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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしいナノセルロースの本

定価(税込)  1,620円

編者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07767-8
コード C3034
発行月 2017年11月
ジャンル ビジネス 化学

内容

鋼鉄の5倍の強度を持つ一方で重量は1/5と軽く、樹脂との複合材料化にもめどが立つなど製品実用化が急速に進むナノセルロース。その成り立ちから研究開発・製品化・技術動向までを紹介。ナノセルロースを深く知るための前提情報を図解で親しみやすく伝える。

ナノセルロースフォーラム  著者プロフィール

●編者紹介
ナノセルロースフォーラム
(産業技術総合研究所コンソーシアム
ナノセルロースフォーラム 事務局)

ナノセルロースの研究開発、事業化、標準化を加速するためのオールジャパンの組織として、国立研究開発法人産業技術総合研究所のコンソーシアム制度を利用して設置された組織。本書はナノセルロースフォーラムが把握している技術情報を事務局が整理し、出版しました。
URL https://unit.aist.go.jp/rpd-me/ncf/index.html

●執筆者
平田 悟史(ひらた さとし)

目次

目次


はじめに

第1章 ナノセルロースってなに?
1 そもそも「セルロース」ってなんだろう?「地球上に莫大な量が存在する」
2 セルロース繊維とパルプ「紙として利用するために余計な成分を取り除く」
3 セルロースミクロフィブリルとナノセルロース「繊維の径と長さで分類される」
4 ナノセルロースに関する用語のあれこれ「同じモノでもいろいろな呼称がある」
5 作り方はいろいろ「分解と合成という2つの手段が基本」
6 種類もいろいろ「大きく5つに分けられる」
7 カルボキシメチルセルロースは兄弟?「さまざまな分野で応用される」

第2章 どうやって作るの?
8 「分解」と「合成」が製法のキーテクノロジー「求める性状に合わせて適切な方法を選ぶ」
9 TEMPO触媒酸化と撹拌「効率良くセルロースミクロフィブリルが得られる」
10 高圧式ホモジナイザーによる解繊「衝突と急激な圧力変化で繊維がほどかれる」
11 リファイナーによる解繊「製紙工場で多用される装置を応用」
12 石臼式磨砕機による解繊「砥石の間隔を調整して任意の大きさに仕上げる」
13 2軸エクストルーダによる解繊「押出成形の技術を使って解きほぐす」
14 ウォータージェット法による解繊「繊維を解きほぐす3つの力」
15 水中カウンターコリジョン法「水分子クラスターを繊維に衝突させる」
16 ビーズミル、ボールミルによる解繊「粉砕に使われるエネルギーは遠心力から生まれる」
17 マイクロフルイダイザーによる解繊「食品や医薬品製造で実績のある装置を利用」
18 変性処理と樹脂との溶融混練「ナノセルロースと樹脂はそのままでは混ざらない」
19 ナノ化と樹脂との混合を同時に行う「京都プロセス」「コスト面で優位に立つ」
20 酵素による前処理「解繊しやすくするとともに製品の純度を高める」
21 酵素による後処理「さらに小さく、均質なものを目指して」
22 鉱物を加えて機械的に解繊「強度を持たせて軽量化を狙う」
23 酸による加水分解「セルロースナノクリスタルを作る主要な方法」
24 超音波処理と酸加水分解の組合せ「加水分解の時間が短くてもCNCの収率を高められる」
25 微生物による生合成「バクテリアセルロースを作る主要な方法」
26 ホヤから抽出「被のうと呼ばれる外皮にセルロースが含まれている」

第3章 どんな性質・どうやって測定?
27 径と長さはナノサイズ「測定方法の国際規格化はこれから」
28 鋼鉄の5倍の強さ、5分の1の軽さ「尺度は引張破断強さと比重」
29 ヤング率と引張破断強さ「どちらも材料の強度を表す指標」
30 ナノセルロースの性能に関わる比表面積「水分散したものと乾燥したものでは値が異なる」
31 透明性はナノセルロースの代名詞?「繊維径と深い関係がある」
32 低熱膨張と耐熱性「特性を活かして電子部品材料に適用可能」
33 ガスバリア性と細孔制御性「単繊維の長さと表面改質が決め手」
34 増粘性とチキソ性「粘度の変化に特徴がある」
35 品質の指標となるセルロースの純度「国際標準化機構で規格策定が進む」
36 セルロースの結晶化度と結晶構造「結晶化度が高いナノセルロースは強度も高い」

第4章 広がる用途
37 プラスチックへの添加「高強度・軽量複合材料を作るのが目的」
38 高密度ポリエチレンの補強「廉価な輸入品に機能で勝負!」
39 フェノール樹脂の補強「マグネシウム合金と同等の曲げ強さを発揮」
40 ゴムへの添加「一石二鳥以上のいいとこ取り」
41 強度と白色度を高める製紙用添加剤「急激に伸びる需要増に追従する技術」
42 印刷性能の改善「見やすさの向上とインキの節約に貢献」
43 スピーカー・ベッドフォンの振動板「素材+ナノセルロースの組合せ相性に注目」
44 MDFの接着剤「同じ性能で環境にやさしく」
45 ガスバリアフィルム・ガスバリア紙による包装「不得意な条件下でいかに性能を維持できるか」
46 実用性の上がったガス分離膜「ナノセルロースの膜にMOFでナノの穴を開けた」
47 リチウムイオン電池のセパレーターに応用が進む「イオンの溶出を食い止める優れた機能」
48 コンクリート・セメントの添加剤「硬くなるタイミングを自在にコントロールできる」
49 塗料・インキへの添加剤「粘性の向上による液垂れ防止が主目的」
50 原油・天然ガス掘削のフラクチャリング流体「掘削流路の確保にナノセルロースがひと役買う」
51 エコでパワフルな油の吸着材「ポリプロピレン製品に代わるエアロゲル」
52 触媒担持基材として活躍するナノセルロース「さまざまな金属種に適用できる」
53 次世代ディスプレイの呼び声高い透明補強材料「引張強さと低熱膨張性が武器」
54 デバイスの小型・軽量化を促す高誘電率ナノペーパー「ウエアラブル社会で欠かせない存在に浮上?」
55 感度の良いバイオセンサーが続々登場「電気信号で読み取る」
56 病原性細菌の検出と殺菌に役立つ「比表面積が大きいCNFの特性を活かす」
57 ドラッグデリバリーシステムの基材になる「安全かつ安定して運べるのはCNFのなせる業」
58 再生医療を支える創傷被覆材・細胞培養基材「天然由来のナノセルロースは相性抜群」
59 銀イオンの結合による消臭・殺菌「効果を高めるカギはナノセルロースの『手』」
60 人工関節の耐久性を高める「15~20年と言われる製品寿命をいかに延ばすか」
61 化粧品原料としての新たな役割「安定化と液垂れ防止、付着性向上が三大機能」
62 食品添加物として4つの物性を発揮「おいしさが長もちするように」
63 性能を左右するキラル分離用カラム充填剤「ナノセルロースによる高純度な分離」
64 収率の高さが問われる不斉合成触媒「一方のエナンチオマーを選択的に合成」

第5章 普及に向けて
65 ナノセルロースは安全ですか?「環境中で分解される天然由来の物質」
66 規格と表示基準はありますか?「世界共通のものさしでナノセルロースを評価する」
67 環境への影響はありますか?「比表面積の大きいナノセルロースは分解されやすい」
68 持続可能性はありますか?「省エネ・低コストを模索すれば道は開ける」

【コラム】
●ナノセルロースは食べられますか?
●ナノセルロースの種類と呼び名
●ナノセルロースのその他の性質
●ナノセルロースを使うべき理由はなに?
●ナノセルロース関連産業をうまく立ち上げるために

索引

はじめに

はじめに

 産業技術総合研究所コンソーシアム「ナノセルロースフォーラム」では、2015年8月に「図解よくわかるナノセルロース」という本を人材育成分科会が中心になって編集し、日刊工業新聞社から上梓しました。この本は第一線で活躍されているわが国のナノセルロース研究者が分担執筆したもので、ナノセルロースに関する最新技術情報が書かれた入門書として、多くの方にご愛読いただきました。
 このほど日刊工業新聞社より、「図解よくわかるナノセルロース」をベースにして、さらに内容を噛み砕いた入門書を作れないかとの相談をいただきました。いろいろ考えた結果、海外のナノセルロースに関する技術情報も可能な限り網羅し、客観的に紹介することが、読者にとってメリットがあるとの結論に至りました。
 ナノセルロースと言っても、いろいろな種類があります。このうち日本で製造されているものは、セルロースナノファイバーが大半です。ところが海外では、セルロースナノファイバー以外にもセルロースナノクリスタル、セルロースファイバー、バクテリアセルロースが製造されています。また、日本では用途開発は主として企業が担当しているため、その成果が公表されることはあまりありませんが、海外では大学・研究機関が用途開発に積極的に取り組んでおり、多くの成果を発表しています。
 本書では、日本では紹介される機会が少ない事項についても、重要と思われるものはできるだけ掲載することにしました。また、すべての項目について、解説のレベルをできる限り揃えることに注力しました。類似した項目を比較するとき、片方は詳しく触れられていて、もう片方は簡単に書かれていると、比較することはできません。そのため本書は分担執筆せず、すべてナノセルロースフォーラム事務局で作成しました。幸い事務局にはさまざまな技術情報がストックされていました。
 ナノセルロースフォーラムは2014年6月の設立以来、わが国におけるナノセルロースの研究開発、事業化、標準化を加速するための活動を行ってきましたが、海外の技術動向についてもウォッチし、会員向けに提供してきました。本書ではこの情報の中から重要なものをピックアップして掲載しています。また、「図解よくわかるナノセルロース」からそのまま引用した箇所もあります。
 執筆内容については、可能な限り裏付けを取るように心がけましたが、研究を行っている本人が書いたものではないため、完全に正しいという保証はできません。その点はあらかじめお詫びしておきます。ただそれを割り引いても、役に立つと言われる本になったと自負しています。最後に本書を企画し、また執筆に当たり有益なアドバイスをいただいた日刊工業新聞社出版局書籍編集部矢島俊克副部長に感謝します。

2017年11月
国立研究開発法人産業技術総合研究所
材料・化学領域 研究戦略部 上席イノベーションコーディネーター
ナノセルロースフォーラム事務局長 
平田悟史

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