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パリ協定で動き出す再エネ大再編
世界3大市場で伸びる事業を見極めろ

定価(税込)  2,160円

著者
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サイズ A5判
ページ数 184頁
ISBNコード 978-4-526-07695-4
コード C3034
発行月 2017年03月
ジャンル その他 ビジネス

内容

「電力大再編」シリーズで重版実績を誇る著者の新作。2016年4月から電力小売自由化が始まり、再生可能エネルギービジネスへの期待が再浮上してきた中で、欧州・米国・中国に加えて新興市場のインドの動向を詳述。新規/再参入組に向けた勝てる事業戦略を提言する。

井熊 均  著者プロフィール

(いくま ひとし)
株式会社日本総合研究所
常務執行役員 創発戦略センター所長
1958年東京都生まれ。1981年早稲田大学理工学部機械工学科卒業、1983年同大学院理工学研究科を修了。1983年三菱重工業株式会社入社。1990年株式会社日本総合研究所入社。1995年株式会社アイエスブイ・ジャパン取締役。2003年株式会社イーキュービック取締役。2003年早稲田大学大学院公共経営研究科非常勤講師。2006年株式会社日本総合研究所執行役員。2014年常務執行役員。環境・エネルギー分野でのベンチャービジネス、公共分野におけるPFIなどの事業、中国・東南アジアにおけるスマートシティ事業の立ち上げなどに関わり、新たな事業スキームを提案。公共団体、民間企業に対するアドバイスを実施。公共政策、環境、エネルギー、農業などの分野で60冊以上の書籍を刊行するとともに政策提言を行う。

瀧口 信一郎  著者プロフィール

(たきぐち しんいちろう)
株式会社日本総合研究所
創発戦略センター シニアスペシャリスト
1969年生まれ。京都大学理学部を経て、93年同大大学院人間環境学研究科を修了。テキサス大学MBA(エネルギーファイナンス専攻)。東京大学工学部(客員研究員)、外資系コンサルティング会社、REIT運用会社、エネルギーファンドなどを経て、2009年株式会社日本総合研究所に入社。現在、創発戦略センター所属。専門はエネルギー政策・エネルギー事業戦略・インフラファンド。著書に「電力不足時代の企業のエネルギー戦略」(中央経済社・共著)、「2020年、電力大再編」(日刊工業新聞社・共著)、「電力小売全面自由化で動き出す分散型エネルギー」(日刊工業新聞社・共著)、「電力小売全面自由化で動き出すバイオエネルギー」(日刊工業新聞社・共著)、「続 2020年 電力大再編」(日刊工業新聞社・共著)など。

目次

目次

はじめに

第1章 パリ協定で見えた再エネ主導のエネルギーシステム
1 パリ協定の合意が意味するもの
京都議定書以来の効力を持つパリ協定/京都議定書の反省/柔軟性を重視したパリ協定/アメリカの事情/アメリカの排出削減のレベル/再燃する目標設定の議論/パリ協定を批准した中国の事情/政策に担保された温室効果ガス削減策/先進国と途上国間の壁
2 変わる再エネ市場のパワーバランス
影響力が低下する欧州/イギリス離脱も影響/国内志向に転換するアメリカ/トランプ政権の行方/トランプ発言の裏を読む/温室効果ガス削減に一枚岩の中国/台頭する中国
3 どうなる?日本の対応
容易でない再エネの積み増し/困難極める原子力発電の目標達成/頼りは省エネ/容易でないパリ対応/問われる日本の姿勢/出遅れた日本
column 相変わらずエネルギー市場の見極めが下手な日本

第2章 再エネの行方を決める3大市場の動向
1 再エネの3大市場のインパクト
電力市場は3大市場が5割超/3大市場で決まる再エネの方向性/経済力と密接に関係する電力・再エネの将来/3大市場に食い込むインド
2 先行指標となるEU市場
火力を中心とした自由化/EUの政治的意図/加速する再エネ/風力中心のエネルギーシステムへ/座礁資産化した火力発電/風力中心と脱火力の限界(EU全体はドイツ化しない)/風力発電の本当のコスト/風力発電導入の壁、容量クレジット/将来の電源ポートフォリオ/中核電源としての風力発電の役割/FITの終焉/容易ではない脱石炭/不可欠な調整電源となる火力発電/イギリスEU離脱でブレーキがかかる電力市場統合/市場統合の壁/メガソーラーの役割が縮小する/バイオマス発電への期待/地域密着が新たな発展の機会に
3 経済性前提のアメリカ市場
一貫した経済性重視/変わることのないアメリカの政策姿勢/シェールオイル/ガスで復活したアメリカのエネルギー産業/波及するシェールの効果/天然ガス火力が急増/石炭産業の雇用問題/風力発電の急増/風力発電を支えた国・州の政策/トランプ政権下でも失速しない風力発電/アメリカは1つではない/EU型の西部/伝統産業温存の東部/資産経済の南部
4 圧倒的な影響力を持つ中国市場
成長を続ける中国/中国のエネルギー問題/石炭産業の雇用問題はアメリカ以上/石炭依存が引き起こす環境問題/国策の石油・天然ガス産業育成/天然ガス調達のための一帯一路/膨大な風力発電の可能性/風力発電機器メーカーは世界を制覇する/風力発電が太陽光発電も牽引/石炭+風力の構図
5 EUを抜き3大市場となるインド市場
静かで着実な成長/エネルギー需要で2040年にEU超え/非資源国の悩み/モディ政権の電力改革/中国の後を追う環境問題/複数の資源に恵まれた再エネ大国/再エネ関連企業の成長/海外企業の参入/コール&バリエーションのある再エネというモデル
column 解決すべき課題はどの国でも同じ?

第3章 パリ協定から2030年までの15の変化
1 再エネ市場の本格的な拡大が始まる
2 国際議論の中心は太平洋に移動する
3 風力発電が再エネ電力の中心となる
4 「火力+再エネ」が汎用モデルになる
5 火力電源が送電網の機能の一部となる
6 メガソーラーは特定地域向けの事業手法となる
7 FITは終焉する
8 火力発電と再エネ発電の立場が変わる
9 原子力発電の国家関与が強まる
10 中国メーカーが再エネ市場を席巻する
11 火力の焦点は「座礁資産」から技術革新に変わる
12 バイオエネルギーの位置づけが変わる
13 メガ電力サプライヤーが復権する
14 分散電源の市場が拡大する
15 ポストパリの時代が来る
column パリ協定を機に浮上する産業とは?

第4章 再エネ大再編時代に立ち向かう日本の戦略
1 再エネ市場での日本のポジションを定める
再エネ・エネルギーシステムの4つのタイプ/新たに生まれる再エネ格差/再エネ産業2つの選択肢/注目すべき中国モデル/再エネ産業における日本の選択肢
2 パリ協定の下での日本の8つの戦略
戦略作りに向けた日本の特徴/戦略1:大市場向け再エネサプライヤーに見切りをつける/戦略2:メガ電力オペレータを育成する/戦略3:日本型の再エネシステムを作り上げる/戦略4:分散型エネルギーシステムで世界をリードする/戦略5:省エネ技術で世界をリードする/戦略6:火力発電の技術に磨きをかける/戦略7:日本びいきの国を増やす/戦略8:ポストパリを見据えたエネルギーシステムに投資する
column 海外市場で稼ぐ方法を真剣に考えよ

はじめに

はじめに


2016年は電力の小売り全面自由化が始まり、電力ビジネスへの注目が集まった。しかし、1年を経過してみると、自由化で勢力を拡大したのは、2000年以降の自由化から電力事業の基盤を作ってきた事業者と、従来事業の中で良好な顧客基盤を形成してきた事業者などに限られた。小売り全面自由化で新規参入者が苦戦した理由はいくつかあるが、最大の理由は、日本の電力需要が目に見えて減退する時期まで自由化が先送りされたことだ。
それに比べると、再生可能エネルギー(再エネ)市場には可能性がある。電力需要が減退する日本市場でも、再エネ市場だけは確実に拡大するからだ。海外に目を転じれば、国内とは比べものにならない規模の市場が開ける。
 一方、2012年に施行された固定価格買取制度では、拡大するグローバルな再エネ市場を捉えようとする視点が欠如していたため、かつての公共事業のように、制度に依存した企業を生み出してしまった。パリ協定を契機として世界的に再エネ市場の拡大する中で、同じことを繰り返してはならない。そのために必要なのは、グローバル市場の動向と、日本の置かれた状況を冷静に見極めることだ。
 エネルギー市場は各国の政治動向と密接に関わるため、グローバル市場に大きな影響力を持つ国の政策動向を把握することが欠かせない。日本の立場については厳しい見方も必要だ。グローバルな再エネ市場で、最も多くの発電収入を生み出すのは大規模ウィンドファームとメガソーラーだが、この分野ではグローバル市場の趨勢が決まりつつある。日本は、自らの強みを活かせる戦略に集中しなくてはいけない。
 本書は再エネ市場に関するこうした認識から、まず、第1章でパリ協定の背景を把握し、第2章では、グローバルな再エネ市場に最も大きな影響を与えるアメリカ・中国・EUの3大市場、および今後は存在感を増すと見られるインド市場の動向をまとめた。その上で、第3章では今後の市場動向を左右する重要なポイントを15に整理し、第4章では日本が注力すべき戦略を8つにまとめた。
 本書が、日本がグローバルな再エネ市場で成長の足がかりを得るために、少しでも役立つことがあれば喜ばしい限りである。
 本書は、テキサス大学でエネルギー関連分野のMBAを取得して以来、エネルギー一筋で取り組んできた瀧口信一郎君との共同執筆とした。今後の市場や政策の動向については、専門的な知見と分析力を披露してもらった。多忙の中、執筆に当たってもらったことにお礼を申し上げたい。同じく、創発戦略センターの王停さんには中国市場について多くの助言を頂いた。この場を借りてお礼申し上げる。日刊工業新聞社の矢島俊克氏には本書の企画からお世話になった。この場を借りてお礼申し上げたい。最後に、日頃より筆者に対してご指導ご支援を頂いている株式会社日本総合研究所に対して心より御礼を申し上げたい。
2017年 早春
井熊均

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