーツのためのチューニング入門』(以上グランプリ出版)、『スバル サンバー』(三樹書房)、『きちんと知りたい! 自動車エンジンの基礎知識』『きちんと知りたい! 自動車メンテとチューニングの実用知識』(以上日刊工業新聞社)ほか。

目次

第1章 サスペンションとクルマの関係
1. サスペンションに関する基礎知識
1-1 サスペンションを中心としたクルマの全体像
1-2 サスペンションに求められる役割① 乗り心地
1-3 サスペンションに求められる役割② 操縦安定性
1-4 サスペンションに求められる役割③ NVH
1-5 サスペンションとバネ下重量
COLUMN1 サスペンションをとくに意識させないのが今のクルマ?

第2章 サスペンションの中心部とボディの関係
1. サスペンションの基本的な構成部品
1-1 サスペンションアーム
1-2 スプリング
1-3 ショックアブソーバー
2. ボディ剛性とサスペンション
2-1 サスペンションの一部としてのボディ① モノコックボディ
2-2 サスペンションの一部としてのボディ② ラダーフレーム等
2-3 安全性とボディの構造
2-4 ボディとサスペンションメンバー
2-5 ボディのねじれとサスペンション
COLUMN2 ボディを補強することで剛性を上げるメリット、デメリット

第3章 サスペンション形式
1. 車軸懸架式と独立懸架式
1-1 車軸懸架式と独立懸架式の特徴
2. 車軸懸架(リジッドアクスル)式
2-1 リーフ式リジッド
2-2 5リンク式リジッド
2-3 3リンク式リジッド
2-4 トーションビーム式
2-5 ド・ディオンアクスル式
3. 独立懸架(インディペンデント)式
3-1 スイングアクスル式
3-2 ストラット(マクファーソンストラット)式
3-3 トレーリングアーム(セミトレーリングアーム)式
3-4 リーディングアーム式
3-5 ダブルウイッシュボーン式
3-6 マルチリンク式
3-7 その他のサスペンション形式【その1】
3-8 その他のサスペンション形式【その2】
4. 用途に応じたサスペンション形式
4-1 FF車・FR車、それぞれに適したサスペンション
COLUMN3 サスペンション形式をはじめて意識したクルマの話

第4章 サスペンションの構成部品
1. スプリング
1-1 コイルスプリング
1-2 トーションバースプリング
1-3 リーフスプリング、ラバースプリング
1-4 スプリングの工夫(スプリングオフセット)
1-5 スプリングによるチューニング
2. ショックアブソーバー
2-1 複筒式ショックアブソーバー
2-2 単筒式ショックアブソーバー
2-3 減衰力調整式ショックアブソーバー
3. その他のサスペンション構成部品
3-1 スタビライザー、コンペンセーター
3-2 ブッシュ、ピロボール
COLUMN4 ショックアブソーバー交換の効果をクルマの動きで知った話

第5章 アライメントとジオメトリー
1. ホイールアライメント
1-1 ホイールアライメントとは?
1-2 トー角とキャンバー角
1-3 ローリングとキャンバー変化
1-4 キャスター角
1-5 キングピン角
2. ジオメトリーとロール特性
2-1 アッカーマンジオメトリー
2-2 重心とロールセンター
COLUMN5 素人考えでアライメントに手を出して失敗した話

第6章 サスペンションを支えるパーツ
1. ステアリング系
1-1 ステアリング機構の全体像
1-2 ラックアンドピニオン式、ボールナット式
1-3 ハブベアリングの役割
1-4 タイロッドの位置
1-5 4輪操舵機構(4WS)
2. ブレーキ系
2-1 ディスクブレーキ
2-2 ドラムブレーキ
2-3 マスターシリンダーとブレーキブースター
2-4 ABS(アンチロックブレーキシステム)【その1】
2-5 ABS(アンチロックブレーキシステム)【その2】
3. 駆動系
3-1 デフ(デファレンシャルギヤ)とは?
3-2 旋回時のデフの動き
3-3 LSD(リミテッドスリップデフ)
3-4 シャフトとジョイント
3-5 4WD(4輪駆動)機構
3-6 駆動力配分デフ
4. タイヤ、ホイール系
4-1 タイヤとサスペンション
4-2 タイヤの構造
4-3 ホイールの構造
4-4 タイヤの摩擦円とスリップアングル
4-5 サスペンションの動きとタイヤの傾き
COLUMN6  学生時代、クルマのパーツへの無知によって体験したあれこれ

第7章 さまざまなサスペンション
1. 車高制御システム
1-1 エアサスペンション
1-2 ハイドロニューマチックサスペンション
2. サスペンションの制御
2-1 電子制御サスペンション
COLUMN7 個性的な昔のサスペンションと無難な?最近のサスペンション

第8章 サスペンション周辺のメンテナンス
1. サスペンションの寿命とメンテナンス
1-1 サスペンションの劣化
1-2 アライメントの調整
1-3 ホイールバランス等とハンドルの振動
1-4 ハブベアリングやサスペンションアームのがたつき
COLUMN8 自分でやるメンテナンスの要諦と限界の話

おわりに
索  引
参考文献

はじめに

はじめに

 クルマの構成要素というと、どうしてもエンジンやデザインといったわかりやすいところに目がいってしまいがちです。本書で取り上げるサスペンションやシャシーはその次……というかあまり意識されることはなく、普通に走って当たり前というような感覚で捉えられているようなところもあります。
 購入を考える際にも、クルマのパワーや使い勝手というようなことは考えても、サスペンション形式にこだわるという方は少数派かもしれません。
 サスペンションというと、一般的には乗り心地を保つものという認識が強いと思います。とくに高級車などでは、ゆったりと楽に走れるとか、どっしりとした安定感があることなどは重要視される部分でしょう。しかし、それはサスペンションのごく一部だけの役割です。

◎サスペンションの性能はクルマの「走る」「曲がる」「止まる」に関わる
 クルマは「走る」「曲がる」「止まる」が三要素といわれますが、「曲がる」の部分を主に受け持つのがサスペンションの役割です。そして「走る」「止まる」にも関わっています。
 道はもちろんまっすぐなところだけではありません。街中を走っているときにも、至る所で交差点などの曲がり角がありますし、高速道路もゆるいコーナーが続くことが多いでしょう。山道などに行けば、きついコーナーが延々と続きます。
 いくら乗り心地が良くても、こうしたコーナーで不安を与えるようなクルマは感心できません。それに加え、路面の状況自体も千差万別です。きれいに舗装された道でも、荒れた道でも一定以上の乗り心地とコーナリング性能を発揮する必要があります。まっすぐな道はもちろん、コーナーでもクルマの姿勢を安定させ、乗員に不安な思いをさせないことがサスペンションに要求されます。
 「走る」ことも、エンジンや駆動系だけによるものではありません。いくらエンジンパワーが大きくても、それをしっかり路面に伝えることができなければ、パワーが無いのと同じです。路面と接触しているのはタイヤですが、エンジンとタイヤの間にあるのがサスペンションです。パワーを掛けたときにタイヤをしっかり路面に押しつけて駆動力を発揮するためには、サスペンションは欠かせません。
 「止まる」という面についても、ブレーキをかけたときにクルマの姿勢を安定させ、スムーズに止まることにサスペンションの性能が関わってきます。

◎サスペンションは難しいだけでなく面白い!
 本書では、サスペンションの基本的な部分からちょっとマニアック? と思われることまで解説することを主眼としています。また、サスペンションの能力を十分に発揮させるには、それを支えるフレーム(ボディ)やブレーキ系、デファレンシャルギヤなどの駆動系、ホイール、タイヤなども欠かせない要素なので、サスペンションと関連付けながら解説することを試みました。
 クルマの重要な位置を占めるサスペンションですが、難しいだけでなく面白いと感じるところも多々あると思います。その一端でも知っていただければ著者としてこれ以上の喜びはありません。
 私自身は「クルマ好き」であり「サスペンション好き」ではありますが、専門的にそれらを勉強してきたわけではありません。自動車工学的に誤った記述があるかもしれません。その際には、読者諸賢のご寛容を乞うとともに、ご指摘いただければ幸いです。

2018年4月吉日
飯嶋洋治

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