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顔の老化のメカニズム
たるみとシワの仕組みを解明する

定価(税込)  2,160円

著者
サイズ A5判
ページ数 184頁
ISBNコード 978-4-526-07718-0
コード C3050
発行月 2017年06月
ジャンル 化学

内容

顔の形状の老化のメカニズムを解明した著者が、老けた顔の要因、肌構造のメカニズム、老化の伴う変化などを解説。老化を防ぐためのアプローチ法のヒントも紹介する。体系的に正しい知識を示すとともに、アンチエイジングなどの新商品開発にも役立てられる1冊。

江連 智暢  著者プロフィール

(えづれ とものぶ)
株式会社資生堂 ライフサイエンス研究センター主任研究員
1990年4月入社。入社以来一貫してアンチエイジング領域の研究開発に従事。皮膚科学研究を基点に体系的なアンチエイジング理論を生み出し、多くの主力製品を開発。化粧品技術者の世界大会(IFSCC)で世界初の2大会連続で最優秀賞を獲得したほか、皮膚科学の国際学会、日本美容皮膚科学会、日本結合組織学会などの専門学会でも受賞。日本粧業会から功労賞を受賞。同社の研究開発の最先端で活動中。博士(農学)。

目次

目 次

はじめに

第1章 見た目年齢を決める要因
─顔の加齢変化
1-1 見た目年齢とは何か
1-2 見た目年齢を決める要因
1-2-1 ほうれい線
1-2-2 たるみ
1-2-3 見た目年齢を決める「角度」
1-2-4 表情によるシワ
1-3 見た目年齢の男女の差

第2章 見た目の老化が進む要因
2-1 皮膚の構造と構成要素
2-1-1 表皮(Epidermis)
2-1-2 真皮(Dermal layer)
2-2 皮膚構造と構成要素の加齢変化
2-2-1 皮膚の弾力性の低下
2-2-2 加齢に伴う表皮の変化
2-2-3 加齢に伴う真皮の変化
2-3 加齢による表情の変化
2-3-1 一過性のシワと皮膚物性
2-3-2 一過性のシワと表情量
2-3-3 たるみが引き起こす表情の増加
2-3-4 たるみと一過性のシワとの関係性
2-3-5 たるみと定着シワ
2-4 顔の形状を支える真皮のアンカー構造とその加齢変化
2-4-1 顔面の皮膚に特徴的な真皮下部の突起構造
2-4-2 突起構造と皮膚の物性
2-4-3 アンカー構造と顔の形状との関係性
2-4-4 アンカー構造の加齢変化
2-5 表情筋機能の低下
2-5-1 顔面筋
2-5-2 たるみと顔面筋
2-6 真皮の空洞化現象(Dermal cavitation)
2-6-1 加齢に伴う真皮の空洞化現象
2-6-2 真皮の空洞化による皮膚弾力性の低下
2-6-3 真皮の空洞化と顔のたるみ
2-7 皮下脂肪層の変化
2-7-1 脂肪量とたるみの関係性
2-7-2 皮下脂肪量と皮膚物性
2-7-3 皮下脂肪量と真皮構造
2-7-4 脂肪細胞の肥大化に伴う弾性線維の減少
2-7-5 脂肪細胞のサイズの変化に伴う分泌性因子の変化
2-7-6 脂肪細胞の真皮の細胞に対する影響
2-7-7 脂肪細胞の分泌する因子
2-7-8 皮下脂肪は真皮の状態のコントローラ

第3章 見た目の老化を防ぐには
3-1 顔の老化を防ぐには
3-2 表情筋へのアプローチ
3-3 真皮へのアプローチ
3-3-1 コラーゲン線維
3-3-2 弾性線維
3-3-3 ヒアルロン酸
3-3-4 線維芽細胞
3-4 真皮のアンカー構造へのアプローチ
3-5 表皮へのアプローチ
3-6 皮下脂肪組織へのアプローチ
3-6-1 肥大化した脂肪細胞の小型化
3-6-2 脂肪細胞による真皮コントロール機能の制御
3-6-3 皮下脂肪組織にアプローチするには
3-7 顔の老化を計るには
3-7-1 顔の形状の計測
3-8 細胞培養実験
3-8-1 真皮線維芽細胞
3-8-2 真皮モデル系とコラーゲンゲル収縮試験
3-8-3 脂肪細胞

資 料 化粧品技術者のための参考資料
▶必要な情報が集まる学術集会◀
①香粧品学会
②化粧品技術者会
③国際化粧品技術者会連盟(IFSCC:The International Federation of Society of Cosmetic Chemist)

索 引

はじめに

はじめに

 いつまでも若々しくいたい、というのは人類に普遍的な願望です。実年齢は変えることはできません。しかし年齢よりもはるかに老けて見える人がいます。また、本人が気づかないうちに、周りからは老いて見られている場合もあります。これとは反対に、若く見える人もいます。このような「見た目の年齢」を私達はどのように判断しているのでしょうか。本書は、この見た目年齢を決める顔の老化のメカニズムを解き明かしていきます。
 見た目年齢は女性の美容に関する悩みの上位に挙げられる一方で、多くの女性には十分な情報が届いていません。情報が少ないことは漫然とした不安感にも繋がります。誤った情報による自己流のケアは、かえって状態を悪化させる危険性があります。もし正確な情報を知ることができれば、自分の悩みを客観的に受け止めることもできます。また正しいケア方法を知ることができれば希望を持つこともできます。
 見た目の年齢を対象とした研究が大きく進展し始めたのは、比較的最近のことです。多くの知見は国際的な科学誌に掲載されているため、取り付きにくいという声を多く聞きます。また理解するためにも細胞や遺伝子の研究から、皮膚の物性解析、顔の形状解析、美容法といった様々な分野を横断する知識が必要となります。
 著者はこの分野が発展する以前から、研究開発の現場で直接携わってきました。研究を開始した当初は十分な情報が無く、見た目年齢に関する意識調査や市場調査から行う必要がありました。また研究手段も十分に無いことから、見た目年齢を定義して、評価するために必要な方法を作り出すことから始めました。これらを基に見た目年齢の実態の把握を進め、また見た目年齢を決める要因を一つずつ明らかにしてきました。また明らかになった原因を対象とし、改善するための手段を構築してきました。それらは個別には科学論文として入手可能ですが、体系的に紹介する機会が無く、全体像が見えにくいという問題を感じていました。
 そこで著者が自ら確立してきた知識と経験を本書にまとめました。また、本書で扱う内容が見た目に関する内容のため、できるだけ多くの写真や図を使用し、感覚的も捉えやすいように構成しました。さらに、より多くの気付きを得ていただくためにも、知見の羅列だけではなく、一部では発見に至ったプロセスも記載しています。また論文には記載していないノウハウ的な部分も加え、より平易に説明を加えました。
 本書は、①見た目年齢の実態を把握し、②その原因を明らかにし、③それに基づく改善手段を構築する、という流れで構成されています。また、理解に必要となる皮膚科学の基礎知識を第2章の前半に記述しました。専門的な内容となるため、大まかな内容を知りたい方は概要だけを読んでいただき、深く理解した方にはしっかりと読んでいただきたいと思います。
 この領域は、見た目に関する誰もが身近に感じることが対象になっています。体の内部の現象とは異なり、外から見える点も親しみやすい点です。皮膚科学はもとより、物性、感性、認知、心理、工学といった様々な方向からアプローチすることが可能です。本書を読んだ多くの方が見た目の科学に興味を持ち、独自の視点で考える一助となれば幸いです。
2017年5月吉日
江連 智暢

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