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きちんと知りたい!
自動車低燃費メカニズムの基礎知識

定価(税込)  2,160円

著者
サイズ A5判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-07797-5
コード C3053
発行月 2018年02月
ジャンル 機械

内容

人気シリーズ「きちんと知りたい!」の第7弾。自動車を取り巻く時代の趨勢は低燃費環境志向でコスト面も含めて、自動車を購入する際の大きな判断基準のひとつとなっている。そのためメーカーは低燃費技術の開発にしのぎを削っている。本書は「丁寧でわかりやすいイラスト詳解図面」、「2頁見開き構成でサクサク読める本格的な内容」が特徴の図解本。

飯塚昭三  著者プロフィール

(いいづか しょうぞう)
1942年東京生まれ。1965年東京電機大学機械工学科卒。同年、自動車・機械関連などの老舗出版社、山海堂に入社し、自動車工学・整備関係の書籍編集に従事した。1969年にモータースポーツ専門誌『オートテクニック』の立ち上げに参画、取材を通じてモータースポーツに関わる一方、自身もレースに多数参戦して、編集者ドライバーの先駆けとなる。編集長を務めた後、87年にジムカーナを主テーマとした『スピードマインド』を創刊し、企画・編集に携わった。2000年にフリーランスに転じ、テクニカルライター・編集者として自動車の技術的な解説記事を執筆している。現在、日本自動車研究者ジャーナリスト会議(RJC)会長。また、一般社団法人 日本陸用内燃機関協会の機関誌『LEMA(陸用内燃機関)』の編集長を務めている。
◎主な著書:『燃料電池車・電気自動車の可能性』『サーキット走行入門』『ガソリンエンジンの高効率化―低燃費・クリーン技術の考察』『ハイブリッド車の技術とそのしくみ―省資源と走行性能の両立』『ジムカーナ入門 新訂版』『自動車用語辞典』(以上グランプリ出版)ほか。

目次

第1章 自動車の動力源と環境規制
1. 排気ガス規制への取り組み
1-1 排気ガス規制の歴史
1-2 いかに排気ガスを清浄化してきたか
1-3 ZEV規制とCAFE規制
1-4 排気ガス問題は終盤に来ている!?
1-5 CO2排出量は燃料消費率と直結している
2. 自動車を取り巻く時代の流れ
2-1 内燃エンジンに将来はないか
2-2 時代は低燃費とゼロエミッションへ
2-3 ダウンサイジング車
2-4 ディーゼルエンジン車
2-5 代替燃料車とは
2-6 ハイブリッド車
2-7 電気自動車
2-8 燃料電池車
COLUMN1 電気自動車と燃料電池自動車は共存するのか?

第2章 自動車の低燃費メカニズム・環境技術の基礎知識
1. 燃費と損失
1-1 燃費がよいとは熱効率がよいということ
1-2 排気損失とは
1-3 冷却損失とは
1-4 ポンピング損失とは
1-5 摩擦損失とは
2. 内燃機関の基礎知識
2-1 トルクと出力(馬力)の関係とその意味
2-2 トルクと燃料消費率の関係
2-3 回転数/負荷と効率
2-4 正常な燃焼を阻害するノッキング
2-5 圧縮比と異常燃焼との関係、そして熱効率
2-6 エネルギー密度と出力密度
2-7 タンク・ツー・ホイールとウェル・ツー・ホイール
COLUMN2 ディーゼルエンジン車の明暗

第3章 レシプロエンジンの低燃費メカニズムと環境技術
1. 燃費向上に寄与するエンジンメカニズム
1-1 4バルブ化のメリット
1-2 スワールとタンブル
1-3 気筒配列と気筒数、エンジン性能
1-4 バルブタイミングとは
1-5 可変バルブタイミングとは
1-6 切り替え式の可変バルブタイミング(リフト)とは
1-7 連続可変バルブリフトとは
1-8 連続可変バルブリフトの持つ大いなる意義
1-9 アトキンソンサイクルとは
1-10 ミラーサイクルとは
1-11 可変圧縮比システムって何?
2. 燃焼技術
2-1 燃料噴射とは
2-2 間接噴射と直接噴射
2-3 直噴技術の進化
2-4 デュアルインジェクター
2-5 排気ガスを再燃焼させるEGR
2-6 ボアストローク比、S/V比と燃費
2-7 気筒休止システムとは
2-8 HCCIとは(1) 同時多発着火・燃焼
2-9 HCCIとは(2) 希薄燃焼の追求
2-10 HCCI技術を投入したマツダのSKYACTIV―X
3. 過給および環境対策技術
3-1 過給機の種類
3-2 ターボラグ改善のためのいろいろな工夫(1) A/R比
3-3 ターボラグ改善のためのいろいろな工夫(2) ツインターボと2ステージターボ
3-4 スーパーチャージャーと電動ターボ
3-5 三元触媒(NOx吸蔵還元型三元触媒)
3-6 PMとNOx
3-7 ディーゼル用触媒(DPF、尿素SCR、NOx吸蔵触媒、酸化触媒)
3-8 コモンレールシステム
3-9 高圧多段噴射とは
3-10 インジェクターの種類と特徴
3-11 アイドリングストップの意義
3-12 エンジン再始動の課題と解決の方向性
3-13 オルタネーターを利用した再始動方式
3-14 タンデムソレノイド式スターターモーター
3-15 i-stopって何?
3-16 その他のアイドリングストップ機構
COLUMN3 全自動車メーカーがFCV開発に向かった!

第4章 エンジンの主要要素と駆動系
1. エンジン部品の摩擦抵抗と効率化
1-1 ピストン・コンロッド・クランクの摩擦抵抗低減
1-2 バルブ駆動系の摩擦抵抗低減
1-3 その他のパーツの摩擦抵抗低減
1-4 ポンプの電動化(補機の電動化例)
2. 燃費に関わるトランスミッション
2-1 トランスミッションの種類
2-2 トランスミッションの多段化とロックアップ
COLUMN4 トランスミッションのあれこれ

第5章 軽量化技術とハイブリッドメカニズム
1. 車体/周辺部材の軽量化
1-1 車体部材の軽量化技術の基礎知識
1-2 軽量化技術(1)鉄・アルミニウム
1-3 軽量化技術(2)プラスチック・CFRP
2. ハイブリッドシステムとは
2-1 ハイブリッド車の燃費がよいのはなぜ?
2-2 ハイブリッドシステムの新たな動き
2-3 賢いハイブリッドシステムTHSの基本原理
2-4 プラグインハイブリッドの可能性
COLUMN5 軽量化と車体構造

はじめに

はじめに

 自動車の基本機能は「走る」「曲がる」「止まる」だといわれていますが、現在のクルマはこれらに優劣を付けるのが難しいほど、いずれも高いレベルに達しています。サーキットで限界走行をするのであれば、限界付近の挙動変化について云々することもありますが、街中を普通に走っている人にとっては、オーバーステアもアンダーステアもほとんど関係ありません。クルマ選びの基準はもはやクルマの運動性能の優劣ではなくなっているといえます。
 しかし、現在も各メーカーはクルマの技術開発にしのぎを削っています。それはクルマの優劣や差異を表わす他の大きな要素があるからです。現在自動車メーカーやサプライヤーが真剣に取り組んでいる項目は次の3つです。①低(無)排出ガス・低燃費(ゼロエミッション・電動化)、②安全性の向上(運転支援・自動運転)、③インターネットにつながった情報通信機能を持つ使い勝手の向上(コネクティッドカー)です。このうち、ここで扱うのは最初の低排出ガスと電動化の方向性です。
 欧州、中国を筆頭に、世界中でクルマは一気に電動化の方向に向かい始めた感があります。しかし、いくらEVが普及しても、化石燃料を燃やしてエネルギーを得ていたのではその意義は半減します。再生可能エネルギーへの転換は今後急速に進んでいくと思われますが、全世界的に見ると、そのインフラ整備には相当な時間が掛かるとみられます。その意味では内燃機関の居場所はまだまだあると考えられます。低燃費、低排出ガスの技術は高い効率によりもたらされます。高効率化の技術と言い替えてもいいでしょう。本書で紹介しているのはそのような技術です。
 実際に、内燃エンジンの熱効率はたいへん高くなっています。ガソリンエンジンの場合、それに貢献した1つがハイブリッド技術です。エンジンの苦手な低回転域をモーターに任せることで、エンジンは効率の高い使い方に徹した設計ができるようになりました。さらに日本の内燃エンジンの高い技術は、実用化が難しいといわれたHCCI(予混合圧縮着火)や可変圧縮といった技術をも実用化させようとしております。本文にあるように、ガソリンエンジンのトップランナーの熱効率は45%に達しており、当面50%が目標で、最終的には60%が視野に入っているといわれています。ディーゼルエンジンの効率はそれを上回ります。
 内燃エンジンからのCO2排出は、バイオマス燃料を使えばカーボンニュートラルの観点から問題がなくなります。再生可能エネルギーで電気を賄えないEVより、内燃エンジン車のほうがウェル・ツー・ホイールの観点で考えれば、低燃費・低排出ガスになる可能性もあります。クルマが最終的にEVやFCVになることに異議を挟むつもりはありませんし、私自身はEVにもたいへん興味を持っており、推進派の一人です。しかし昨今の世界の急激なEV化の方向性にはいささか引っかかるものがあります。
 いずれにしろ、クルマは今大きな変革期にあるといえます。操縦性などは完成域にあるとして、効率の向上や電動化の方向性はまさに進行中で、どのように展開していくかはたいへん興味深い状況にあります。本書は「低燃費」をうたっておりますが、それを達成するためのいろいろな技術をわかりやすく解説したつもりです。読者の皆様の理解に役立てば幸いです。

2018年1月吉日 
飯塚昭三

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