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おもしろサイエンス
コンタクトレンズと眼鏡の科学

定価(税込)  1,728円

著者
監修
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07807-1
コード C3034
発行月 2018年02月
ジャンル ビジネス

内容

日本人の2人に1人が持っている眼鏡、コンタクトレンズは10人に1人が装用している。本書ではコンタクトレンズ、眼鏡を構成する基本的な原理、最先端技術が詰め込まれた製品のメカニズムを解説。それらの長所・短所や特徴にも触れ、活躍のフィールドの違いや、特殊用途に用いられる製品も紹介。「科学・英知を結集したよりよく見えるための工夫が詰まったツール」を解明する。

久保田慎  著者プロフィール

(くぼた しん)
1974年 東京都生まれ
1999年 東京工芸大学 大学院 光工専攻 視覚工学研究室修了
1999年~ 株式会社シード入社
日本初の使い捨てソフトコンタクト生産技術開発に従事
2013年~ 東京眼鏡専門学校(コンタクトレンズ/光学)非常勤講師
2016年~ 株式会社シード 技術部 副部長
著書『光学技術の事典』(コンタクトレンズ部分、共著)

畑田豊彦  著者プロフィール

(はただ とよひこ)
1969年、 早稲田大学大学院理工学研究科応用物理学専攻博士課程修了、工学博士。

元日本眼鏡学会理事長、元東京眼鏡専門学校 校長、日本放送協会放送科学基礎研究所、東京工芸大学工学部教授を経て、東京眼鏡専門学校校長を歴任、東京工芸大学名誉教授。

目次

第1章
光を操って、視力を補正する!?
1  コンタクトレンズは“猫の毛1本分”よりも精密に加工されている
2  光は横着モノ? “最短時間のルート”で目的地点に到達
3  光を曲げ、自由自在にコントロールして「見える」ようにする
4  眼は超高性能カメラだって、知ってる?
5  近視、遠視はカメラの「ピンボケ」──レンズとしての眼について
6  眼の「ピンボケ」を補正するのがコンタクト・眼鏡
7  乱視と老視の「ピンボケ」はどんな状態?
8  眼がいい? わるい? その度合をどう数値化するのか
9  光を操るレンズの形状──眼にとっての最適な形状とは
10  理想的な視力矯正──仮想の宇宙望遠鏡から生まれた発想

第2章
今のコンタクトレンズにできること!!
11  「黒船来襲」さあ大変──日本のコンタクトも使い捨て市場へ
12  「たい焼き」の作り方に似ている、使い捨てコンタクトレンズの製造方法
13  豆腐・寒天・こんにゃく……ソフトコンタクトレンズと兄弟!?
14  酸素不足がもたらす「からだの不調」は角膜にも
15  ハードコンタクトは涙も味方にしてしまう
16  “スイカの種・えだまめ”がヒントになった?──乱視用ソフトコンタクト
17  眼も老いる。水晶体の老化現象
18  “老眼”にも対応、遠近両用コンタクトの光学デザイン
19  「義眼」のようなコンタクト──虹彩付きソフトコンタクト
20  眼の中を覗き見る「検査用コンタクトレンズ」
21  コンタクトで網膜からの生体電気信号を検出
22  まだまだある特殊コンタクトレンズ

第3章
眼鏡もずっと進化を続けている
23  発明者不詳、眼鏡は拡大鏡から進化した
24  かつて「牛乳瓶の底」のように厚かったレンズが今や極薄に
25  七色に見える虹と眼鏡の虹色の関係は
26  「時は金なり」が生んだ遠近両用眼鏡への進化
27  時代の変化……デジタル時代の眼鏡もある
28  ここまで来た! 眼鏡がなんでも教えてくれる

第4章
コンタクトレンズVS.眼鏡どっちが……?
29  コンタクトレンズVS. 眼鏡……それぞれの特徴は?
30  より自然な見え方を引き出せるコンタクトレンズ
31  目が悪くない人にも眼鏡とコンタクト。どっちがオシャレ?
32  塵も埃も、水中でも……コンタクトの元祖──強膜レンズの特殊な機能
33  釣りあげられた魚は陸上では強度近視──驚異の水中コンタクトレンズとは
34  眩しい反射光で遮られた水面下が覗き見える偏光眼鏡
35  「眼鏡は踏まれて壊れ、コンタクトは洗われて破れる」は昔話?
36  眼鏡の“曇り”は除湿器の原理──曇らないコンタクトその理由は?
37  コンタクトレンズや裸眼でも“飛び出る画像”を見る方法
38  将来は自宅が診療所になる? IT技術を利用したドライアイチェック

第5章
特別な機能を持ったコンタクトレンズ・眼鏡
39  眼球の中にまで入れてしまうコンタクトレンズ(眼内コンタクト)
40  寝ている間に視力矯正、近視の進行も抑制──オルソケラトロジー
41  薬物治療もできる──薬が染み出るコンタクト
42  電子回路内蔵コンタクト──ごくわずかな眼圧変動さえ見逃さない
43  眼鏡でもコンタクトでもない“レーザ光”で視力矯正?

Column
「空が青い」ことと「使い捨てコンタクトレンズ」の関係
目は口以上にモノを言う

はじめに


はじめに





 二人に一人が持っている眼鏡……。十人に一人が装用しているコンタクト……。かつては、両方とも “たったの2面”で構成された単純な球面形状の単レンズでした。ところが、ちょうど人類がサルから進化したのと同じように、今では最新の形状や機能を持った器具として、あらゆる科学技術が加わり進化を続けています。一口でいうなら、「科学・英知を結集した、よりよく見えるための工夫」といえばよいでしょう。

 眼鏡は13世紀の中頃に開発が盛んになったとされていますが、当時は拡大鏡として扱われました。それから数百年の時を経て、たった2面で構成されていた「単なるレンズ」は、目の中に入るコンタクトレンズへと改良され、ここ数年では電子デバイスを組み込むようになり、今まさに歴史に残る驚異的な変貌を遂げようとしています。

 ソフトコンタクトレンズは、その重さが僅か0・03グラム程度で、これはなんと水を吸った米粒1粒と同程度の重さなのです。さらにそれぞれの人の目に度数を合わせるたには、猫の毛1本の太さ約0・06ミリメートルよりも高い精度で精密に加工し、コンタクトレンズの小さなカーブを操ることで、レンズ度数規格の製造が自由自在になったのです。

 一方で、むかしは重いガラスでできていた眼鏡はプラスチックへと変わり、今では軽く、薄くなっています。また、レンズもフレームも頑丈な製品になりました。現代のエレクトロニクス技術を搭載し、眼に照射することは危険と言われたレーザー光を自在にコントロールし網膜に照射して、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)のように現実世界に情報表示を加えるような商品へと発展してきています。

 また、加齢により調節力の衰えた老視眼に対応できる遠近両用レンズが生まれました。これにより、老眼になって水晶体のピント調節力が衰えても、近くも遠くも見えるようになっているのです。現在もなお、これらの進化はとどまるところを知りません。

 まず最初にコンタクトレンズや眼鏡に欠かせない、光学の基本的な原理原則や人間の眼について記します。これらの長所・短所や特徴にも触れ、それぞれの活躍のフィールドの違いや、特殊用途に用いられる製品も紹介していきます。

 また、特徴を知ったうえで、現代の最先端技術が詰め込まれた製品のメカニズムも解説します。主目的である「視力補正」器具の現況を伝える一方で、新たな視力矯正方法にも触れてゆきます。眼光学・視力矯正分野において、人類にとっての共通課題がQOV(Quality Of Vision)です。その目的達成に向けて、技術者はどのような知恵を絞っているのか、また、科学技術をどう利用しているのか、こうした現実をうかがい知ることができる構成になっています。

 さらに、ところどころコンタクトレンズの話題から離れ、両生類や水鳥が持っている、必要不可欠な驚異の水中コンタクトレンズ(瞬膜)や、動物の驚異的な能力(コンタクトレンズ)について明らかにしていきます。これらには、水中でモノを見るための役割があったり、鷹類は魚の捕食のために、水面の反射光を遮る、偏光レンズの役割を持つ驚くべき能力を持っているのです。

 魚類や人類にはないこの「瞬膜=自らのコンタクトレンズ」は一部の動物にとっては、水中などの個々の生活環境において、視力を矯正する役割もあります。退化したであろう人類の「瞬膜」は、近代化による「老視」に対応するために、自らの近くを見るため「遠近両用コンタクトレンズ」として、いずれは「退化→進化(環境適応)」するかもしれません。

 本書執筆の動機は、眼鏡・コンタクト業界に身を置く一技術者の責務として、仕事上関わってきた最新技術や製品化を技術者としての目線から、一般に平易な形で紹介することです。本書の読者には、これらの技術やコンタクトレンズと眼鏡に関連した内容に触れていただくことにより、普段はあまり気に掛けることがない身近なコンタクト・眼鏡にも、より一層興味を持っていただけたら幸いです。

2018年2月
久保田 慎 

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