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「設計力」こそがダントツ製品を生み出す
-やみくも先行開発を打破する7つの設計力-

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-07774-6
コード C3053
発行月 2018年02月
ジャンル 機械

内容

本書は、競合他社に圧倒的な差をつけるための先行開発の実践法を紹介した本。何が競合に対して差を付けるのかなどを事例をまじえて解説する。さらに先行開発の成果である“売り”になる技術を確実に量産に結びつけるための構想設計のポイントを紹介する。設計・開発主導のものづくりの構築を目指し、自社の設計力のあり方に見直しを迫る設計指南書。

寺倉 修  著者プロフィール

(てらくら おさむ)
1951年 大阪府生まれ。
1975年 名古屋工業大学計測工学科卒。同 寺倉電気株式会社入社。
1978年 (株)デンソー(当時、日本電装(株))入社。
1999年 機能品技術2部設計室室長。
2003年 機能品技術3部開発室室長。27年間技術部で車載製品の開発・設計に従事。
2005年 (株)ワールドテック設立・代表取締役社長
開発・設計・品質・生産技術・生産などの製造業への社員研修・技術支援。
2006年 中部産業連盟講師
2010年 (財)企業活力研究所‘平成22年ものづくり競争力研究会’委員
2017年 名古屋工業大学非常勤講師
学会発表 1998年 日本自動車技術会
2001年 SAE(Society of Automotive Engineering)デトロイト
デンソー在席中の主な開発設計の実績
●日本初(機能は世界初)となる2種類のセンサを開発、レクサスへの搭載を実現
 ・オートワイパ用レインセンサ[Toyota Lexus 1998]
 ・AT用Hall IC方式カイテンセンサ[Volvo 1998]
●他、ボデー系、パワートレイン系20種類以上のセンサ、アクチュエータを開発
著書:「「設計力」こそが品質を決める―デンソー品質を支えるもう一つの力」
   「「設計力」を支えるデザインレビューの実際」 (いずれも日刊工業新聞社刊)
執筆: 車載センサの基礎2010(日経BP)
    機械設計の特集(日刊工業新聞社)
   「品質問題を未然に防止するDRBFMによる設計品質向上入門」 他
講演: 東京大学大学院経済研究科MMRCで「設計力」など講演  他多数

目次

第1章 先行開発は何のために行うのか
1-1 設計にしかできないこと
1-2 図面が内蔵する問題点は現場力ではカバーできない
1-3 現場力で設計力の目標を超えることはできない
1-4 なぜ世界No.1を目指すのか
1-5 世界NO.1製品とはQ・C・Dの一つ以上がダントツであること
1-6 ダントツの目標値と設計段階の大きな流れ
1-6-1 先行開発では、ダントツ目標値と照らし合わせて実現見通しを探る
1-6-2 量産設計では目標値を品質120%の達成を取り組む
1-7 それぞれの段階の取り組みは、Wモデルで表現できる
1-8 先行開発段階の活動で使われるツール

第2章 先行開発で仕込むダントツ目標
2-1 ダントツ目標を実現する先行開発の流れ
2-1-1 新製品開発をスタートできる環境をつくる
2-1-2 選択と集中で開発体制を確保
2-1-3 新製品選定の基本方針を決める
2-1-4 新製品を具体的に選定する
2-1-5 選定した製品を世界NO.1にする開発方針を決める
2-1-6 システムから要求される真のニーズを把握する
2-1-7 ダントツコストを見極め、実現する
2-1-8 先行開発事例まとめ
2-2 ダントツ目標が満たす4要件
2-2-1 真のニーズとダントツの目標値
2-2-2 ダントツ目標が満たすべき4要件
2-2-3 目標実現のためのプロセスとは
2-2-4 ダントツ目標値の実現のための阻害要因の打破
2-2-5 先行開発段階の7つの設計力要素とは
2-2-6 先行開発段階の7つの設計力要素を構成するもの
2-2-7 設計力から導かれるプロセスフローのアウトプットとは
2-2-8 先行開発で仕込むダントツ目標のまとめ

第3章 ダントツ目標設定とプロセス管理
3-1 先行開発の基本プロセスに品質機能展開を活用する
Step1 要求品質を明らかにするため市場動向などの情報収集
Step2 上位システムの中での担当製品の重み付け
Step3 ダントツを狙う品質特性の絞り込み
3-2 ダントツ目標設定に必要なロードマップ
3-2-1 ロードマップとは
3-2-2 ロードマップの基本パターン
3-2-3 ロードマップは市場を誘引する
3-2-4 ロードマップを創る体制
3-2-5 ロードマップのパターン

第4章 先行開発を量産につなげる7つの設計力
4-1 量産設計の流れ
4-1-1 量産設計での目標値の設定
4-1-2 構想設計
4-1-3 詳細設計
4-1-4 試作品評価
4-2 120%品質を確保する7つの量産設計の設計力要素
4-3 先行開発を量産につなげる7つの設計力まとめ

第5章 ダントツ製品を目指した取り組み事例
5-1 コスト1/2を達成した例
5-2 ダントツのスピードを達成した例
5-3 システムの変化点はダントツ新製品開発の機会

第6章 淘汰の時代に生き残る設計者像
6-1 世界No.1製品を目指す設計者とは
6-2 自然はだませない-設計力で乗り越えるべきもの
6-3 CADの前に座るまでが勝負、そのためには設計力を磨く
6-4 課題解決の99%は未だ5合目
6-5 世界No.1を目指した経験者の言葉

はじめに

はじめに


 製造業は今、100年に一度の変革期を迎えたと言われている。IoTやAIの急速な進化と普及は、モノづくりが新たな段階に入りつつあることの明確なシグナルである。こうした世の中の動きを先取りするかたちで、自動車メーカー各社は、従来の自前主義を脱し、すでにAIなどをめぐりIT企業との協業を始めている。当然、部品メーカーも自動運転化や電動化を踏まえ、今までとは異なるシステム部品への取り組みを模索する企業が増えている。
 もちろん、社会環境がいかに変わろうと、製造業の基本はお客様が満足する商品を提供することにあり、それを踏まえたうえで、競合メーカーに対し優位性を保ち続けることである。これはAI化などにかかわらず、普遍的に取り組まねばならない課題であることは言うまでもない。
 本書は「お客様の信頼を勝ち得、競合に勝つ」との普遍的な価値を命題とし、そのもっともシンプルな目標として「世界No.1製品の実現」をテーマに掲げている。具体的には、世界No.1製品であるための「ダントツの性能」と「ダントツのコスト」達成への取り組みだ。この取り組みは「先行開発段階の設計力」と、この設計力のアウトプットを受ける「量産設計段階の設計力」から構成される。後者「量産設計段階の設計力」については、2009年に上梓した『「設計力」こそが品質を決める』(日刊工業新聞社刊)で取り上げた。そこでいう設計力とは、市場で品質不具合を出さない取り組み、つまり、「先行段階の設計力」で見極めたダントツ目標値を品質120%で達成する(100万個造っても1個たりとも不具合を出さない)取り組みであった。一方、2014年に上梓した『「設計力」を支えるデザインレビューの実際』(日刊工業新聞社刊)は、先行段階、量産段階の二つの設計力の相互作用を高める活動を表したものである。
 本書では、主に「先行開発段階の設計力」を取り上げている(一部、量産設計とのつなぎの部分ではそのエッセンスを紹介している)。まずはダントツ目標の基本コンセプトをいかにして決めるか、どのようにしてその目標を実現(技術的な目途付け)するかなどを検討していく。ターゲットとなる製品の選定から、ダントツ目標の設定、及びその目標値を実現するまでの取り組みまでを詳説するとともに、目標の実現に必要となる先行開発段階の全プロセスを紹介し、実現に際して満たすべき要件、実現を阻害する要因の打破について掘り下げて解説している。更に、世界No.1の製品への取り組みをイメージしてもらうためにいくつか事例を紹介する。ダントツ目標とは、実は身近にあるということを示す例、ダントツスピードの開発例など、「競合に勝つ」ための取り組みを学ぶ。最後に世界No.1製品の取り組みに必要な設計者個人のありよう(あるべき姿)についても取り上げている。

 製造業は設計段階の取り組みが品質・コストの80%を決めるとの現実がある。これが設計力の強化に取り組まなければならない理由である。そして先述のように、この設計力の強化は2つの面で捉えなければならない。1つは「品質」。市場で品質不具合を出さない取り組みを行うこと(量産設計段階の設計力)。もう1つは、競合メーカーに対し「優位性」を確保するということだ(先行開発段階の設計力)。この2つの取り組みが相まって真の優位性を確保でき、製造業として初めて成長することが可能となる。
 本書によって、先行開発段階の設計力は「いかにあるべきか」「何を取り上げるべきか」「どのように取り組むべきか」がご理解いただければ幸いである。モノづくりの変革期の今こそ、基本に立ち返った取り組みが一層重要となってきている。読者諸氏の奮起とチャレンジを期待したい。
2018年2月 著者

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