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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい3Dものづくりの本

定価(税込)  1,620円

著者
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サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07721-0
コード C3034
発行月 2017年06月
ジャンル ビジネス 機械

内容

「3Dプリンタ」を代表とした新しいものづくりの手法が積層造形技術。積層造形とは 立体物を水平に輪切りにした断面データをもとに、樹脂などの薄い層を積み上げて立体物を製作する技術。当初はラピッド・プロトタイピング(迅速な試作)が中心だったが、徐々にラピッド・マニュファクチャリング(迅速な製造)に移行しつつあり、市場規模も右肩上がりになっている。本書は既刊「トコトンやさしい3Dプリンタの本」に続いて、最新の積層造形に関する技術動向やそれを使ったより具体的なその活用法、3D―CADや3Dモノづくり関連ソフトなどのやさしい使い方などを、とことんわかりやすく解説する。

柳生 浄勲  著者プロフィール

(やぎゅう じょうくん)
特定非営利活動法人 関西技術経営コンサルタンツ理事
技術士(総合技術監理、上下水道、電気電子部門)
中小企業診断士
1957年生まれ
中小企業の技術経営に関する調査研究及び経営支援、並びにe-ラーニングによる技能伝承について研究している。
e-mail:jokun.yagyu@gmail.com

結石 友宏  著者プロフィール

(けいし ともひろ)
特定非営利活動法人 関西技術経営コンサルタンツ会員
技術士(電気電子部門)、博士(工学)
1953年生まれ
CAE(Computer Aided Engineering)分野を専門とし、電磁界解析を中心に製品の設計・開発に活用している。また、中小企業の経営支援にも取り組んでいる。
e-mail:keishi@abelia.ocn.ne.jp

河島 巌  著者プロフィール

(かわしま いわお)
技術士(機械部門)
1962年生まれ
回転機械の設計・エンジニアリング、気体軸受の研究開発およびプラントエンジニアリングのプロジェクトマネジメントの経験を持つ。

目次

目次

第1章 〝3Dものづくり〟とは
1 3Dものづくりって何? 「3Dデータを用いたものづくり」
2 ものづくりの歴史 「積層造形装置の誕生と発展」
3 3Dものづくりへの取組み 「積層造形技術に関する規格、 施策」
4 日本と世界の状況 「日本と各国の支援状況」
5 ものづくりで注意すること 「技術の普及に伴い配慮が必要なこと」
6 病院でどう使う? 「医療現場での普及」
7 プロトタイピングでどう使う? 「試作 ・ プレゼンテーションに使う」
8 生産現場でどう使う? 「金属積層造形装置の発展が重要」
9 こんな材料も使える 「金属材料、機能性樹脂材料、医療用材料」
10 記録し複製する 「3Dデータを文化財や美術品の保存に使う」
11 3Dものづくりの将来 「今後の方向性と課題」

第2章 積層造形の手法と特徴
12 立体物を作る様々な加工方法 「加工前後の重さ(質量)の変化による分類」
13 3Dプリンタの構造と機能 「積層造形を実現するための構成要素と役割」
14 3Dプリンタで立体物を作る方法 「3Dプリンタによる積層造形の例」
15 国際規格による積層造形の分類 「ASTM International で七種類に分類」
16 材料押出法(material extrusion) 「熱可塑性樹脂をノズルから押し出し積層する」
17 材料噴射法(material jetting) 「光硬化性樹脂を吹付け光で硬化し積層する」
18 粉末床溶融結合法(powder bed fusion) 「粉末を敷き詰めレーザを当てて焼結し積層する」
19 結合剤噴射法(binder jetting) 「粉末を敷き詰め接着剤を吹付けて積層する」
20 液槽光重合法(vat photopolymerization) 「光硬化性樹脂にレーザ光を当てて硬化させ積層する」
21 シート積層法(sheet lamination) 「シート状の材料を裁断しながら接着して積層」
22 指向エネルギー堆積法(directed energy deposition) 「粉末材料をレーザ光などで直接溶かして積層」
23 複合装置(ハイブリッド装置) 「積層造形と切削加工の組合せ」 5
24 3Dプリンタの後処理 「立体物の品質を高める」
25 積層造形法で使える造形材料 「樹脂、金属などに合わせて方式を選択」

第3章 3Dプリンティングのためのソフトウェア
26 3Dプリンタを使うために必要なソフトウェア 「3Dデータ作成、3Dプリンタ制御」
27 形状を作るソフト(3D─CAD、3D─CG) 「CADソフト、CGソフトによる3Dデータ作成」
28 形状を取り込む装置3Dスキャナ用のソフト 「三次元の点群データをポリゴンデータに変換」
29 形状を表す標準ファイル(STL)出力 「3Dプリンタ造形用3Dデータ標準フォーマット」
30 積層用形状出力と3Dプリンタ制御 「3Dモデルを積層モデルに変換、プリンタを制御」
31 3Dプリンタを動かすソフト 「フロントエンドソフト」
32 積層造形の手順、条件設定 「STLファイル出力、造形前の設定の注意点」
33 STLファイルの課題 「造形物の色や内部構造(材質など)を表せない」
34 新しいファイルフォーマット 「立体物の色や内部構造を表すことが可能」
35 積層造形を支援するソフトウェア 「3Dプリンタ使用前提の設計用ソフトウェア」

第4章 積層造形の仕組みを理解する
36 レップラップとは 「レップラップの特徴はオープンソースと自己増殖性」
37 積層造形のプロセス 「立体をスライスし二次元データを積み上げる」
38 3Dプリンタの構造 「三次元での位置決めとプリント素材の供給」
39 モータを理解して駆動ユニットをつくる 「駆動方式はタイミングベルトと送りネジ」
40 造形ステージをつくる 「造形物の土台となる重要な役割」
41 エクストルーダは材料押出法の要(かなめ) 「フィラメントを溶かして押し出す役割」
42 電源と制御回路がなければ始まらない 「電源は心臓、制御は中枢神経」
43 フロントエンドソフト 「3Dプリンタを直接コントロールするソフト」
44 初期設定と動作確認 「組立の最終重要ポイント」
45 よくあるトラブル対策 「誰もが遭遇するトラブルには共通点がある」

第5章 3Dデータをつくる
46 ものづくりにおける3Dデータの役割 「3Dデータがものづくりプロセスを改革」
47 3D─CADの機能 「立体形状を素早く効率的に作成する」
48 3D─CADの選び方 「使用目的に対応した3D─CADを選ぶ」
49 3D─CADを使ってみる 「ユーザーインターフェイスは慣れるが勝ち」
50 3Dモデリングの基本 「ソリッド作成の基本テクニック」
51 花丸スタンプをつくる① 「スタンプ本体と把手の作成、 合体」
52 花丸スタンプをつくる② 「スタンプ面の作成と質感表現」
53 3Dスキャナの発達 「3Dスキャナが担う役割」
54 3Dスキャナを使ってみる 「ハンディタイプのパーソナル3Dスキャナ」
55 3Dデータの作成 「スキャニングデータの編集加工」
56 3Dスキャニングサービス 「3Dスキャニングを外注する」

第6章 積層造形の実際
57 スライサーソフト 「スライサーで立体を輪切りにする」
58 積層造形出力 「コネクト、ロードファイル、プリントの3ステップ」
59 積層造形の後処理 「後処理をして、初めて完成」
60 フィラメントの種類と特徴 「材料押出法のフィラメントは種類が豊富」
61 出力サービスを使ってみる 「出力サービスを利用するかどうか」
62 出力サービスの利用方法 「出力サービス利用の注意点」
63 積層造形装置の選び方 「製品に応じて造形方式を選択する」
64 ファブラボ 「多様な工作機械を備えた市民工房のネットワーク」
65 ものづくりスペース 「地方自治体、企業などが設置」

【コラム】
●3Dものづくりの可能性
●高精細で高速に製造できる新方式の3Dプリンタ
●プログラムによる3Dモデリングソフト
●アルドゥイーノの世界
●レプリケータ
●リバースエンジニアリング

参考文献
索引

はじめに

はじめに

 2012年、米国発のメイカーズ・ムーブメントは、アディティブ・マニュファクチャリング(以下、積層造形といいます)を行える3Dプリンタが個人の手に届くところまできたことで、日本においても一大ブームを巻き起こしたことは記憶に新しいところです。

 これまでの工業製品は、旋盤やフライス盤などの工作機械を用いて切削加工で金型や最終製品を作ったり、また金型を元にプレス加工や射出成形で大量生産を行ってきました。

 それに対して積層造形は、三次元データを元に高さ方向にスライスした二次元データを作成し、一層ずつ積み上げていく製造法です。いわば、従来の加工は塊をマイナスまたは変形させることにより三次元のものづくりを行うのに対して、積層造形ではゼロからプラスしながらものづくりを行います。そうした意味では、三次元のものづくりは切削、変形、積層などの方法があることになります。

 しかし、本書ではあえて「3Dものづくり」として、積層造形を取り上げました。その理由は、積層造形技術は1980年代に誕生し、まだ歴史が浅く、今後、その急速な発展とものづくりにおける変革が期待されるからです。

 イノベーションの歴史を振り返ってみますと、ある時期に主流であった技術が、短期間のうちに別の新しい技術に置き換わってしまうことがあります。

 例えば写真です。写真といえばフィルムカメラと誰もが疑うことのなかった1970年代、半導体撮像素子を用いたデジタルカメラが開発されました。当初、その画質はフィルムカメラに遠く及びませんでした。しかし、画質が大きく向上するとともに低価格で多機能となった結果、瞬く間にデジタルカメラはフィルムカメラを凌駕し、今ではフィルムカメラを見かける機会はほとんどありません。

 このようにイノベーションにおいては、新技術が発展し、品質向上とコストダウンが進めば、その形勢が一気に逆転する可能性があります。

 積層造形は、当初はラピッド・プロトタイピング(迅速な試作)が中心でしたが、徐々にラピッド・マニュファクチャリング(迅速な製造)に移行しつつあり、市場規模も右肩上がりです。これらを支える積層造形技術は、装置の改良、素材の多様化、使い勝手の改善により、現在の私たちが想像できないような進歩を遂げる可能性があります。

 本書は、姉妹書「トコトンやさしい3Dプリンタの本」に続いて、最新の積層造形に関する技術動向や3D—CAD、3Dスキャナなどの周辺技術をより詳しく、トコトンわかりやすく解説したものとなっています。姉妹書ともどもご愛読いただければ幸いです。

 なお、この本を執筆するにあたり、ご協力をいただいた、合同会社Genkei、オートデスク(株)、(株)3D Systems Japan、(株)システムクリエイトを始め、関係各位に心から感謝いたします。

 
2017年4月              

著者一同

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