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おもしろサイエンス
発酵食品の科学 第3版

定価(税込)  1,728円

著者
サイズ A5判
ページ数 184頁
ISBNコード 978-4-526-07836-1
コード C3034
発行月 2018年03月
ジャンル ビジネス

内容

本書は、日本人に馴染みの深い発酵食品と、その発酵メカニズムを紹介する。塩麹や醤油麹などで注目される麹菌の秘めたパワーとその発酵食品のいろいろを紹介しているほか、発酵の大元である酵素とそのはたらきや健康のかかわりなどについて詳しく解説している。

坂本 卓  著者プロフィール

(さかもと たかし)
1968年 熊本大学大学院修了
同年三井三池製作所入社、鍛造熱処理、機械加工、組立、鋳造の現業部門の課長を経て、東京工機小名浜工場長として出向。復帰後本店営業技術部長。
熊本高等専門学校(旧八代工業高等専門学校)名誉教授
㈲会社服部エスエスティ取締役 三洋電子㈱技術顧問
講演、セミナー講師、経営コンサルティング、木造建築分析、発酵食品開発
などで活動中。
工学博士、技術士(金属部門)、中小企業診断士

著書 『おもしろ話で理解する 金属材料入門』
   『おもしろ話で理解する 機械工学入門』
   『おもしろ話で理解する 製図学入門』
   『おもしろ話で理解する 機械工作入門』
   『おもしろ話で理解する 生産工学入門』
   『おもしろ話で理解する 機械要素入門』
   『トコトンやさしい 変速機の本』
   『トコトンやさしい 熱処理の本』
   『よくわかる 歯車のできるまで』
   『絵とき 機械材料基礎のきそ』
   『絵とき 熱処理基礎のきそ』
   『絵とき 熱処理の実務』
   『絵ときでわかる 材料学への招待』
   『「熱処理」の現場ノウハウ99選』
   『ココからはじまる熱処理』
   『おもしろサイエンス 身近な金属製品の科学』
   『おもしろサイエンス 元素と金属の科学』
   『おもしろサイエンス 発酵食品の科学』第1版、同第2版
   (以上、日刊工業新聞社)
   『熱処理の現場事例』(新日本鋳鍛造協会)
   『やっぱり木の家』(葦書房)

目次

第1章
発酵食品を豊かにする微生物の力
1 発酵の恵み──健康に大きく寄与する発酵食品
2 微生物の代表的な種類と役割──過酷な環境にも適応
3 発酵と腐敗の違いって何だろう──人間に対して有益かどうかが基準
4 発酵を促すカビの力──さまざまなカビの能力
5 お酒に欠かせない酵母──アルコールを作り出す機能
6 医薬品の製造に欠かせない細菌──抗生物質の発見で細菌に注目が集まった
7 発酵と温度の関係──発酵に適正な温度で菌を活用
8 発酵の種類とその進行──発酵に適した条件

第2章
発酵を促進する源、酵素を知ろう
9  酵素とは一体何でしょう
10  人間が消化できない植物を餌にする動物
11  アミラーゼの特性
12  プロテアーゼとリパーゼの特性
13  セルラーゼとヘミセルラーゼ、ペクチナーゼの特性
14  人体における酵素の役割は何でしょう
15  酵素が人の健康に及ぼす影響
16  酵素が豊富にある発酵食品

第3章
いろいろな微生物が酵素を作る
17  カビは日本の菌の代表
18  酵母の力を借りたお酒造り
19  医薬品製造などに脚光を浴びる細菌
20  麹菌の種類と働き
21  食品などの安全性を目指す腐敗防止

第4章
伝統的な発酵食品と酵素
22  酒の種類と働き──醸造酒、蒸留酒、リキュール
23  日本酒が醸す味
24  純アルコール、米焼酎
25  黒麹を利用した黒酢と泡盛
26  ワインとビール
27  栄養豊富な甘酒
28  多種多様な味噌は優れた食品
29  国際的な調味料となった醤油
30  健康食品の雄たる納豆
31  世界一固い食品、鰹節

第5章
日本の漬け物
32  乳酸菌が活躍する漬け物──発酵しない漬け物もある
33  漬け物の特徴──日本各地で育った漬け物
34  漬け物の効用──機能性成分を多く含む漬け物
35  庶民的な漬け物 ・──沢庵漬け、べったら漬け、白菜漬け
36  庶民的な漬け物 ・──奈良漬け、らっきょう漬け、味噌漬け
37  一味違う郷土の漬け物──高菜漬け、豆腐よう

第6章
世界の発酵食品
38  東南アジアの発酵食品──テンペ、プト、ナタ・デ・ココ
39  中国の発酵食品──卵白粉、ウーロン茶、固体発酵酒
40  ヨーロッパの発酵食品・──紅茶、チーズ、ヨーグルト、パン
41  ヨーロッパの発酵食品・──貴腐ワイン、ザワークラウト、シュールストレミング

第7章
新しい発酵食品を考えてみよう
42  売れる塩麹の秘密
43  白米を凌駕する発芽玄米
44  高ポリフェノールを持つ柿渋
45  黒ニンニクと発酵玉ねぎ
46  栗皮が持つクリタンニンの働き
47  ブロッコリーとトマトの麹漬け
48  無添加でも甘い甘酒ジャム
49  超健康の豆乳ヨーグルトとヨーグルトマヨネーズ
50  桑の実のフルーツエキス、酢とソース
51  えひめAI液の応用と強化
52  薬草の発酵と有明海苔の発酵エキス
53  加熱による発酵促進法

はじめに




 発酵とはどのような意味でしょうか。「発酵」という語彙に関しては日常的に使用され、身近な言葉になってきました。最近は多くの機会で発酵食品や健康補助食品が紹介され購買意欲をかき立てるように宣伝されています。改めて発酵を調べると、「酵母類・細菌類などの微生物が有機化合物を分解してアルコール類・有機酸類・炭酸ガスを生ずる作用……」とあります。発酵の過程でアルコールを生じたり炭酸ガスを発生したりと、対象物質が踊り何か新規な物質が湧き出てくるような錯覚に見えますから、「湧く」という現象を捉えて発酵の意味を英語でファーメンテーションというようになりました。

 発酵食品は微生物が自己の持つ酵素を使って、ある食品内に存在する栄養素を自分自身(微生物)の役に立つように、かつ必要性から変化させて作り上げた食品です。人間はそのようにして生まれた食品をいただいているにすぎません。

 発酵と関係の深いものに「酵素」という言葉をよく耳にします。酵素とは一体何でしょうか。酵素とは「生体によって作られ、生体内で営まれる化学反応に触媒として作用する高分子物質。タンパク質またはこれと低分子物質との複合体。触媒する反応の種類によって加水分解酵素・酸化酵素・還元酵素など、きわめて種類が多く、それぞれ特定の生化学反応に対して特異的に作用する」とあります。難しい説明ですからなかなか理解することが困難です。しかし、発酵は酵素と極めて近接な関係にあるのです。

 本書は発酵を支える酵素の概念をご説明し、発酵や酵素などの物質あるいは生体内で営まれる反応(生体反応)によって作り得る機能的な発酵食品をご紹介します。発酵食品はそれぞれ特有な性質を持っていますが、微生物によって新しい物質に変化するメカニズムには酵素の働きが必要不可欠です。

 また本書は代表的および伝統的な発酵食品がどのような酵素の働きによって生まれてきたか、サイエンスの一環として捉えています。また筆者が試作した新たな発酵食品を紹介し、開発した手順に関しても触れてみなさんのご理解と研究に添えるように配慮しました。

 なお、本書は既刊の「おもしろサイエンス発酵食品の科学 第2版」を加筆・修正し第3版としています。本書が読者のみなさんに新たな発酵食品の領域を広範囲に把握し、より一層の創造的な新発酵食品が生まれることを願って止みません。

 
2018年3月


坂本 卓 

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