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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい地質の本

定価(税込)  1,620円

編著
編著
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07806-4
コード C3034
発行月 2018年02月
ジャンル 土木・建築 ビジネス

内容

「地質」とは、自分たちの足下にある地球の性質を示すもので、東日本大震災や頻発する土砂災害などを契機に注目が集まっている。産総研地質調査総合センターでは、130年以上にわたり、地質の調査研究を行い、地質図をつくりあげた。本書では、「地質」とは何かという基礎から、日本国土の成り立ち、地質図の見方までわかりやすく解説する。

藤原 治  著者プロフィール

(ふじわら おさむ)
1967年岡山県生まれ。国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研) 地質調査総合センター 地質情報基盤センター次長(地質標本館長)、博士(理学)。1992年に東北大学大学院理学研究科博士前期課程を修了し、動力炉・核燃料開発事業団(現日本原子力研究開発機構)入所。2005年に地質調査総合センター入所。専門は地質学、古生物学。近年は南海トラフ、相模トラフなどの沿岸で津波堆積物を使った古地震の履歴調査を行ってきた。2017年4月より、地質標本館長として地質調査総合センターの成果普及と広報などを行っている。主著「津波堆積物の科学」(2015年、東京大学出版会)

斎藤 眞  著者プロフィール

(さいとう まこと)

1964年岐阜県生まれ。産総研 地質調査総合センター研究戦略部 イノベーションコーディネータ、博士(理学)。1990年に名古屋大学大学院理学研究科博士後期課程を中退し、地質調査総合センターの前身である地質調査所に入所。専門は地質学で、九州中部から南西諸島北部と岐阜県中西部の付加体の研究を中心に地質図の作成を行ってきた。現在はシームレス地質図編集委員会委員長として20万分の1日本シームレス地質図V2の編さんを行っている。その一方で、地質関係のイベントの企画を行ったり、化石チョコレートの開発、Geological Textileの開発に参加したりと、地質情報の普及も精力的に行っている。

目次

第1章 “地質”っていったいどんなもの?
1 地質ってなんだろう 「人類社会と密接にかかわるもの」
2 地質を理解するにはまずは地層から!? 「層状をなして累積した堆積岩」
3 地層のできかた(堆積岩) 「水中とは限らない」
4 火山岩 ・ 深成岩のでき方 「マグマが様々に変化する」
5 温度や圧力によって石が別の性質に変化する 「変成岩のでき方」
6 日本列島の骨格をなす付加体 「日本列島の基盤をなす付加体」
7 地層にも住所と名前がある 「地層の分類と命名」
8 地球の46億年の歴史を115に分けてみる 「地球の歴史を区分する」
9 地層累重の法則 「上にあるほど新しい」

第2章「見つかる化石」が地質を語る
10 化石とは何か… 「石とは限らない」
11 どうして化石になったのか? 「化石のできかた」
12 目には見えない化石もたくさんある 「微化石」
13 示準化石と示相化石ってどんなもの? 「時代と環境の示標」
14 地質図から化石が出る場所を見つける 「よく見るとわかってくる」
15 化石を含む球状の硬い石 「ノジュールの謎」
16 クジラより大きな巨大サメが残っている 「天狗の爪とは?」
17 石炭、石油、天然ガスは化石と地球が創った 「燃料資源になる化石」
18 絶滅した哺乳類デスモスチルス 「歯の特徴が名前に」

第3章 地質がわかる地質図の秘密
19 地質図ってどんな地図 「地形図との違い」
20 地質図は時間を含んだ四次元情報を扱う 「いろいろな工夫」
21 地質図は地下まで見える 「断面図が示すもの」
22 地質図を読んでみよう 「簡単な地質図学」
23 重要な野外での地質調査 「露頭と推理」
24 世界の中でも特別複雑な日本の地質 「大陸の縁にあった!?」
25 どこでも地質図─20万分の1日本シームレス地質図 「ユーザーが急増」
26 地質図にいろいろな情報をオーバーレイ 「地質図Navi」

第4章 地質を見れば自然災害がわかる
27 将来も活動することが推定される断層 「活断層とは」
28 「活構造図」と「活断層ストリップマップ」 「地質図にみる活断層」
29 地震と対応付けた活断層データベース 「日本の活断層」
30 地質で重要な役目を担うマグマ 「火山の科学」
31 たくさんの活火山がある我が国の現状 「日本の火山」
32 地質構造をよくみていくと災害がわかる 「地すべり」
33 大きな振動が加わると地層が液体状になる 「液状化現象」
34 プレート境界地震、火山活動、海底地すべりなどが原因 「津波」
35 過去に来襲した津波を知る 「津波堆積物」

第5章 地質の中にはいろいろな資源が眠る
36 鉱床とは有用な鉱物資源があるところ 「日本の鉱物資源」
37 金が採れる日本の地質―黄金の国伝説― 「浅熱水性金鉱床」
38 銅、鉛、亜鉛は火山性塊状硫化物鉱床から 「黒鉱と別子型鉱床」
39 日本にはあまりない資源 「レアメタルとは」
40 希土類資源はどこにある? 「希土類の生産は大変」
41 巨大な結晶からなる岩石がある 「ペグマタイト」
42 日本の焼き物の原料 「陶土と陶石」
43 墓石や建築材など多様に利用 「石材―代表は花崗岩―」

第6章 地質は社会の基盤となる重要なもの
44 普通の人は知らないけれど絶対に必要な地図 「土木工事に必須の地質図」
45 地質図を見て住むところを決めませんか? 「それは非常に大事なこと」
46 地球の水の起源と資源的価値 「水の惑星?」
47 地下水という名の水資源 「最も消費される地下資源」
48 更新型資源と非更新型資源ってなに? 「地下水資源の特徴」
49 海と陸の地球化学図と自然放射線量 「地質図と重ねてみてみる」
50 地球内部の熱を使って発電する 「地熱資源」

第7章 地質がつくる摩訶不思議な絶景
51 美しい風景の裏側には地質がある 「地質と観光 ・ ジオパーク」
52 地質は地形、植生、風景、人間社会の「基礎」 「地質が表すもの」
53 マグマが冷却されてできた名勝 「柱状節理」
54 海岸の地形に刻まれた巨大地震 「見物海岸」

55 地層が作る風景の代表作、大小の縞模様 「ミクロから巨大なものまで」
56 流れの方向がわかる堆積構造 「カレントリップル」
57 日本最長の断層は九州東部から関東まで 「中央構造線」
58 フォッサマグナ 「日本列島形成時の非常に深い基盤の凹み」

第8章 海洋にも地質図がある
59 地震の起きるところ、火山のできるところ 「プレート大地形」
60 海を理解して上手につかっていくために 「音波で海底下を見る」
61 ワイヤー1本で海底の試料を採取する 「海底の地層を採る」
62 地磁気は日本列島の形成史を記録する 「地磁気と重力を測る」
63 大陸棚の延伸 「EEZについて」
64 突発的現象による堆積で地層は不連続だらけ 「イベント堆積物」
65 環境悪化と気候変動によるサンゴ礁の衰退 「サンゴ礁とCO2」

【コラム】
●地質の年代を決める
●地名や人の名前が付いた化石がある
●様々な地質図
●災害研究で地質を研究するわけ
●鉱物資源になる化石
●県の石、国の石
●台地と低地…坂と崖の風景
●地質から学ぶこれからのこと

はじめに

はじめに



 日本の都市では地面の多くを人工的な建造物が覆っています。このため、私たちは自分の足元にある地質に触れる機会がほとんど無くなりました。しかし、見えても見えなくても、地質は私たちの生活と密接に関係しています。

 日本列島はプレートが収束する境界にあって、地球上で最も活発な地質現象が起こっており、複雑な地質が分布する地域です。そのため日本の地質は、世界の中でも大変詳しく調べられています。なぜ日本の地形が変化に富み植生などが地域で異なるのかは、地質が大いに関係しています。また、なぜそこに特有の資源があるのか、起こりやすい自然災害に地域差があるのかなども地質に原因があります。環境問題、資源開発、土地(地下)利用、自然災害に強い国づくりなど、地質と社会生活との関係はますます複雑になっています。

 地質を調査して、それを決まった色や記号を使って地図上に表したものが地質図です。日本では、産業技術総合研究所地質調査総合センターが国の仕事として地質図を作成し出版しています。本書ではこの地質図を軸にして、日本列島の地質にどういう特徴があるのか、私達はその地質とどう付き合っているのか(付き合っていくのか)を説明することに重点を置いています。もちろん、地質は地球全体の成り立ちとも関係しますから、そうしたテーマも取り上げています。

 地質図を作るのには、複雑な地質に関する情報を紙の上に記述する必要があります。そのために、様々なテクニックやルールがあります。これを知っていると地質がぐっと身近になります。

 地質には材料とでき方によって様々な種類がありますが、それは堆積岩や火山岩といった大きな区分からはじまり、砂岩や玄武岩といった個別の岩石名、さらに細かな分類まであります。また、人に住所と名前があるのと同じく地層にも住所に相当するものや名前があります。本書では最初に、こうしたことを決める方法などを紹介します。

 地層には様々な化石が含まれていることがあります。恐竜のような大きなものから顕微鏡で見てはじめてわかるごく小さなものまで、多種多様です。化石は資源にもなります。第2章では、こんなところに化石が使われていたのか、という例も紹介します。

 地質図には目的に応じていろいろな種類があります。縮尺もいろいろです。今ではインターネットさえあれば、何処でもいつでも日本の地質図を見ることができるようになりました。そんな地質図の知識を第3章で紹介しています。

 様々な恩恵を私達に与えてくれる地質ですが、一方で自然の猛威を振るうこともあります。地震、津波、土砂災害などは地質学的な変動帯に位置する日本では避けて通ることができません。しかし、第4章で紹介しているように自然災害の起きる仕組みや、そういう現象が置きやすい場所を知っていれば、被害を減らすことはできます。

 日本は資源小国と言われますが、採れる鉱物資源の種類は多様です。なぜそんなに種類が多いかは、複雑な地質の成り立ちと関係があります。国土面積の割に地熱や地下水資源が多いのも日本列島の特徴です。第5章と第6章では、“資源国日本”と、地質に関連する土地利用などの様子を見てみましょう。

 地質と風景とは切っても切れない関係にあります。小川の岸に見える小さなものから、人工衛星で見ないとわからない巨大なものまで、地質は様々な風景を作っています。最近ではジオパークや世界遺産としても地質の魅力が取り上げられています。地質を観察するポイントを知っていると、その楽しみはさらに広がるでしょう。第7章ではそんな“地質の見方”も解説します。

 地質は陸上だけでなく、もちろん、海底にも広がっています。ですから、海底の地質図というものもあります。海底は直接目で見られない場所が多いので、海底で地質を調査するには特別な技術や道具が必要です。海洋国日本にとって、海底の地質を知ることには大きな意味があることを第8章で紹介しています。

 語れば切りのない地質のお話ですが、読者の皆さんには「そうか、ここにも地質が関係していたのか」、と発見をしていただければ幸いです。

 
2018年2月

著者一同

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