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おもしろサイエンス
温泉の科学

定価(税込)  1,728円

著者
サイズ A5判
ページ数 152頁
ISBNコード 978-4-526-07729-6
コード C3034
発行月 2017年07月
ジャンル ビジネス 環境

内容

温泉は地球の恵みとして地下から湧出し、湯治、療養、観光など、私たちの生活を豊かにしてくれる身近な存在であり、日本は温泉大国です。そこでこの本では、そんな温泉の成分生成や効能などをはじめ、主要温泉の地質・成分的特徴などを科学的におもしろく解き明かしていく。

西川 有司  著者プロフィール

(にしかわ ゆうじ)
1975年早稲田大学大学院資源工学修士課程修了。1975年~2012年三井金属鉱業(株)、三井金属資源開発(株)、日本メタル経済研究所。主に資源探査・開発・評価、研究などに従事。その他グルジア国(現在ジョージア)首相顧問、資源素材学会資源経済委員長など。
 
現在 放送大学非常勤講師、EBRD(欧州復興開発銀行)EGP顧問、英国マイニングジャーナルライターなど。
 
著書は、トコトンやさしいレアアースの本(共著、2012)日刊工業新聞社、トリウム溶融塩炉で野菜工場をつくる(共著、2012)雅粒社、資源循環革命(2013)ビーケーシー、資源は誰のものか(2014)朝陽会、おもしろサイエンス地下資源の科学(2014)日刊工業新聞社、おもしろサイエンス地層の科学(2015)、おもしろサイエンス天変地異の科学(2016)など。また地質、資源関係論文・記事多数国内、海外で出版。

目次

●目次

第1章
温泉は好きですか?
1  温泉の定義は幅広くてちょっと曖昧
2  温泉の種類はたくさんあり、分類法もいろいろ
3  日本の温泉はどんなところにあるのだろう
4  様々に利用できる・温泉・は地下資源である
5  世界にも温泉はたくさんある
6  古代ローマ時代から……温泉の歴史は古い
7  温泉には3つの物理的効果があるといわれている

第2章
温泉はどうして
健康に良いといわれるのだろう?
8  温泉の成分と効能の関係とは?
9  休養、保養、療養の温泉─湯治と効能
10  こんな効き方もある? 変わり種温泉
11  景観、開放感からくるストレス解消効果とは?
12  ラドンやラジウムなどの放射能物質を含む特別な温泉
13  健康づくりに積極的に取り組む温泉が増えている!
14  温泉には適応症と禁忌症があるのでよく注意を!

第3章
多種多様な日本の温泉と世界の温泉
15  日本全国にわたる温泉の分布
16  日本では大量の湧出があるが、将来枯れてしまわないのか?
17  種類も湯量も豊富で日本の温泉にはなんでもある
18  世界にもいろいろな歴史ある温泉がいっぱい
19  石油温泉を楽しむ? 世界の温泉の変わり種
20  世界の温泉と日本の温泉との違い
21  なぜ日本は温泉大国になったのか

第4章
独特の温泉成分の違いはなぜ起こるのだろう?
22  温泉の火山タイプと地層タイプの違いとは
23  温泉の分析表から何がわかるのか?
24  温泉の溶存成分とはいったいどういうモノ?
25  プレートテクトニクスと温泉はどんな関係か
26  温泉の発生と胚胎場はどこか─温泉の源は?
27  火山活動との関係─地殻変動の影響を受ける温泉
28  温泉と地熱資源との深い関係─地熱資源とも関係

第5章
有名温泉郷の特徴とその成り立ちとは?
29  草津温泉(群馬県)─強酸性泉・硫黄泉、自然湧出量はなんと日本一
30  別府温泉(大分県)─源泉数2000以上で日本一、温泉都市をつくる
31  有馬温泉(兵庫県)─地下 キロの最深部の割れ目から温泉水が噴出
32  登別温泉(北海道)─爆裂火口跡から大量湧出
33  南紀伊白浜温泉(和歌山県)─太平洋から潜り込んだプレートからしみ出した温泉
34  箱根温泉(神奈川県)─箱根火山の麓から中腹まで温泉が点在。火山活動が静止中
35  肘折温泉(山形県)─肘折カルデラの東端、マグマ溜りの上に位置
36  道後温泉(愛媛県)─日本最古級3000年の歴史をもつ

第6章
温泉はどうやって見つけてつくるのだろう
37  温泉をつくるには温泉法による規制と影響調査が必要
38  大都会の中心にも温泉がある“大手町温泉”
39  温泉を探し出すには、調査、情報収集、解析が必要
40  狙うべき温泉はどのタイプに当てはまるのか
41  実際にはどのように温泉をみつけるのだろう
42  温泉の開発をするには都道府県知事の許可が必要

第7章
温泉をとりまく環境問題
43  温泉に関係する環境問題
44  どんな環境対策をしていけばいいのか
45  温泉の寿命─湧出はいつかなくなる!?
46  温泉と生態系とのかかわり
47  温泉の環境が変わってしまうと偽装問題がおこる!?
48  “温泉”という観光資源と村おこし
49  温泉の役割と利用─栽培と養殖など
50  温泉は社会生活を豊かにする

Column 
世界遺産の温泉─熊野のつぼ湯と石見の薬師湯  
キリスト教の聖地に温泉が湧く   
飛騨割石温泉─鉱物資源調査から温泉の発見   
コーカサスの温泉─文豪・作曲家が憧れた   
アイスランドブルーラグーン─オーロラを温泉で!   
草津温泉とドイツ帝国の医師ベルツ   
温泉水は循環する─太平洋の海水が温泉に!?    
   
参考文献

はじめに

●はじめに

 日本にはたくさんの温泉があります。山奥にも、海岸にも、東京にも、いたるところにあります。まさに“温泉大国”です。誰しもが温泉に行き、天然の温泉を大自然のなかで楽しみ、満喫し、癒されています。しかし、案外温泉について知らないのではないでしょうか。

 「温泉は地下のどこから来るのか」「なぜ温かいのか」「なぜいろいろな成分が含まれているのか」「なぜ様々な種類の温泉があるのか」「なぜ温泉は健康に良いのか」などといろいろな疑問が湧いてきます。なんとなくわかっているようですが、わからないことばかりです。

 温泉は日本ばかりか、世界のいろいろなところに存在しています。そして疲労や病気の回復に効果があるといわれます。そのため温泉の生成と熱源、あるいは胚胎場(貯留場)などや温泉の地球深部での発生、挙動についての研究が進められています。また医学との関係の研究も進んできています。しかし、まだ十分解明されているわけではありません。

 通常、温泉は火山や火山をつくるマグマが熱源となりますが、地熱や地表から深部へ温度が高くなっていくという地温勾配(温度の変化)も温泉をつくる熱源となります。地震や火山のような地殻変動で泉源が変化したり、泉質や泉温も変わり、枯渇することもあります。温泉の源も地表水だけでなく、海水も源になります。また地下深部のマグマの活動にも由来し、マントル対流によって動くプレートが海溝から地下深部に入り込むことにより堆積物に取り込まれた海水は、脱水されたり含水鉱物になったりマグマ水になったりして、長い時間を経ながら地表に現れ、温泉として湧出もします。

 温泉は地下で地層、岩石の割れ目、断層などを通路として、地表に湧出します。温泉水はダイナミックな地球の動きの中で大局的には地殻の中を循環しながら地表に湧出します。つまり地球全体の動きの中で温泉の動きや性格がとらえられるのです。

 本書では、温泉を科学的におもしろくわかりやすくあらわしました。温泉水の発生、動き、熱源、温泉の成分・効用と健康、プレートテクトニクスとの関係、主要温泉の特徴などが主な内容になりますが、温泉に関係する環境問題、温泉の歴史など、さらに社会生活と温泉のかかわりや温泉の健康への効用なども解説し、温泉の様々な特徴を通して温泉の全体像を知る基礎となります。

 温泉に関する本はたくさん出版されています。温泉の医学面や科学面を扱った本も出版されていますが、多くは温泉のガイドブックです。温泉は地球の営みの一つです。本書を通して地球の活動と温泉との関係や温泉と健康との関係などへの理解を深めて頂ければ幸いです。

 日刊工業新聞社藤井浩氏には執筆の機会を与えてくださり、執筆編集のご指導をいただき、深く感謝を申し上げます。

2017年7月

西川有司 

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