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大胆予測!IoTが生み出すモノづくり市場2025
「T」を起点にバリューを織り込め

定価(税込)  1,944円

著者
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サイズ A5判
ページ数 170頁
ISBNコード 978-4-526-07838-5
コード C3034
発行月 2018年03月
ジャンル ビジネス

内容

自動車や農業、建設など11業種のIoTバリューチェーンを定義し、進化のプロセスを分析して綴る。市場勢力図がどう書き換わり、ビジネスモデルに応じてどの部分に発展の可能性があるかなどを明快に示す。IoTビジネス推進の方策をわかりやすく指南する。

井熊 均  著者プロフィール

(いくま ひとし)
株式会社日本総合研究所

専務執行役員 創発戦略センター所長

1958年東京都生まれ。1981年早稲田大学理工学部機械工学科卒業、1983年同大学院理工学研究科を修了。1983年三菱重工業株式会社入社。1990年株式会社日本総合研究所入社。1995年株式会社アイエスブイ・ジャパン取締役。2003年株式会社イーキュービック取締役。2003年早稲田大学大学院公共経営研究科非常勤講師。2006年株式会社日本総合研究所執行役員。2014年同常務執行役員。環境・エネルギー分野でのベンチャービジネス、公共分野におけるPFIなどの事業、中国・東南アジアにおけるスマートシティ事業の立ち上げ、などに関わり、新たな事業スキームを提案。公共団体、民間企業に対するアドバイスを実施。公共政策、環境、エネルギー、農業、などの分野で60冊を超える書籍を刊行するとともに政策提言を行う。

木通 秀樹  著者プロフィール

(きどおし ひでき)
1964年生まれ。慶応義塾大学理工学研究科後期博士課程修了(工学博士)。石川島播磨重工業(現IHI)にてキュービックニューラルネット等の知能化システムの技術開発を行い、各種のロボット、プラント、機械等の制御システムを開発。2000年に日本総合研究所に入社。現在、創発戦略センター・シニアスペシャリスト。新市場開拓を目指した社会システム構想、プロジェクト開発、および、再生可能エネルギー、水素等の技術政策の立案等を行う。著書に「なぜ、トヨタは700万円で『ミライ』を売ることができたか?」(B&Tブックス・共著)、「IoTが拓く次世代農業―アグリカルチャー4.0の時代―」(B&Tブックス・共著)、「創造力を鍛える マインドワンダリング―モヤモヤから価値を生み出す東大流トレーニング―」 (B&Tブックス・共著)、「「自動運転」ビジネス 勝利の法則―レベル3をめぐる新たな攻防―」 (B&Tブックス・共著)など。

目次

第1章 広がるIoTの世界
1. AIの虚実とIoTのリアリティ   
◦人間を超えるAI   
◦AIの限界   
◦判断者にはならないAI   
◦バブルの様相、AI、再エネ、電気自動車   
◦制約されていたデータ解析 
◦IoTブームを作ったセンサー革命   
◦IoTに紐づくリアルなAI   
◦ライフサイクルコストを改善するIoT   

2. あらゆる分野に広がるIoTの世界   
◦自動車   
◦農業   
◦建設   
◦インフラ   
◦不動産   
◦家電   
◦流通・サービス   
◦ヘルスケア   
◦エネルギー   
◦プラント・設備管理   
◦製造業   

第2章 新旧勢力が競い合うIoT市場
1. IoTの技術サプライチェーン   
◦複雑なIoTの価値創出の構造   
◦技術サプライチェーンが作り出す新たな価値   

2. 機能毎に見たIoT企業の活躍   
◦データ取得   
◦データ処理   
◦通信・ネットワーク   
◦電源   
◦データ分析   
◦計画・指示   
◦制御   
◦実行   

第3章 2025年のIoT市場構造
1. IoT市場の勢力マップ ― IoT市場の7つの主戦場   
◦技術サプライチェーンに見るIoT市場の勢力構造   
◦高度画像センシング   
◦汎用センシング   
◦既存機器の標準ネットワーク   
◦一体型市場   
◦汎用IoT通信   
◦IoTプラットフォーム   
◦インダストリー4.0   

2. IoT市場での事業展開トレンド   
◦ハードウェアを知り尽したGEのサービス   
◦顧客とIoTサービスの共進化   
◦生産ラインを革新するIoT   
◦価値の高い顧客サイドのIoT   
◦メーカーからビジネス支援サービサーへ   
◦変わるリスク&リターンの構造   
◦ハードウェアとシステムの相乗効果   
◦市場を区分するIoT   
◦B2B2C市場が主戦場に   
◦分野で変わる導入効果   
◦寡占化するIT市場   
◦制御不能の寡占が行き着く公共化   
◦デバイス市場でも進む寡占化   
◦チャイニーズプラットフォーマー   
◦期待が高まるロボット市場   
◦日本企業を襲った二つの波   
◦狙いは汎用ロボット市場   
◦中堅中小企業を成長させる汎用ロボット   
◦ロボットのアプリケーション&サービス   
◦人材の再構成が生き残りの条件   

第4章 2025年に向けて取り組むべきこと
① 強い「T」を磨き出せ 
② IとTの提携を加速せよ   
③ B2B2Cの顧客を掴め   
④ 大樹に寄り添え   
⑤ 戦略プランナーと顧客向けサービサーを育成せよ   
⑥ 社内の人材システムをゼロベースで再構築せよ   
⑦ IoT立国を宣言せよ   
⑧ IoTベンチャー市場を育成せよ   
⑨ IoTの場づくりのために規制を再構築せよ   
⑩ 公共市場をIoT化せよ

はじめに

はじめに


 
1990年代のインターネットの黎明期、シリコンバレーでインターネットの先駆者から話を聞いた。「インターネットは始めに情報を動かし、人を動かし、モノを動かし、社会を動かすようになるだろう」という趣旨の話だった。それから20年、予言は完全に的中した。今や世界中の人が情報の多くをインターネットに頼り、インターネットの情報を見聞きして動く。そして、センサー革命と共にインターネットが本格的にモノに接続されることになった。情報や人の動きが文字通り革新されたように、これから10年間くらいの間に、モノの動き、モノづくりも革新されることになるだろう。

 IoTが何をもたらすかは過去のインターネットの影響から予測できる面も少なくない。まず、無駄が排除される。本書でも述べている通り、どんなに入念に計画され精緻に作られたモノでも、構造的に生まれてしまう無駄がある。例えば、作る側には見えないユーザーのニーズがあり、ユーザーには見えない作る側の意図がある。作る側にも見えなかったモノの側面がある。さらに、これまで単体で機能していたモノが他のモノや情報と連動して機能するのが当たり前になる。こうして、どんなモノにも今まで見えなかった無駄が浮び上がってくる。当然、付加価値も生み出す。生産サイドでは効率性を高めてロスを減らし、顧客サイドではエンドユーザー向けのサービスの品質とスピードが上がる。
 
2017年度、日本企業は好業績を上げたが、中身を見ると業態によって収益のレベルが一様ではないことが分かる。ITの取り込み方が深いほど収益率が高いように見えるのだ。こうした傾向は、今後ますます顕著になり、IoTの取り組みの巧拙やスピードで企業の力に埋め難い差が付くことになるだろう。製造業のシェアが大きい日本ではその影響がひときわ鮮明になる可能性が高い。一方で、IoTを上手く取り込めば、これまで押され気味だったIT産業に対して捲土重来を果たせる可能性も十分にある。ただし、そのためには、ビジネスモデルはもとより、企業としての本質的な体質改善が不可欠だ。
 

本書は、こうした理解から、製造業を中心とした日本企業がIoTを追い風とし、いかにして次世代に向けた成長ステージに乗るかを問うことを目的としている。第1章では、色々な分野で普及しているIoTの動きを概観し、第2章ではIoTの技術サプライチェーンに沿って活躍する企業の様子を追った。その上で、第3章の前半では、IoTの市場構造と勢力図を重要なビジネスモデルに基づいてマップ化し、後半では企業戦略に影響を及ぼすトレンドを指摘した。最後に、第4章では、3章までの流れを受けて、日本の企業と政策が取り組むべきポイントを10項目にまとめて示した。本書が、日本がIoTを上手く取り込み次世代を切り拓く一助になることがあれば筆者としてこれ以上の喜びはない。
 

本書については、新日本編集企画の鷲野和弘様にお世話になった。企画段階からのご支援について心より御礼申し上げる。
 
本書は、株式会社日本総合研究所創発戦略センターの木通秀樹君との共著である。モノづくりと制御に精通したIoTの申し子のような木通君の知見無しに本書の執筆は成り立たなかった。心より御礼申し上げる。

 最後に、筆者の日頃に活動に対して、ご支援ご指導を頂いている株式会社日本総合研究所に厚く御礼申し上げる。


2018年初春

井熊 均

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