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国内・海外生産の品質安定化を実現する
グローバル自動化ラインの基礎知識 [加工・組立ライン編]

定価(税込)  2,700円

著者
サイズ A5判
ページ数 256頁
ISBNコード 978-4-526-07787-6
コード C3034
発行月 2018年01月
ジャンル 生産管理

内容

本書は、部品メーカーにおける加工および組立ライン構築の考え方と方法を様々な事例を混じえて解説する。国内外で品質を均一に確保していくという観点から「グローバル対応」「ローコスト対応」「変種変量対応」といったラインをどう構築していくかを具体的に紹介し、さらに近年話題のIoTを取り入れた自動化ラインシステムの考え方と方法についても紹介する。

村山 省己  著者プロフィール

(むらやま せいき)
1976年、東海大学工学部生産機械工学科卒業。同年、(株)アマダ入社。1983年、厚木自動車部品(株)(現日立オートモティブシステムズ(株))入社。2016年、東海大学工学部機械工学科教授、現在に至る。
 NC工作機械・自動車部品生産設備の設計開発に従事し、数々の自動化設備設計に携わる。国家技能検定試験「機械・プラント製図」検定委員に長年携わり首席検定委員を経験。国内・海外向け自動化ライン等、投資の最適化について幅広い生産技術の知見を有する。自動車技術会、日本設計工学会、日本機械学会、精密工学会に所属。日立総合技術研修所の講師並びに各社中堅技術者教育セミナーの講師として活動。
 専門分野として、設計工学・機械工学・ロボット工学・自動化システム・生産技術・投資計画。

目次

第1章 生産システムの動向と自動化ラインの構築
-意外にも生産性は世界で22番目! どうすればいい?-

1-1 付加価値創出と国内生産の見通しと課題
1-1-1 国内回帰のキーは付加価値と生産性
1-1-2 国内は人手不足が深刻化
1-1-3 課題が多い海外生産
1-1-4 加工ラインの自動化がまったく進んでいない
1-1-5 国内外で品質を維持できるか

1-2 効率化を目指したグローバルな地産地消体制の構築
1-2-1 海外工場で使う生産設備
1-2-2 現地調達した生産設備の致命的な問題点
1-2-3 グローバル生産ラインのあるべき姿を追求する

1-3 生産体制を支える人づくり
1-3-1 生産設備の準備プロセス
1-3-2 海外における生産ラインの立ち上げ
1-3-3 国内生産における設備設計製作メーカーの協力
1-3-4 海外生産における設備設計製作メーカーの協力

1-4 量産部品の加工工程
1-4-1 加工部品
1-4-2 NC工作機械
1-4-3 NC制御システム
1-4-4 サーボモータの運動パターンと出力の計算
1-4-5 NC加工プログラム
1-4-6 自動車部品のNC加工

1-5 これからの自動化ライン構築に必要な要件
1-5-1 ローコストラインであること
1-5-2 変種変量生産の対応ができること
1-5-3 グローバルで標準化されたラインであること
1-5-4 グローバルでシリーズ化されたラインであること
1-5-5 安定した品質を維持し続けるラインであること
1-5-6 加工から組立の一貫生産ラインであること
1-5-7 設備投資最適化のラインであること
1-5-8 現地組立ができるラインであること

第2章 自動化ラインの概要と自動化レベル
-自動化ラインに尺度をつけてわかりやすく!-

2-1 自動化といってもいろいろある

2-2 設備の自動化レベルの定義

2-3 工程設計の考え方と自動化ライン構築のポイント
2-3-1 工程設計
2-3-2 自動化のレベルに対応した技術開発
2-3-3 自動化ラインの維持管理
2-3-4 工程品質の維持管理

2-4 加工工程の自動化レベル
2-4-1 レベル0 ベンチライン
2-4-2 レベル1 手動ライン
2-4-3 レベル2 半自動化ライン
2-4-4 レベル3 着々化ライン
2-4-5 レベル4 セミ自動化ライン
2-4-6 レベル5 全自動化ライン

2-5 組立工程の自動化レベル
2-5-1 レベル0 ベンチライン
2-5-2 レベル1 手動ライン
2-5-3 レベル2 半自動化ライン
2-5-4 レベル3 着々化ライン
2-5-5 レベル4 セミ自動化ライン
2-5-6 レベル5 全自動化ライン

第3章 自動化ライン構築に必要な要素と考え方

3-1 グローバル標準化ラインによる工程プロセスと設備標準化

3-2 自己完結型の設備

3-3 グローバル標準化設備のシリーズ化開発

3-4 グローバル標準化ラインの開発

3-5 自動化ラインに必要な生産技術
3-5-1 生産管理のモニタリング
3-5-2 品質モニタリングによる監視
3-5-3 自動計測と判定
3-5-4 不良品流出ゼロ
3-5-5 チョコ停と頻発停止
3-5-6 MSA(計測精度調査)
3-5-7 リモートメンテナンス
3-5-8 治具の標準化
3-5-9 ロボットの活用の全自動化加工ライン

第4章 生産ライン自動化
―エンジン部品の生産ラインのケースー

4-1 着々化設備

4-2 ローコスト生産ライン

4-3 量産自動化ライン(自動車部品の全自動化ライン)

4-4 変種変量生産の自動化ライン(フレキシブル生産ライン)

第5章 インダストリー4.0に対応した自動化ラインの構築
-何のためのインダストリー4.0か?-

5-1 何のためのインダストリー4.0か
5-1-1 第四次産業革命はすでに始まっている
5-1-2 第四次産業革命の実現性

5-2 インダストリー4.0に対応した一貫生産のライン設計
5-2-1 生産現場の変革
5-2-2 インダストリー4.0に対応した工場

5-3 NC工作機械と自動化状況
5-3-1 NCプログラム
5-3-2 NC工作機械の種類と活用状況
5-3-3 小型NC工作機械
5-3-4 NC工作機械の自動化状況
5-3-5 NC工作機械とロボットの自動化
5-3-6 加工自動化ラインとIoT
5-3-7 グローバル化とIoTの活用拡大

第6章 革新的生産性の向上を目指した超小型自動化ライン
-Tabletop Sized Factoryのススメ-

6-1 機械の小型化・自動化による生産性向上

6-2 小型化・自動化・安全対策

6-3 一貫生産の自動化ライン

6-4 生産の集約化・複合化

6-5 超小型NC機用主軸の高剛性化

6-6 双腕型ロボット化と動作プログラム言語統一化

6-7 IoTによる最適条件の自動化

第7章 生産ライン自動化の技術課題と解決事例
-革新的生産性向上に向けた取り組み-

7-1 手動組立の設備を活用して自動化ライン構築

7-2 手動組立を自動化

7-3 規制式PFP

7-4 部品供給はトレーチェンジャーでフレキシブル化

7-5 冶具交換をパレットチェンジャーで変種変量生産に対応

7-6 油圧式検査をエアー式代替検査で大幅コスト削減

7-7 高精度な組立工程にはサーボプレスを活用する

7-8 海外向けの自動化ラインは安全対策を万全に

7-9 自動組立ラインの架台は剛性を持たせたコモンベース化に

7-10 加工治具は着座検出が品質のかなめ

7-11 自動化設備は立ち上げ時の不具合を徹底して対策すること

7-12 成形金型の寿命はとことん長く

7-13 切粉圧縮で切削油回収と経費削減

第8章 メイン自動化ライン構築の実際
-生産ラインの計画から生産まで-

8-1 対象製品の「品質管理項目」と「管理値」を明確にする

8-2 「製造工程フロー」を決め「生産設備」を検討する

8-3 「管理工程図」を作成する

8-4 工程ごとに「サイクルタイム」を検証する

8-5 生産ラインの「レイアウト」を決める

8-6 「工程設計DR」を開催する

8-7 「設備仕様書」を作成し設備の内作/購入を決める

8-8 「自動化レベル」を決めハンドリングの方法を明確にする

8-9 「要求品質項目」および「管理値」は設備仕様書に明記しておく

8-10 「設備メーカー」および「設備価格」を決める

8-11 「投資計画」を立てる

8-12 「投資計画伺書」の準備を行う

8-13 「投資計画伺書」の提案を行い「認可」を受ける

8-14 「設備設計DR」を開催する

8-15 「リスクアセスメント」で安全性の評価を行う

8-16 「工程能力指数」の調査を行う

8-17 「設備立ち合い検査」後に「設備認定」を受け量産開始する

8-18 「自己管理」を定期的に行い「投資効果」を検証する

はじめに

はじめに

本書は、自動車部品を代表とした量産部品の生産において生産性を高めた生産設備や生産ラインについて、また、自動化のレベルや自動化の方法について実例を交えて解説している。
近年、我が国の製造分野における課題の一つに、労働者1人当たりの生産性が欧米諸国をはじめとした先進国と比較して低いことがあげられる。
その要因の一つに、生産工場においてロボットやITを活用した革新的な生産性を向上させる取り組みの遅れがあると考えられている。特に、中小企業をはじめとして、ロボットやIoTを活用した自動化が遅々として進んでおらず、生産現場における労働生産性が向上していない。
過去には単一部品の加工において大量生産に適したトランスファーマシンなどが導入された経緯があるが、グローバル化によるユーザーニーズの多様化に伴い変種変量生産に適した汎用NC工作機械にシフトしている。
中小企業をはじめとした部品加工メーカーは、フレキシブルに対応可能な汎用NC機械を導入し、部品の加工工程に合わせツーリング、治具、NCプログラムを変更することで、変種変量生産に対応してきた。
しかしながら、汎用のNC工作機械の単体機を並置したライン化にとどまり、部品の取り付け・取り外しは手作業のままである。自動化にあたっての問題点として、自動化ラインの構築における専門的、技術的な課題やロボット化によりラインが大型になることで安全性や自動化にかかる費用が増大することから、費用対効果の面で自動化に踏み切れないことなどがあげられる。
また、機械およびラインの自動化については、どのように自動化をすればよいのか、といった初歩的な悩みから、第4次産業革命の流れの中でIoTをはじめとした情報ツールをいかに取り込み、他社との差別化を図るためにはどうすべきなのか、など情報不足で手を付けられない状況にある。
大手企業においては、機械およびラインの自動化については工作機械メーカーや専門メーカーに任せるフルターンキー方式に頼る傾向が顕著である。
自動化された機械やラインを使いこなし、安定した生産を行うためにラインを維持管理していくのはユーザーである。また、自動化の投資に対して費用対効果、生産性の是非を問われるのもユーザー側である。
グローバル化において、海外での生産は今後、ますます拡大し、品質の安定化が不可欠となり、労務費の高騰からも機械、ラインの自動化が不可避になってきている。一方で、自動化ラインの保全員や生産技術者が少ない海外拠点においては、自動化ラインの設置には国内以上の完成度が要求される。
このような状況の中で、自動化ラインの導入のニーズは、IoTの普及とともに年々高まり、労働者人口の減少とあいまってますます、強くなる傾向にある。今後、大企業はもとより、中小メーカーにおいても自動化設備や革新的な自動化ラインの計画や導入が飛躍的に拡大していくと考えられる。そのためには、自動化ラインを検討し進めていく生産技術者をはじめとした自動化システムの構築に携わる技術者にとって経験や知識が極めて重要となる。
しかしながら、自動化の考え方、ライン構築の手法、投資の最適化などについて、経験や実例をもとに解説した書物はどこの書棚にも見ることがない。こうした中、自動化について、また自動化ラインをどう構築するのか、自社の生産性をいかに向上させていくかなどについて日夜、考え検討を重ねている生産技術者、開発技術者向けに実用的な書籍の出版企画がまとまった。
企業で製品開発、生産技術、製造技術、生産管理に携わっておられる方々に、まず、一番にお勧めしたい。手に取って読んでいただき、自社の自動化レベルの現状からこれからの自動化をどう進めていくかを検討するときに本書を活用していただきたい。
また、大学、高専、専門学校、工業高校をはじめとした教育現場に携わっておられる先生方をはじめとして、日本の将来を担う学生たちが、世の中の自動化レベルを考える参考書として本書を活用いただければ幸いである。
多くの大学や機関をはじめ研究に携わっておられる方々には、生産性を上げるために何が課題でそれを克服し実用化するためにはどの研究分野に軸足をおいた研究を行わなければならないかをご検討いただきたい。
工作機械、専用設備メーカーの設備設計開発に従事され日夜、機械の設計開発を推し進めておられる設計者の方々も、全自動の生産ラインを検討されるときに本書を参考にしていただきたい。
NC工作機械およびロボットの設計開発に携わって、ラインの自動化に取り組んでおられる技術者の方々にも参考にしていただければ幸いである。
本書は、著者の自動化ラインの設計に携わった実務経験をもとに直近の自動化ラインの実例を織り交ぜて編集し、以下のような特徴を持たせた。
①グローバル社会における量産品においては品質が最優先であるとの考え方から、機械および自動化ラインはワンデザインでなければならない。この考え方の背景や計画手法についてさまざまな事例をもとに記述した。
②要求品質に対して安定した品質を維持管理していくためには、機械の条件管理や計測機器の信頼性が大変重要である。加工機や組立機を例に条件を決めるためのプロセスやIoTを活用した品質信頼性について記述した。
③生産性向上をめざした自動化について、自動化レベルのカテゴリーを定義しラインの自動化レベルを明確化した。また、設備投資の削減手法や利益を最大限にあげるための投資計画手法について解説した。
最後に、本書の出版に関し、日刊工業新聞社の天野慶悟氏には、本書の企画段階から原稿執筆、編集、校正にいたるまで、一貫して大変お世話になった。この場を借りて感謝の言葉を述べる。
本書が、生産の自動化についての理解を深め、さらには自動化ラインの促進につながり、我が国の製造現場における生産性向上に少しでもお役に立つことで、我が国の産業がより活発になることにつながれば幸いである。
2018年1月
村山 省己 

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