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住みたい間取り
-自分でつくる快適空間-

定価(税込)  1,728円

著者
サイズ A5判
ページ数 136頁
ISBNコード 978-4-526-07769-2
コード C3034
発行月 2017年11月
ジャンル ビジネス

内容

間取りは、家の設計図のベースである。その間取りは、どんな考えやルールのもとにつくられているのか、どんな工夫が可能なのかを、ハウスメーカー出身の設計者が建て主に向けて解説する。この本を読めば、住みたい家の間取りを自分で描けるようになる。

木村 文雄  著者プロフィール

(きむら ふみお)
近畿大学 建築学部建築学科 教授

1976年3月芝浦工業大学工学部建築学科 卒業。
同年4月積水ハウスに入社。住宅設計、CAD開発、商品企画、研究開発などに携わり同社総合住宅研究所長を経て2013年4月より現職。
サステナブル社会に求められる住まいについて研究。
山形大学特任教授、一級建築士

目次

目  次
はじめに 

第1章 間取りとは何か
・100点満点の家はない!?  
・夫婦戦争勃発!  
・建てられる住宅の広さを知る  
・敷地を計算してみよう  

第2章 部屋はこうして考える ~間取りを構成するもの
2―1 間取りの全体像  
2―2 外周り  
(1)駐車、駐輪スペース  
(2)自転車置き場  
(3)玄関  
(4)アルコーブ  
(5)玄関先のベンチ  
(6)シンボルツリー  
2―3 玄関・ホール  
(1)玄関収納  
(2)手すり  
(3)腰掛け  
(4)広く感じさせる工夫:坪庭  
2―4 廊下  
(1)廊下の設計ポイント  
(2)収納スペースを兼ねる  
(3)カウンターを設ける  
2―5 階段  
(1)階段の設計ポイント  
(2)リビング階段  
(3)階段の形で広く見せる  
2―6 リビング  
(1)リビングの設計ポイント  
(2)2階リビング  
(3)コートハウス  
(4)広く感じる設計手法1(視線を遠くに)  
(5)広く感じる設計手法2(回遊性)  
(6)吹き抜け  
(7)勾配天井とあらわし梁  
2―7 ダイニング  
(1)ダイニングの設計ポイント  
(2)ダイニングテーブル  
2―8 キッチン  
(1)キッチンの設計ポイント  
(2)パントリー  
(3)家事コーナー  
2―9 和室と畳コーナー  
(1)畳コーナーの出現  
(2)和室の収納  
2―10 主寝室  
(1)主寝室の設計ポイント  
(2)クロゼット  
(3)夫婦別寝室について  
2―11 子供室  
(1)子供室の設計ポイント  
(2)スタディコーナー  
(3)子供室のゾーニング  
(4)風通しについて  
2―12 書斎コーナー  
2―13 水周り  
(1)洗面室  
(2)浴室  
(3)トイレ  
(4)ランドリー室  
2―14 ロフト  
2―15 バルコニー  
2―16 屋根  
2―17 収納  
2―18 ファサードデザイン  
2―19 照明計画とスイッチ、コンセントの位置  

第3章 理想の住まいを考える ~間取りをつくるために必要なこと
3―1 自分で間取りをつくる意味  
3―2 必要な部屋をリストアップする  
3―3 ウェルバランス・ビーング・マップ  
(1)健康・安心  
(2)防災・安全  
(3)コミュニティ  
(4)エコロジー  
(5)ライフスタイル  
3―4 方位と接道  
(1)隣の建物の影響を考える  
(2)忘れがちな太陽の向き  
(3)一日の生活をイメージする  
3―5 動線計画を考える  

第4章 間取りのコツ ~ワンランク上の考え方
4―1 玄関の位置のベストポジションを考える  
4―2 お隣さんへの配慮を忘れずに  
4―3 パブリックゾーンとプライベートゾーン  7
4―4 窓の位置と大きさ、型を決める  
4―5 借景を考える  
4―6 中間領域を考える  

第5章 実際に間取りを描いてみる
5―1 住宅の寸法を知る ―モジュールについて  
5―2 場所を決める ―ゾーニング  
(1)1階のゾーニング  
(2)2階のゾーニング  
5―3 間取りの下書き  
(1)家具のサイズを把握する  
(2)水周りのサイズを知る  
(3)部屋のサイズを知る  
(4)壁の線を描く  
5―4 立体的に考える  
5―5 図面として完成させる  

第6章 プロが考慮している必須事項 ~住宅建築基礎知識
6―1 方位と季節  
6―2 太陽高度と日射遮蔽  
6―3 パッシブデザイン  
6―4 換気  
(1)なぜ換気は必要なのか  
(2)自然換気について  
6―5 法律(建築基準法、民法ほか)  
(1)用途地域  
(2)斜線制限  
(3)採光に関する法律  
(4)道路(接道)に関する法律  

間取り見本
 完成図例① 
 完成図例② 
 完成図例③ 

あとがき 

コラム
 凹凸が多い家は価値が高くなる? 
 屋上利用のすすめ 
 モデルハウスに惑わされない 
 バリアフリーとユニバーサルデザイン
 窓と開 
 建築学部の学生が初めて耳にする「エスキス」 
 設計をするときの文具 
 引き戸のすすめ 
 ペットのように愛したくなる車 
 チラシ広告の罠 
 地下室のすすめ 

はじめに

はじめに

 今この本を手に取っているあなたは、いつかは家を建てたいと思っていらっしゃる方でしょうか。あるいは何らかの事情で、にわかに家を建てることになってしまい、どうしようと慌てている方もいらっしゃるかもしれません。
 もしも、あなたが設計事務所にきちんと設計料を支払って、設計を頼もうと考えているようでしたら、この本を買って読む必要はありません。なぜならこの本に書かれていることぐらいは、設計事務所の建築士として知っていて当然のことだからです。もし結果的に満足のいかない家が完成したならば、その設計事務所を責めるより、選んでしまったあなたが不運だったと諦めるしかありません。
 この本をぜひ読んでいただきたいのは、設計事務所に頼むのではなく、ハウスメーカーに依頼したいと考えているあなたです。その理由は、あなたの最初の窓口となるのは、設計事務所のような建築士ではなく、いわゆる「営業」と呼ばれている社員だからです。その営業社員は、住宅設計のプロではないのです。
 プロというのは学校で建築を学んで卒業し、建築士の資格を取得したうえで、実務経験を積んだ人のことです。まれに建築士資格を有している営業もいますが、そんな人に出会う確率は極めて低いのが現状です。すなわち、今から家を建てようと考えているあなたは、設計のプロではない人と打ち合わせをして間取りをつくらなければなりません。もちろんハウスメーカーには、組織としてたくさんの建築士がいますが、あなたが最初に出会うのは営業社員であり、建築の非専門家と二人三脚で家づくりを進めていくことになります。
 さて、ここまで読んで腰が引けてきたあなたも、心配する必要はまったくありません。むしろ住宅の設計を楽しむチャンスだと捉えて、この本を読み進めてください。ほんの少し専門的な知識や知恵を身につけて、数々の工夫を知り、快適な家をつくり上げて欲しいと思います。住まいの間取りを考えることはとても楽しいことですし、それが自邸ともなればなおさらです。
 それから、この本は住宅の設計を学んでいる大学生や、ハウスメーカーの営業職の方にも読んでいただけるように、少し専門的な内容も含んでいます。できるだけ平易な表現を心掛けましたが、一般の方で難しいと感じた箇所があれば読み飛ばしていただいて構いません。

・間取りを描くこと
さて日本人は、世界でもまれに見る「間取りがうまく書ける国民」と言われています。その理由の一つは、畳が身近にあるからだと考えられています。畳のサイズを身体で覚えているので、6畳間というとだいたいの広さが感覚的にわかってしまう。8畳だとこのくらい、4.5畳だとちょっと狭い、といった具合です。
 小学生でも自宅を思い出しながら、正確ではないにせよ、なんとか家の間取りを書けてしまうのが日本人の特徴なのです。これが欧米人ともなると、何メートルとか何フィートとかという長さでしか理解できないので、日本人のように直感的に広さを認識することが難しいのだと思います。
 その特技を生かして、皆さんも自分で間取りをつくることに挑戦して欲しいと思います。その方法の基本となるのが「グリッド」という設計方法です。
 グリッドとは、格子状の線のことです。皆さんご存知のグラフ用紙によく似たもので、グリッド用紙というものがあります。間取りを考えるときには、このグリッド用紙を使います。グリッド用紙にはいくつか種類がありますが、特に木造住宅を設計する場合は、約 9mm間隔で線が引かれているグリッド用紙を用います。間取りを書くには実際の家の大きさでは書けませんから、100分の1などの縮尺で描くのが一般的でわかりやすいのです。このグリッド線をガイドにして壁の線を引いていけば間取りは出来上がります。「グリッド」という言葉が耳慣れない方は、「マス目」と理解していただいても差し支えありません。

・快適な家とは
これから家を建てようと考えている方は、誰もが快適な家にしたいと考えていらっしゃるはずです。快適の反対語は不快ですが、そんな家をわざわざ建てようとする人はいません。では快適な家とは一体どういうモノなのでしょうか?
 まずはとにかく地震や台風でもビクともしない堅牢な家であること。また、簡単にドロボウに入ってこられては安心して夜も眠れませんので、ガードがしっかりした家でなくては快適ではありません。あるいは、暑さや寒さから守ってくれる断熱が、十分に施されていることも快適さに影響します。ちなみにエコで低燃費な住宅は、住み始めてからの光熱費を抑えることにもつながってお得です。ただしエコが快適かというと、そうでもありません。

 ここまでのことは、快適さを実現するために重要であることには間違いありません。しかし実は本当に快適な家をつくるには、これからこの本で説明する間取りの良し悪しこそが、大きく影響するのです。
 では家の間取りと聞いて、皆さんが思い浮かべるのはどんなことでしょうか? 必要な部屋の種類や数を表す3LDKや4LDKといった言葉を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
 今お住いの家で不満に感じていることを、なんとか改善したいと思っている方もいらっしゃると思います。仮に今の家で十分満足していたら、わざわざ高いお金を出して家を建てようとは思わないでしょうから当然ですね。
 良い間取りを描くためには、とにかく実現したいことや改善したいことをきちんと整理することが重要です。そのために、チェックリストをつくると良いでしょう。そのリストを一つひとつ確認しながら間取りを考えていくことが大切です。この本を読んでいただき、少しでも頭を整理して、素敵な住まいを設計していただけたら嬉しく思います。

2017年10月
木村 文雄


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