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シッカリ学べる!「光学設計」の基礎知識

定価(税込)  2,160円

著者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-07712-8
コード C3054
発行月 2017年05月
ジャンル 電気・電子

内容

光学設計では、具体的には、光を都合よく収束、あるいは拡散させて画像を得たり、照明をしたりするために、レンズ、ミラーなどの光学部品の曲率、材質、大きさ、それらの配置を決める作業(計算)を行う。本書は、それを学ぶ、あるいは光学設計を始めようという技術者のために、豊富な図面と基本的な計算式により、丁寧に解説した入門書。

牛山 善太  著者プロフィール

(うしやま ぜんた)
株式会社タイコ代表取締役社長 博士(工学)
1957年東京生まれ。東京理科大学理学部物理学科卒業。株式会社トキナー光学にて一眼レフカメラ用ズームレンズの光学設計に従事。太陽光学株式会社を経て1991年に株式会社タイコ設立。光学設計、開発、製作、コンサルティング、ソフトウェア開発を主な業務とする。顕微鏡、内視鏡、半導体検査装置・露光装置用光学系、プラネタリュウム投影系、ホログラム記録・読み取り用光学系からLED照明光学系、医療用無影灯、TVスタジオ照明系に至まで多様な光学系を開発。光学設計ソフトウエアーに関する旧Kidger社(英)、OPTIS社(仏)、LightTrans社(独)の技術アドバイザーを務める。2006―2010年、東海大学工学部光・画像光学科(レンズ設計)非常勤講師。

目次

目  次

はじめに

第1章 光学設計の概念
1-1 光学設計とは、そもそも光学系とは
1-2 光学系が実現すること
1-3 光学設計における結像評価の考え方
1-4 改めて結像とはどういうことか?
1-5 光学設計における光学理論

第2章 幾何光学と光線について
2-1 幾何光学理論の重要性
2-2 幾何光学で重要な法則、フェルマーの原理
2-3 幾何光学で重要な法則、スネルの屈折則
2-4 幾何光学において明るさを計算するための法則
2-5 光線の構造
2-6 光線追跡について
2-7 収差とは何か?

第3章 近軸理論
3-1 なぜ近軸理論を構造として採用できるのか
3-2 まず倍率を考えてみましょう
3-3 近軸光線追跡式
3-4 焦点距離
3-5 結像を表す重要な式
3-6 レンズメーカーの式による光学系の構造
3-7 実物体と実像、虚物体と虚像
3-8 主点・焦点距離はどこから測るのか?
3-9 主点・主平面の性質

第4章 光学系の明るさを決めるもの
4-1 開口絞り
4-2 視野絞りと主光線
4-3 Fナンバー
4-4 入射瞳と射出瞳
4-5 テレセントリック系とは

第5章 球面収差
5-1 プリズムで収差を考える
5-2 球面収差について
5-3 球面収差の計算
5-4 とりあえず球面収差がなくなる条件とは
5-5 球面収差のパワー分割による補正
5-6 球面収差の打ち消し合いによる補正
5-7 球面収差図
5-8 光線の高さによる球面収差の違い

第6章 軸外の収差、コマ収差
6-1 軸外結像におけるメリディオナル断面とサジタル断面
6-2 軸外の収差、コマ収差と非点収差
6-3 コマ収差
6-4 正弦法則について
6-5 画面中心近傍のコマ収差を除去する正弦条件について
6-6 正弦条件からわかること
6-7 幾何光学において重要な光路長差
6-8 アイコナールと結像の余弦則
6-9 結像の余弦則から正弦条件を導く、そして縦倍率とは
6-10 アプラナティックレンズとコマ収差
6-11 球面収差が残っている時の正弦条件

第7章 非点収差と像面湾曲
7-1 非点収差とは
7-2 スポットダイヤグラム
7-3 メリディオナル像点とサジタル像点位置の計算
7-4 アプラナティズムと非点収差
7-5 像面湾曲とペッツバール和
7-6 ペッツバール和の重要性
7-7 ペッツバール和を小さくできるレンズ1
7-8 ペッツバール和を小さくできるレンズ2
7-9 ペッツバールレンズ
7-10 ペッツバールレンズの利点

第8章 歪曲収差と射影関係
8-1 歪曲収差
8-2 射影関係

第9章 色収差
9-1 光の波長について
9-2 分散とアッベ数
9-3 2枚のレンズによる色消し
9-4 2次スペクトルの除去
9-5 倍率の色収差

第10章 総合的に収差を考える
10-1 完全対称型のレンズについて
10-2 対称系レンズの無限倍率使用1
10-3 対称系レンズの無限倍率使用2
10-4 ピントずれと焦点深度
10-5 横収差図の読み方1
10-6 横収差図の読み方2

第11章 周辺光量
11-1 周辺光量について
11-2 一般的な周辺光量の計算1
11-3 一般的な周辺光量の計算2
11-4 周辺が暗くならない光学系、輝度不変則
11-5 周辺が暗くならない光学系、瞳収差

第12章 光学系の評価と最適化
12-1 光学系の性能評価
12-2 回折による解像限界について
12-3 MTF
12-4 MTFとフーリエ変換について
12-5 MTF図の読み方
12-6 コンピュータによる最適化
12-7 最適化における対応力

参考文献

はじめに

はじめに

 近年、レンズやミラーなどで構成された光学部品は、カメラや顕微鏡といた旧来の光学製品の枠を超え、スマートフォン用カメラ、車載カメラ、プロジェクションマッピング、各種センサのキー部品として、さらに照明系などの様々な応用分野においてますますその重要性を高めていることは、皆様もご承知のところかと思います。画像を取り込み、高精細な画像を撮像素子上に形成したり、スクリーンに投影したりする場合には現状ではレンズなどの光学部品を用いるしか術がないと言ってよく、こうした光学部品を目的に合わせて設計する“光学設計技術”の必要性も自ずと高まってきています。
 レンズには他の製品に既に使われている完成品を新しい装置に流用する、ということが難しい側面があります。使用波長域、焦点距離、明るさ(Fナンバー)だけでなく、画像に取り込める被写体の広さ、そして結像分解能も所望のレベルを求めなければなりません。さらに光の入射角度、画像の歪み、そして物体からレンズまでの距離、像からレンズまでの距離、レンズの大きさなどの寸法について等々その他にも多くの制約があります。目的の光学的仕様を満たし、できるだけコンパクトで製造コストの安いものを、と考えますと、どこかで大きな妥協をしない限り、新規に光学設計を起こさざるを得なくなります。こうして、差別化された目的に合致した光学系を得るため、あるいはその際に、ある程度妥協するにいたしましても、光学設計技術の知識を必要とされる方が増えているのだと思います。
 またコンピュータの計算能力の向上、市販の光学設計プログラムの入手のしやすさが、今までよりも光学設計を敷居の低いものにしています。そこで、レンズを使う立場の方々も含めた、より多くの方に光学設計について、よりしっかりと知っていただきたい、と思い本書を著させていただきました。
 私は、この光学設計という仕事を始めて35年以上になりますが、この仕事が好きです。どこが好きかと申しますと、なかなか説明は難しいのですが自分の力が出せて多少なりとも人様のお役に立てているということが一番かもしれません。ですが、それだけですとただ自分に適している、というような当たり前な理由になってしいます。もう少しよく考えてみますと光学設計は、光学理論という物理学の範疇に含まれる理論をその拠り所としています(光がどう進む、曲がる、反射される、強め合う、弱め合う、などについて知るために)。ところが、実は数字のみを頼りにして光学系による現象を評価、改善していこうという際の抽象性(本書内では近軸理論、収差論、光路長の理論や最適化のところで顕著です)には、多分に数学的なところがあります。それと同時に当然、光学設計は実際の光学系を製造するためのものでなくてはなりません。従いましてどのように製造しようかという心づもりは設計中も非常に大切になります。
 このように数学と、実際のもの造りが直結して、その結果が確認できるという作業は意外に少ないのではないかと思います。数学というものは、数学的なもの、と言ったほうがよいかもしれませんが思考の成果であり、純粋に考え抜けるものです(抜けない場合も多いですが)。うまくいくとそこには快感が生じます。そしてその結果が工業分野での新しいキーパツとして、製造技術、物理、数学の結実として、実在し、結果を目の当たりにすることができます。結局これが楽しいのだと思います。
 ですから、私の捉え方ではどうしても数式と光学設計は離して考えにくいのです。いくら入門書とは言っても定性的な話ばかりで、数学的な解説のない光学設計の本は、良質な光学の入門書とはなり得ても光学設計の本としてはなかなか成立しにくいのではないかと思います。斯様な次第で、私の力不足もありますが、入門書ではありますが、本書には数式が予想外に多くなってしまいました。お許しいただければと思います(高校の数学レベルで十分理解可能ですが)。とりあえず結果のみ知り、通読後、ご参考にしていただいても結構です。いろいろな読み方でご利用いただいて、本書が少しでも皆様のお役に立てるようでしたら法外の喜びです。
 最後に、本書の出版の機会をお与えいただき、何かとご尽力いただきました日刊工業新聞社出版局、鈴木徹部長に、そしてお世話になりました関係者の方々に深く御礼申し上げます。
2017年 2月   
牛山善太

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