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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい土壌の本

定価(税込)  1,620円

著者
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サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07714-2
コード C3034
発行月 2017年06月
ジャンル ビジネス 環境

内容

私たちの社会生活や個人生活に、さまざまな側面でかかわっている土壌。本書は、土壌の生成から作物の生産、環境保全、日常生活まで、多岐にわたる土壌の機能をわかりやすくまとめた。読みやすく、かつ科学的に整理して記述することで、教育にも使える内容となっている。

藤原 俊六郎  著者プロフィール

(ふじわら しゅんろくろう)
農学博士・技術士
1970年 島根大学卒業、神奈川県農業技術センター、明治大学農学部客員教授を経て、2011年より明治大学農場 特任教授
主な著書
「新版 図解土壌の基礎知識」農文協、「土壌診断の方法と活用」農文協、「バイオマス資源のコンポスト化技術」シーエムシー出版 など

安西 徹郎  著者プロフィール

(あんざい てつを)
農学博士
1973年 北海道大学大学院農学研究科修了、千葉県農林総合研究センター、JA全農主席技術主管を経て、2015年より(一社)日本土壌肥料学会常務理事
主な著書
「だれにもできる土の物理性診断と改良」農文協、「よくわかる土と肥料のハンドブック 土壌改良編」農文協、「土壌学概論」朝倉書店 など

小川 吉雄  著者プロフィール

(おがわ よしお)
農学博士
1971年 東京農業大学卒業、茨城県農業総合センターを経て、2008年より鯉淵学園農業栄養専門学校教授・東京農業大学客員教授
主な著書
「資源・環境・健康を考えた土と施肥の新知識」全国肥料商連合会、「新版 土壌肥料用語事典(第2版)」農文協、「地下水の硝酸汚染と農法転換」農文協 など

加藤 哲郎  著者プロフィール

(かとう てつお)
博士(農学)
1972年 東京農工大学卒業、東京都農林総合研究センター、金沢学院短期大学教授を経て、2014年より明治大学農学部兼任講師
主な著書
「用土と肥料の選び方・使い方」農文協、「押さえておきたい土壌と肥料の実践活用」誠文堂新光社、「いちばんよくわかる 超図解 土と肥料入門」家の光協会 など

目次

はじめに

第1章 土とはなにか
1 土って何?「土はさまざまな役割を担っている」
2 土の誕生「岩石から土壌へ風化作用と生物の働きによる土壌の生成」
3 土と土壌は違う?「月には「土壌」が存在しない」
4 さらさらした土とねばねばした土「砂主体の土と粘土主体の土」
5 土の色はさまざま「気候、植生、水分環境などが関係」
6 五感でわかる土の性質「見て、触って、嗅ぐ」
7 土の中には水と空気がある「土は固相と液相と気相で構成されている」
8 土の中の隙間が水持ちと水はけを支配する「土の中に存在する隙間の重要な役割」
9 土は植物養分の貯蔵庫「養分を含み、保持し、適時植物に供給する」
10 土壌には微生物がいっぱい「モグラから微生物まで」

第2章 生命を育む土
11 すべてのものは土に還る「土が支えるいのちの循環」
12 土がもたらす作物への恩恵「作物生育における土の役割」
13 作物を育てる土「畑の土と水田の土」
14 植物と共生する微生物「根粒菌および菌根菌と植物の関係」
15 作物生産に適した土「低生産土壌から肥沃な土壌へ」
16 土は掃除屋さん「土の浄化能は炭素成分の分解が主になる」
17 有機物の最後は腐植「長い時間をかけた3段階の分解による」
18 なぜ土壌に有機物が必要なのか「土壌有機物の概念とその機能」
19 自然状態(林地)の物質循環「物質循環と自然生態の関わりで土壌は肥沃に」
20 農地の物質循環「作物の収奪や耕うんなどにより炭素が減少」
21 農業生態系と窒素の循環「ダイナミックな窒素循環システムが働いている」

第3章 食べ物を育てる土
22 農作物にとって良い土とは「農作物生育にとって適切な土の条件」
23 イネがよくできる土「水田土壌の特徴」
24 美味しい野菜がとれる土「良い土は美味しい野菜をつくる」
25 施設には塩分がいっぱい「施設土壌と露地土壌の違い」
26 土を耕すとはどういうことか「耕すことで肥料分を混ぜ、土を軟らかくし根張りを良くする」
27 地力って何?「土地が作物を生育させることができる能力」
28 土は肥料と仲良し?「陽イオン交換容量の説明と硝酸溶脱」
29 土が酸性化する?「土壌酸性化の原因と対策」
30 堆肥をやれば良い土になる?「堆肥の施用方法と効果」
31 有機農業は土を守る?「有機栽培が土に与える利点と問題点」

第4章 環境を守る土
32 土は地球の皮膚「物質循環の要」
33 自然生態系における炭素の循環(呼吸する土)「地球規模の炭素の循環と貯留」
34 土をめぐる窒素循環「地球規模の窒素循環と土壌中での窒素の形態変化」
35 温暖化緩和に果たす土の役割「土は炭素循環、炭素貯留の場として多大な役割」
36 水田からのメタンの発生「メタン発生メカニズムと減少対策」
37 畑からの一酸化二窒素の発生「一酸化二窒素発生メカニズムと減少対策」
38 森林や水田の土は環境を守る「林地や農地の公益的機能」
39 土は浄水場「土がつくる清らかな水(水質浄化機能、ろ過機能)」
40 水の浸透速度と地下水「畑で水が浸透する速度」

第5章 土にもいろいろある
41 土の種類は多種多様である「土の種類は地形との関係が深い」
42 土はさまざまな因子の相互作用によってできる①「土の生成には気候、生物、地形、母材が関係する」
43 土はさまざまな因子の相互作用によってできる②「土の生成には時間、人為、水が関係する」
44 世界の土「世界の土壌分類とそれらの土壌の特徴」
45 日本の土「わが国の土壌分類と主な土壌の特徴」
46 寒い地域の土は黒く、熱い地域の土は赤い「有機物(腐植)集積量と鉄の量が土の色に関与する」
47 日本の黒い土― 黒ボク土「日本の黒い土の代表格」
48 日本の赤い土、黄色い土―赤黄色土「日本でもっとも目立つ土、全国に広く点在している」
49 日本で3番目に多い土― 沖積土「沖積土は低地に分布している」
50 土の中を調べてみる「植物の生育が悪い時の簡単な調べ方」

第6章 土を自然災害などから守る
51 砂漠化する土「世界の農地の砂漠化はなぜ起こっているか」
52 土の水食と風食「畑の土を土壌侵食から守る」
53 食料・飼料の輸入は土の輸入「肥料成分、バーチャルウオータ、溜まった土をどうする」
54 水田や畑の土も老化する「土壌肥沃度低下の原因」
55 連作障害と土壌「土壌に作物生育阻害要因が蓄積する現象」
56 農薬や重金属による土壌汚染「食べものを生産する農地ではもっとも深刻な課題」
57 津波・高波による土壌汚染「津波被害の原因と対策」
58 放射能による汚染「放射性セシウム土壌汚染の現状と対策」
59 土壌の状態を知る健康診断「土も定期的に状態を知ることが必要」

第7章 私たちの日常生活と土
60 土と文明「土壌悪化は文明の崩壊」
61 土と建築「焼いたり、練って使うなど建材として利用」
62 土と生活器具「食器をはじめ、いろいろな生活必需品がある」
63 土と食文化「土器が食品加工や食品保存を可能にした」
64 磁器と陶器「土の種類や土性などによって陶磁器は変わる」
65 土と鉄器・銅器「製鉄や青銅、鋳造は土や砂が不可欠だった」
66 粘土は万能?「粘土を薬、化粧品、染料などに利用」
67 土と景観「土・農業がもつ景観形成と人の生活」
68 土は人類共通の遺産「社会的共通資本としての土」

コラム
●土という漢字が意味するもの
●国際土壌年
●土と花の色
●土の中の温度は一定
●実用的な土壌分類に基づく農地の生産力評価
●光る土団子をつくろう!
●土と刀

参考文献

はじめに

はじめに

 私たちは土の上に住み、土の恵みで生きていますが、あまりにも当たり前のことで、日頃、土のことを意識することはほとんど無いといってよいでしょう。改めて、「土ってなに?」と問われれば、「微生物から動植物や人間まで、あらゆる生命体の母体であり、自然環境と生活の場を形作っているもの」といっても過言ではありません
古代ギリシャでは、万物は土、水、空気、火の4元素から成り立っているとの自然観がありました。また、孔子集語の中に「為人下者、其猶土乎!種之則五穀生焉、掘之則甘泉出焉、草木植焉、禽獸育焉、生人立焉、死人入焉、多其功而不言」という表現があります。これは「人の下にある土は、種を蒔けば穀物を育て、掘れば水が出て、草木や動物を育てることができ、人はその上で生活し、死ぬと土に入る。その功は言い切れないほど多い」というような意味でしょう。このように古来から土の重要性は認識されていました。
 わが国には美しい四季があります。春には花が咲き、夏には草木が生い茂り、秋には枯葉が舞い落ち、冬には霜柱がみられます。これは、豊かな土壌があるからこそ見られる風景なのです。植物が育ち、豊かな食べものを生産できるのは、土の中に植物に必要な養分があるからであり、秋の枯葉がいつの間にか消えてしまうのは、土の中の微生物たちが分解してくれるからです。また、冬の風物詩の霜柱は、気温が下がっても適度な水分と微細な隙間がある土でないとできないのです。
 このように、単純にみえる土であっても、化学的、生物的、物理的に優れた特徴をもち、地球上の生物の営みを支えています。それだけではありません、土壌は地球環境の保全にも大きく役立っており、環境の保全や生命の維持を支えているのです。しかし、今、土壌は砂漠化、侵食、塩類集積、重金属汚染や放射能汚染などさまざまな負の影響を受けて苦しんでもいます。
 そこで、生産現場に近いところで土壌肥料研究に長く携わってきた4人が集まり、多くの人に土の重要性を知っていただくために、土壌の成り立ちから、生産・環境への寄与、人間生活と土という幅広い視点から土・土壌を紹介することとしました。執筆した4人は、それぞれ豊かな個性があり、その個性を大切にするため、あえて表現を統一せず特徴のある記述のままとしている部分もあります。
 また、本書では、「土壌の本」と銘打っているにも関わらず、「土」と「土壌」が混在した形で記述されています。一般的には混在して使われることが多いのですが、厳密には、「土」は総体的な概念、「土壌」は土に生命が関与し、生命体に育てられ、植物や動物の生育・棲息に適した土と区分されています。この本では、一般に親しみを込めた表現として「土」を使い、生命体が育んでできた土を強調したいときに「土壌」と表現するようにしています。
 本書をご一読いただき、身近にありながら、見過ごされがちな「土壌」について考えていただければ、著者一同、望外な幸せです。

平成29年6月
藤原俊六郎
安西 徹郎
小川 吉雄
加藤 哲郎

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