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きちんと知りたい!
飛行機メカニズムの基礎知識

定価(税込)  2,160円

編著
著者
サイズ A5判
ページ数 184頁
ISBNコード 978-4-526-07785-2
コード C3053
発行月 2018年01月
ジャンル 機械

内容

人気シリーズ「きちんと知りたい!」の第6弾。今回は飛行機を対象に、そのメカニズムを丁寧に図解で解説する。飛行機のメカニズムを学びたい人はもちろん、機械制御やメカニズム関連の技術者でも興味を持って読める工夫をしている。「丁寧でわかりやすいイラスト詳解図面」「2頁見開き構成でサクサク読める本格的な内容」が特徴の図解本。

東野和幸  著者プロフィール

(ひがしの かずゆき)
特任教授 工学博士
室蘭工業大学 航空宇宙機システム研究センター専任
東北大学大学院工学研究科機械工学専攻博士課程修了
専門 推進工学

室蘭工業大学航空宇宙機システム研究センター  著者プロフィール

上羽正純(うえば まさずみ)博士(工学)
室蘭工業大学 航空宇宙システム工学コース 教授
東京大学大学院工学系研究科航空学専門課程
専門 誘導制御工学、衛星搭載アンテナ指向方向制御、軌道力学、衛星通信

溝端一秀(みぞばた かずひで)博士(工学)
室蘭工業大学 航空宇宙システム工学コース 准教授
東京大学大学院工学系研究科航空学専門課程博士課程単位取得退学
専門 空力設計・飛行力学

今井良二(いまい りょうじ)博士(工学)
室蘭工業大学 航空宇宙システム工学コース 教授
大阪大学基礎工学研究科機械工学分野博士前期課程修了
専門 熱流体工学、宇宙環境利用工学

廣田光智(ひろた みつとも)博士(工学)
室蘭工業大学 航空宇宙システム工学コース 准教授
慶應義塾大学大学院理工学研究科機械工学専攻後期博士課程単位取得退学
専門 燃焼工学

畠中和明(はたなか かずあき)博士(工学)
室蘭工業大学 航空宇宙システム工学コース 准教授
室蘭工業大学大学院工学研究科博士後期課程修了
専門 衝撃波工学

湊 亮二郎(みなと りょうじろう)博士(工学)
室蘭工業大学 航空宇宙システム工学コース 助教
東北大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻博士前期課程修了
専門 ジェット推進工学

中田大将(なかた だいすけ)博士(工学)
室蘭工業大学 航空宇宙システム工学コース 助教
東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻博士課程修了
専門 航空宇宙用エンジン

樋口 健(ひぐち けん)工学博士
室蘭工業大学 航空宇宙システム工学コース 教授
東京大学大学院工学系研究科航空学専門課程博士課程修了
専門 軽量構造・材料力学、宇宙構造物工学

境 昌宏(さかい まさひろ)博士(工学)
室蘭工業大学 航空宇宙システム工学コース 准教授
九州大学大学院工学研究科応用力学専攻博士後期課程修了
専門 材料工学・構造工学

勝又暢久(かつまた のぶひさ) 博士(工学)
室蘭工業大学 航空宇宙システム工学コース 助教
早稲田大学大学院創造理工学研究科総合機械工学専攻
専門 構造・材料工学、宇宙構造物工学

目次

第1章 飛行機とはなにか
1. 飛行機の歴史と概要
1-1 飛行機の歴史
1-2 飛行することの意義
1-3 飛行機の種類と用途
1-4 飛行原理
1-5 飛行システムの構成と要素
1-6 安全確保システム
COLUMN1 国産第1号航空機用エンジン 「室0号」

第2章 飛行のための空気力の利用とそのメカニズム
1. 飛ぶための仕組み
1-1 飛行機が飛べるわけ 揚力の活用
1-2 空気力を活用するための機体形状
1-3 亜音速流れと超音速流れ
1-4 亜音速と超音速での揚力発生の仕組み
1-5 亜音速と超音速での抗力発生の仕組み
1-6 亜音速で揚力発生に伴う抗力 翼端渦と誘導抗力
1-7 抗力によって決まる飛行性能と抗力低減技術
1-8 誘導抗力を低減するもうひとつの方法 ウィングレット
2. 飛行メカニズム
2-1 離陸の仕組み
2-2 旋回の仕組み
2-3 姿勢変化運動と姿勢制御 舵面の仕組
2-4 空気力による姿勢安定(1) ピッチングの静安定
2-5 空気力による姿勢安定(2) ローリングの静安定
2-6 空気力による姿勢安定(3) ヨーイングの静安定
2-7 遷音速流れと音速の壁
2-8 空気力を調べるための手段 風洞試験と飛行試験
2-9 航空機設計におけるCFD解析の役割とその重要性
COLUMN2 着陸は難しい さまざまな減速方法

第3章 エンジンによる推進力について
1. ジェットエンジンの種類と構造、特徴
1-1 推進システムとしてのジェットエンジン
1-2 エンジンの種類と推進力の原理
1-3 エンジンの構造と軽量化
1-4 亜音速飛行と超音速飛行でのエンジンの特徴
1-5 超音速飛行時のインテークの役割
1-6 圧縮機、ファン
1-7 タービン
1-8 アフターバーナー
1-9 燃料タンク
1-10 燃料とその特徴
1-11 燃焼
1-12 ガスタービンエンジンの冷却構造
1-13 燃焼器の冷却構造
1-14 熱遮蔽コーティング
1-15 材料
2. 低燃費・高推力化と次世代型エンジン
2-1 システム効率の向上
2-2 推力制御
2-3 環境にやさしいエンジン
2-4 安全確保
2-5 スペースプレーン用エンジンへの道
COLUMN3 航空宇宙機の革新を支えたテストパイロットたち

第4章 機体の構造および材料
1. 飛行機にかかる力と機体の構造
1-1 機体にかかる力
1-2 機体の変形
1-3 機体にかかる力・変形と断面形状の関係
1-4 翼にかかる力
1-5 胴体構造
1-6 主翼の構造
1-7 尾翼・動翼の構造
1-8 着陸のための脚構造
1-9 航空機のタイヤとブレーキ
2. 機体に使われる材料
2-1 軽くて強い材料とは 比強度・比剛性
2-2 機体構造の劣化と安全性
2-3 飛行機材料の変遷
2-4 飛行機で最も使われるアルミニウム合金
2-5 金属から複合材料へ
2-6 これからの飛行機材料
2-7 飛行機が飛ぶ環境
2-8 材料を環境から守るには
COLUMN4 客室座席の衝撃吸収機構

第5章 自動飛行を実現する制御システム
1. 飛行機の動き
1-1 自由飛行させるのにはなにが必要か?
1-2 飛行機の運動はどのように定義されるか?
1-3 飛行機の運動特性「縦モードと横・方向モード」
1-4 飛行機の運動を変化させる「推進系と舵面」
2. 位置の把握と制御
2-1 飛行機の姿勢と位置、速度を把握するには?
2-2 飛行機の対気速度と高度を計測するには?
2-3 制御系は飛行機をどのように安定化しているか?
2-4 飛行機の位置を地上で把握するには?
2-5 超音速飛行と亜音速飛行では、同じ誘導制御系でよいのか?
COLUMN5 自動飛行コンピューターとパイロット その操縦の使い分け

第6章 安全飛行のためのシステムと宇宙への道
1. 過去の事故と対策例
1-1 安全飛行を脅かすヒューマンエラー
1-2 事故事例その1 構造・材料、管制
1-3 事故事例その2 誘導制御、電気電子関係
1-4 事故事例その3 構造破壊
1-5 飛行システムにおける安全確保
1-6 安全を確保するための航空通信・管制ネットワーク
2. 未来の飛行機
2-1 ものづくりと航空産業について
2-2 未来の超音速機
2-3 スペースプレーン 宇宙旅行の夢
COLUMN6 アロハ航空243便の機体構造剥離事故

はじめに

日常われわれの生活のなかでよく利用している、輸送についてあらためて考えてみると、飛行機、自動車、鉄道、船舶いずれも大きなシステムであり、多くの機能部品(サブシステムという)が組み合わさって目的を達成する仕組みになっています。これには安全に運用するための支援装置も当然含まれます。
 本書では、飛行機に焦点をあてて俯瞰してみることにしましょう。
 飛行機とは、動力つきの航空機をいいます。飛行機は総合的なシステム工学の結晶のひとつです。ここでいうシステムとは、具体的にいうと構造・材料系、誘導制御系、エンジンを含む推進系、空気力学・飛行力学の主要4分野とこれらを支える装置全般です。
 これらはそれぞれの分野ごとに最適化しても総合的なシステムとして組み立てられると、全体では必ずしも最適ではありません。推進系を例にとれば、通常は大推力エンジンは重量がかさむし、燃料もくいます。また、機体が大きくなり空気抵抗も増大します。また、構造強度の安全率を大きくとりすぎると重くなって飛べなくなります。仮に飛行できたとしても燃費が悪く経済性の点でも成立しがたいのです。
 本書では、この主要分野について著者たちの経験や現在進めている実践的な研究開発とさらに最新の情報を取り込みながら執筆しました。原則からはじめ、技術の焦点、システム全体への影響にもふれ、さらにものづくりへのつながりや運用の安全確保の観点からも記述しています。これらに加えて、大きなシステムで起きた過去の事故例などと原因、対策についてもわかりやすく要点をおさえて記述しています。
 日本のようにものづくり立国では、高付加価値かつ厳しい品質要求の代表である航空分野は著しい成長分野でもありますが、世界的には微々たる生産額であり、今後の成長と産業育成への貢献の拡大が大いに期待できます。MRJも現在生みの苦しみに遭遇しているわけですが、これは実際にハードを具体的に実用化までもっていくには現場から学ぶことが多々あることを意味しています。
 さらに飛行機を含む航空分野は高速地上間輸送や宇宙への発展性も強く、宇宙空間での環境(高高度、超真空)利用やさらに科学的な探検になる深宇宙探査など技術的に共通化が可能な部分も多く、つながりが強いのです。具体例としては太平洋を4時間程度で飛べる超音速旅客機や宇宙へも行けるスペースプレーンなどの再使用型の飛行機、さらに月や火星への道にもつながります。
 本書は上記の観点から具体的な技術内容の記述の充実化を図りました。

 ものづくり日本を元気にして加速していく原動力になりうる航空分野については次世代の人々にも参加してもらい楽しみながらかつ速やかに進めていきませんか。 本書を通して各分野の状況をシステムと関係づけながら俯瞰し、実践的、総合的思考や学びが必要という思いをもっていただければと思います。ご理解とともに将来を担う人材が多く育つことを期待しています。

2017年12月末日 
東野和幸

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