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みるみる効果が上がる!製造業の輸送改善
物流コストを30%削減

定価(税込)  2,160円

著者
サイズ A5判
ページ数 240頁
ISBNコード 978-4-526-07832-3
コード C3034
発行月 2018年03月
ジャンル 生産管理

内容

本書は、製造業の物流業務において大きなコスト比率を占める「輸送業務」を軸にこれを改善し、大きなコストダウンを実現するための戦略的調達物流や、荷姿設計などをわかりやすく、実現しやすく解説。いかにして物流の6割のコストを占める輸送を効率化していくかを1項目2~4ページで、各項目ポイントをつけて解き明かす。

仙石惠一  著者プロフィール

(せんごく けいいち)
Kein物流改善研究所 代表、国際物流総合研究所 主席研究員
1960年、東京都港区生まれ。
1982年、慶應義塾大学経済学部卒業後、日産自動車株式会社に入社。
生産管理、物流管理、購買管理などサプライチェーン全般を担当。
特に物流管理の経験が長く、物流作業の標準化、物流標準時間の確立、新工場物流設計、部品を引き取りに行く調達物流の確立などを経験。
中国駐在時には現地物流会社指導にあたり、大手外資系メーカーから声がかかるまでに成長させた。
またフランスのルノー社との共同購買会社では物流費などの経費購買分野でグローバル調達の仕組みを構築。
2013年、Kein物流改善研究所を設立。独立系ロジスティクス・コンサルタントとして国内外のメーカーなどの荷主企業や物流事業者の改善支援コンサルティングや講演活動、執筆活動などを行なっている。
https://www.keinlogi.jp/

目次

プロローグ 輸送コスト削減に向けての事前準備
1 改善ネタに困っている皆さんへ、今こそ物流改善だ!
2 会社で発生している物流コストの内わけは?
3 物流コストの発生要因には何があるか
4 物流コストの見落としに注意しよう
5 輸送コスト改善の準備に取り組もう

第1章 輸送の全体像を理解しよう
1 輸送モードとその選択のための検討ポイント
2 利便性に優れる自動車輸送とリードタイム貢献に寄与する航空機輸送
3 コストメリットのある大量輸送に適した輸送モード
4 輸送コストの構成要素について理解する
5 トラック輸送価格の原価構成とサーチャージの考え方
6 トラック運送事業の規制緩和と法令について理解しよう
7 トラック輸送価格の決定要素について知ろう
8 物流子会社について

第2章 荷量把握のための物流データを準備しよう
1 物流を数字で示す重要性と荷姿データ
2 容器のデータの整理と個当たり物流データの作成
3 物流データを活用してみよう

第3章 輸送の問題点を見える化しよう
1 物流を数字で示す重要性と荷姿データ
2 物流5機能プラスワンで見える化してみよう
3 輸送を見える化する重要性
4 OD表を作成しよう−ある会社の例
5 市販の日本地図を利用して輸送マップを作成しよう
6 トラックの輸送効率を測定してみよう
7 トラック積載率は理論的に計算する
8 トラック実働率と実車率
9 トラック待機時間の要因を見える化する
10 荷役時間の実態を把握しておこう
11 荷姿の問題点を見える化する
12 荷姿充填状況と容器積み重ね可能状況を見える化する
13 海上コンテナの問題点の見える化と物流ロスの金額

第4章 トラック積載率向上のためのあの手この手
1 会社にとっての優先順位を見極める
2 荷台の隙間を埋める視点
3 配車センターを設置し出荷情報を一元化する
4 トラック能力を使い切れ!鉄綿混載にチャレンジする
5 本業では競争、物流では協業を考えよ
6 特便による異常コストを削減する
7 規制緩和で輸送のコストを削減する

第5章 戦略的調達物流への取り組み
1 調達物流について再認識しよう
2 調達物流での困りごと
3 会社のポリシーが問われる調達物流の位置づけ
4 調達物流改善としてのVMIと共同納入
5 現状調達物流における資産授受ポイントと責任範囲
6 現状調達物流における物流費の位置づけ
7 調達物流の使命とは何か
8 使命実現のための調達物流のあり方

第6章 戦略的調達物流の実行
1 調達物流実行に向けての準備を開始しよう
2 運送会社情報の入手と輸送マップへの追加情報
3 調達物流改善プロジェクトを立ち上げよう
4 調達物流戦略を立案しよう
5 調達物流ルートを組んでみよう
6 運送会社の評価を実施しよう
7 運送会社の集約を検討しよう
8 幹事会社と実運送会社のチームワークで効率的運用を図る
9 部品価格を改定し調達物流原資を確保する
10 部品価格改定におけるリスクとは
11 輸送情報システムの構築
12 日常管理体制の構築

第7章 荷姿設計で輸送を根本的に効率化
1 荷姿の重要性について再認識する
2 荷姿改善が輸送に与える影響と荷姿技術の重要性
3 製品設計と荷姿設計のサイマル活動で大幅に輸送コストを改善しよう
4 輸送モードに合わせた荷姿モジュールを作ろう

第8章 輸送パートナーの選定と共同活動
1 輸送アウトソース時の落とし穴にはまるな
2 アウトソースの妥当性を点検しよう
3 物流アウトソース前にやっておくべきこと
4 物流作業「仕様書」の作り方
5 公平公正なアウトソース先選定方法
6 委託先管理はアウトソース成功のキーポイント
7 輸送パートナーとの共同改善活動の実践
8 皆さんが輸送パートナーに貢献できること

附 録 輸送コストの改善ができる人材を育成しよう
1 管理者は部下への質問を通して物流を学べ
2 管理者は物流をマネジメントすることを学ぼう
3 物流管理スタッフの機能と育て方
4 効率的な物流を設計する物流技術スタッフの機能と育て方
5 輸送マイスターを育成せよ

コラム
総合物流施策大綱2017-2020
今、輸送の現場で起きていること
トラガールは救世主となるか
ついに動き始めた!国の運送に関する施策を知ろう
荷主勧告制度改定と私たちの留意点①
荷主勧告制度改定と私たちの留意点②
輸送とCO2排出の関係について知ろう
私たちのとるべき望ましいアクションとは

はじめに

はじめに

 「上司から物流改善を進めろといわれているが、何から手を付けたらよいかわからない」
 毎月全国で実施させていただいているセミナーで、製造会社の物流や生産技術、生産管理などの部門の管理職や担当者の皆さんから寄せられる悩みの多くがこの言葉に集約される。
 例えば物流改善を実際に経験したことがない担当者や、生産工程の改善はお手のものでも、物流ノウハウを持たない工場担当者の皆さんが弊職のセミナーに学びに来られている。これは日本の製造業では決して珍しいことではない。なぜなら日本ではきっちりとした「物流学」は存在しないし、中学や高校で物流に触れる機会もない。生産改善のように積み重ねてきた歴史も存在しない。このような状況で突然物流改善を任されたとしたらどうなるか?
 さらに最近の物流を取り巻く環境変化が自分の会社にどのような影響があるのかをセミナーの場で問うと、心もとない回答しか来ない。何となくリスクは察知しているものの、「10年後も問題なく自社の荷物を運べている」と自信を持って手を上げられる受講者の方は極めて少ない。トラック運転者が高齢化し新たな輸送の担い手がいない、彼ら彼女らの長労働時間には厚生労働省も目を付けており改善が求められる。一方で国として工場のような荷主・着荷主に一定の対応を求めているのだが、このような情報を持ち合わせていないのが実態だ。
 国は「標準貨物自動車運送約款」を改正し、平成29年11月4日から施行されている。この改定で荷主、着荷主は3つの影響を受ける可能性が大である。1つ目が「運賃」と「料金」の区別を明確化することだ。従来の契約ではどこからどこまで輸送していくら、というように契約価格が1つだったとしよう。その中には荷積み、荷降ろし、荷物の仕分けや待機などがすべて含まれている状態だった。今後の契約ではこれをそれぞれ分離し、「運賃」「積み込み・荷降ろし料」「付帯作業料」などとして明確化することが求められることになった。
 2つ目が「待機時間料」を新たに規定することだ。これは説明するまでもないことだが、荷主都合による 荷待ち時間の対価を 「待機時間料」とするということだ。
 3つ目が附帯業務の内容をより明確化することだ。附帯業務の内容に「棚入れ」、「ラベル貼り」、「横持ち」、「縦持ち」、「はい作業(倉庫等において箱等を一定の方法で規則正しく積み上げたり崩したりする作業)」を追加することとなった。
 これは「標準貨物自動車運送約款」の話だが、個別契約に関してもこれに準じていくという考え方が自然だ。運送会社からこのような変更の申し入れがあったら会社として対応していく必要があるだろう。
 国の施策として2つ目に知っておいていただきたいものが「貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部を改正する省令の公布」だ。平成29年7月1日に施行されている。この交付の趣旨について国土交通省は次のようにいっている。
 『トラックドライバーの業務の実態を把握し、長時間労働等の改善を図るため、荷主の都合により待機した場合、待機場所、到着・出発や荷積み・荷卸しの時間等を乗務記録の記載対象として追加する「貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部を改正する省令」を公布した』
 要点を説明すると、一定の大きさのトラックの運転者に時間記録をさせることで、荷主都合による待機時間など荷主の構内でのムダな時間を顕在化し、それを改善することで長時間労働を是正していきたいというものだ。特に待機時間改善に取り組むとともに運送会社から申し入れがある可能性もあるので、「荷主責任か否か」はわかるようにしておきたい。
 皆さんにさらに知っておいていただきたいことは、平成29年7月1日から改定施行された荷主勧告制度だ。国土交通省のパンフレットの冒頭にはこう記されている。『トラック運送事業者の法令違反行為に荷主の関与が判明すると荷主名が公表されます!』。「荷主勧告」は、貨物自動車運送事業法第64条に基づき、トラック運送事業者の過積載運行や過労運転防止措置義務違反等の違反行為に対し行政処分を行う場合に、当該違反行為が荷主の指示によるなど主として荷主の行為に起因するものと認められるときは、国土交通大臣が当該荷主に対し違反行為の再発防止のための適当な措置を執るべきことを勧告するものだ。工場の出荷担当者が安易にトラック運転者に話したその一言が法令違反につながることも考えられる。社内での十分な周知徹底が望まれる。
 このような環境変化を知った上で私たちは物流改善に取り組まなければならない。特に物流コストの最大要素である輸送について。もしかしたら「輸送改善=輸送価格の見直し」と短絡的に考えている方もいらっしゃるかもしれない。たしかに過去は運送事業者と交渉すれば輸送価格は下がっていたことだろう。しかし今や運転者不足で価格は上昇傾向にある。ではどうしたらよいのか。
 本書では輸送コストを価格だけではなく抜本的に「輸送の仕組み」を変えることで下げる方策を多数掲載した。皆さんが物流コストを削減する目標として30%を挙げたい。決して実現不可能な数字ではないから。さらに、仕組みを変えることはコスト削減だけではなく、在庫削減にもつながる。それはサプライチェーン全体の効率化に寄与することも意味する。ぜひ最後までお読みいただきそのノウハウを吸収していただきたい。
 物流改善はいうまでもないが、モノの流れの清流化やモノづくりの体力向上、工場全体の効率化など、さまざまな場面でお役立ていただければ幸いである。
2018年3月 
仙石惠一

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