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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしいバルブの本

定価(税込)  1,620円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07738-8
コード C3034
発行月 2017年08月
ジャンル 土木・建築 ビジネス 環境

内容

さまざまな分野で利用されている配管技術のキーコンポーネントである「バルブ」。その歴史から種類(製品)、技術(役割)、応用、使い方までを、イラストや図表を用いて専門家でなくても容易に理解できるようにトコトンやさしく解説した。

小岩井隆  著者プロフィール

(こいわい たかし)
1975年 武蔵工業大学 機械工学科 卒業
同年から、東洋バルヴ株式会社にてバルブの設計・開発・マーケッティング部門を歴任。現在、株式会社キッツ 技術本部に勤務。同社研修センター専任講師。
(一社)日本バルブ工業会にて「バルブ技報」の編集委員会活動や『新版バルブ便覧』の編纂に参画。バルブ技報や配管・バルブ関連の書籍・技術雑誌に執筆多数。配管・バルブの技術セミナー講師担当多数。
NPO給排水設備研究会会員(会報・記念誌の出版委員会委員歴任)。

●主な著書
「絵とき『バルブ』基礎のきそ」日刊工業新聞社
「新版 バルブ便覧」共著、日本工業出版
「新・初歩と実用のバルブ講座」共著、日本工業出版
「建築設備 配管工事読本」共著、日本工業出版
「ねじ配管施工マニュアル」編集査読・共著、日本工業出版
「べからず集 配管・バルブ」共著、JIPMソリューション

目次

目次

第1章 バルブは意外と身近にある
1 身の周りにはバルブがいっぱい 「朝起きて一番にお世話になります」
2 バルブは〝配管のお巡りさん〟 「配管で流体を制御できるのはバルブだけ」
3 バルブがもつ3つの機能 「流体を〝止める・流す・絞る”」
4 バルブで制御できることはこんなにある! 「流量の制御で圧力・温度・液位・分析などの制御ができる」
5 バルブと栓との違い 「配管の末端で流体を取り出す役目のバルブ“栓”」
6 さまざまな流体を流すバルブ 「水道水、燃料ガス、油、蒸気、空気などささまざまな流体が通る」
7 バルブを区分する切り口は多種多彩 「バルブの分類」
8 年間1億個が国内生産されているバルブ 「バルブの生産概要」
9 日本のバルブ工業の発展史 「配管用バルブの総元締め日本バルブ工業会」

第2章 バルブの設計と発展の歴史
10 鞴とバルブ 「人類最初のバルブは、送風機・水撃ポンプの逆止め弁?」
11 人体の中のバルブ 「人体にはバルブ機能が満載」
12 僧房弁『下町ロケット ガウディ計画』 「心臓は逆止め弁で成り立っている」
13 カランと蛇口(給水用の専用栓) 「カランは、鶴の嘴、ルーツは製糸産業? 蛇口は龍?」
14 コック(止め弁のルーツ) 「コックは、鶏の鶏冠(とさか)、ルーツは古代ローマ時代」
15 日本のバルブ発祥地はどこ? 「最初の日本製バルブは水用〝工女カラン”?」
16 蒸気の制御に適した「玉形弁」 「英国産業革命で開発された金属バルブ、玉形弁」
17 蒸気機関車と潜水艦で活躍していたバルブ 「蒸気機関車と潜水艦はバルブのハンドルだらけ」
18 ボール弁とバタフライ弁の開発と発展 「樹脂とゴムでシール性を改善して発達」
19 シングルレバー式湯水混合水栓、自動水栓 「水温、水量を自動で調整、進化する省エネ水栓」
20 省エネの優れもの自動水栓・洗浄弁 「省エネもここまで進化、自己発電も行う自動水栓」
21 バルブ設計学の発展 「G・H・ピアソンの著書『弁の設計』出版」

第3章 バルブの種類
22 配管は流体の搬送道路 「配管という道路の構成部品は管と継手」
23 バルブの大きさの表し方 「管のサイズとバルブの“呼び径”」
24 バルブの呼び圧力と圧力─温度基準 「バルブの公称・許容圧力の表し方『P─Tレイティング』」
25 バルブの圧力損失とCv値 「流体の通過時におけるバルブの圧損はさまざま」
26 正流・逆流を確実に止める「両止め弁」 「止め弁の種類と構造」
27 各種止め弁の特徴 「止め弁は特徴を考慮して選定する」
28 逆流だけを確実に止める「逆止め弁」 「逆止め弁の種類と構造」
29 「自動弁」は省力化・省人化の要 「バルブ遠隔制御で利便性を提供」
30 「調整弁」は安価で省エネルギー 「「ちょうど良く」を実現してくれる自動弁」
31 配管に安心をもたらす「安全弁」 「圧力異常上昇から配管を守る安全弁と逃し弁」
32 蒸気だけをつかまえる装置「スチームトラップ」 「配管からドレン水だけを自動排出」
33 配管から空気だけ出す「空気抜き弁」 「水配管から空気だけを自動排出」
34 「調節弁」は計装の要 「流体を自動連続制御する操作端“コントロール弁”」
35 グランド部からの漏れを防ぐ「ダイヤフラム弁」 「パックレスを実現した優れた構造のバルブ」

第4章 産業を下支えするバルブ
36 下町ロケット(ロケット産業) 「バルブを制する者はロケットエンジンを制す!」
37 高温・高圧(発電プラント)と専用バルブ 「原子力・火力発電プラントの配管には横綱級バルブ」
38 LNGと超低温バルブ 「寒いと材料の靱性が低下するクライオジェニックの技術」
39 燃料電池車用高圧水素のバルブ 「水素ステーションの普及に活躍」
40 ビル設備の給排水を支える 「水道配水管から蛇口まで、トイレから下水管まで」
41 ビル設備の空気調和を整える 「一大専用市場を形成した設備用バルブ」
42 火事を知らせる「アラーム弁」 「消防設備を支えるバルブ」
43 石油精製・石油化学設備で活躍 「石油産業を支えるバルブ」
44 地震に耐える配管とバルブ 「水道事業を支えるバルブ ・ 飲み水の質と量を担保」
45 航海に出たらバルブトラブルは許されない 「船舶産業を支えるバルブ」
46 衛生的な専用配管とサニタリー弁 「食品・医薬産業を支えるバルブ」
47 究極のパーティクル対策「高度洗浄」と「真空」 「半導体産業を支えるバルブ」
48 紙の厚みを決める調節弁の神技 「紙パルプ産業を支えるバルブ」
49 家庭に燃料ガスを届ける設備配管とバルブ 「都市ガス設備のバルブ」
50 ボンベの搬送には欠かせない「容器弁」 「圧力容器を守るバルブ」
51 粉を運ぶ「ロータリー弁」 「固体も砕けば流体になる」

第5章 バルブを構成するいろいろな要素
52 バルブの接続端 「配管への接続、バルブだけにあるウェハー形」
53 バルブの「圧力」と「温度」 「圧力と温度はどのようなものか?」
54 バルブの材料(材質) 「本体材料と要部材料、適材適所の材料選定」
55 バルブの材料(青銅) 「人類が最初に用いた合金、リサイクルの優等生」
56 バルブを支える金属鋳造技術 「内部に複雑な流路を有するバルブの素形材「鋳物」」
57 密封・シールを実現する技術 「止まりを実現する機械加工技術」
58 ステンレス鋼は万能か? 「ステンレス鋼は、けして錆びないわけではない」
59 強靭鋳鉄「ダクタイル・マリアブル」 「ねずみ鋳鉄の靱性を大幅向上、割れないバルブを提供」
60 重要なシール材「パッキンとガスケット」 「隠れたバルブシールの功労者」

第6章 バルブをめぐる諸問題とその対策
61 ゼロエミッションへの対応 「バルブからのメタンガス漏洩対策」
62 逆座はオンラインメンテナンスの必需品 「圧力下でも流体を止めずにパッキン交換可能に」
63 ウォータハンマの発生と対策 「バルブから発生する“水撃現象”を洗い出せ!」
64 調節弁のキャビテーション発生と対策 「絞りに付き物“空洞現象”に立ち向かえ!」
65 異種金属接触腐食発生と対策 「バルブ特有のガルバニック腐食現象、金属の固有電位差」
66 管端防食コア内蔵形青銅弁 「鋼管ねじ端を錆びから守る青銅弁」
67 バルブの結露発生と対策 「冷たい水への対策」
68 法規・規格と認証制度 「バルブは法規・規格・認証でがんじがらめ?」
69 信頼性の確保(試験と検査) 「バルブの性能・品質を確認して保証する」

【コラム】
●バルブは配管のイメージキャラクター
●文明開化はインフラから
●バルブトラブルのダントツ1位は「ゴミの噛み込み」
●色付きの水道水はアウト
●火炎を止めるバルブ?「フレームアレスタ」
●環境問題への取り組み

参考文献

はじめに

はじめに

 バルブとは、設備配管に設置されて流体を止めたり、流したり、絞ったり、流路を切り替えたりする配管制御機器の名称です。
 バルブの仲間に給水栓がありますが、日常生活で気が付かないうちに私たちは毎日そのお世話になっているのです。
 人体の配管系(血管や気道)が外部からは見えないように、ビルや水道の配管系も基本的には、隠れた“縁の下の力持ち”的存在となっています。当然、配管に付くバルブも人が直に操作する「水栓類」を除いて、通常、目立たぬところに配される“隠れた存在”です。しかし、その多くは私たちの身近でも見る機会があります。暖房用の灯油タンクの出口弁、ガス給湯器の水の元弁、燃料ガスボンベの容器元弁などがそれです。そう考えると「そういえばあったよねェ」と思い出していただけることでしょう。マンションであれば、水道メータの一次側「給水元弁」として共用部パイプスペースピットの中に、ビルなどでは「機械室」と呼ばれる動力設備をまとめた部屋(立ち入り禁止の隠れ部屋が多い)にバルブが集中して配されています。渇水で給水制限になれば、市中の水道配水用バルブを閉めている姿が報道されますね。
 バルブは工業用分野でも重要な役割を担っています。著者はバルブという工業製品に携わって42年経ちますが、他の工業製品と大きく異なる特徴を感じています。一般的な工業製品は、ある程度使われる産業や分野が決まっていることが一般的で、要求される仕様もおおよそ画一的です。しかし、バルブは流体が存在する産業や分野に広く使われるため、一口にバルブといっても、形状・構造・大きさ・材料・仕様などまったく似ても似つかない“別物”も多く存在します。しかもその産業や分野では、バルブ自体に配管技術上の重要なキーテクニックが集積されていることもあり、きわめて重要な配管要素部品となっているのです。
 著者は、バルブを技術的に解説する書籍として2014年に「絵とき『バルブ』基礎のきそ」(日刊工業新聞社)を執筆しました。その後、バルブについて①どのようなものか、②ルーツや進化は、③どのような産業や分野に使われているか、④どのような技術が求められているか、そして⑤バルブを取り巻く話題—などについて、いつかバルブを知らない人にも理解できるやさしい解説を試みたいと感じていたところ、幸いなことに今回、日刊工業新聞社から「今日からモノ知りシリーズ」の一冊として本書の執筆の機会をいただきました。
 本書は、技術書である「絵とき『バルブ』基礎のきそ」の姉妹書として、各種の配管に利用されているバルブについて前出の①〜⑤の観点から、イラストや図表を用いて専門家でなくても容易に理解できるようトコトンやさしく説明しました。
 本書執筆に当たり、たくさんの方からご支援をいただきました。ご推薦をいただきました一般社団法人 日本バルブ工業会様、編集に当たりアドバイス・ご協力をいただきました元株式会社キッツの鍛冶省一氏、エム編集事務所の飯嶋光雄氏、また本文デザインをご担当いただきました志岐デザイン事務所の奥田陽子氏には謝意を表します。
 本書によって、多くの方達にバルブに対して興味をもっていただき、さらに知識を広げていただければ、著者としてこれに優る喜びはありません。

 
2017年8月                          

小岩井 隆

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