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″Hey Siri 世界を変える仕事をするにはどうすればいいの?″
新規事業を立ち上げ、育て、そしてトップになるための手引き

定価(税込)  2,808円

著者
著者
訳者
サイズ A5判
ページ数 224頁
ISBNコード 978-4-526-07777-7
コード C3034
発行月 2017年12月
ジャンル 経営

内容

iPhoneの“Siri”や手術ロボットの“ダ・ヴィンチ”等々、革新的技術で市場を切り拓いてきたSRIインターナショナル社の事業化ノウハウ。既刊のベンチャー関連書籍とは一線を画し、企業における新規事業の立ち上げにも十分役立つ内容。原書は、ハーバードビジネスレビュープレス刊の『IF YOU REALLY WANT TO CHANGE THE WORLD』。

ヘンリー・クレッセル  著者プロフィール

(ヘンリー・クレッセル)
未公開会社への投資会社として世界的にも屈指のウォーバーグ・ピンカス社において、共同経営者および社長を30年以上にわたり務め、国内外を問わず、多様な分野への投資をうまく先導し管理した。最終的に、これらの投資は何十億ドルもの企業価値を生み出した。現在はウォーバーグ・ピンカス社の特別有限責任パートナー。

ノーマン・ウィナースキー  著者プロフィール

(ノーマン・ウィナースキー)
SRIインターナショナルの関連企業・SRIベンチャー社の社長。SRIのベンチャー戦略とプロセスの創設者であり、リーダーである。Siri社をはじめ、ニュアンス社やインテュイティブ・サージカル社など60以上のベンチャーによって、200億ドル以上の企業価値を生み出した。現在はウィナースキー・ベンチャー社の創設および社長、SRIベンチャー社の顧問。

長澤英二  著者プロフィール

(ながさわ えいじ)

目次

訳者序文
序文
第1章
失敗しないで成功するには
-成功に失敗は不要である-
我々について語ろう
なぜ、この本を書いたのか
Siriの物語
第2章
偉大なベンチャーの創造と
構築のためのフレームワーク
-エベレストを登頂するのであれば、装備品と計画とシェルパが不可欠である-
フレームワークを構成する8つの要素
ニュースター社の物語
第3章
画期的な市場機会の見出し方
-市場の課題こそが機会である/課題が大きければ機会も大きい-
企業にとっての鎮痛剤
消費者にとっての鎮痛剤
業界とサービスを変革する偉大なベンチャー
トリガーポイント1:規制が新市場を創出する
トリガーポイント2:市場と技術動向との合致
トリガーポイント3:新製品とサービスの機会を創出する新技術プラットフォームの出現
トリガーポイント4:既存の製品とサービスをくつがえす新技術プラットフォームの出現
トリガーポイント5:新しい国際市場がチャンスを創出
第4章
チーム
誰が創業者で誰が経営陣なのかを定める
CEOを見定める
スタートアップのチームの特性を定義する
スタートアップのチームを募集する
チームと企業倫理を確立する
企業成長の各段階でチームを創る
第5章
優れた事業計画を構成する7要素
構成要素1:企業理念
構成要素2:ビジョン、ビジネスモデル、市場への参入戦略
構成要素3:差別化された製品やサービス・ソリューション
構成要素4:製品の利点の定量的な解説
構成要素5:競合に対する深い分析と理解
構成要素6:財務計画
構成要素7:市場と投資家への魅力的な価値提案書
第6章
投資家と役員を選ぶ
基本事項:ベンチャー・キャピタルと彼らが望むもの
ふさわしい投資家選び
投資家へのアプローチ方法
投資を得るまでに必要な5つの会議
役員会
第7章
実行
最初の重要な決断は場所の選定
財務管理
組織作り
製品管理
早期顧客と早期収益
魅惑的な企業協力への注意点
偶然の幸運の余地を残す
第8章
スタートアップの
5つの致命的なまちがい
-ベンチャー共通の致命傷は避けることができる-
致命的な過ち1:顧客を理解していない
致命的な過ち2:CEOが不適任
致命的な過ち3:財務管理の誤り
致命的な過ち4:自信過剰
致命的な過ち5:将来の業界動向を予測できない
第9章
転換点での成功を手に入れる
-買収される、合併、再度の資金調達、またはIPO? それは明白ではない-
戦略的な選択が不可欠な理由
オプション1:会社の売却
オプション2:新たな投資家探し
オプション3:株式交換で他社と合併
オプション4:IPO
第10章
将来を確かなものにする
原則1:トップから始める
原則2:並外れて創造的な人々の管理
原則3:革新を促す文化の確立
原則4:共通する言語とプロセスの確立
原則5:イノベーションのための拠点づくり
原則6:すべてのレベルでイノベーションを促す
原則7:絶え間なきイノベーション
結論
注記
索引
謝辞
著者紹介

はじめに

訳者序文

1990年代初頭、日本の総合電機メーカーは、世界一にあった半導体事業を主力事業の一つとして日本経済を牽引していた。それが、2000年以降になると、迫りくる韓国や台湾などの東アジア勢にその座を追われて、世界での存在感を失ってしまった。
歴史的に見ると、アメリカではRCA社やコダック社、ポラロイド社などの名門企業が消滅してしまっている。日本の大手企業もまた、同じ過程の途中にあると言っても過言ではない。
一方、アメリカでは、アップルやグーグル、フェイスブックなどに見られる“Change the World”を標榜する企業がシリコンバレーを中心に起き、世界を席巻している。ところが日本では、そのレベルの革新や新ビジネスの創出への息吹すら感じられない状況である。
私は、1970年から2003年まで約35年にわたって、総合電機メーカーの半導体部門において、研究開発、生産、工場運営に“我が人生”を捧げてきた。その経験をもとに、“なぜ、このような事態に陥ったのか”、また“どうすれば良かったのか”、あるいは“良いのか”と自問し続けてきた。
そして本書に出会った時に、“ここにその問いに対する答えのエッセンスがある”と感じたのが、翻訳の決意の原点である。現在、日本を牽引している産業であっても、近い将来に起こる劇的なパラダイムシフトによって、その座を失うこともあり得る。そんな事態に備えるという観点からも、大いに役立つであろう。
本書は、すでに数多く刊行されているシリコンバレーの成功物語や、スター経営者に関する書籍とは一線を画している。本書の二人の著者は科学者として技術開発によってSiriをはじめとする画期的な技術を生み出し、幹部経営者として成功に導いてきたという経歴を有している。さらに、起こした数多くのベンチャーを育成して、“ビリオンダラーカンパニー”へと成長させていく段階での、ベンチャー・キャピタリストとしての経験をも持っている。そういった経験の集大成として書かれたのが、本書なのである。
ベンチャーを始めようと考えている人のみならず、企業で新規事業を担っている方々、さらに“真に世界を変える”事業を起こすことを目指している経営者への良きガイドになると信じる。


※本文中の企業・組織の名称、それに関する記述は原書発行時のものであり、変更になっている可能性があります。
※本書は、独立した出版物であり、Apple Inc.が認定、後援、その他承認したものではありません。
※Siri、iPhoneは、米国およびその他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。
※本文に記載されているその他の製品名は、各社の商標です。
※本文中の脚注は訳者が付記しました。


序文
PREFACE


“あなたは、画期的な技術や画期的なビジネスモデルをもとに、どうやって事業を立ち上げたのか?”
“あなたは、どのような手法を使ったのか?”
“あなたは、どのようにして投資を得たのか?”
“あなたは、ベンチャーの株式を公開するか、あるいは買収の提案を受け入れるかをどのように決定したのか?
我々は、これまでの経歴の中で、起業家や大学、研究機関、企業などから、こういう一連の質問を受け続けてきた。そういった質問に答えることはもちろん、会社を設立して成長させたいと志す人たちのために本書を書き上げた。ベンチャーの最初のコンセプトから、トップ投資家との資金調達のための最初の会合、IPO(Initial Public Offering)を実行するかどうかの決定、さらに企業上場後のイノベーションの文化の維持まで導いてくれる本になっている。
我々の経験をもとに、画期的な企業がたどったパターンを明確化してエッセンスを抽出し、それを共有できるようした。偉大な起業家やベンチャー・キャピタリストは、おそらくこれらのパターンを認識していると考えられる。そういった意味ではこれは新しい方法論や特別な味付けではないし、今日の流行というものでもない。むしろ、これまで試され実践されたてきた実体験の、蓄積の結晶が本書なのである。
ベンチャー・キャピタリストのビノッド・コースラ(Vinod Khosla)は、偉大な会社を創るのはエベレストを登頂するようなものであると明言している。事前に登山ルートや天候を調べもせず、ベースキャンプを設営することや登頂の各段階の計画を立てることもせず、それぞれの段階で手助けしてくれる登頂経験豊富なシェルパも雇わずに登ろうなどと考える人はいない。ところが起業家は、最も初歩的な知識だけで偉大な会社を作ろうと、毎日試みているのである。本書は、ベースキャンプを設営して、ルートを学び、エベレストの頂上へ到達するのを助ける、あなたのためのシェルパの役割を果たしてくれる。
同様に重要な点がある。それは、スタートアップの間に蔓延している致命的な傾向を駆逐することである。それを我々は、“失敗の文化”と呼ぶことにする。その考え方はいたくシンプルである。あなたが広範なベンチャーの構想を持っていながら、市場と製品に関する明確な理解がなかったとしよう。その場合、チームをまとめてベンチャーをスタートさせても、成功するまで度重なる方向転換を繰り返すことになるだろう。いわゆる試行錯誤である。その間の数回の失敗は織り込み済みで、最終的に自分が開発した製品が市場ニーズに合致することを望んでいる。これは、偉大なベンチャーを創り上げようとするには良い手本ではないし、本書の意図でもない。
本書はガイドである。市場に長く留まることのできる企業の設立とその構築方法を、これまで我々やその他の多くの人々がたどってきた行程を示すことで、道案内をする。
さらに、我々二人の経歴の組み合わせから、ユニークな優位性が生まれることとなった。ノーマン・ウィナースキー(Norman Winarsky)には、画期的な技術から会社を起こした経験がある。一方のヘンリー・クレッセル(Henry Kressel)には、画期的技術や新しいビジネスモデルを起点とする会社への投資を行い、育成し、維持してきた経験がある。幸い、二人とも一流の科学と技術の教育を受けられたこともあり、自らの技術とビジネスの基礎を融合し、活用することで経歴的にも成功することができた。
その結果、我々は一つの因果関係を信じるにいたった。ビジネスを創ることは場当たり的なプロセスではないということである。そして、何が成功へ導き、何が失敗につながるのか、科学者という立場から解明すべく、ともに取り組んできたのである。ビジネスが成功した際に人々が呼ぶ幸運というものは、いわゆる偶然的なものではなく、成功までの一連の賢明な決断によって得られるものである。それが、本当の幸運なのだという結論に達したのである。あなたが賢明な決断をする際に、本書が役立つことを我々は望んでいる。

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