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わかる!使える!接着入門
<基礎知識><段取り><実作業>

定価(税込)  1,944円

著者
サイズ A5判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-07823-1
コード C3043
発行月 2018年03月
ジャンル 化学

内容

接着の原理・原則と、接着設計や接着作業などの実務をつなぐ前準備・段取りに注目。「出来映え設計」から「接着剤の選定」「表面処理方法の検討」「強度・耐久設計」「構造設計」「プロセス決定」「試作時の注意」に至る段取りノウハウをわかりやすく整理した。

原賀康介  著者プロフィール

(はらが こうすけ)
㈱原賀接着技術コンサルタント 専務取締役 首席コンサルタント 工学博士
日本接着学会構造接着研究会会長補佐、接着適用技術者養成講座講座長

専門:接着技術(特に構造接着と接着信頼性保証技術)
1973年、京都大学工学部工業化学科卒業。同年、三菱電機㈱に入社後は、生産技術研究所、材料研究所、先端技術総合研究所に勤務。以来40年間にわたって一貫して接着接合技術の研究・開発に従事。2012年3月、㈱原賀接着技術コンサルタントを設立し、各種企業における接着課題の解決へのアドバイスや社員教育などを行っている。

開発した技術
接着耐久性評価・寿命予測技術
接着強度の統計的扱いによる高信頼性接着の必要条件決定法
耐用年数経過後の安全率の定量化法
接着の設計基準の作成
原賀式『Cv接着設計法』
複合接着接合技術(ウェルドボンディング、リベットボンディング等)
ハニカム構造体の簡易接着組立技術
SGAの高性能化(低歪み、焼付け塗装耐熱性、高温強度・耐ヒートサイクル性、難燃性ほか)
内部応力の評価技術と低減法
被着材表面の接着性向上技術
精密部品の低歪み接着技術
塗装鋼板の接着技術など

受 賞
1989年 日本接着学会技術賞
1998年 日本電機工業会技術功労賞
2003年 日本接着学会学会賞
2010年 日本接着学会功績賞

著 書
「高信頼性を引き出す接着設計技術―基礎から耐久性、寿命、安全率評価まで―」、日刊工業新聞社、(2013年)
「高信頼性接着の実務―事例と信頼性の考え方―」、日刊工業新聞社、(2013年)
「自動車軽量化のための接着接合入門」(佐藤千明氏共著)、日刊工業新聞社、(2015年)
その他共著書籍 31冊

目次

第1章  これだけは知っておきたい 接着の基礎知識
1 接着の品質とは
・高品質接着とは
・高品質接着達成のための基本条件① 界面で壊れない-凝集破壊率-
・高品質接着達成のための基本条件② ばらつきが小さい-変動係数Cv-
・接着の脆弱個所
2 接着接合の特徴
・欠点と利点
・接着接合の利点から得られる効果
・接着と他の接合との比較
・接着の弱点は組合せで補う-複合接着接合法-
3 接着のメカニズム
・接着の結合の種類
・分子間力接着の過程と最適化
・水素結合、表面改質、プライマー
・表面張力の測定方法
・表面の違いによる耐久性の差
4 接着特性を低下させる内部応力
・内部応力(残留応力)による不具合と内部応力の分類
・内部応力の種類① 接着剤の硬化収縮応力
・内部応力の種類② 加熱硬化後の熱収縮応力
・内部応力の種類③ 使用中の温度変化による熱応力
・内部応力の種類④ 吸水膨潤応力
・内部応力の種類⑤ 被着体の変形による応力
・接着剤の粘弾性特性と応力緩和
・内部応力による不具合と改善策① 異種材料接着
・内部応力による不具合と改善策② 異種材料の勘合接着
・内部応力による不具合と改善策③ 部品の構造
・内部応力による不具合と改善策④ 接着剤の塗布量と塗布位置
・内部応力による不具合と改善策⑤ 接着剤の物性、部品の厚さ
・内部応力による不具合と改善策⑥ 接着剤の短時間硬化、後硬化
・内部応力の評価法① 応力を直接求める方法
・内部応力の評価法② 有限要素法で求める方法
5 接着剤の種類と長所・短所
・構造用接着剤、準構造用接着剤
・エンジニアリング接着剤
・柔軟接着剤・粘着テープ
6 接着強度に影響する因子
・接着部に加わる力の方向と代表的な評価方法
・接着剤の硬さ・伸び
・接着層の厚さ
・温度・ガラス転移温度(Tg)、速度
・重ね合わせせん断強度に影響する因子
・継手効率

第2章 準備と段取りの要点
1 接着の出来映えは設計しだい
・接着設計技術と構成要素
・接着管理技術と構成要素
・設計段階での段取り
2 接着剤の選定と評価
欠点から候補接着剤の種類を絞り込む
・使用・管理上のポイントを考慮して接着剤を絞り込む
・カタログの見方① 強度データ
・カタログの見方② 耐久性データ
・カタログの見方③ その他に確認すべきこと
・選んだ接着剤の適性を評価する
・接着のデータベース
3 被着材料の選定
・塗料の密着性が良い材料が、接着性にも適しているとは言えない
4 強度設計、耐久設計上のポイント
・接着強度の実力値はどのくらいか
・クリープ対策は重要
・耐水性確保のための接着部の寸法設計
5 構造設計上のポイント
・壊れにくい構造にする
・不連続性を回避する
・クリープを防止する構造
・作業が容易な構造
・検査がしやすい構造とダミーサンプル
6 プロセス、設備の最適化
・チェックリストや特性要因図の活用
・最適条件と許容範囲を決める
・トラブル時の工程の連動停止を考える
7 試作時の注意点
・試作時のチェックポイント

第3章  実務作業・加工のポイント
1 接着作業の注意点
・2液型接着剤の手混合の仕方① 計量の仕方
・2液型接着剤の手混合の仕方② 混合、脱泡、シリンジ詰め替え
・プライマーは塗り過ぎてはいけない
・気泡を入れない接着剤の塗布・貼り合わせ方法
・表面の凹凸を埋めて欠陥部をなくす
・加圧力の大きさと二度加圧
・治具での圧締が困難な部品の対策
・硬化における注意点
2 接着作業は特殊工程の作業
・特殊工程の作業と管理
・生産開始までに行うこと
3 生産開始後の管理
・作業環境、設備・治工具の管理
・部品、接着前処理の管理
・接着剤の管理
・接着作業の管理
4 作業結果の確認と改善
・作業結果の確認
・工程能力指数による管理と改善

コラム
日本における構造接着と精密接着の現状
接着技術を製品組立に用いる技術者の育成
接着を使う技術者に望むこと

はじめに

はじめに

この本を書いている間にも、モノづくりの根幹を揺るがすような品質問題が日本の複数の大企業で起こりました。品質の維持と向上は、企業と技術者の社会的責務で、終わりのない活動です。
 「接着」という技術は、完成後の検査で不良品を排除することができない「特殊工程の技術」に分類されるものです。そのような特殊工程の技術で品質を確保するためには、設計段階で工程ごとの作業の最適条件と許容範囲を明確に決め、製造段階では各工程での作業が許容範囲内で適切に行われたかどうかを確認・記録することが基本です。
 寸法加工では、図面に書かれた公差を守ることは常識です。接着工程での作業の許容範囲は、加工公差と同じ意味で、絶対に守るべきことです。
 本書は、単なる「接着技術」の解説書ではなく、「接着で組み立てられる機器や部品の品質をいかに確保し、向上させていくか」を主題にしています。接着を製品組立に用いようとする設計技術者や生産技術者、品質関係技術者が、特性・信頼性・品質・コストに優れた接着を行うための必須知識を身につけ、実践するための書です。
 接着の原理・原則と、接着設計や接着作業などの実務をつなぐ前準備・段取りに注目し、接着剤を使う側の目線に立ってノウハウをわかりやすく整理しました。また、これまでに、接着に必要な規準や指針はほとんど示されてきませんでした。しかし、それでは実際の製品に接着を活用することは困難です。そこで、本書では、著者の経験に基づいた規準や指針をできるだけ多く開示したつもりです。
 接着剤を用いる接着接合は、機械系技術者や電気系技術者など化学系以外の技術者にはなじみにくい技術です。本書では、接着の専門家ではない多くの分野の技術者に、接着接合を理解していただき、最適な設計を行い、品質に優れた接着作業を行うための知識と段取りについてまとめました。
 接着接合物の品質は、接着剤によって与えられるものではなく、設計によって接着剤の性能を最大限まで引き出してつくり込むことと、つくり込まれた条件に従って、工程ごとに適切な作業を行うことで達成されることを認識いただければ、筆を執ったものとして嬉しく思います。接着の品質確保と向上の一助になれば幸いです。
 本書をまとめるに当たり、図表の転載や引用など多くの企業や学会・協会にご協力をいただきました。また、日刊工業新聞社の矢島氏には、構成や編集に関して多大なるご支援をいただきました。ここに、ご協力に対して感謝の意を表します。
2018年2月 
原賀康介

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