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よくわかる デライト設計入門 
ワクワクするような製品は天才がいなくとも作れる

定価(税込)  2,592円

著者
サイズ A5判
ページ数 184頁
ISBNコード 978-4-526-07703-6
コード C3053
発行月 2017年04月
ジャンル 機械

内容

本書は、製品に顧客にとってうれしくなるような価値を作り込む設計・開発(デライト設計:使い手の琴線に触れる魅力品質を作る)の考え方と方法を分かりやすく解説した入門書。デライトデザインとは何か、誰にとってのデライトかといった本質から、デライト設計の手順、マストデザイン・ベターデザインとの関係、必要なツールとその使い方について事例をまじえて紹介。ワクワクするような顧客価値は、決して思い付きにより付与されるのではなく、狙って製品に付与できるものであり、これがものづくりが本来目指すところであること説く。

大富 浩一  著者プロフィール

(おおとみ こういち)
1952年生まれ。東京大学大学院工学系研究科特任研究員 内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)“革新的設計生産技術”の研究開発業務に従事
1974年、東北大学工学部機械工学科卒業
1979年、東北大学大学院工学研究科機械工学専攻博士課程修了。工学博士
1979年から2014年まで大手総合電機メーカの本社研究所に勤務
この間、原子力、宇宙機器、医用機器、家電機器、昇降機器、ノートPC、半導体関連、省力機器、等の製品開発に従事。
これらを通して、設計に関する広範な研究開発を実施。
専門は機械力学、設計工学。現在は音のデザイン、1DCAEの普及啓蒙活動に注力。日本機械学会、米国機械学会、日本音響学会、日本計算工学会等会員。

目次

目 次

はじめに

第1章なぜ今デライト設計なのか

第2章デライト設計とは
2.1 設計の定義
2.2 3つの設計
2.3 製品開発とデライト設計

第3章デライト設計の一例としての“製品音のデザイン”
3.1 製品音のデザインの背景
3.1.1 製品音の遷移
3.1.2 低騒音化技術の適用例
3.1.3 製品音を製品価値にするには
3.2 製品音のデザインの考え方
3.2.1 従来の音設計と音のデザイン
3.2.2 音のデザインの全体像
3.2.3 音のデザインの考え方
3.3 製品音のデザインのための基礎知識
3.3.1 音の発生メカニズム
3.3.2 音の性質
3.3.3 音の解析
3.3.4 音の指標
3.3.5 音の評価
3.4 製品音のデザインの方法
3.4.1 顧客ニーズの抽出
3.4.2 音のものさし
3.4.3 目標音の設定
3.4.4 目標音の実現
3.4.5 音の感性と製品との関係性
3.5 製品音のデザインの事例
3.5.1 製品音の分類
3.5.2 クリーナ音の事例
3.5.3 コピー機の事例
3.6 製品音のデザインの課題
3.6.1 音の感性の多様性
3.6.2 音の評価指標の限界
3.6.3 音と他の感性の相互作用

第4章デライト設計の方法とプロセス
4.1 デライト設計の方法
4.2 デライト設計のプロセス
4.2.1 デライトを創成する
4.2.2 デライトを定義する
4.2.3 デライトを実現する
4.2.3 デライトを生産する

第5章デライト設計のための手法
5.1 手法の全体像
5.2 デライト創成・定義のための手法
5.2.1 顧客価値連鎖解析(CVCA)
5.2.2 評価グリッド法
5.2.3 価値/機能/構造マップ(WFSマップ)
5.2.4 品質機能展開(QFD)
5.2.5 官能評価手法
5.2.6 統計的手法
5.2.7 ラフ集合
5.2.8 物理計測
5.2.9 製品マップ
5.3 デライト実現・生産のための手法
5.3.1 コンセプトの物理展開
5.3.2 1Dモデリング/3Dモデリング
5.3.3 ラピッドプロトタイピング(RP)
5.3.4 Ashbyマップ

第6章デライト設計の適用例
6.1 コンセプト創出とデライトの定義
6.2 デライトのものさしの作成
6.3 デライト1Dの作成
6.3.1 全体の手順
6.3.2 ドライヤの1Dモデル
6.3.3 ドライヤのデライト1Dモデル
6.4 デザイン×デザインによる新製品創出

第7章デライト設計の今後
7.1 人の行動パターンから見たデライト設計
7.2 ものづくりの視点から見たデライト設計

おわりに
参考文献
索引

はじめに

はじめに

 ものの充足、顧客の要求の多様化に伴い、従来のものづくりでは対応できなくなっている。一方、欧米の天才が創出したアイデアをトップダウンで展開していく仕組みは日本のものづくりとは相いれない。一時期、日本でも西欧の仕組みを真似たこともあったがことごとく失敗し元に戻っている。日本の仕組みを尊重し、日本の文化、ものづくりを前提とした新しいデライトものづくりの構築が急務となっている。特に、ものづくりの中でも“人の琴線に触れる”製品、いわゆるデライト製品での日本の立ち遅れが目立っている。
 そこで、デライトとは?デライト設計とは?誰にとってのデライト?と言った本質から説き起こして、目指すべき“デライト設計”を明らかにする。これらを通してデライト設計が特別なものではなく、ものづくりが本来目指すところであることに気付く。
 デライト設計を具体的にイメージしてもらうために、最初に“製品音のデライト設計”について紹介する。この事例は著者が企業在職中に実施したもので当時はデライト設計を意識していたわけでなく、従来のものづくりに議論を持ち、自然な形で行ったものである。これからも、デライト設計はものづくりの自然な流れと言える。
 次に、実際にデライト設計はどうやって行うのか、その方法とプロセスについて述べる。デライト設計はマスト設計、ベター設計が担保された上で成り立っているのでこの辺りについても触れる。デライトだけを志向しても真の意味でのデライトにはならない。デライト設計は、デライト価値を定義するプロセスとデライト価値を実現するプロセスの大きく二つから構成される。その具体的手順について紹介する。
 さらに、デライト設計を行うにあたって、必要となる手法、ツールに関して紹介する。これらの手法、ツールは適材適所で使われる種類のものであることを特筆する。また、実際にデライト設計に使用する手法、ツールの多くはすでに他の多くの分野で実績にあるものである。デライト設計という切り口でどのように適用するかがポイントとなる。
 デライト設計の適用例としてドライヤをモチーフに紹介する。ここではいわゆる設計者(エンジニアリングデザイン)とデザイナ(インダストリアルデザイン)の掛け合い(相乗効果)についても触れる。
 デライト設計は確立された考え方、手法ではない。最後に、今後の新たな展開について展望する。

 本書の内容は著者の企業での35年余りの実務経験のうち、音振動研究の一環として、2005年に世に問うた音のデザイン研究に端を発する。その後、2015年からは内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の“革新的設計生産技術”の一つのプロジェクトの中で展開を図った。第3章の製品音のデザインは主にクリーナの音のデザインに関して、事業部と一体となって想いを実現した結果である。ともに切磋琢磨した穂坂倫佳氏、岩田宜之氏なくしては音のデザインは生まれなかった。また、音のデザイン研究に際しては、九州大学岩宮眞一郎先生、高田正幸先生から多数の助言をいただくとともに、音質評価に関してはドイツHeadacoustics社のKlaus Genuit氏に全面的に支援いただいた。さらに、設計の視点から東京大学村上存先生、柳澤秀吉先生から多くのヒントをいただいた。第4章から第6章は上記SIPプロジェクトを通して考えたこと、使った手法、事例を纏めた。私の活動を全面的に支えていただいたプロジェクトリーダーの東京大学鈴木宏正先生ならびにプロジェクトメンバの皆様のご協力に感謝申し上げる。特に、1Dモデリングに関する部分は片山寛之氏の努力の賜物である。また、統計的手法に関しては広島国際大学井上勝雄先生に理論的背景を含めて支援いただいた。
 なお、第4章から第6章の成果の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の結果得られたものである。お礼申し上げる。
2017年4月
大富 浩一

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