買い物かごへ

“サイズ公差”と“幾何公差”を用いた機械図面の表し方

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 214頁
ISBNコード 978-4-526-07786-9
コード C3053
発行月 2018年01月
ジャンル 機械

内容

JISの新たな制定および改正により、長年、一括りで「寸法」と言われたものが、一部「サイズ」と呼称されることになった。これは、従来の寸法公差中心の設計から幾何公差中心の設計へのシフトを示すもので、非常に大きな変化である。本書は、その変化を受けて、新たに覚えるべきもの、従来のものから捨てるべきものを、「表し方」として明確に解説した決定版。

小池 忠男  著者プロフィール

(こいけ ただお)
小池忠男(こいけ ただお)
1973年からリコーで 20年以上にわたり複写機の開発・設計に従事。その後、3D CADによる設計プロセス改革の提案と推進、および社内技術標準の作成と制定・改定などに携わる。また、社内技術研修の設計製図講師、TRIZ講師などを10年以上務め、2010年に退社。
JIS/ISO準拠の機械設計製図およびTRIZを活用したアイデア発想法に関する、教育とコンサルティングを行う「想図研」を設立し、代表。現在、企業への幾何公差主体の機械図面づくりに関する技術指導、幾何公差に関する研修会、講演等の講師活動に注力。
日本規格協会(JSA)3D製図に関するJIS原案作成委員会委員。製造科学技術センター(MSTC)測定技術標準化委員会委員。
著書に、「これならわかる幾何公差」、「実用設計製図幾何公差の使い方・表し方」、共著に「はじめよう!カンタンTRIZ」、「はじめよう!TRIZで低コスト設計」(いずれも日刊工業新聞社)。

目次

目次

はじめに

第1章 「サイズ形体」を理解する
1―1 「寸法」とはなにか、その全体像
1―2 「サイズ形体」とはどのようなものか
1―3 「サイズ公差」で指示できるもの
1―4 「長さサイズ」に対する「指定条件記号」
1―5 「包絡の条件」を理解する
1―6 「包絡の条件」と同じ効果を生むもの

第2章 「データム系」を理解する
2―1 「データム」と「データム系」とは何か
2―2 主な「データム」の種類
2―3 「データム」の正しい指示方法
2―4 「共通データム」を理解する
2―5 「データムターゲット」を理解する
2―6 「データム系」を理解する

第3章 「幾何公差」を整理する
3―1 幾何公差の全体像をつかむ
3―2 幾何公差の「公差域」を理解する
3―3 幾何公差の「基本指示」を理解する
3―4 「形状公差」を理解する
3―5 「姿勢公差」を理解する
3―6 「位置公差」を理解する
3―7 「振れ公差」を理解する

第4章 「位置度」の使い方を究める
4―1 「単独形体」としての「位置度」
4―2 軸線を第1次データムとする「位置度」
4―3 参照データム有無が混在する「位置度」
4―4 3つの異なる公差域を要求する「位置度」
4―5 三平面データム系を使って規制する「位置度」
4―6 直角2方向の公差域を要求する「位置度」
4―7 平面形体と直線形体をデータムとした「位置度」
4―8 「最大実体公差方式」を用いた「位置度」
4―9 はまり合う穴と軸に対する「位置度」
4―10 「ゼロ幾何公差方式」を用いた「位置度」
4―11 複数パターンを規制する「位置度」
4―12 「複合位置度公差方式」
4―13 「突出公差域」を用いた「位置度」
4―14 「最小実体公差方式」を用いた「位置度」
4―15 「非剛性部品」の扱いを適用した「位置度」

第5章 「輪郭度」の使い方を究める
5―1 「形状公差」としての「面の輪郭度」
5―2 「姿勢公差」としての「面の輪郭度」
5―3 「位置公差」としての「面の輪郭度」
5―4 すべての形体への「面の輪郭度」
5―5 全周への「面の輪郭度」
5―6 位置決め部のある部品の「面の輪郭度」
5―7 公差域を不均等配分する「面の輪郭度」
5―8 公差域を徐変する場合の「面の輪郭度」
5―9 「複合輪郭度公差方式」

第6章 「機械図面」をリニューアルする
6―1 「寸法記入法」をリニューアル
6―2 「座標寸法記入法」をリニューアル
6―3 「カム形状」指示をリニューアル
6―4 「半径寸法」指示をリニューアル
6―5 「寸法」指示をリニューアル
6―6 「こう配/テーパ」指示をリニューアル
6―7 「角度」指示をリニューアル
6―8 「曲線」への指示をリニューアル

<コラム>
<A> “不規則なサイズ形体”?とは
<B> 意外な“データム系”を構成する“形体”
<C> “データム平面”は3つある!?
<D> “サイズ公差”と“位置公差”の違い
<ISO規格から>
・ISO8015:2011
・ISO1101:2017
・ISO5459:2011
・ISO1101:2017(その2)
・ISO16792:2015

おわりに
参考資料〈文献〉〈規格〉
索引


はじめに

はじめに

 世界で通用する機械図面(2D図面/3D図面)は、「寸法公差」ではなく、「幾何公差」を用いたものへと移りつつある。
 設計者は、機械部品の形状設計において、意図する部品形状について適切な許容範囲を指示し、許容する形状の「公差域」を明確にすることが大切である。そのために「幾何公差」は必須であり、その「幾何公差」を正しく理解することが重要となる。
 日本でも2016年3月のJIS改正によって、従来から馴染んできた「寸法」や「寸法公差」は、その意味合いが大きく変わろうとしている。
 これからの機械図面で使われる「公差」は、「サイズ公差」と「幾何公差」の2つに、大きく分けられる。
 数多くある「幾何公差」を1つひとつ、正確に覚えるのは大変だが、よく理解し正しく指示しなければならない。その上で、「サイズ公差」についても正しい理解をし、部品の中で「幾何公差」で指示すべきところと、「サイズ公差」に任せてもよいところが、どこなのかを見極める必要が出てきた。
 結局、それらの作業を通じて、一義性を保ちつつ、意図通りの図面に仕上げていく、設計者は、そんな覚悟が必要である。必要な知識を十分身に付けて、世界に通用する「機械図面」をつくり、変化の激しい世界の実情に迅速に対応していく。それが、今の日本の機械設計者、機械図面作成者には求められている。
 本書では、第1章で「サイズ形体」とは何かを手始めに、「サイズ」と「サイズ公差」に触れ、「寸法」の全体像を明らかにする。第2章では、幾何公差にとって非常に大事な「データム」と「データム系」を取り上げた。
 次の章から「幾何公差」に移る。第3章では、最初に「幾何公差」の全体像にふれた。記号の種類で14個ある「幾何公差」だが、本書では、より少ない「幾何公差」を用いて設計意図を表現することをめざした。そこで、主要な「幾何公差」に絞って、そのポイントを紹介した。
 第4章では「位置度」公差を、続く第5章では「輪郭度」公差を取り上げた。この2つの章については、多くの頁を割いた。これからの幾何公差の普及を考えると、この「位置度」と「輪郭度」の役割は大きい。
 それぞれ“究める”との、やや大袈裟なタイトルを付けたが、少なくとも、筆者は、そのような思いをもって構成した。
 最後の第6章では、これからの「機械図面」のあるべき姿を提示した。現在、多くの機械設計者が機械図面の作成にあたって参考にしている「JIS B 0001機械製図」から幾つかの図例を引用し、それに対して、これからのあるべき形を示した。主に「幾何公差」を使って具体的な図面指示例を示したので、「これからの機械図面の表し方」として、大いに参考になろう。
 このほかに、最近のISO規格、ASME規格などからも、参考になると思われる話題を<コラム>と<規格から>という形で紹介した。なにかしらの参考になるかと思う。
 なお、データムと幾何公差に関する現在のJIS規格は、制定からかなりの時間が経ている。一方、ISOにおけるデータムと幾何公差に関する規格は2017年制定のものをはじめ、非常に多くの新しいものが規定されている。そのような背景から、本書では、基本として、ISO規格をベースに、今後、取り入れていくべきと思われるものを選択し、その指示方法を採用しいている。
 従って、本書は、世界に通用する機械図面を作っていく上で、必要な内容を多く含んでいると考える。

 全体として、読者が実務で参考になるように、図面指示例を多く取り入れ、できるだけ実用的なものにしたつもりである。
 これから世界と肩を並べて製品設計して行きたいと思っている機械設計者には、是非、読んでほしい。また、生産技術や測定技術分野の方々も、更には、技術標準類を管理する立場の方々にも、読んでほしいと思っている。
 最後に、本書の出版に際して、JEITA三次元CAD情報標準化専門委員会の幾何公差研究会で一緒に活動している高橋保人さん、亀田幸徳さんのお二人には、原稿の段階から貴重な意見や提案をいただいた。深く感謝いたします。また、出版に至るまでの過程で、大変お世話になった日刊工業新聞社出版局の関係者にはお礼申し上げます。

2017年11月
著 者


買い物かごへ