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正しい検図
-自己検図・社内検図・3D検図の考え方と方法-

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 162頁
ISBNコード 978-4-526-07740-1
コード C3053
発行月 2017年08月
ジャンル 機械

内容

本書は、正しい検図の流れとポイントを具体的に解説する本。構想図、試作図、量産図と、開発段階での図面内容と、それぞれへの検図の着眼点を解説し、検図の心構え、具体的なプロセス、検図チェックリストの活用法を解説し、また社内検図のみならず、自己検図、3次元CADによる3D図面に対する検図の高品質化のアプローチについても解説する。

中山聡史  著者プロフィール

(なかやま さとし)
大阪府大阪市出身。関西大学機械システム工学科卒業後、大手自動車メーカーにてエンジン設計、開発、品質管理、環境対応業務等に従事。ほぼすべてのエンジンシステムに関わり、海外でのエンジン走行テストなども多く経験。現在、株式会社A&Mコンサルトにて製造業を中心に設計改善、トヨタ流問題解決の考え方を展開。理念である「モノ造りのQCDの80%は設計で決まる!」のもと、自動車メーカーでの開発~設計~製造、並びに品質保証などの経験を活かし、多くのモノ造り企業で設計業務改革や品質・製造改善、生産管理システムの構築などを支援している。

目次

はじめに

第1章 検図の現状と課題
1 アンケートに基づいた検図の実態と課題内容
(1)現状の検図
(2)現場でよくある検図の課題
2 検図の実態
(1)最終検図者
(2)検図タイミング
(3)検図チェックリストの有無
(4)検図上の課題
(5)まとめ
3 現状の検図の仕方がQCDに与える影響
(1)構想設計段階
(2)詳細設計・試作評価段階
(3)量産設計・量産試作評価段階
(4)市場導入段階
4 昔の検図と今の検図の違い
(1)昔の検図
(2)昔の検図と今の検図の違い
5 開発方式と検図の仕組み
(1)量産開発方式
(2)受注開発方式
(3)開発方式の検図の課題まとめ
6 各図面における検図課題内容実例
(1)構想図
(2)部品図
(3)量産図

第2章 あるべき開発プロセスでの検図の仕組み
1 設計の基本原理
(1)設計とは何か(基本を振り返る)
2 あるべき開発プロセス
(1)フロントローディング開発プロセス
(2)検図の仕組とツール
3 フロントローディング開発プロセス
(1)フロントローディング
(2)コンカレントエンジニアリング
(3)あるべき設計開発プロセス
4 検図のあるべき仕組みとツール
(1)検図の目的
(2)検図の視点(チェックポイント)
(3)検図のタイミング
(4)検図に必要なツール

第3章 あるべき検図の詳細プロセスと検図に必要な内容
1 検図プロセス
(1)各設計段階でのチェックポイント全体像
(2)構想設計段階途中での検図内容【第1の検図】
(3)構想設計完了後の検図内容【第2の検図】
(4)詳細設計完了後の検図内容【第3の検図】
(5)量産設計完了後の検図内容【第4の検図】
2 検図に必要な準備物
(1)設計仕様書
(2)標準書
(3)手本図
(4)DRBFM
(5)試作評価結果
(6)公差一覧表
(7)検図部屋
(8)検図チェックリスト

第4章 3DCADを活かした検図方法
1 間違った3DCADの使われ方
(1)紙図(2DCAD)のみで検図
(2)干渉チェックは自己検図で!
2 本来の3DCADの使い方
(1)断面図の表示
(2)流用部分と新規部分の差異
(3)干渉チェック
(4)生産技術者との図面確認

第5章 確実な自己検図を実施しよう
1 間違った自己検図方法(現状の自己検図方法)
(1)チェックリストを使用せずに自己検図
(2)製図ルールのチェックのみ実施
2 自己検図の進め方
(1)プロセスの全体内容
(2)自己検図チェックリストの作成[Plan(計画)]
(3)自己検図の実施(自己検図チェックリスト使用)[Do(実行)]
(4)自己検図のチェック[Check(評価)]
(5)自己検図チェックリストへのフィードバック[Act(改善)]
(6)QFDとは

あとがき
索引

はじめに

はじめに

 今の製造業はさまざまな問題を抱えている。市場ニーズが多様化する中で高い付加価値のある製品が求められている。そうなると自然に製品構造は複雑化し、設計の難易度が高くなり、不具合の可能性も高くなる。その結果、設計起因での不具合が多発し、自動車であれば、リコールが昔よりも多くなってきている(昨今は少しでも不具合があるとリコールを実施する体制へと変化していることも影響しているかもしれない)。
 では、不具合が多発している設計部門に目を向けてみる。そうすると、設計の難易度が高くなっていることで、設計者の負荷が増え、図面以外にも作成、検討しなければならないことが多く存在する。例えば、取扱説明書、納入仕様書、サービスマニュアルなど。多くは昔から存在する書類だが、先述のように製品が複雑になっているため、細かい内容は設計者しかわからないのが現状である。そうなると自然に設計者の負荷が高くなり、ポカミスが増加してしまう。例えば、図面の記載間違いもその1つだ。それを確認するための時間もなく、そのまま出図される。製造段階で気付けば、まだ、市場流出は免れるが、多くは市場に流出し、お客様からのクレームとなる。この危機的な状況を少しでも打開すべく、本書では設計品質を保つための最後の砦である「検図」について、筆者の経験も含めて、最も効果的な方法を読者諸氏に紹介したい。
 もちろん、不具合をなくすためには、設計のやり方の改善やツール導入、設計能力向上なども必要となってくるが、設計品質を保たせる仕組みとして昔から存在している「検図」をまずは最初に改革してほしい。検図の改革により、悪循環の根本原因となっている設計起因の不具合は確実に減少する。
 また、意識改革も同時に必要となってくる。設計者以外の部門に目を向ければ、検図の重要性をしっかりと理解できている社員は少ないだろう。単に図面の確認としか認識しておらず、検査と同じと考えてはいないか(決して検査の役割が間違っているというわけではない)。設計品質を保つ意味合いで考えれば、本来、検図は、DRと同等に重要なイベントである。
 本書は、筆者が自動車メーカー在席時に培った検図の基礎と、経営コンサルタントとして設計改革活動で実践してきたノウハウをもとに「正しい検図」を解説したものである。正しい検図、すなわちあるべき姿を説いているため、すべての企業に同じ仕組みを導入することはできないかもしれないが、各企業の仕組みや風土に応じて実践してほしい。読者諸氏による検図改革の結果、設計起因の不具合が減少し、少しでも設計者の負担が少なくなれば、筆者にとって望外の喜びである。
2017年5月
中山 聡史 

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