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ノイズ対策を波動・振動の基礎から理解する!

定価(税込)  2,700円

著者
サイズ A5判
ページ数 264頁
ISBNコード 978-4-526-07727-2
コード C3054
発行月 2017年07月
ジャンル 環境 電気・電子

内容

本書は、波の基本的な考え方をノイズ対策に役立てるために、波源のエネルギーの最小化、波を閉じ込める、波を打ち消す方法など、回路構造から考え、ノイズ対策を発生と現象面からしっかりと理解したい実務技術者に向けて、波形図を中心とした図解でやさしく解説する。

鈴木 茂夫  著者プロフィール

(すずき しげお)
1976 年 東京理科大学 工学部 電気工学科卒業
フジノン(株)を経て(有)イーエスティー代表取締役
技術士(電気電子/総合技術監理部門)

【業務】
・EMC 技術等の支援、技術者教育
Eメール rd5s-szk@asahi-net.or.jp

【著書】
「EMC と基礎技術」(工学図書)、「主要 EC 指令と CE マーキング」(工学図書)、「Q&A EMC と基礎技術」(工学図書)、「CCD と応用技術」(工学図書)、「技術士合格解答例(電気電子・情報)」(共著、テクノ)、「環境影響評価と環境マネージメントシステムの構築―ISO14001―」(工学図書)、「実践 ISO14001 審査登録取得のすすめ方」(共著、同友館)、「技術者のための ISO 14001―環境適合性設計のためのシステム構築」(工学図書)、「実践 Q&A 環境マネジメントシステム困った時の 120 例」(共著、アーバンプロデュース)、「ISO 統合マネジメントシステム構築の進め方― ISO9001/ISO14001/OHSAS18001」(日刊工業新聞社)、「電子技術者のための高周波設計の基礎と勘どころ」(日刊工業新聞社)、「電子技術者のためのノイズ対策の基礎と勘どころ」(日刊工業新聞社、台湾全華科技図書翻訳出版)、「わかりやすいリスクの見方・分析の実際」(日刊工業新聞社)、「わかりやすい高周波技術入門」(日刊工業新聞社、台湾建興文化事業有限公司翻訳出版)、「わかりやすい CCD/CMOS カメラ信号処理技術入門」(日刊工業新聞社)、「わかりやすい高周波技術実務入門」(日刊工業新聞社)、「わかりやすいアナログ・デジタル混在回路のノイズ対策実務入門」(日刊工業新聞社)、「わかりやすい生産現場のノイズ対策技術入門」(日刊工業新聞社)、「読むだけで力がつくノイズ対策再入門」(日刊工業新聞社)、「ノイズ対策のための電磁気学再入門」(日刊工業新聞社)、「デジタル回路の EMC 設計技術入門」(日刊工業新聞社)、「トコトンやさしい EMC とノイズ対策の本」(日刊工業新聞社)、「ノイズ対策は基本式を理解すれば必ずできる!」(日刊工業新聞社)

目次

目 次


第 1 章 EMC は波の世界である。波を知るところから始まる
1.1 波は振動が伝わるものでエネルギーを持つ  
1.2 波の形とエネルギー  
1.3 回路の考え方から波(波動)の考え方へ  
1.4 電子機器は高周波的にみるとキャパシタンス C とインダクタンス L からなる  
1.5 入力電力は電磁波に変換される  
1.6 受信する波のエネルギーを最小にするイミュニティ対策  
1.7 EMC で扱う波の周波数と波長の範囲  
1.8 波源(回路のスイッチ)による波の発生とその拡がり  
1.9 波の基本要素(波源、波の伝搬、波の受信)  
1.10 技術の進歩と EMC との関わり  

第 2 章 波の基本(波のエネルギー)とノイズ対策
2.1 振動する波はどのように進むのか  
2.2 波の表し方  
2.3 波数 k(位相定数)とは何か、波数を用いた波の表現  
2.4 時間と距離が変化する波の表現  
2.5 減衰する波の表現  
2.6 波の重ね合わせ  
2.7 波のエネルギーからノイズ対策を考える  
2.8 波を支配する波動方程式とその意味  
2.9 振動する波の特徴とその抑制方法  
2.10 進行波と定在波の違い  

第 3 章 波源、波の伝搬、波の受信の考え方
3.1 波源のエネルギーは何によって決まるか  
3.2 R、L、C の波形に対する作用とそのエネルギー  
3.3 回路構造によって入力されるエネルギーの大きさは違う  
3.4 回路ループが波源の大きさを決める  
3.5 コモンモードノイズ源が波源  
3.6 波源のエネルギーを最小にする方法  
3.7 波を伝える伝搬経路の構造  
3.8 伝搬経路から波のエネルギーの漏れを最小にする  
3.9 ノイズ波の受信エネルギーを最小にするためには  
3.10 エネルギー保存則からノイズを最小化する  

第 4 章  定在波(ノイズエネルギーの最大)の発生とインピーダンスマッチング
4.1 波の反射と反射係数  
4.2 定在波(定常波)の発生  
4.3 ノーマルモード電流が流れる回路に生じる定在波  
4.4 負荷の状態によって変化する電圧と電流の定在波(高調波)  
4.5 定在波の発生は共振現象と同じ  
4.6 集中定数回路と分布定数回路の共振周波数の求め方  
4.7 2 次元を伝搬する波によって生じる定在波  
4.8 電源・GND プレーンに生じる定在波のレベルを最小にする  
4.9 定在波(反射)をなくすインピーダンスマッチング  
4.10 進行波によって生じるコモンモードノイズ源の波形  

第 5 章 電磁気学の原理を用いて波のエネルギーを最小にする
5.1 電源投入による電荷の生成  
5.2 電荷はエネルギーを持つ  
5.3 電荷とガウスの法則、電荷から生じる電界 E を最小にする  
5.4 マクスウエル・アンペールの電流法則により磁界 H を最小にする  
5.5 波源(コモンモードノイズ源)とファラデーの自己電磁誘導の法則  
5.6 ファラデーの相互誘導の法則からイミュニティを強化する  
5.7 磁力線は発散しない div B=0 から EMC を考える  
5.8 電磁波の速度と波動インピーダンス  

第 6 章 アンテナから波が放射(受信)されるしくみ
6.1 電界波と磁界波を作り出す力  
6.2 電磁波を効率よく放射するアンテナはどこに存在するのか  
6.3 定在波による放射  
6.4 定在波による共振特性、共振のダンピング  
6.5 1 波長ループアンテナからの放射とその最小化  
6.6 スロットアンテナからの放射とその最小化  
6.7 パッチアンテナからの放射とその最小化  
6.8 受信する波のエネルギーを最小にする  
6.9 電磁波のインピーダンスは何を意味するのか  
6.10 アンテナの放射効率を表す放射抵抗  

第 7 章 波をシールドするメカニズム、シールド性能を最大にするには
7.1 電界波に対するシールドのメカニズム  
7.2 磁界波に対するシールドのメカニズム  
7.3 電界波は入射端で反射する  
7.4 磁界波は入射端を通過する  
7.5 電界波と磁界波に対する波動的な考え方  
7.6 電界波と磁界波の反射係数の関係  
7.7 電磁波源からの距離によるシールド効果  
7.8 シールド材のインピーダンスと伝搬定数  
7.9 シールド材反射による定在波  
7.10 電界波と磁界波に対するシールド材料の特性  

第 8 章 高周波の基礎と EMC
8.1 EMC は分布定数回路の世界である  
8.2 高周波特性を知るために必要なイミッタンスチャートの作り方・見方  
8.3 並列素子を扱うときに便利なアドミッタンスチャートを作成する  
8.4 波(高周波)の状態を知る S パラメータ  
8.5 パルス波形を正確に測定しなければならない理由  
8.6 高周波では部品の特性が変化する  
8.7 EMC 性能に関わる伝送路を測定する  
8.8 周波数スペクトルを測定する(周波数ドメイン)  

第 9 章 EMC に関する美しい方程式、波形とフーリエ級数
9.1 V=I・Z(作用力)  
9.2 Vn=(Ls-M)・dI/dt(反作用力)  
9.3 Pin=Ph+Pz+Pn(エネルギー保存の法則)  
9.4 ρ=Zl-ZL/Zl +ZL (共振現象によるエネルギーの最大化)  
9.5 ρ/ε=div E(電荷から電界の発生)  
9.6 J=σE、J=ε・dE/dt、J=rot H(電界から電流、電流が磁界の回転を生み出す)  
9.7 μ∂H/∂t=-rot E(磁界が電界の回転を生み出す)  
9.8 ∂2μ/∂x2=1/v2・∂2μ/∂t2(波動方程式)  
9.9 ejθ=cos θ+j sin θ(オイラーの公式)  
9.10 美しい波形とフーリエ級数(周波数スペクトル)  

第 10 章 補  足
10.1 自己インダクタンスとループインダクタンス  
10.2 波動方程式  
10.3 共振回路のエネルギー  
10.4 強制振動によるエネルギー  
10.5 1 次微分d/dxと2 次微分d2/dx2  
10.6 EMC とフーリエ級数  
10.7 EMC とフーリエ変換  
10.8 アンテナの基本であるダイポールアンテナとループアンテナ  
10.9 シンプルな式からノイズ対策方法を考える  

参考文献  
索  引  

はじめに

はじめに

 電磁波は電界波と磁界波の 2 つの波でお互い連動して変化する性質の異なる波です。通常の回路的では波として扱わないが、EMC の問題(波の放射とノイズ波の受信による悪影響)は波として考えなければなりません。波の基本的な考え方は、地震や海の波のように、波源があり、波が伝搬する経路があり、波を受信するところがあります。本書のアプローチは波の基本的な考え方を導入して、ノイズ対策に役立てることを意図としました。
 第 1 章は EMC の世界は波を扱うので、波を知ることから始まる。意図した電子回路(機能)から空間へ漏れた波がエネルギーを持ち、自身の他の機能に悪影響を与える(エミッションと伝導)。このため波動の考え方が重要となります。
 第 2 章では波の基本と波のエネルギーを最小にすることや外部への漏れを最小にすることにあります。
 第 3 章では、波源のエネルギーを小さくする方法、伝搬経路に波を閉じ込める方法、受信する波のエネルギーを最小にするなど EMC 性能は最大にする方法、第4章では波の伝搬によって発生する定在波と共振現象(エネルギー最大)の等価性を述べ、エネルギーを最小にするためのインピーダンスマッチングの方法、第 5 章は電磁気学の基本法則であるガウスの法則(電荷変動から電界)、アンペール・マクスウエルの法則(伝導電流と変位電流から磁界の発生)、ファラデーの電磁誘導の法則(磁界から電界の誘導)を用いてノイズ源のエネルギーを小さくする方法、電磁波を閉じ込める方法、電磁波の影響を最小限にする方法などを導く。
 第 6 章はアンテナの基礎知識に関する内容で、アンテナから波が放射(受信)されるしくみを述べている。アンテナから放射される電力はアンテナの形状・構造と流れる電流によって決まるのでノイズ対策ではアンテナに流れる電流を最小にする。アンテナの原理を知り、放射効率・受信効率を最小にする方法を理解することにあります。
 第 7 章は EMC 性能を上げるためのシールドについて電界波と磁界波に分け、それぞれの波に対してシールドのメカニズムを明らかにしてシールド性能を最大にする方法を導く。
 第 8 章は波の反射(SWR)の測定を含めた高周波の基礎に関する内容で、インピーダンス特性、伝送路とのインピーダンスマッチング、スミスチャートやアドミッタンスチャートの見方、考え方、定在波(反射係数)の大きさを測定する方法など、第 9 章はシンプルな式から EMC 性能を上げるために何をすればよいか求めることにあります。また波形とスペクトルの関係についてフーリエ級数(フーリエ変換)の手法によってスペクトルの大きさを低減する方法を導く。
 第 10 章は補足資料。
 読者の皆様方の業務に本書が少しでもお役に立てれば幸いであると願っております。最後に本書をまとめるにあたり、企画の趣旨、原稿の校正、有益なご指導をいただきました日刊工業出版プロダクション 北川 元氏並びに日刊工業新聞 出版局書籍編集部 部長 鈴木 徹氏に心より感謝いたします。
2017年7月 
鈴木 茂夫

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