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必携「からくり設計」メカニズム定石集
-ゼロからはじめる簡易自動化-

定価(税込)  2,700円

著者
サイズ B5判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-07719-7
コード C3053
発行月 2017年06月
ジャンル 機械

内容

いま、製造現場では、安易に電気エネルギーなどに頼らずに低予算で効果的な動きを実現する「からくり設計」が注目されている。そのもととなるメカニズムは限られた数しかなく、それらの組み合わせでさまざまな「からくり設計」が実現されている。本書は、基本となるメカニズムの運動特性や力特性などを“定石”として、わかりやすく解説する。

熊谷 英樹  著者プロフィール

(くまがい ひでき)
1981年 慶應義塾大学工学部電気工学科卒業。
1983年 慶應義塾大学大学院電気工学専攻修了。住友商事株式会社入社。
1988年 株式会社新興技術研究所入社。
現在、株式会社新興技術研究所専務取締役、日本教育企画株式会社代表取締役。神奈川大学非常勤講師、山梨県産業技術短期大学校非常勤講師、自動化推進協会理事、高齢・障害・求職者雇用支援機構非常勤講師。
主な著書
「ゼロからはじめるシーケンス制御」日刊工業新聞社、2001年
「必携 シーケンス制御プログラム定石集―機構図付き」日刊工業新聞社、2003年
「ゼロからはじめるシーケンスプログラム」日刊工業新聞社、2006年
「絵とき「PLC制御」基礎のきそ」日刊工業新聞社、2007年
「MATLABと実験でわかるはじめての自動制御」日刊工業新聞社、2008年
「新・実践自動化機構図解集―ものづくりの要素と機械システム」日刊工業新聞社、2010年
「実務に役立つ自動機設計ABC」日刊工業新聞社、2010年
「基礎からの自動制御と実装テクニック」技術評論社、2011年
「トコトンやさしいシーケンス制御の本」日刊工業新聞社、2012年
「熊谷英樹のシーケンス道場 シーケンス制御プログラムの極意」日刊工業新聞社、2014年
「必携 シーケンス制御プログラム定石集 Part2―機構図付き―」日刊工業新聞社、2015年
ほか多数

目次

はじめに
本書で紹介している目的別「からくり」メカニズム一覧

第1章 からくりとメカニズムの考え方
定石1の1 2倍の力を出したければ変換速度を半分にする
定石1の2 てこを使うには支点・力点・作用点間の距離に着目する
定石1の3 運転変換・方向変換・運動伝達の3つのメカニズムを覚えれば「からくり」ができる
定石1の4 アクチュエータの動作を手動に変えれば「簡易からくり」をつくれる
定石1の5 2つのメカニズムを組み合わせて両方の特性をもつ「からくり」をつくる
定石1の6 運動の方向を反転して人が力をかけやすい「からくり」をつくる
定石1の7 メカの要素を組み合わせれば水平に持ち上がり落ちてこない「からくり」ができる

第2章 均等変換メカニズム
定石2の1 回転運動の方向を効率よく変換するには歯車を使う
定石2の2 回転を直進に均等変換するにはラック&ピニオンを使う
定石2の3 ダブル・ラック&ピニオンにすると平衡チャックをつくれる
定石2の4 回転の戻り止めにはウォームギアを使う
定石2の5 モータ駆動で複数位置に停止するには送りねじを使う
定石2の6 タイミングベルトを使えばモータ駆動のピック&プレイスユニットを構成できる
定石2の7 重量物を送るにはチェーンを使う
定石2の8 滑車でストロークを半分にすれば持ち上げる力は2倍になる

第3章 遊星ピニオンをもつメカニズム
定石3の1 回転軸の移動と外周の移動を考えれば遊星ピニオンの働きがわかる
定石3の2 シリンダのストロークを2倍にするにはラック&ピニオン型倍速機構を使う
定石3の3 コンベア搬送速度を2倍にするにはローラ付きチェーンコンベアを使う
定石3の4 回転しながら遠くに運ぶにはサイクロイドを使う
定石3の5 3段の変速をするには遊星歯車を使う
定石3の6 形の悪いワークを真っ直ぐ押すにはイコライザを使う
定石3の7 差動歯車(ディファレンシャルギア)を使うとトルクイコライザができる
定石3の8 ワンモーションでタイミングの異なる2つの出力をつくるには遊星ピニオンを使う

第4章 レバーの運動変換とリンクによる連結
定石4の1 レバーを使うと簡単に運動方向を変換できる
定石4の2 直動ガイドの代わりにレバーを使うとシンプルな設計ができる
定石4の3 リニアガイドをレバーに替えるとアクチュエータを自由に配置できる
定石4の4 ガイドされているアームはリンク棒で連結する
定石4の5 リンクを使ったプレスリムーバ
定石4の6 レバー同士を直接連結するには伸縮するアームを使う
定石4の7 レバーを直動メカニズムに直接連結するにはスラッドを使う
定石4の8 スラッドを使ったプレスリムーバ
定石4の9 短いシリンダで大きな往復運動をつくるにはレバーとスラッドを使う

第5章 トグルを使った増力メカニズム
定石5の1 大きい力が必要ならギリギリまでトグルを伸ばして使う
定石5の2 リンクアームを2本使ってトグルをつくる
定石5の3 ワークをクランプするにはトグルを使う
定石5の4 レバーの駆動部をトグルに変更すれば終端増力になる
定石5の5 ストロークの両端で減速停止するにはダブルトグルを使う
定石5の6 スラッド・トグル・レクタを使ったプレスリムーバ
定石5の7 自動カシメユニットのような複雑な装置でも基本要素の組合せでつくれる
定石5の8 クレビスシリンダで大きな回転出力をつくるにはグルダを使う

第6章 平行リンク
定石6の1 ワークを水平に上下移動するには平行リンクを使う
定石6の2 平行リンクはクレビス型シリンダで駆動する
定石6の3 平行リンクを使ったピック&プレイスユニットは回転軸を同期させる
定石6の4 平行リンクで垂直移動させてプレスリムーバをつくる
定石6の5 プレスヘッドを大きく逃がすには引込型プレスリムーバを使う
定石6の6 重量物を持ち上げる昇降台には台形平行リンクを使う
定石6の7 コンパクトに平行リンクをつくるにはベルト型平行リンクを使う
定石6の8 平行リンクとトグルを組み合わせるとシリンダ1本で動くピック&リムーバユニットができる

第7章 アームスライダ
定石7の1 直動と回転の両方の動作をさせるにはスラッドを回転軸でガイドする
定石7の2 歩行ロボットの脚はスラッド型クランクスライダで駆動する
定石7の3 アームスライダをクランクで駆動するとクランクスライダになる
定石7の4 アームスライダを回転運動で駆動してピック&リムーバをつくる
定石7の5 アームスライダの回転中心をずらすと移動ピッチが変わる

第8章 ワーク送りのからくり
定石8の1 ストロークエンドで動作させるにはデテルを使う
定石8の2 次のワークが来るのを待つにはトリガストッパを使う
定石8の3 ワークを1つずつ分離するにはエスケープメントを使う
定石8の4 スタータを使うとワークの送り出しのタイミングをつくれる

第9章 からくりを動かすアクチュエータとメカニズムの連結
定石9の1 からくりに力を与えるアクチュエータの出力には回転・揺動・直動がある
定石9の2 シリンダ出力でレバーを駆動するにはリニアガイドを使う
定石9の3 回転メカニズムはクレビスシリンダで駆動する
定石9の4 メカニズムをモータで駆動するには回転軸受を使う
定石9の5 ショベルカーのアクチュエータにはクレビス型シリンダを使う

第10章 からくりのメカニカルチャック
定石10の1 メカニカルチャックの開閉の状態が戻らないようにするにはオルタネイト機構を使う
定石10の2 閉じる力をかけたままの状態で保持するためにはトグルを使う
定石10の3 把持力を強くするにはチャックをクサビで増力する
定石10の4 チャックの開閉をスムーズに行うにはクランクで駆動する
定石10の5 平衡チャックには平行リンクを使う

第11章 連続した回転運動を変換するメカニズム
定石11の1 回転運動を連結するにはリンク棒を使う
定石11の2 クランクアームの回転を直進運動に連結して直進往復運動をつくる
定石11の3 平行リンク型P&Pを高速に駆動するにはクランクを使う
定石11の4 大きな負荷を駆動するにはクランクアームを両持ちにする
定石11の5 1つの回転入力で複数のクランク出力を取り出すにはクランクアームを両持ちにする
定石11の6 カムを使わずにドウェルをつくるには多重減速にする
定石11の7 レバーを使えばクランクの配置を自由に変更できる
定石11の8 早戻りの往復をつくるにはレバースライダを使う
定石11の9 理想的な往復運動特性をつくるにはカムを使う

第12章 クロッグ
定石12の1 空気圧シリンダのストロークを変更するにはクロッグを使う
定石12の2 連続往復運動の両端で一時的に停止させるにはクロッグを使う
定石12の3 連続往復運動の片端だけに停止位置をつくるにはスプリング付きクロッグを使う
定石12の4 スプリングフォローとクロッグを組み合わすと1入力で3つのタイミング出力を得られる
定石12の5 ワンモーションで複数の作業をするユニットはクロッグを使って設計する

第13章 スプリングフォロー
定石13の1 スプリングを利用したダブルアクションを使えば動作タイミングをコントロールできる
定石13の2 ピック&リムーバはスプリングフォローのダブルアクションを使う
定石13の3 クロッグとスプリングを使うとシリンダ1本で動くピック&プレイスユニットができる
定石13の4 ヒールスプリングフォローとトグルを使ったピック&リムーバ

第14章 摩擦を使ったからくりメカニズム
定石14の1 フリックスリップを使ってダブルアクションをつくる
定石14の2 フリックスリップを使うとクランクの中間動作を取り出すことができる
定石14の3 フリックスリップとカムを使うと1本のレバーで駆動するP&Pユニットができる
定石14の4 単シリンダによるワーク送りは摩擦とクロッグを使う
定石14の5 摩擦とクロッグを使ってピック&プレイスユニットをつくる

第15章 からくり装置の設計
定石15の1 からくり装置は最終端の運動をガイドするところから設計する
定石15の2 XYZ軸を独立して駆動できるアームユニットを設計する

あとがき
索引


はじめに

はじめに

1.本書の特徴
 本書では、「からくり」をつくるために使われるメカニズムやその構成方法を、図をふんだんに使ってわかりやすく解説しました。
 読者が設計しようとしているからくりの目的に合わせて検索できるように、1つひとつのテクニックを「定石」の形にしてまとめてあります。
 全15章の中に書かれた「定石」のタイトルから辞書のように検索して、からくりや機械装置を設計するときのヒントに使っていただきたいと思います。
 からくりは、からくりのための特別なメカニズムがあるわけではありません。からくりに使われるメカニズムも、自動化装置に使われるメカニズムにも同じようなメカニズムが使われるので、本質的な違いはありません。複雑なからくりや機械装置に使われているメカニズムでも、分解してみると基本的なメカニズムの要素に分類することができるのです。
 本書ではそのようなメカニズムの基本要素を効率よく学習できるようになっています。本の構成は読みやすいように定石集という形をとっていますが、実際には第1章から順に定石を読み進めることで、からくりの設計に使われるメカニズムの要素を1つずつ順番に理解していけるように配慮してあります。
 特に初心者の方は、第1章から順に読み進めていただくことをおすすめします。初めから順番に読んでいくことで、からくり設計に必要な知識が体系的に学習できるような構成になっています。

2.からくりの技術
 本書で解説したからくりとは、人が手で押したり、足で踏んだりする単純な入力や、モータやシリンダのような単純な運動を使って、工場の作業者を補助するような装置をつくる技術のことを意味しています。動力源を使わないか、動力源を使っても1つだけというように、ほとんど制御をせずに、メカニズムの動きだけに頼って機械を駆動するような装置をつくる技術です。
 本書では、普通の設計者が、無限にあると思われるメカニズムを自由自在に使いこなして、からくりメカニズムをつくれるようになることを目指しています。
 からくりは熟練した設計者が、突拍子もない発想力で、面白いメカニズムを考え出してつくるものと思っている人が多いようです。また、メカニズムは無限にあって、熟練した技術者は新しいメカニズムを日々考え出していると思っているかもしれません。
 しかしながら、メカニズムの要素はそれほどたくさんあるわけではありません。数十種類の典型的な基本メカニズムとその特性をよく知ってしまえば、ほとんどそれらの組み合わせでからくりをつくれるようになります。無限にあると思われるのはその組み合わせであって、元となる基本のメカニズムはそれほど数多くはないのです。
 熟練技術者でなくても、メカニズムの要素を自由自在に組み合わせて、からくりメカニズムをつくるようになるために、からくり設計にもっとも有効で典型的なメカニズムを厳選して解説してあります。
 機械装置に使われているからくりの動作や機能は、これらの基本的なメカニズムの要素の組み合わせで構成されています。そこで、からくりを自由自在に設計できるようになるためには、メカニズムの基本要素の種類を学習して、その1つひとつ要素の理論や機能、運動特性や連結方法などについて深く学習していけばよいのです。

3.からくりメカニズムの設計
 からくりの設計の一番重要で難しいところは、からくりを動かすのに必要な運動をつくり出す設計をすることです。1つのモータで脚を動かしながら、腕も一緒に振るからくりを設計するのであれば、脚を動かす運動と、腕を動かす運動を、1つの単純なモータの回転運動からつくり出さなくてはなりません。
 制御に頼って腕や足に別々のモータを直結して駆動するのではからくりになりません。それであれば、複数のモータが必要になってしまい、モータの制御によってからくりを動かすことになってしまいます。制御が悪くてお互いのモータの速度がバラバラであれば、腕や足を振るタイミングもバラバラになってしまうでしょう。
 低速運転から高速運転まで、すべてのメカニズムを同期をとって動かすには、1つのモータで複数のメカニズムを動かすように構成する必要があります。
 そのためには、モータの単純な回転運動から、タイミングが異なる複数の出力を取り出すようなメカニズムを設計しなくてはなりません。さらに、その運動の方向を変換するなどして、腕や足に連結しなくてはならないでしょう。からくりの設計はこのように、運動特性をつくり、運動の方向を変換し、ストロークを合わせて連結することで、からくりの最終端が目的どおりの動きをするようにメカニズムを構成する、ということになります。
 このような設計ができるようになるために、本書では、単純なアクチュエータの機械出力を変換して、からくりの最終端を動かすための運動をつくって伝達するテクニックを目的別に分類した「定石」の形で解説してあります。
 なお、本書の中の写真説明でカッコ書きで振られているMM何番という型式は、新興技術研究所製のMM3000シリーズの教材ユニットの型式を示しています。
 設計業務の合間にでも本書を眺めて、1つでも多くのメカニズムを習得していただくなどして、みなさまの設計力アップにご活用いただければ幸いです。

2017年6月
熊谷英樹

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