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トヨタ流品質管理に学ぶ! はじめての変化点管理

定価(税込)  1,944円

著者
サイズ A5判
ページ数 146頁
ISBNコード 978-4-526-07763-0
コード C3034
発行月 2017年11月
ジャンル 生産管理

内容

生産活動の中で品質に影響する事態が発生することを“変化点”と呼び、その品質に与える影響をゼロもしくは極小化する活動を“変化点管理”と呼ぶ。このトヨタ生産方式の要諦となる変化点管理について、その基礎と特徴、および実際の管理方法について、ツールやチェックシートなどを用いて、丁寧に解説する。

原嶋 茂  著者プロフィール

(はらしま しげる)
専門は、コンカレント・エンジニアリング、技術経営、和算。元(株)デンソー生産技術者。日本能率協会主催の「生産技術研究部会」「生産マネジメント研究会」の運営委員、中部品質管理協会主催の TQM講座「生産における品質マネジメント」、中部産業連盟主催のセミナー講師などを長く担当。
愛知工業大学大学院 非常勤講師。
著書に『トコトンやさしいコンカレント・エンジニアリングの本』(日刊工業新聞社)、共著『工場長の教材』(日本能率協会)がある。

鳴海風の筆名で和算小説や歴史ノンフィクションも手がける。日本文藝家協会会員、関孝和数学研究所 研究員。
『円周率を計算した男』(新人物往来社)1992年第 16回歴史文学賞、『江戸の天才数学者』(新潮社)、『円周率の謎を追う』(くもん出版)2017年第63回青少年読書感想文全国コンクール課題図書(中学校の部)ほか著書多数。

【略歴】1953年生まれ。
1980年 東北大学大学院機械工学専攻修了。
日本電装株式会社(現・株式会社デンソー)入社。
以後、生産技術部で生産システム開発を担当。
デンソーの戦略的なコンカレント・エンジニアリング活動である「次期型製品研究会」や非自動車分野の「新事業開発」プロジェクトを数多くリード。
2006年 日本数学会出版賞。
2010年 愛知工業大学大学院卒業。博士(経営情報科学)。日本能率協会のCPE―ME。
2011年 日本経営工学会論文賞。
2012年 日本機械学会生産システム部門学術業績賞。
2013年 名古屋商科大学大学院卒業。MBA。ケースアワード2013。
2014年 デンソーを定年退社。

目次

[はじめに] 今なぜ変化点管理なのか

第1章 グローバル時代のモノづくりと変化点管理
1―1 グローバル展開の特徴
 1―1―1 変化が不可避
1―2 品質問題は経営問題
 1―3―1 品質保証、品質管理、品質検査
 1―3―2 品質保証とは
1―4 変化と品質管理
 1―4―1 変更管理
 1―4―2 変化点管理
1―5 生産現場の使命と変化点管理
 1―5―1 生産現場の使命
 1―5―4 変化点管理の対象

第2章 生産現場における変化点管理の実際
2―1 変化点発見のための環境づくり
 2―1―1 要因系の基本は5M1Eでとらえる
 2―1―2 5M1Eでつくる特性要因図
 2―1―3 要因系の変化点の一般的な例
 2―1―4 異常(過去トラ)の掲示と原因となる変化点の説明
 2―1―5 5Sの徹底
 2―1―6 作業手順の標準化の徹底
 2―1―7 現場改善の着眼点
 2―1―8 変化点ヒヤリハットの記録、予知訓練
 2―1―9 何でもいえる職場風土
2―2 変化点見える化のためのツール
 2―2―1 変化点を見える化するための基本的な考え方
 2―2―2 あんどん
 2―2―3 変化点管理板(ボード)の活用
 2―2―4 不良の発生状況から変化点を発見する方法
 2―2―5 奥が深い「X―R管理図」①工程能力調査の重要性
 2―2―6 奥が深い「X―R管理図」②変動の判定ルールの運用は現場ごと
 2―2―7 全数検査時の変化点管理の注意事項
 2―2―8 抜き取り検査時の変化点管理の注意事項
 2―2―9 異常連絡書・結果報告書

第3章 変化点に対する具体的なアクション
3―1 5M1Eの見落としがちな変化点と対策
 3―1―1 MANの見落としがちな変化点
 3―1―2 MACHINEの見落としがちな変化点
 3―1―3 MATERIALの見落としがちな変化点
 3―1―4 METHODの見落としがちな変化点
 3―1―5 MEASUREMENTの見落としがちな変化点
 3―1―6 ENVIRONMENTの見落としがちな変化点
3―2 なぜなぜ分析
 3―2―1 なぜなぜ分析と他のツールの併用
3―3 5ゲン主義
 3―3―1 3現主義
 3―3―2 3現主義から5ゲン主義へ
3―4 QC七つ道具
 3―4―1 変化点を分析するための使い方
 3―5―1 変化点が原因だった問題解決の模範例
3―6 不適合ロットを流さない
 3―6―1 不適合ロットの特定方法

第4章 問題解決後の歯止め
4―1 変化点管理の更新
 4―1―1 見直しと強化のポイント
4―2 変化点管理の標準化
 4―2―1 知見の展開と道具立ての重要性
4―3 人材育成
 4―3―1 変化点管理教育のあり方
4―4 職場環境
 4―4―1 改善マインドづくり

第5章 生産技術部門での変化点管理
5―1 製造品質確保のツールの全体像
 5―1―1 生産現場より上流にある三つのツール
 5―2―2 変化点管理との関係
5―3 QC工程図(表)
 5―3―1 QC工程図(表)とは
 5―3―2 変化点管理ポイントの記入
5―4 QAネットワーク
 5―4―1 QAネットワークとは
 5―4―2 変化点管理への応用
付録 生産現場に知ってもらいたい変更管理

付録1 初期流動管理における変更管理
付録2 設計部門が使う変更管理ツールDRBFM
付録3 ISO9001に見る変更管理について

[おわりに] 先輩・同僚へ感謝

特別巻末付録 変化点管理クイズ

参考文献

索引

はじめに

[はじめに] 今なぜ変化点管理なのか

 私は自動車部品メーカーで34年間、生産システムの開発をしてきました。入社してすぐ3か月半の生産現場実習をしたときの印象は強烈でした。本社の職場に配属されてしばらくは、配属先の仕事が、会社の売上や利益につながっているという実感がありませんでした。何をしているときでも、絶え間なく製品をつくり続けていた生産現場がすぐ頭に浮かんできました。
 生産現場ほど、コストが直接見える場所はないと思っていました。会社を儲けさせているのか損させているのか、新人の私でもわかりました。
 それにもかかわらず、配属先で取り組んだ最初の仕事は、不本意な結果でした。企画して立ち上げた全自動の組付ラインは、やっかいな不良を多発させて、生産現場に大きな迷惑をかけたのです。やっかいな不良というのは、不良率が高かっただけでなく、ほとんど手直しができるのですが、多種類を混流生産していたので、部品の交換や組付方法には細心の注意が必要でした。品質管理の難しい組付ラインでした。
 その苦くても貴重な経験は、その後の仕事に生かしました。品質管理に配慮した生産システムは、顧客満足を通じて明らかに利益確保に貢献しました。
 ところが、まもなく新たな生産システム上の課題が生じました。自動車部品事業の大幅な海外展開です。海外での製造は、国内と違うことが非常に多く、国内で確立した技術やしくみがそのまま海外では使えません。品質管理についていえば、管理すべき項目は増え、それぞれの変動する幅は大きく、目標品質を確保するのが難しくなりました。
 また、国内空洞化を防ぐ意味もあって、非自動車製品の事業化テーマも増えていきました。国内であっても、自動車部品事業との違いが大きいと、やはり海外展開と同様に、それまで確立した技術やしくみそして品質管理が使えないのです。このことは、実際に製造現場を持って経験しました。
 社内でそのような経験を積みながら、一方で、異業種交流を通じて、多くの製造業が、海外展開や事業拡大で、同じ問題を抱えていることも知りました。
 ITの急激な進化やインターネットの普及のせいでしょう、あらゆる製造業が、大企業から中堅・中小企業にいたるまで、グローバルに展開しグローバルに競争する時代になりました。
 そして、IoTやインダストリー4.0の展開で、世界の生産現場もつながり始めました。つながることはメリットを生み出しますが、生産現場は、どこにあっても、どこかの国の政治や経済、文化、紛争、事件、事故、自然災害の影響まで、すぐに受けてしまうことにもなります。これらが直接・間接に変化点となって、製品の品質に影響を及ぼすことは、容易に想像できるでしょう。
 グローバル時代は、生産現場にとって、品質に影響を与える変化点が「数多くかつすばやく」現れる時代なのです。
 こういう時代にこそ、日本の製造業が長い年月をかけて培ってきた競争力の一つである変化点管理を、あらためて学び直し、さらに強化する必要があります。その目的は、どのような変化に対しても強靭な製造体質を作って、儲かる生産現場にするためです。本書は、そのきっかけになることを祈って、できるだけ生産現場目線でまとめました。

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